私を人間界へ連れてって ~シンギュラリティ美少女がダンジョンから出てきたら、世界がゲシュタルト崩壊しました~   作:よっちゃ

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第23話 闘技場と蘇る勇者パーティー『異世界編④』

 異世界編④

 

 星の精霊はひとつの真実を告げた。

 

「邪神の城は異空間にあります。そこへ行くには四天王すべてを倒し鍵を集めねばなりません」

 

 土呂野勇者は静かに剣を握った。

 

「……すぐに行こう」

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 だが、戦いは思ったよりもあっけなく終わった。

 転移系スキルを持つムラヤマたちによって一瞬で現地へ到達。

 

 数多の罠を張り巡らせた難攻不落の四天王の一人── ダグラマスの居城は、ヤスダダイキくん(7歳)の 《ちょうめつきょくだいせんめつまほう・あばどん》によって、城の外から一方的に攻撃され廃墟と化した。

 

 他の四天王も、土呂野勇者とレンによって次々と討ち取られる。

 すべて順調に進むかに思えた──が。

 肝心の「鍵」が、どこにもなかった。

 

「愚かなり人間どもよ…… 鍵は……ここにはない。この地にある、火・水・土・風、四つのダンジョンの最深部に……隠されている」

 

 まるでゲームのように次の目的地を告げ、四天王は息絶えた。

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「邪神の居城は異空間。さすがに私の転移では届きません」

「火のダンジョンは死の大陸にある」

「メンバーを分けて攻略しましょう」

「しかしそれでは戦力の分散に」

「水のダンジョンは海の中に」

 

 王城の会議室で話し合いが続く中、

 

 

「お嬢様、お迎えに上がりました」

 

 どこからともなく、執事が迎えに現れた。

 

 そして一通り事情を聞いた執事は、穏やかに微笑む。

 

「そのような攻略は時間がかかります。もう夕方ですしお父様もご心配なさいます」

「ふむ、それならばこの爺めによい案がございます。皆様、あちらに見える闘技場へと参りましょう」

 

 一行は、言われるがまま完全修復された闘技場へと移動した。

 

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 三分後。

 

 闘技場の中央に── 白く整った顔立ちと、神像のように均整の取れた体躯(たいく)。その影は不自然に揺らぎ瞳の奥には底知れぬ悪意が渦巻いている。

 神そのもの、(よこしま)なる神、それが邪神。

 その邪神が執事によって引きずり出され、ブルブルと震えていた。

 

「ほ、本当に……貴殿は手を出さないのでありますな?」

 

 邪神は重要な取引先の社長に接するかのような態度で、恐る恐る確認する。

 

「ええ。お嬢様は最近、アニメ『ヴァルキリーエポキタポス』をご覧になりましてね。神々と人間による闘技場でのバトルにご興味をお持ちのご様子なのです」

「ここで邪神の貴方と、この星の精鋭が戦うという催しを開催してはどうかと、お嬢様のために愚考しましてね」

「邪神殿、もし貴方が勝てばこの星に関して我々は干渉しないと()()しましょう。御館様もご覧のご様子」

 

「は、はい、恐れ入ります。そう約束していただけるなら、こちらとしても助かります」

 

 

 ──―あまりの怒涛(どとう)の急展開に全員が唖然として声も出せない。

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 急遽決まった邪神 VS 人類の闘技場バトル。

 

 既に四天王を失っている邪神からの強い要望で、地球人召喚はあまりに()()()()()()()()だというクレームが入り、仕方がないので無しとされた。

 

 なお、この戦いの様子はパワーアップした配信ドローン先輩によって、地球はもちろん、この星の各地の上空に現れた謎のスクリーンによっても中継される。

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 1時間後

 

 闘技場には配信ドローン先輩の転移魔法によって、地球から、この星の各地から、溢れんばかりの観客が詰めかけていた。

 屋台なども出ており、たこ焼きや焼きそば、飲み物などが売られ完全にお祭りの雰囲気。

 

「赤コーナー、数々の星を喰らってきた──星喰い──の異名を持つ古き邪なる神──―ポカポリイイティアスウウ!!!

 星を終わらせる、まさに究極の生命体、そして全生物の敵。 こいつに勝てるやつは、果たして存在するのかああ!」

 

 ──マイクを持ったリングアナウンサーが声を張り上げる。

 

「続きまして青コーナー、かつて破壊神シドレーンを倒した伝説の勇者パーティーが、十三年の時を経て復活した!

 地球に転生し、生まれ変わった元勇者、土呂野ヨシヒトこと土呂野勇者(とろのゆうしゃ)、そしてえ、つい先ほど、()()()()()()()()再び勇者と共に戦うのは、

 ──―戦士ダレン、魔法使いニーシャ! そして大司祭の僧侶サマンサああ!

 最後に、地球からの特別助っ人として、ダンジョンハンター、レンも共に邪神に挑む!」

 

『やれやれー』

『邪神のやろうにわからせてやれ!』

『ぼくもあばどんしたかったなー』

『おお、あれは伝説の勇者様とそのパーティーメンバー』

『ああ、神よ』

『オロカナリ、ジャシンサマガ マケルハズナドナイ』

『やべえポテチがもう無い』

『人間が邪神に勝てるのか?』

『地球人召喚さえ使えれば、二分で終わるのになー』

『それじゃカップラーメンも食べられないじゃん』

『カナエさんが呼び出す謎の軍勢も一人一人がスキル持ちだから禁止だって』

『チートすぎワロタ』

 

 地球、そしてこの星の全てに生中継される戦い。

 全世界が興奮の渦中にあった。

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「ニーシャさん、ダレン! まさか、まだ信じられない。私、ああ……ああ、こんな日が来るなんて……」

 

 サマンサは泣き腫らした笑顔で、かつての仲間に声をかける。

 

「元気だった? サマンサ、いい加減もう泣きやんでよ。ってかさ、なんであんた()()()()なの? 私たちが死んでから、十三年経ってるんだよね? 」

 

「さっきメイドさんが来て、みんなより歳が上だとやりにくいだろうからって、10歳くらい()()()()()()()()の!」

 

「よくわからんが、俺らが死んでる間、色々あったみたいだな。勇者も転生したんだって? なんだそれ」

 

「みんな、またよろしく頼むぞ、そしてレン君も力を貸してくれ」

 

「へえー、キミ、レン君って言うのね、可愛い顔してるじゃない。私の好みよ」

 

「もう、ニーシャさんの男好きは、相変わらずですね!」

 

「まーねー、こればっかりは死んでも治らなかったみたい。ま、生き返っちゃったけどさ」

 

「はは、皆さんよろしくお願いします」

 

「よし、みんな必ず勝とう!」

 

 ──―またみんなと戦える。

 ──―今度は守られるだけじゃない。

 

 サマンサは指で涙を拭い、戦いの構えをとる。

 

 

 そして戦いのゴングが鳴る。

 

 

 人類の命運をかけた戦いが始まった。

 

 

 

 もう二回だけ続く。

 

 

 




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