私を人間界へ連れてって ~シンギュラリティ美少女がダンジョンから出てきたら、世界がゲシュタルト崩壊しました~ 作:よっちゃ
続き
「視聴者の皆様はどのチームを応援してくださっても構いませんが、一応皆様はレンチーム所属となっておりますので」
「さあそれではゲームスタート」
──― 空中にある巨大なサイコロが振られ( 物理的に ) 出た数によって、リアルサイズの日本列島に描かれた線路を新幹線が進む。
最初の目的地は鹿児島だった。
『新幹線速え──』
『ゲーム仕様で時速1400kmでてるぞ』
『ひいい、怖い』
『死ぬうー』
────────────
柿鉄ガチ勢、効率厨、そして名人を擁するレン視聴者チームは次々と資産とカードを増やしていく。
攻略に全くの無駄がない。
まさにプロ技。
それに続くのは意外にも女神チーム。
望み通りのサイコロの目が出るため、青マスや黄マスを踏みながら目的地にも到着しやすい。
転生者チームも元聖女の活躍で奮闘するが、なかなか上手く目的地にたどり着けない上に相手が悪すぎる。
一方、お嬢様チームは、
「お嬢様、次の目的地は仙台です」
メイドが地図を指差す。
「でも、広島のお好み焼き食べに行きたい」
「反対方向ですが構いませんか? 」
「うん、お好み焼き食べにいこ」
そのまま反対方向へ進路変更。
『お嬢様そっち反対ー』
『すみません、俺たち勝ちに行きます』
『マイペースだなー』
『でもゲームってこうやって楽しむものだよね』
『たしかに』
────────────
ゲーム開始からすでに三時間が経過していた。
そして──何か様子が変だ。
空が暗転した。
ドスン、ドスン、と地鳴りが響く。
日本列島を横断するように巨大な影が近づいてくる。
「ここからはお邪魔キャラが登場します」
ドローン先輩が静かに告げる。
「初めは最下位のチームに。その後は目的地到着時、一番遠い位置にいたチームにお邪魔キャラが同行します」
「
「ウハハハハハハハハハハハハ」
「ダ────ーイングボッチー」
『でかっー!』
『あれ超ダイダラボッチ級!?』
『デカすぎてくさああww』
『ゲームじゃ愛嬌あるけど、リアルサイズの実物はトラウマもんだぞ』
『顔が富士山よりでかいー!! 』
『柿太郎ランドも捨ててくる仕様か? 』
まさに悪魔そのものな異形。圧倒的な威圧感。
積み上げてきた全てを一瞬で破壊する恐怖の象徴。
仮にもしこの怪物にランクをつけるのなら
SS級モンスター 《ダーイングボッチ》
世界の絶望。
全ての存在が畏怖するもの。
喧嘩の原因。
その視線が──哀れな最下位の少女チームへ向く。
富士山二つ分くらいのサイズの化け物が、一歩二歩と近づき、 少女チームの目の前で止まった。
「フハー、フハー、フハー」
「…………」
「…………」
「……あ、すみません、ぼく、間違えました」
くるり、と方向転換。
「え?」
次の瞬間、女神チームへ突進してきた。
「なんでこっちへ来るのよおおお!?」
「ウハハハハハ、次のターンから絶望を教えてやる!」
────────────
そして始まる悪夢の数々。
容赦や情けと言う言葉は、破壊王ダーイングボッチの辞書には無い。
「サイコロを振れ、出た目の数だけ」
巨大な30個のサイコロが空中に現れる。
物件没収。カード没収。現金没収。
そして変な惑星に強制連行。
奪った金とカードと物件は── すべて少女チームの前に積まれてゆく。
「ウハハハ、これをどうぞお納めください」
「……?」
『献上してる』
『あの化け物、お嬢様の下僕になったぞ』
『転生者共に擦り付けろー』
『あああ、それは捨てちゃダメなカードー』
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元転生者チーム
元聖女のバフを受け元勇者と元魔王が剣を抜く。
「聖なる光よ」
「これ以上やらせるか! くらえギガデ──」
「闇の力を持って」
「ほい」
デコピンでワンパンされた。
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女神チーム
「お願い、こっちに来ないでよ」
「私たち女神なのにー」
ついに女神こずえが神力を解放する。
「これ以上させないわ、地上では禁じられているけど、美少女のためなら何だってする。愛の女神の名において命ずる──」
「無駄だ、無駄だ、無駄だ、ウハハハハハハ」
ダメージほぼ無し。ちょっぴり(蚊に刺された程度)
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レン・視聴者チーム
「名人、何かカードはないですか!? 」
「ダメだ、全部捨てられた 」
『理不尽すぎる』
『こっち来るなあー!』
『ああ、奪われていく』
『一撃で二兆円捨てられた!? 』
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少女、メイドチーム
「お嬢様、次は九州のきてぃさんランドですね」
「うん♪ 」
少女はただ静かに新幹線の旅を楽しんでいた。
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終盤
少女以外のチームは、もう気力も残っていないほど、ボロ雑巾のようにされていた。
「もうみんなのHPは0よお」
「独占も全部やられた」
「まだ、まだ何か方法が」
「マイナス100ちょうえんー」
その時、少女はダーイングボッチから献上された山のようなカードの中から、一枚に目を止める。
「……はら、たいらーさんのまさかーど? 」
伝説の、ハラ、タイラーさんのまさカード。
「お嬢様、それは全チームの全資産、物件や現金などを──完全に平等にするカードですね」
「ふうん」
「使われますか?」
「──―うん♪ 」
カードが輝き発動する。
全チームの資産が負債も含め均等に再配分される。
『ええええ!?』
『全員復活!?』
『お嬢様大好きー』
『日本人はみんなこのゲームで世の理不尽さと救いを学んだのよ』
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そしてちょうどその時。
「皆さん終了時間です。お集まりください」
「時間も遅いですし、手短にご報告します」
「勝負の結果ですが──全チーム同点ですので、引き分けといたします」
ドローン先輩が宣言する。
「賞品は──全チーム獲得としましょう」
大歓声。
メイドはぼそりと言った。
「……ゲームというのは暇つぶしのためにあるのであって──―」
「ダーイングボッチさんありがとう」
「ウハハハ、また会える日を楽しみにしております」
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空が戻り駅が消える。
気づけば全員こたつの中にいた。
「……あれ、戻った?」
かくして、リアル新幹線で行こう
──―柿太郎電鉄──―
は無事に幕を閉じた。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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