君はどんな効果だい? いつ発動する?   作:やーなん

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今回はメグル君サイドのお話です。



相棒は拾った

 

 

 

 私の名前は、門倉トキコ。

 どこにでもいる、何の変哲もない女子中学生だよ。

 

 突然だが、私の人生の半分は幼馴染の男の子。メグルと共に在った。

 

 私の父はカードショップを経営していて、私もその娘として幼い頃からお手伝いごっこなどをし、今となってはバイト代欲しさに家業を手伝っている。

 メグルの家は私たち家族の実家のお隣さんで、私達の初対面は両親が赤ん坊の頃に済ませたほどである。

 

 メグルはカードを愛し、カードに愛されている男の子だった。

 学校が終わっては大半の時間をうちの店で過ごし、野良アセンションをしている。

 

 エデン・コードの一試合の平均時間は10分前後と言われている。

 このゲームはゲームスピードが速く、プレイヤーはぽんぽんとカードを出してはターンが移り変わっていく。

 今や世界的に大流行し、政治的な決定さえもエデン・コードで行うことも多いと言う。

 

 話は逸れたが、そんなスピーディなゲームとは言え、考えるのは人間だ。

 どういう試合運びをするのかで、長考してしまうこともままある。

 そうして日が暮れた時は、当たり前のようにメグルはうちで夕食を食べて、その果てには風呂まで入ってから自分の家に帰る日もある。

 そして、私の部屋にもノック無しで入って来るレベルなのだ!!

 

 まあ、それは大抵私とアセンションをする為なのだけど。

 私もカードショップの娘として、たしなみ程度にはエデン・コードが出来る。

 偶に馴染みのお客さんにデッキ調整の相手を頼まれたりとかされる程度には、そこそこやれる自負がある。

 

 とまあ、そんな感じで、私には幼馴染が居る。

 私もメグルも。そして両親さえも、こんな生活が成人しても、もしかしたら老後まで続くんじゃないかと漠然とそう思っていた。

 

 メグルには大勢の友達がいる。

 まあ、あいつはアセンションしたらもう友達!! みたいに思ってるだろうけど、その友達の中には勿論女の子もいる。

 多分、彼の事を好きな子も。

 

 だけど、私はそれに不安に思ったことは無かった。

 このアセンションバカの相手を出来て、大人になっても引き取ってやれるのは自分だけだと、そう思っていた。

 それが私にとっての日常で、普通であり、当たり前に続き、不変の日々なのだと思っていた。

 

 違ったのだ。私はただ、想像力の無い子供に過ぎなかっただけだった。永遠の関係など、何処にもない。

 だけど、これを想像しろというのは誰にでも無理だろう。

 

 それは放課後の事だった。

 

 学校からメグルと一緒に帰り、通学路を通って彼と今日の予定を、いつもと変わり映えの無い内容を話している時だった。

 

「なあなあトキコ、新しいパックが出るって本当か!!」

「そんなの分からないわよ。新しいカードは全部、メアリース教団の発表を待ちなさいって言ってるでしょ」

「なーんだ。やっぱりまだなのか」

「うちみたいな木っ端ショップに向こうの予定なんて分かるわけないでしょ」

 

 エデン・コードはメアリース教団、この世界を跨る神官集団の肝いりの大事業らしい。

 つまり、教団の一挙手一投足が世界のバランスを左右する。うちみたいなライセンスを持ってるだけの店に情報なんて降りてこない。

 

 そんな当たり前のことを、勝手にワクワクしているメグルに説法してやった。

 

 異変は、そんな当たり前の日常に起こった。

 

 突然、前方がバチバチと、まるで漏電したかのように空中で火花が散り始めたのだ。

 

「な、なんだ!? これ、どうなってんだ!?」

 

 メグルは咄嗟に私の前に出で、その現象を警戒するように睨みつけた。

 私はただただ、いきなりの事に混乱していた。

 

 そして、空間が、縦に裂けた。そう表現するほか無かった。

 

 そうして、その中からドサリ、と一人の女性が這い出るように転がり落ちた。

 それと同時に、空間の裂け目は何事も無かったかのように閉じた。

 

「お、おい、あんた、大丈夫か!?」

 

 メグルは目の前の女性に臆することなく、声を掛けて近づいて行った。それが彼の長所でもあり、短所でもあった。

 

「う、あ、成功、した……?」

 

 女性は這うようにしてコンクリートの道路で、顔をあげた。

 

 その時、私は妙な既視感を抱いた。

 メグルもその様子から同様の感想を抱いたらしい。

 

 おかしな話だった。

 この女性は二十代半ばくらいの、なかなかの美人だ。

 ファッションなのか黒と緑のグラデーションのある髪の色をしているが、問題なのはその服装だった。

 まるで魔法使いか何かのローブを羽織り、品のいいパンツルックが見て取れる。

 

 私はファッションに興味があるので、分かった。これは男装だ。

 アニメのように男の振りをしているのではなく、男の仕事をしている女性のように思えたのだ。

 胸元には鷲を模ったエンブレムが刺繍されており、一定の社会的地位のある人間に見えた。

 

 要するに、時代錯誤どころか、別世界のファンタジーの人間がそこに現れたとしか思えなかった。

 そして、実際にそうだった。

 

 彼女は私達を、いや正確にはメグルを見て、私達が抱いた既視感を抱いているようにも見えた。

 

 だが、その時だった。

 

「ぐッ、ああ、くそッ、やはり、逃れられなかったか!!」

 

 衝撃的な光景だった。

 一人の人間が、どんどんと縮小し、平たくなり、四角になって、最終的に一枚のカードに変貌したのは。

 

 私もメグルも、何が起こったのかわからなかった。

 

 彼はごくりと唾を飲み、そのカードを手に取った。

 

『魔法都市長 メイグイーン』

 

 そのカードには、そう書かれていた。

 ステータスは8/5。召喚条件は墓地に魔法カードが五枚以上。自分・相手ターンに墓地のカードを一枚ロストし、場のカードを破壊する。自分のターンなら三回まで使用可能。

 

 文句なしの、エースカード。市場価格にして一千万円より下は付けられないような強力なカードだった。

 イラストの部分には、彼女の正面からの胸像がそのまま写されていた。

 

「これ、見たことの無いカードだ……」

「わ、私だってそうよ。だ、だって、それ、多分……」

 

 人間なのよ、と私は喉元からその言葉が出なかった。

 

 人間がカードになった。その現象に、私達は言葉を失ったのだ。

 

「……なあ、おじさんに聞いてみようぜ」

「パパに? うん、そうよね」

 

 メグルは私のパパに相談してみようとする構えを見せた。

 

「でも、人間がカードになったなんて、信じると思う?」

「おじさんは、頭が硬い人だからなぁ。でも、このカードの事を知ってるかは聞いてみる価値はあるんじゃないか?」

 

 私はすぐにメグルが何が言いたいのか、気づいた。

 

 エデン・コードには人間のイラストのカードも多い。

 それがもしかしたら本当は人間なんじゃないのか、彼はそう疑っているのだ。

 だからとりあえず、うちのパパにそのカードを見せて、反応を見ようとしている。

 

「……わかった、聞いてみよう」

 

 仮にその推測が真実だとして、うちのパパがそれに加担しているとは思えないけど、他に聞ける大人なんて私達には居なかった。

 

「最悪、教団支部に行って、事情を説明しようよ」

 

 メグルは冷静にそう言った。その冷静さが、彼のアセンションの強さを裏付けている。

 

「教団に持って行っても大丈夫かな……」

 

 世間ではメアリース教団は、世界を裏から支配しているなんて話もある。

 ただ、彼らの教義とも言えない組織の規則には、神官職は政治に関わってはならない、とあるそうだ。

 

 それがどこまで本当かは知らないけど、彼らが神様の怒りを誰よりも恐れているのは本当だ。

 彼らに任せれば、悪いようにはされないかもしれない。

 

 そんなことを考えているうちに、私達はカードショップに辿り着いた。

 

「拾ったカード? どれどれ、見たことの無いカードだな」

 

 メグルがそのカードを見せたパパの反応はこうだった。

 

「データベースにも無いし、多分オリカじゃないかな?」

 

 オリカ。個人製作の非公式なオリジナルカードのことだ。

 うちの店にも、オリカを使っても良いですか、とか言って子供相手に自分勝手なルールを連発する変人が来たことがある。

 

「でも、これニセモノにも見えないしなぁ」

 

 パパは腕を組んで唸る。

 

「わかりました。警察に後で届けます」

「それがいいよ」

 

 それで、この会話は打ち切りになった。

 メグルが店から自宅のドアから手招きをしてくるので、私はそちらに寄った。

 そして、メグルは私の部屋を開けて、私も自室に入る。

 

「本当に警察に届けるつもり?」

 

 メグルはカバンを置いて、胡坐をかいて床に置いたカードを見下ろす。すっかり勝手知ったる私の部屋状態だった。

 

「落とし主が来ると思うのかよ」

 

 顔をあげ、私を見るメグル。

 

「やーい、ネコババ!!」

「あの状況で拾わないって選択肢があるのかよ!!」

 

 私はメグルを茶化したが、結局私達は揃って溜息を吐いた。

 

「……なあ、これ、アセンションで使用できるのか?」

「なに言ってるのよあんた」

「いやだって、これ、エデン・コードのカードの様式そのままだぞ」

「自分が何を言ってるのかわかってるの?」

「アセンションボードを出してくれ。試してみたい」

 

 私はしぶしぶ、バッグからアセンションボードを出した。

 腕に装着すると、カードを置くスペースが展開される。

 これでアセンションをすると、立体映像が出てくる優れモノだ。

 

 推しのカードが動く姿が見れるから、とエデン・コードがカードゲーム界隈で派遣を取った理由の一つ。残念ながら他のカードゲームには対応していない。

 教団のなぞ技術のひとつだった。

 

 私達は対して広くない部屋で距離を取り、アセンションの構えを取った。

 

「よし、俺は『魔法都市長 メイグイーン』を召喚!!」

「なんだかお芋みたいな名前だよね」

「はは、そうだな」

『誰がお芋だって?』

「「ぎゃー!!」」

 

 立体映像が、喋ってる!!!

 

 

 

『恐らく、召喚と言う文言に反応したのだろう』

 

 半透明になった彼女は、そのように状況を分析した。

 

『私はカード化の呪いによって、カードに魂を封じられた。

 これにより、召喚者に従属的な支配を強いられる簡易的な召喚術として機能しているのだろう』

「あんた、人間なんだよな?」

『当然だ。私が魔物に見えるか?』

 

 幽霊だ、オバケだ。私は部屋の隅でブルブル震えていた。

 

『……ダメだ、完全に霊体状態で、物質に干渉できない』

 

 彼女は机や壁に触れようとするも、突き抜けてしまう。

 

『魔法もダメか。魔力が練られん。ゴーストになった気分だ』

「なあ、あんたは誰だ?」

 

 ひたすらに自分の状態を分析しているオバケに、メグルは問うた。

 

『ああ、私は魔法都市国家アンリローズの都市長をしている。メイグイーンと言う者だ』

「メイグイーン……じゃあメグだな!!」

『初対面で急に愛称か。まあ構わないが』

 

 メイグイーンさん、メグはフッと微笑んだ。

 

「なあメグ、なんであんた、カードになったんだ?」

『魔王の呪いだ。我が世界は、それによって大半の都市がごっそりと丸ごと消えた。その矛先がいよいよ我が国に向けられたと察知した私は、咄嗟に次元の扉を開いて逃れようとした』

 

 とりあえず、オバケではないみたいなので、私は彼女の話を聞く姿勢になれた。

 

「つまり、メイグイーンさんは異世界人ってこと?」

 

 私は彼女に尋ねた。

 

『ああ。私にとって、君達がそうであるようにな』

「すげぇ、異世界なんて本当にあるんだな!!」

「それで、偶然私達の前に、そのトビラってのが開いちゃったわけ?」

『……』

「あの、なんで急に黙っちゃったの?」

『確証の無いことは言えない』

 

 ああ、そう……。

 

「なあ、元の人間に戻れないのか?」

 

 メグルが彼女に問うと、メグは諦めたように笑った。

 

『無理だろうな。私はこれでも元の世界でも屈指の魔術師にして錬金術師だった自負がある。

 だが、そんな私でもお手上げとしか言えない。魔王め、自らを神の使徒と嘯いていたが、本当だったのかもしれん』

「……そっか。俺にしてあげられることはあるか?」

『何も。この術式は術者にしか解けない。そう言う風に出来ている』

 

 今度こそ、メグルは何も言えなくなった。

 

『それよりも、私は名乗ったのに君たちは名乗らないのかい?』

「あ、そうだった、ごめん。こっちもいっぱいいっぱいでさ」

 

 私はトキコ、俺はメグル。私達は名乗った。

 

『……君たちに拾われたのも、運命か』

 

 それを聞いて、彼女はどこか遠くを見ていた。

 

 

 

 その後、メグさんは女性ということで、私が預かることになった。

 なったのだが……。

 

『それはどういう魔法なのかな!! その小さなカードは別の場所の景色を映しているようだが!!』

「これはスマホ……」

 

『トキコ、このページを捲ってくれ、まだ一人じゃ本が読めないんだ』

「はいはい」

 

「そろそろ国会中継の時間だっけ」

『ほう、君のような若者が政治に興味があるのかい?』

「ううん。国会中継はいつも乱闘アセンションになるから、面白いよ?」

『????』

 

 メグさんは、とにかく好奇心旺盛だった。

 しかし、彼女の可動域内は私の部屋だけなので、私が居る時間はとにかく話しかけてくる。

 

『このエデン・コードと言う遊びだが』

 

 ついにはエデン・コードをやりたい、と言うので、私はひとり将棋ならぬ一人アセンションの要領で余りのカードでデッキを組んで、メグさんとアセンションをしたりしていた。

 

「遊びじゃないよ。みんな真剣にやってる」

『遊びだよ、こんなもの。少なくとも私達の世界ではね』

「はいはい、夢も希望も無い異世界はスゴイですねー」

 

 私はそんな軽口で返した。メグさんはぐぬぬという顔になった。

 

『とにかく、このカードゲームは魔術的意図を感じられる』

「そりゃあ、神事の奉納の簡略化って感じらしいし、儀式的側面があるって学校では習ったけど」

『我々魔術師の業界ではね、特定の魔法を習熟すると、杖から無手、詠唱から無言、最終的には手足のように使えるようになる。

 この一連の習熟を、魂の昇華と言う。言うなれば、魂の位階が上がるんだ。君に分かりやすく言うなら、レベルが上がると言うべきか』

「急にありがたみが無くなったね……」

『このゲームは、最終的にそれを目指しているように思える』

「エデン・コードが魔法だって言いたいの?」

『少なくとも私なら、このカードに少し手を加えれば、名称同様の現象を現実に起こせるだろう』

 

 私は、手元のカードを見た。『ウォーターウォッシュ』という魔法カードだ。鉄砲水でゴブリンが流される様子のイラストが描かれている。

 

『この世界には居るのではないかな?

 ただのカードに記された名称を唱えただけで、それを現実に出来るような人間が』

「メグさん、アニメの見過ぎじゃないの?」

『いいや、いち魔術師としての知見だよ』

 

 その時の私は、彼女の言っていることの意味をちゃんと理解していなかった。

 

 

 カードの中で大人しくしてるから、と駄々をこねるメグさんを連れて、最近は学校にも彼女を連れて行くようになった。

 だからと言って、別に彼女がカードの外を知覚できるわけでもないのに。

 

 ただ、寒いらしい。カードの中は。

 呼び出されるまで、意識は無いらしいのに。

 

 

 メグルと一緒に居ると、退屈しない。

 その理由とは言うと。

 

「大変だ、一組の奴が不良に絡まれて、賭けアセンションをやらされたって聞いたぜ!!」

「なんだって、それは許せないね!!」

「俺もだ。一緒にこらしめてやろうぜ!!」

 

 そんな感じで、度々騒動に巻き込まれる。

 いやむしろ、自分からまきこまれに行っている気さえする。

 

「ああもう、警察に通報するのが先でしょ!!」

「分かってるって!! トキコはデカさんに連絡しといて!!」

 

 デカさんとは、メグルがとある事件で知り合った本職の刑事の方である。

 

「ホント、向こう見ずなんだから……そうだ、メグル、これ!!」

 

 私はメグさんのカードをスッと投げ渡した。

 

「え、なんでメグを?」

「お目付け役。あれでも大人だし」

「確かに、召喚者にしか見えない幽霊なら偵察に使えるかもな」

「違う、そうじゃないって」

 

 そんな感じで、私の心配をよそにメグル達は行ってしまった。

 

「……相変わらずだね、メグル君は」

「ああ、シュウ君」

 

 自分の机に座って、教科書を眺めていたのはシュウ君。中学になってからの友人で、あまり目立たないタイプだけど縁の下の力持ちみたいな存在だ。

 メグルの無茶を、後ろから黙々と支えてる苦労人のイメージだ。

 

「あいつには少しは落ち着いてほしいんだけどね」

「はは、まあしょうがないよね。そこはほら、お互いに惚れた弱みって奴さ」

 

 シュウ君は苦笑しながら言った。

 私達の年頃で、同性相手に惚れたなんて言うのはからかいの対象になる。それを理解した上で、そんな言葉を彼は選んだ。

 

「僕はほら、あんな風になれないからさ」

「あんな風になっちゃダメなのよ」

 

 喧嘩っ早いって言うか、アセンションは喧嘩じゃないって、あいつは言うだろうけど。

 

 とにかく、私は刑事さんに連絡だけはしておいた。

 

 

 そして、その日の放課後。

 

「聞いてくれよトキコ」

「なんなのよ、メグル」

「俺、魔法が使えるかもしれないんだ!!」

「はぁ?」

『私から話そうか』

 

 すると、なんとメグさんが実体化した。

 私が召喚者じゃないのに、彼女の姿が見えた。

 

『私のカードをメグルが所持している場合に限り、どうやら私の方からある程度の魔法的な支援を行えることが分かった』

「それで今日、ピンチを乗り切ったんだぜ!!」

 

 ピンチって、また危ないことして。

 

『これでハッキリしたことがある。

 私とメグルは、魂の波長が酷似しているのだ。ほぼ同一人物と言えるレベルの誤差だ』

「……どういうこと?」

『私は、私の世界におけるメグルと言うことだ』

 

 彼女は簡単に、並行世界で例えてくれた。

 自分のいる別の並行世界に行けば、そこにはまた別の自分が居ることになる。

 

 つまり、彼女にとって並行世界の自分がメグルだった、ということらしい。

 

『私が君たちの前に現れたのは、偶然などではない。

 同じ波長を持つ魂の二人が、一人であるとこの世界が誤認し、引きあうように巡り合ったのだろう』

 

 私には、魔法の事はよくわからない。

 だけど、メグルと出会ったことを運命と言われたのが、何だかもやもやした。

 

「メグの話だと、才能ってのは魂に依存してるんだって。

 だから、俺ってばメグと同じくらいの魔法使いになれる可能性があるんだってさ!!」

『君ぐらいの年齢なら、ギリギリだがいい感じの魔術師になれるよ。本当ならもっと幼い頃から始めた方が良いんだけどね。私が手ほどきをしようか?』

「すげー興味ある!!」

『じゃあ、私はしばらくはメグルの家に泊まろうかな。いやぁようやく君らに恩を返せそうだ』

 

「ダメ!!」

 

 私の声に、二人は面を喰らったようだった。

 その仕草は、恐ろしいまでにそっくりだった。性別も、年齢も全く違うのに。

 そうだ、あの既視感の正体は、私の脳がメグをメグルと誤認したからだったんだ。

 

「男女が同じ部屋に泊まるなんて、破廉恥よ!!」

 

「なあメグ。どうしたんだろう、トキコの奴」

『我が半身、或いはもう一人の私よ。この年頃の乙女心は複雑なんだよ』

「そうなんだなぁ、もう一人の俺……」

 

 二人が通じ合ってるのが、なぜだか私は無性にむしゃくしゃした。

 事実上メグルが二人なので、苛立ちも二倍だった。

 

 そして、その次の日だった。

 

 最近、アデプトなる怪しい集団が人を攫っていると言う噂を聞いたのは。

 私は怪しい奴らを見かけ、引き留めるためにアセンションを仕掛けた。

 

 私はその日、カードにされた。

 

 駆けつけたシュウ君が呆然とし、メグルがこちらに手を伸ばしたのが、その時に見た私の最後の記憶だった。

 

 寒い。寒いよ、メグル。

 メグのいうことは本当だった。

 

 アデプトの集団を倒し、私は助け出された。

 私をカードにした相手をアセンションで倒したから、元に戻れたらしい。

 

「やったな、相棒!!」

『ああ、流石は私達だ』

 

 メグルとメグは、お互いに協力して私を助けてくれた。

 

 嬉しかった。嬉しかったけど。

 

 同時に、どうしようもなく、妬ましくて。

 

 私は初めて、恋心と言うものを自覚したのだった。

 

 

 

 

 

 




予想以上に高評価を頂き、やっぱりみんな遊戯王ネタ好きなんだなぁと実感する次第であります。

作者の遊戯王歴は、子供の頃にもクソ構築だと悟ったペガサスのストラクチャーデッキを買った時から始まりました。いや懐かしい。

メグル君がホビーアニメの主人公なら、多分メグは現実ではおイモって呼ばれることでしょう。

ではまた、次回!!
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