──衛宮士郎に魔術の才能はない。
具体的に言うと、『八年間で強化魔術が成功した回数は片手指に満たない』──このくらい。
だがしかし、それは既に遠い過去の話。
なんたってここ最近、俺の魔術は絶大な進歩を見せているのだから。
たとえば、青い男に襲われた時、咄嗟に強化を成功させたり
たとえば、老魔術師のお陰で魔術回路の固定化を果たしたり
たとえば、此方に来てから魔力生成が何故か早くなってたり
三日前の自分とは、それはもう比べるも烏滸がましいまでの差があるのだ。
知られざる才能に突如目覚める、なんてよく聞く話。
きっと、それが俺の身にもやっと起こっただけなのだろう。
そしてそうだとすれば、のんびりしてる暇なんかない。俺はさっそく基本から教えてくれとマーリンに頼み込み、様々な魔術を駆使する正義の味方への一歩を踏み出そうとしたんだ。
「────驚いた、少年。君、絶望的なまでに才能がないよ」
「…………」
うん、わかっていたさ。そんな都合のいい話がないことくらい。
ただ、そう思い込んだ方が鍛錬にも身が入るってだけじゃないか。
うん? いやいや、強がりじゃないさ。無理してるなんてそんなことはぜんぜん。だって、俺に魔術の才能がないなんてのは、判りきっていたことだぞ。
……だから心を突き刺すようなこの痛みは、きっと、魔術回路が暴走しているだけなんだ。
「いや、君がそこまで言うのならと、基本的な魔術から順に試してもらった」
「……」
「然るに、見事なまでに悉く失敗してくれたね。そうだ、その要因を詳しく見てみようか」
「…………」
「例えば、先ほど壊したばかりの椅子の修復。当然のように君は失敗した訳だが、この魔術は基礎中の基礎。『逆行』という魔術の根本理念の操作の内でも、最も初歩的な魔術だよ。加え、これは君の得意分野でもある構造把握の魔術──解析から派生する魔術であり、『かく在った』というカタチを読み取った物を、ほんの少しばかり''戻して''やればいいだけなんだ。つまり、読み取れたなら後は魔力を用いてそのカタチをなぞればよいだけであり、そこから他の工程を加える必要はない訳だが……
いやはや、君は随分まどろっこしい真似をしていてね。純粋に椅子の構成要素のみを戻せばいいのに、余計なモノを介してそれを成そうとするから複雑になり、結局失敗に終わってしまう。そして先日も触れたことだけど、君の魔術回路はもはや通常の繊細な魔術を行えるほど綺麗な物ではないからね。だから、君には──」
「はい。もう……わかりました」
もう聞いていられず、投げ遣りに話を遮った。
気にしてはいないからって改めて人から指摘されると、こう、クルものがある。それが歴史に名を残す魔術師からの言葉なら、なおさら。
打ちのめされた俺は、「マーリン、長話する癖あるよな」なんて、気を紛らわすしかなかった。
そして、言葉を途中で遮られたマーリンは納得いかなそうにしながらも解説を切り上げ、一呼吸置いてから再度口を開き──
「では、さっそく君の魔術の長所を伸ばすことにしよう」
──と、ごく自然に、意味不明なコトをおっしゃいやがった。
「────はい?」
「もう気づいているかもしれないが、おそらく、君の──」
「ちょ、ちょっと待ってくれっ、どうしていきなりそうなるんだ?」
話の流れが支離滅裂すぎて、全く着いていけない。
「……どっちなのだい? 君は判っていると言ったではないか」
「いや、そっちこそどっちなんだよッ。言ってることが真逆じゃないか!」
マーリンは確かにさっきまで俺の魔術を散々貶していたハズだ。
それに俺自身、長所なんて急に言われても到底信じられない。
「私が伝えたかったのは、『基本的な魔術は君に向いていない』であって、『全ての魔術が向いていない』という事ではないよ。
そして私が思うに、普通でない魔術が君の領分なんだ──ああ、実に変わっているよね、少年」
「…………」
…………俺はもう、「言い方が紛らわしいんだよ!」とか、「お前が言うな!!」とか、ふつふつと湧き出る文句を投げたいのをぐっと堪えて、深呼吸をして気を落ち着かせたあと、「……それで?」とだけ、かろうじて返した。
「ふむ。では、君の使える魔術で一番特異なものはなんだと思う?」
「……解析魔術かな」
「それは得意な魔術だよ。私が言っているのは、異質な魔術のことだ」
「む」
そんなこと急に言われたって、何も思いつきはしない。
そもそも俺には、何が普通で何が異質かすら分からないんだ。
「では『これ』は、一体なんだと思う?」
マーリンは俺の困った様子を十分に愉しんだのか、ヒントだと言わんばかりに床を指差す。
俺はつられるように視線を動かし、石畳の上に無造作に転がるそれを視界に入れた。
「…………またおちょくってるのか?」
解りきっている質問に、思わず憮然としてしまう。
なにせそれは、昨日、俺自身がマーリンに渡した物だったのだ。
「──それ、昨日俺が投影した電球だろ」
正確に言えば、電球モドキ。
投影を実演した時に作ったそれは、いつも通り中身のない、唯のガラクタだった。
「ふむ。では、これを見て、何か気になる事はないかね?」
「? とくに何も…………あ、いらないからって俺に返されても困るぞ。
ゴミはちゃんと自分で処分してくれ」
何の役にも立たないのにずっと消えないから、いつも扱いに困るんだ。
よっ、と身を屈めて落ちている電球モドキを拾い、そのままの勢いで持ち主に突き返す。
「────ゴミ、か」
マーリンは受け取った物を手の平で遊ばせながら、これ見よがしに溜息を吐いた。
「……マーリン。お前、さっきから何が言いたいんだ?」
いい加減痺れを切らし、強めの口調で問う。
俺の詰問に老魔術師は面を上げ、ゆっくりと話し出した。
「……君は、投影という魔術を正しく理解していない。
いいかね。投影とは、魔力のみを材料に、真作を複製する魔術のことなのだよ」
「……それがどうしたんだ?」
それぐらい、いくら俺でも知っている。
にも関わらず、マーリンは溜息を深くし、呆れたように言葉を続けた。
「魔力とはカタチがなく、自身の体内でしか存在を保てない朧げなものだ。それは身体の外に出したら最後、大気に渦巻く
「……」
「さて、今一度訊ねよう。
君はこの投影品を見て、何か疑問に思う事はないかね?」
二度目の質問に、もう一度自分の魔術についてよく考えてみる。
マーリン曰く、純粋な魔力は外界では確たる存在を保っていられない。そして、投影品は魔力のみで構成されている。それは、つまり──
「……その電球は、もう消えてなくちゃいけない……?」
──目の前の存在は、既に在ってはならない物と言う事。
漸くその事に気づいた俺に、老魔術師は満足気に頷いた。
「────正解だよ、少年。
本来、魔力に基づき自身のイメージで作られる投影品は、粗悪な幻想に過ぎず、世界により存在を否定されてしまう」
「……」
「故に、投影した物は僅かな時間で消え去るのが道理なんだ」
「……けど、それっておかしいぞ。現に俺が投影したのは、そこにまだあるじゃないか」
もしマーリンの言が真実だとしたら、目の前の物の説明がつかない。
そもそも、土蔵にはもう何年も前の投影品が残っていたのだ。それらが消え去っていなかったということは、どう考えてもマーリンの説明と矛盾している。
「……普通ならね。故に私は、『変わっている』と言ったのだよ。すなわち、君の魔術は投影ですらないのかもしれないが……まぁ、今は特に気にする必要ないさ。今重要なのは、君に特別な技能があるということだよ」
「……なるほど」
確かに、矛盾しているとしても此処にある事が全てだ。
それに今まで当たり前だと思っていたのだから、今更気にしようとも思わない。
うん。俺の魔術にもそんな特性がある、それは素直に喜ばしい事だ。
…………あれ?
「──けどそれって、結局何の意味もないんじゃないか?」
そう。特別なのは良い事かもしれないけど、根っこの部分がダメなままだ。
だって、たとえ俺の投影品が長く残る物だとしても、それ自体が役立たずのままならば、それは単にガラクタが増えるだけに過ぎない。
「ふむ。まぁ、そうなのだけどね」
「……それ、長所って言えないじゃないか」
「──確かに、現状ではその通りだよ。だがね、少年。この世の全ての事象には理由が在る。つまり、君のその特性にも意味はある筈なんだよ」
「……」
「そしてその意味を見つける為には、君に、自分の属性を認識してもらう必要がある」
「属性……? それって火とか水とか、各元素に当てはまるものか?」
「そうだね。一般には、基本的な五大元素を属性に持つ者が多い。しかし、魔術師の中にはそれ以外や、自分だけの属性を持つ者も存在する。
まぁ、そういった者も含め、どのような魔術師であろうと一つぐらいは適正のある魔術系統を持っている。それを見つけだし錬磨することは、魔術師にとって基本の指針だよ」
「……そうなのか」
とことん基本には縁がなかったんだな、俺。
少し気落ちしながらもマーリンの言葉に相槌を打った所で、ふと、思い当たった事があった。
「もしかして、昨日の解析ってこの為か?」
「──ほう、変に冴えてるね」
そりゃ、あれだけ長時間やらされたんだ。
マーリンの言葉を借りるなら、それこそ理由がなかったら怒るぞ。
「その通りだよ。あの作業は、君の属性を把握する為のものだったんだ。……もし昨日の方法で見つからなければ、もっと物騒な方法もあったんだけどね」
「…………」
もはや何も言うまい。
「さて、率直な話、君の魔術属性はおそらく『剣』だね」
「……剣、か」
「ほう? 属性の事を知らない割には、無意識のうちに気づいていたようだね」
「…………そうかもしれない」
マーリンは昨日の事から合理的に判断したのだろう。
けど、そんな事は関係なしに、その言葉は驚くほどすんなり受け入れることが出来た。
……たしかに、俺はこと剣に関しては昔から関心が強かった。
それがどうしてなのかは分からないが、きっと、俺の属性は紛れも無く『剣』なのだろう。
「……ふむ。どうやら君のそれは”属性”や”特性”はもとより、”起源”でもあるのかもしれないね」
「起源……?」
その言葉は聞いた事がある。
そういえば親父も、その人間の"起源"に従って魔力を引き出す事が大事、なんて言ってたっけ。
「……そうか、そういう事もあるか」
「? どうしたんだ?」
「──なに、詮無きことさ。話を本筋に戻そう」
マーリンがそう言うのなら、特に気にする必要はないのだろう。
俺は自然と佇まいを正し、老魔術師の更なるレクチャーに備えた。
「まず、君は投影品を長く保つ事ができる。だけどそれは、中身を持たない虚影に過ぎない」
マーリンが再度俺の魔術について話しだす。
今までの説明を纏めてくれているのだろう。
「なれば、ここで目を着けるべきなのは、やはり魔術属性さ。
特定の属性を持つという事は、すなわち、それに関して理解がより深い事を意味する」
「…………」
「そして投影とは、魔力を用い、『自らのイメージによって』、真作を模造する魔術」
「────えっと、よし。つまり、俺の場合は剣に対する理解が深いから、昨日の短剣みたいに深く解析する事ができる。だから剣については他の物よりも明確なイメージで、より正確な投影ができるようになる……ってコトか?」
自分なりにマーリンが言いたい事を推察する。
今思えば、俺は一から自分の手で作り上げる”投影”の方が、既にある物に魔力を流し込む”強化”よりも得意だった。なら、その投影を今までよりも鮮明なイメージで行えば……
うん。根拠は無いけど、なんだか上手く行く気がする。
「ふむ。君は、頭の回転は悪くないんだね。
それなのに、その様にからかい甲斐があるとは……」
「…………ほっとけ」
ソコ、実に面白い、とか呟くな。
◇
「いいかい? 可能な限り、多くの情報を読み取るんだ」
「────わかった」
理屈が解ればすぐ実践。
そう言われた俺は、さっそく剣の投影を試みることになった。
そこで、昨日の短剣を投影するのかと思ったんだけど、実際に用意されたのは何の魔力も感じないごく普通の剣。マーリン曰く、あれはまだ早い、……らしい。
今思うとあの短剣は情報量が多すぎて、最初の練習にしてはかなり難易度が高そうだ。
そうやって納得した俺は、石床に結跏趺坐で座り込み、意識を目の前の一振りに集中させる。
いつもよりも念入りに、剣の柄頭から尖頭に至るまで、ゆっくりと魔力を通した。
「────
お決まりの詠唱を唱える。
いま解析しているのは、刃渡りは短めだが、刀身は肉厚・幅広の両刃剣。いわゆる、グラディウスと呼ばれる種類の剣だ。
勿論いつか見た黄金の剣に比べれば、魔力も込められた想いも、全てが大したことはない。
「──────」
それでも、自分の特性を把握したからだろうか。
今までよりもより深く、より鮮明に、『剣』という存在が流れこんでくる。
故に、ありふれた剣とは言えど読み取れる情報の量は凄まじく、自分を見てくれと言わんばかりに次から次へ無秩序に溢れだす。
「──っ、────
全ての情報が読み取れたところで、魔力を剣より霧散させた。
止めていた息を吐いて身体を伸ばし、目を閉じて集めたモノを整理する。
「────よし」
思わずそんな言葉が漏れでて、知らず、充足感を得ている事に気づいた。
投影するまでもない。
自分の本分は間違いなく『剣』なのだと、自然に理解できたのだ。
「それでは、投影の実演に移ろう。
私も大した助言は行えないが、魔力を安定させる補助程度はしてあげるよ」
「ああ、ありがとう」
だとしたら、この剣を再現できない筈がない。
手本は目の前にあるんだ。俺はただ、それをイメージすればいい。
「────
目を瞑り、詠唱を唱える。
言葉にする響きは変わらないが、呟くイメージは同じではない。
カタチある物に同調するのでなく、自分で一から作り出す。
それは即ち、意識を集中させるのも外界ではなく、自身の内側に存在する、剣の幻影に他ならない。
──創造理念
この剣は、剣闘士達が戦うために作られたもの。
──基本骨子
ただ無骨で頑丈に、粗雑な用途にも耐える様に、
──構成材質
硬と斬を両立させる為に、銑鉄と軟鉄を用いて、
──製作技術
鍛造で材質密度を濃くし、耐用強度を高められ、
──成長経験
強い衝撃に刃毀れを起こしても、剣たらんとし、
──蓄積年月
主を変え、多くの闘技場で敵の肉を断ち続けた。
「────」
全ての工程を終え、閉じていた目を開ける。
「────ほぅ」
対面にいるマーリンが、感嘆するように声を漏らした。
そう。
いま俺の手の内にある物は、今までのように中身のないガラクタではない。
ズッシリした重みを持った、武器としての剣そのもの。
「いや、たいしたものだね」
マーリンも俺の投影に少し驚いたようだ。
たしかに複製された剣は、長さも幅も重さも、全てが本物と瓜二つ。
もちろん、俺が今まで投影してきた物とは比べ物にならない。
けど──
「────これは、違う」
俺は自分が作った剣に、まったく納得できなかった。
贅沢を言っている訳ではない。
ただ自分が完璧と思って投影した物は、本物と比べると遥かに見劣りする──それだけ。
「ふむ?」
「…………創造理念・基本骨子・構成材質・製作技術・成長経験・蓄積年月──たしかに全部、読み取ったハズなんだ……けど、イメージには
……いや、たぶんじゃない。絶対に出来る。
むしろ、俺にはきっとこれしか出来ないし、何より、このままでは剣に対して申し訳ない。
マーリンは俺の呟きに、如何にも愉しそうに頷きを繰り返した。
「やはり、君はその方面で魔術を学ぶべきだろうね」
「……ああ、俺もそう思う」
「まぁ、私も投影に関しては教えられる事が殆どないけどね」
その言葉は意外だった。
俺にできてマーリンにできない事があるなんて、思いもしなかった。
「そうなのか?」
「ああ、剣の投影は君だけの魔術さ。私がこれに関して言えるのは、解析の精度を上げる事と、剣の想定を可能な限り正確にする事くらいだね。
──うん。そういう訳で、明日の魔術講座はなしだね」
「え、明日はないのか?」
せっかく自分の進む道が判ったのに、出鼻を挫かれた気分だ。
「まぁ、私にも用事というものがあるからね」
「……む。それもそうだ」
続く言葉に、知らず勇み足になっていたことに気づく。
自分が成長できるという事。つまり、目指すべき理想に近づけるという事を考えて、人の都合を考えられていなかった。
これじゃ、本末転倒だ。なんだか急に申し訳なくなってきた。
「さて、何か気になることはないかね? 私にできる事なら力になろう」
鍛錬の終わりに、マーリンがいつもの問い掛けをしてくる。
だけど、今は取り立てて聞いておくことも、頼むべきこともない。
それよりも──
「マーリンこそ、何か気になることはないのか?」
「──うん?」
「いや、何か言ってくれれば、俺の方こそできるだけ力になるぞ」
思わず、そんな言葉を口にしていた。
魔術の事やその他にも、マーリンには世話になってばっかりだ。
俺にできる事なんてたかが知れてるだろうけど、何かを返したかった。
しかし、よほどその言葉が意外だったのか。マーリンは無言で、まじまじと俺を見た。
それもそうか。自分が投げかけた助力をそのまま返された形なのだ。
だからだろう。老人はちょっと心配になるくらい長く黙りこんで、つくづくとこちらを眺めていた。
「? なんだよ、そんなに不思議か?
俺も一応未来から来たんだから、そういった事を聞いてくると思ったんだけど」
好奇心旺盛そうなマーリンのことだ。
未来の機械や生活に関する話題を出さない方が不思議だった。
「────いや」
長い沈黙を破り、それだけを絞りだすように答えたマーリン。
それから少しの間また黙りこんで何事か沈思していたのだが、急に何を思ったか。
不意に、くつくつと、老人はいつもの調子で笑い出す。
「……あのさ。いったいどうしたんだよ?」
こいつの笑いのツボが、全然わからない。
「ふっ、いやいや。たしかに、少年の言う通りだと思ったんだよ。
それに君の方こそ、思ったよりも余裕がありそうじゃないか」
「…………む」
完璧にいつもの飄々とした態度を取り戻したマーリン。
仕返しとばかりに皮肉っぽい言葉を返されて、思わず憮然としてしまう俺。
「────そうだね。
ではもう一つだけ、助言みたいなことをしておこうか」
俺の反応を見てさらに気を良くした老人は、気まぐれに話を続けた。
「君の魔術属性は『剣』だったが、それは偶然などではないよ。
何度も言うけどね。物事には絶対に、何らかの理由があるんだ」
「……」
「だからそういう事を考えるのも、時には意味があるのかもしれないね」
マーリンは言いたいことを終えたのか、それっきり口を閉ざした。
俺の方はと言うと、そんな事を急に言われても何のことかさっぱり、ってのが正直な所だった。
たしかに、属性が剣っていうのはこれ以上ない程にしっくりくるのだけど、その理由までともなると、俺に分かる由もない。
「……体は剣で出来ている──か」
気づけばそんな言葉を、ふと、口にしていた。
剣はマーリンさんコレクションです。
一話の前半部分の予定だったんですけど、長いので分割しました。
今のところ、マーリンが一番出てきてますね。。。