ac4 クロス 作:ルロロン君
「ふふふふ……何が天才だ。笑わせる、こいつじゃねぇか…」
男の声は、そこで途絶えた。それは事実上、戦争終結を告げる鐘の音。
余りにも多くの犠牲者を出したこの戦はただ一人だけが生き残って終わり、各企業はその力を大きく削られることとなる。後にこの戦は【リンクス戦争】と呼ばれることとなる。
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「…目標撃破」
「ねぇ……聞こえる……?」
「……ありがとう」
彼女の声が聞こえる。酷く弱々しい彼女の声が。
……終わった。きっと私は理解していたのだろう。
一度死んだあの日、彼女に救われ再び戦いに身を投じる事となったあの日、英雄レイヴンが死に傭兵レイヴンとしての二度目の生を授かった日…。
あの日から何れこうなることは理解していた。
だからこそ、アナトリアを襲ったジョシュアを責めることは出来なかったし、アナトリア失陥の原因を生み出したフィオナに呼びかけることも出来なかった。
何せ、この私こそがアナトリアが滅びた元凶そのものなのだから。
「ハハハ…」
「…どうかしましたか?」
アナトリアを守る、そう彼女に約束し、その為だけに振るってきたこの力が結果的にアナトリアを滅ぼす事になった。
その事実があまりにも可笑しくて、可笑しくてつい失笑してしまう。
だが笑っている場合では無い。戦争が終わり、ここアナトリアが滅びたことによって我々は居場所を失った。
その事実が、どれほど大きなモノか。
アナトリアは滅びた。しかし、私が最も守りたかったのはアナトリアではない。
私が、これまで戦ってこれた最たる理由は…フィオナ、君なのだから。
だからこそ私は思考を次に移行させる。
もう既に失ってしまった、起こり得てしまった事柄を再認識する必要はない。
今やるべきことは、今後どうすればフィオナを守れるか、ということだけだ。
「フィオナ、とりあえず今後の方針について決めた方がいいだろう…」
……そうだ。今は、感傷に浸かっている場合ではない。
なるべく早期の決断が必至だろう事が予測できる以上、アクションは早めに起こした方がいい。
恐らく、この戦いによって多大な出血を余儀なくされた企業側はすぐに動くことはできるまい。
であれば暫くの間は、パックスの崩壊に伴った破壊からの再興活動が彼らの身を封じる筈だ。ならば私達はその間に動いておくべきだろう。
兎にも角にも、今回の戦争で多くの企業に恨まれることとなった以上、身の起き方だけは決めておく必要があるのは間違いないのであるからして、時間は限られている。
さて……。急いだほうが良さそうだ。