この世界に置ける能力とは、個人が種族として可能な事であったり、生まれた時点で手にいれていたりするものである。しかし、どんな物にも当然例外が有る。それは、変異による能力の入手。これが起こる条件や、どの様な能力が手にはいるかも、紫ですら解っていない。狂也も、そんな特別な存在である事が、判明した。
「僕に能力ですか。それは、一体どの様なものなのですか?」
狂也は紫に問う。紫は真剣な表情を崩す事無く口を開いた。
「今現在で解っている事だけ説明するわ。まず、貴方の能力で可能なことは、“干渉を操ること”よ。具体的に何が出来るのかはまだ解っていないわ。名前はそのまま、干渉を操る程度の能力ってとこかしらね。」
「干渉を操る程度の能力ですか・・・・。」
「そう。干渉を操る程度の能力よ。ところで狂也、貴方はこの能力が貴方に生まれた前兆みたいな物で、思いつく物は無いかしら?」
「一つだけ、思い当たる事が有ります。紅魔館の中で、咲夜さんが時を止めた際、僕に意識が有りました。これも、能力の影響なのでしょうか。」
「成る程・・・時を止める能力の干渉を防いだってことね。教えてくれて有難う。」
紫と喋り終えると、ドアが開き、中に一人の女性が入ってきた。髪は銀色で、赤と青が分かれた服装をしている。女性は狂也の様子を再確認すると、自己紹介を始めた。
「始めまして。私の名前は八意 永琳、此処に住んでる者よ。貴方の名前は狂也であってるかしら。貴方にはこれから怪我が完全に治るまでの間此処にいてもらうわ。だから、これからよろしく。」
狂也も「こちらこそよろしくお願いします。永琳さん。」と返した。
「取り敢えず今日1日は安静にしておくこと。食事はこちらが出すから気にする必要はないわ。それと紫、貴方はもう帰っていいわよ。」
永琳がそう言うと、紫は隙間を開き帰っていった。永琳は「もうすぐ夕飯になるから。」と言い病室から出て行った。暫くの間寝ていた筈だが、疲れが完全に取れてはいなかったのか、狂也は睡魔に襲われた。その睡魔に抗うことはせず、自分の意識を手放した。
「あら、丁度起きたのね。夕飯、此処に置いておくから。」
眠りから起きて直ぐの狂也に話しかけたのは永琳。どうやら夕飯を持ってくると同時に狂也を起こそうとしていたようだ。
「有難うございます。食べ終わったらどうすれば良いですか?」
永琳は「そこに置いておけばいいわ。」とだけ言い、部屋から出て行ってしまった。
「……冷めない内に食べましょうか。」
狂也は一人悲しく箸を進めた。
「紫?まだ見てるんでしょ?出てきなさい。」
「あら、ばれてたの。」
永琳の後ろに隙間が開き、そこから紫が出てくる。此処は永琳の私室で、研究に必要な道具であったり、薬がはいっている棚が沢山置いてある。
「……紫。彼ーーーー狂也には干渉の力以外にも別の力が有ると私はおもうのだけど・・・。貴方はどう思っているの?」
永琳は紫に真剣な表情で問いかける。紫は永琳がこの事に気付いて当然。といった顔をしている。
「ええ。私も狂也には別の力が有ると思っているわ。しかも、この幻想郷に災害を巻き起こすぐらいに凶悪な物だと私は推測しているわ。」
「もし彼がその力で幻想郷に災害をもたらす事になったら、貴方は彼をどうするつもりなの?」
紫は表情を崩さず、何かを考える事も無く、こう言った。
「おそらく彼の存在自体を消す事になるわね。幻想郷に何かが有ったら困りますもの。」
紫が手をかざすと隙間が開く。紫はその隙間に入りながら、付け足す様に言った。」
「でも、そうならない為に私がいるのよ。それじゃあ、ごきげんよう。」
「そうね・・・・。」
永琳は彼女以外は誰もいない部屋で一人呟いた。
狂也の目が覚めた翌日、狂也は退院する事になった。永琳の薬と、傷が思ったより浅かったおかげらしい。
「貴方の傷はまだ完治していないの。だから博麗神社に戻っても安静にしている事。わかったわね?」
そう言って紫は隙間を開く。隙間が繋がっている先は博麗神社で、紫曰く霊夢は凄い退屈しているらしい。隙間から博麗神社に出ると、少し前に見た通りの景色が狂也の目には映った。
「霊夢〜!狂也を連れてきたわよ〜!」
紫がそう言うと霊夢が神社の中から出てくる。霊夢は狂也がいることを確認する。
「お帰りなさい。狂也。」
霊夢がそう言うと、狂也は笑顔で答えた。」
「ただいまです。霊夢さん。」
狂也の博麗神社での生活が再び始まった。
「あ、そうそう。狂也がいなかった時の分の仕事はキチンとやってもらうから。」
「えっと・・・・紫さんに暫くは安静にしていなさいと言われたのですが・・・。」
「そんなの無視よ。無視。さぁ、今日の夕飯をさっさと作りなさい。」
博麗神社生活が始まった・・・・・?
これで紅魔編完結かな?