私を人間界へ連れてって ~シンギュラリティ美少女がダンジョンから出てきたら、世界がゲシュタルト崩壊しました~ 作:よっちゃ
番外編②
今日も今日とて私は学園の中庭でノートにメモを取る。理由は一つ。
三年生の先輩方の卒業式パーティーで、例のイベントがあるからだ。
(婚・約・破・棄)
そう、由緒正しきこのハートフルリエル学園の卒業パーティーで起きる大事件。
王太子による公開婚約破棄。
婚約破棄される可哀想な令嬢は
──私の1番の推し。
麗しの悪役令嬢、
公爵家令嬢
金髪縦ロール、完璧な礼儀、誇り高き気位。
なのに平民上がりのヒロインに嵌められて婚約破棄された挙句の国外追放。
(あ~~~~最高のテンプレ……)
── 私は今、そんな世界のモブ伯爵令嬢に転生している。
これもテンプレだけど。
赤ん坊からスタートするとは思わなかったけど、女神様からスキル「スキップ機能」を貰っていたから学園入学までスキップしちゃった。
── そうだ、初めての方のために、ここまでの経緯を軽くおさらいするといたしますわね。
私は前世では派遣で入ったダンジョンハンター配信事務所の新人事務員だった。
仕事にもだんだん慣れてきた頃、ひょんな事から女神様からある交換条件を出されたの。
それは女神様に、しばらく私の体を貸してあげたら、好きな物語の世界に転生させてくれる、というもの。
私はもちのろんで、二つ返事で承諾。
私の体で良ければ、もうずっと使ってくださいと。
家族が心配じゃないのかって?
最近の転生はスマホ持って行けるから連絡出来る仕様。
時間とかはよく分からないけど繋がってるみたい。
時差とかはないんじゃない? そんなこと知らない。
そんな細かい設定、私は気にしてない。
こっちのトイレとか、作品にもよるけど普通にウォシュレット付きの水洗トイレだからね?
スライム処理とかはさすがにNG。
見えないところはだいたいご都合主義の仕様だから。
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とにかく、それでいつでも連絡できるし家族もむしろ応援してくれた。
それに女神様のお願いだし断れないよ。
(実際もし断っていたら私やばかったかも。一応みんなも気をつけてね)
で、その女神様の目的は、なんと以前の私──佐川こずえとなって例の美少女の近くに潜り込むこと。
まさか地球の女神様も私の同好の士とはね。
(あの女神様は百合ではなくて、ただ美少女を愛でたい派かもね。私とは根本で違うわ)
── 大事な事だから何度でも言うけど、
私の推しは断然エレクシア様。
例のあの美少女は確かに異常なほど可愛いけど、金髪縦ロールじゃなかったし。
歳もストライクゾーンじゃなかった。
とにかく前世に未練などはない! 笑
私の目的はおバカ王太子に国外追放を言い渡され、失意のどん底にいるエレクシアお姉様を救い出し
──イチャイチャすること。 ウヒヒヒ。
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さて、今日も転生者
まずはヒロイン……顔は可愛い。
あれは好きにさせて置けば良い。
中身の子は逆ハーエンドを企んでいるみたいだけど、好きにすればいい。
エレクシアお姉様の事を考えると、コロちゃんしてしまいたいけど、あの子がいないとお姉様が追放されない。
見て、あのわざとらしいあざとい仕草。
あれ絶対前世で恋愛経験なかっでしょ。( 特大ブーメラン )
あんな、中身が性悪腹黒な子に手玉に取られる王太子とその取り巻きも、本当におバカさんだね。
結局は顔か?
ガワしか見てないのかと小一時間問い詰めたい。
さて次。
あの伯爵令嬢。確かレイシアさん。
(……あれ間違いなくTSだな)
座り方が完全に男。
だからそんな足、開いちゃダメだって。
お前のような令嬢がいるかって、あの
中身が男だから少し注意。
でも魔法に夢中で、しかもギルドに登録して裏で冒険者やってるって噂。
婚約破棄事件にどこまで介入してくるかはわからないけど、一応今は様子見。
モンスターとでも戦っててね笑
── あ、エレクシアお姉様がヒロインに何か言ってる。学園のマナーがどうとか。
ああ、本当にお姉様は素敵だわ。
あのヒロインが少し羨ましい。
お姉様に叱られたい。
ゴホン。
あの、一応私のエレクシアお姉様は転生者じゃないっぽい。普通に悪役令嬢やってるし。
確かに油断はできない。
婚約破棄直前に記憶取り戻すパターンもあるし。
(別に女の子なら転生者でもいいけど……というか、むしろそれいいかも。でも、TSだったら最悪。
そう、女神様が言ってたの。
──最近は転生者が多すぎて、管理が追いつかないって。
私が愛読してた―覇阿メルン―みたいな小説投稿サイト、 霊的にも魔力的にもかなりカオスらしい。
「気づいたらその作品の世界ができてる」
なんてことがあるとか。
で、私が好きだったファンタジー恋愛小説。
やっぱ世界ができてたみたい。
光魔法を使える転生者のヒロインが、複数の殿方と恋愛を楽しむ話。
超・人気の恋愛小説だったから、転生者が一人や二人なわけがない。
しかも他の小説の世界と混ざっちゃってる。
あの作品に
最近
私には関係ないや。
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あれは辺境伯家の三男坊?
あれも100%転生者。
レベル上げと魔法に夢中。
頑張って魔王とか倒してね笑
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あの平民のモブ男君は怪しい。
平民がこの貴族の学園に入学できるわけないでしょと。
だからチートスキル持ちっぽい。
破滅する悪役令嬢を救いたい系だったら厄介。
最悪の場合は
── 女神様から特別に貸してもらった超チートアイテム《シナリオ強制力の指輪》。
これがあれば、なんとかなるかな。
悪役令嬢は追放される。
私はそれを見届ける。
そして──
何もかも失ったエレクシアお姉様の前に、 さっそうと現れるのだ。
「──お一人では行かせないわ。私が貴女様についていきますって」
守らなきゃこの
そのためなら邪魔者は全て──
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学園の鐘が鳴る。
ああ、もう行かなくちゃ。
私、佐川こずえ。
いえ、今は作者すらその存在を知らない
──伯爵令嬢コーズリエ。
web小説と百合を愛した女。
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