私を人間界へ連れてって ~シンギュラリティ美少女がダンジョンから出てきたら、世界がゲシュタルト崩壊しました~ 作:よっちゃ
第18話 ①
「年末のゲームといえばこれ、大人気シリーズの ―新幹線で行く新柿太郎電鉄―です! 」
「……あれ?」
レンがゲーム機の電源を入れる。しかし画面は真っ暗なまま、うんともすんとも言わない。
「おかしいな、さっきまで普通に──」
『フラグ』
『始まったな』
『壊れてるやつだこれ』
『年末あるある』
「どうやら完全に壊れているようですね」
メイドが淡々と告げる。
「ええええ!? このために用意したのに!?」
こたつの向こうで少女が黙ってソフトを手に取った。
表情はいつも通り穏やかだがその瞳の奥がほんのわずかに光る。
「……このゲームの世界はすでに存在してるよ」
少女はそう言って、何やら呟いた。
次の瞬間── 空間が軋んだ。
こたつの下から、カチ、カチ、と規則正しい音が響く。
畳にうっすらと線が浮かび上がりそれは次第にマス目へと変わっていく。
「え、ちょ、床が──」
視界が反転する。
上下の感覚が失われ次に目を開けた時、そこは── 巨大な駅だった。
『!?』
『え?』
『駅!?』
『リアルだと!?』
『現実っぽいけどゲームの中? 』
頭上には青空。
目の前には、実際のサイズと同じ大きさの日本列島を模した巨大な盤面。線路が縦横無尽に走りその上に──新幹線が並んでいる。
「……あっちの世界と繋げた」
リアル―新幹線で行く新柿太郎電鉄スタート―
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■ チーム分け
「チームは、こちらで決定します」
AI追尾型配信ドローンがいつの間にか流暢に喋っている。
「え、配信ドローン!? 喋れたの!?」
「はい、ある高次元のお方のご好意で、特別仕様にアップデートしました。
本日は私が進行を担当させていただきます」
『雑に便利』
『仕事増えすぎ』
『俺たちも参加してえ』
『リアル柿鉄ワロタw』
『ドローン先輩すげえ』
「視聴者様方も参加ご希望ですので、参加してもらいましょう。
ではこちらが私が独断で決めたチーム分けです」
Aチーム : レン様・一般視聴者様チーム
Bチーム : 女神様チーム(女神こずえ様+同僚女神メタス様)
Cチーム : 転生視聴者様チーム( 元魔王様・元勇者様・元聖女様 )
Dチーム : 七次元的超越美少女お嬢様・メイド様チーム
「なお、参加者がこの場にいない場合──転移」
配信ドローン先輩が術式を展開する。空が歪み、次々と人影が落ちてくる。
「うわああああ!?」
「研究室から一瞬で!?」
「今日も仕事なのに!」
「ええ!? 女神の私も ? 」
『召喚雑すぎる』
『このドローン先輩S級なんかより強いんじゃ? 』
『大魔法を軽々と使った!? 』
そして空中に巨大なスクリーンとサイコロが現れる。
「なお、配信の様子は空中の画面をご覧下さい」
「ゲーム開始前に確認事項があります」
ドローン先輩が、いつになく司会者然とした声で告げる。
「本企画は年末特別配信につき、勝利チームには賞品が授与されます。
今回ご厚意でお嬢様や女神様などからご提出された賞品はこちらです」
お嬢様提供。
賞品──お嬢様のお屋敷への正式招待券
『うおおお』
『それが一番やばい』
『次元違うはずだけど行ける仕様? 』
『勝ちに行くぞお』
女神様提供。
賞品──希望する異世界への往復航空券
『どういうこと? 』
『女神様って本当の女神? 』
『これ絶対欲しい』
『かつての友に会ってみたい』
『やるぞ』
レン様提供。
賞品── 一日限定、お嬢様の案内役の同行券
『本気で勝ちに行くぞー』
『プロ呼んでこいプロ』
『柿鉄なら俺らが有利だって』
「それでは参加者の皆さま、各自の新幹線にお乗り下さい」
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新幹線―お嬢様メイドチーム
まず少女チームが乗り込んだのは、白と淡いピンクの車体。
先頭には小さなリボン、窓は丸く車内にはぬいぐるみ。
「……きてぃさんのだ」
『かわいい』
『これ実際にあるよね』
『癒されるわ』
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続いてレン・視聴者チーム。
無駄を削ぎ落とした最速型新幹線が、低い唸り音を上げる。
「レン、速度最優先だ。最短ルートで行くぞ」
「いいですね、合理的です」
視聴者を代表してご足労いただいた高下名人(本人)が作戦を指揮する。
『これ本気で勝ちに行くぜ』
『攻略班準備はいいか』
『俺たちの代表だ、頼むぞレン、そして名人』
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女神チームは、金と白に輝く豪華絢爛仕様。
「絶対あの子の部屋に行って、ベッドの匂いとか嗅ぎたいわ。協力してメタス」
「なんで私までそんな事に付き合わされるのよ」
同僚の女神メタス様が愚痴る。
『女神様達の新幹線すげー』
『女神様って本当にいるんだ』
『女神様応援してますー』
『綺麗な人』
各チームの準備が揃ったところで後半②へ続く
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