気にしているようだが
彼女、本人はこの事を知っている…。
すまない、本当にすまない。
この先の試練は乗り越えてもらいたい。
夢の中の出来事だが、それでも…。
トリニティ 戦闘痕地
「いた、アレがスクワッドもマダムもまとめて終わらせる
テインテッドブラッドの生贄だ!」
「気を失っているうちに!早く自治区の祭壇に!」
ガスマスクをつけた数人の生徒達が
焼け焦げた何かを抱えて移動する。
音を立てず、ソレが意識を取り戻さないよう
最大限の注意を払いながら。
「マダムのすべてを台無しにする、あの子たちの為にも。」
「スクワッドに仕返しをあいつらのせいで…。」
呪詛の様な言葉が飛ぶ
運ばれていくそれの頭部を守るヴェールは
ゆっくりと確実に赤黒く染まっていく。
アリウス自治区 忘却された祭壇
「こ、ここは…?」
目を開けて飛び込んできた光景は
異様そのものでした。
「なんですの?これは…。」
足元には何かの呪詛が書かれた円形の台座。
供物として台座の周りに流れる野鳥の血…。
私は台座の中央に座った状態で縛り付けられています。
「気が付いたみたいですね。初めまして
テインテッドブラッド…いいえ、アマラ派の末裔さん。」
アマラ派?なんですのその派閥は
地下?ですかね?窓が見当たりませんし…
「ここは、アマラ派の隠れ家です。
あの女が居なければ!我々が勝ったはずなのに!!
…失礼、それほどマダムというあの女が憎いのです。」
アリウス自治区の内戦で負けた派閥という事でしょうか…
「もっともここを知る者はいません、偶然この書物を発掘し
この場所を見つけた時は半信半疑でしたが。
先程、奇跡の炎を目にした事で確信しました!」
周りにはガスマスクをつけた方々。
拉致されていると考えた方が良さそうですわね。
「貴女には数百年前の再現をしてもらいます。
トリニティとユスティナを壊滅寸前まで追い詰めた、浄化の火を!」
ボロボロになっている本を掲げ
私を見据えるガスマスクの方、浄化の火…まさか…。
「貴女にはその力があります。この腐敗したアリウスもトリニティも!
さぁ、焼き尽くすんです。そのために儀式を再現したのだから」
目の前に突きつけられる、歪な本。
私が手にしていた本物とは違う何かを感じさせる。
「さぁ、読み上げてください。貴女の命も
存在価値もきっとこの時の為だったんですよ!!」
狂信者の如く、恍惚とした声をあげながら
開かれたページを私の目の前に突きつける。
「いや、やめ…やめて」
文章を黙読するだけで頭が割れそうに痛い。
ナニカが私に入り込んでくル。
「読み上げなくても、贄の証に変化が!
これであいつらの計画もトリニティも台無しに出来る!」
ツのが伸びる…イたい!いタイ!
周り、ぼやケル、ヤメて。ヤめてぇぇ!
「うっ、おぇぇぇn。」
せり上がる不快感、毛穴中から溢れる汗
体液の全てが出されている感覚が襲う
全部出ていく、ワタクシ?ワタシ?
ぜんブ無クなる!消えチャウ!?ヤダ!
やだヤダやだヤだヤだ!ヤ……
「ぁ、ァ…ヒフ…先…ゴ…。」
マッシロ、ヒカリ…。
「これで器が出来た!みんな避難だ!」
ワタシ、ダレ?
ウツワ?ヒナン?ナニ?
ツミ、モラウ?ミエル、ツミ?
イッショニ…。
「なっ!?やめ、やめろぉぉ!」
祭壇には初めから何もなかったと思わせるほど
きれいさっぱりすべてが消えていた。
取り囲むように残されたガスマスクを除いて。
アリウス自治区 バシリカ
『告げる、枯れ果てよ。不遜の花よ。』
「ああああああああ!!奪われていく!
ロイヤルブラッドの力が!なぜ!なぜ!なぜ!」
異形と化したベアトリーチェの絶叫が聞こえる。
磔にされていたアツコは地面へと落ちていくが
間一髪、サオリが抱き留める事に成功した。
それにしても、一体何が!?
「先程の憐れみではない!この地に何故招いたのです!
あの忌まわしい、テインテッドブラッドを!!」
何を起こったのかわからなかった。
テインテッドブラッド?まさか!?
『招きましょう、受け入れましょう。』
地の底から響くようなコントラルトの声が響く
低くはなっているがこの声はラム!?
『この地の罪を、この地の嘆きを』
言葉は聞こえるものの本人の姿が見えない。
みんなずっと探していたのに!こんな所に連れて来られていたのか。
「“ラム!一体どこにいるの!?返事をして!”」
大声で問いかけても返答はない
一体、彼女に何が…。
『この地の怒りを、この地の絶望を
焼かれよ、穢れよ。高貴な血こそ流れるに能わず
悔い改めよ。私の血こそ流れるに相応しく。』
「あぁぁぁ!!私が至高に至るはずだったのに!
焼かれる!穢されていく!やめろ!ヤメロォォ!!」
もがき苦しむベアトリーチェはだんだんと元の姿へと戻って行く。
『この地の影よ、この地の闇よ。器は此処に。
標はここに。汝らの罪に名をつけ印を記す。
全てを私が受け入れましょう。』
必死にラムの姿を探す。
普段の彼女とは違う声の高さ
あきらかに何かが起ころうとしている!
『打ち砕かれよ。主を忘れ、祈りを忘れ。
唄を忘れ。あらゆる重みを忘れ去った。』
「みん…な。にげ…ないと…。」
「アツコ!よかった…。本当に。」
意識を取り戻したアツコはとぎれとぎれに話す。
その姿は怯えているようだが。
「逃げる?とにかく安全なところに…。」
「このままじゃ…大変な事になる…。」
「“それって…。”」
私が言葉を発する前に響く声にかき消される。
『贄はここに、供物はここに。
汝らの罪も汝らの怒りも私が抱え地に返そう。
私がこの地を覆いましょう。』
アツコが貼り付けになっていた場所にラムが立っている
その頭部には血で赤黒く染まったヴェールとそこからはみ出しているソレは
以前は巻かれていた角がほどけたような禍々しい形へと変わっていた。
『我が身の血肉をもってすべての火を吐き出そう。
我が浄化の火をもってこの地のすべてを雪ぎ流そう。』
口を開くラムの体からは赤黒い血が出始めている。
血だまりから青緑色の火が立ち上り始めている!助けないと!
『受肉は此処に。穢れた私が冀う。
ラムは血に包まれ大きな球体となってしまった。
これは…。
「先…生…。もうあの子は…。それよりも
あの血が撒かれたらこの自治区は焼き尽くされちゃう…。」
「“そんな!?じゃぁ、ラムを止めるしか方法は無いんだね。”」
私は覚悟を決めて、立ち上がる。
きっと、ラムは今も苦しんでいるに違いない。
「ダメ!先生!テインテッドの血は危険!」
球体から溢れ始めてる血液が辺りの瓦礫を燃やし始める。
「それでも、彼女を止める!私の大事な生徒だから!」
私が近づくと球体の血が形を変え始めた。
『罪罪!ツミツミツミ!ひとつ、ヒトツ一つ一つ!!!』
とても大きな羊の形になった血の化け物に私は強く言い放つ。
「“私の生徒を返してもらう!お前にラムは渡さない!
ラム!必ず助けるから!!”」
返事をしてほしい、私の声が届いて欲しい
必死にラムに呼びかける。
私は覚悟と共に懐のカードを取り出した。
次回 大決戦
というわけで、ラムが大決戦のボスに進化しました~
アリウスにも反マダム・アリウスの派閥があって
良いかも~と思って入れてみました!
次回は今までBAD ENDに対しての掲示板回を予定してます。
お楽しみに~