ac4 クロス 作:ルロロン君
「要するに、貴方の戦闘データを元にしたAIを作り上げる。……そしてそのAIをこのホワイト・グリントに積むことで、我々は最終目標である企業の打倒を達成する!」
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リンクス戦争が終わりを告げた。あの後、私とフィオナが導き出した答えは共に同じで生き残るための逃避。私が生きている、と悟られぬように私は表舞台から姿を消し、フィオナも極力その存在を悟られぬに徹し続けた。
そんなある日、暫く身を隠していた私達の前に、今私の目の前にいる、エリカ・キンセンカと名乗るこの男が接触してきて隠居生活に近い日常も終わりを告げる。
あの時、焦った顔をしていたフィオナの顔は今でも忘れられない。
「何故…?」とか「そんな…!」とか色々言っていたが、私からしてみればなんてことはない。
一見、何故私達の居場所を突き詰められたのか不思議に思える内容ではあるが、一度蓋を開けてしまえば実に簡単なお話で、ただ単に奴らがフィオナの故郷アナトリアを滅ぼしたジョシュアの飼い主アスピナ機関であるから。それだけだった。
そのような言わば我々からしてみれば復讐の対象にも成り得る存在に何故、私達が付き従っているか一度だけ聞かれたことがある。それに対し私は
「単に疲れただけだ」やら「それに私が復讐など、言えた義理でもあるまい」
等と如何にもな気障ったらしいセリフを吐いたがこんなものは、言い訳に過ぎない。
そうしなければ生き残れないからである。
確かに最初の数ヶ月は先ほど言ったように身を隠し生活することで、なんとか死なずには済んだが…、そんな生活はそう長くは続かない。事実、本腰を入れたアスピナ機関にこうも簡単に接触を許してしまった。悔しいが、それが事実だ。
結局のところ、彼らからの提案は私達にとってもこれ以上にないほど好機であったということ。国家解体戦争からおよそ10年という月日が流れそれでも尚、企業の利権を巡る争いは、止むことを知らず幾つもの衰退・吸収・合併を繰り返し、世界はまた新たな企業支配体系社会を作り出していた。
そんな世界で企業の恩恵を受けずに、生き残ることはおよそ不可能だ。
人は死ぬ、それも簡単に。私はそれを間近で見てきたし、何より人を殺してきた側だ。
故にわかる、如何に英雄と讃えられようが、リンクス戦争を勝ち残ろうが、結局のところ私も簡単に死んでしまう脆弱な存在だということだ。
傭兵稼業を続けていた時も企業の影響力というものは、どれ程巨大なものか理解していなかったわけではない。だが、それでも企業側に対抗するための抵抗力がなまじ私には備わっていたせいで、それらを軽視していた。
社会や世間と一切の縁を切ってから、それ痛感させられた。私という存在のちっぽけさを嫌というほどわからされた。
故に、アスピナ機関の出した提案に逆らうなど以ての外で、私達は彼らからの恩恵を受け入れることとした。
その代わりとして出された条件が、私の戦闘データの提供。
要するに、私にもう一度傭兵として戦えということだ。
そしてそれに私は条件を出し、承諾した。
レイヴン「傭兵として戦うことを承諾する……が、条件がある。まずはフィオナの保護、次に拠点となる場所の提供。そして、全てが終わった後の……つまりお前達がAIを完成させた際、それ以上の協力は出来ないし行わない、それを許可すること。……それが条件だ」
エリカ「やれやれ…。随分、非協力的ですねぇ…。まぁ、いいでしょう……、全て終わればあなた達はいてもいなくても同じ事。但し、フィオナさんの件についてはこちら側は約束しますが、保証は出来ませんよ?」
レイヴン「……どういうことだ?」
エリカ「あなた達には、ラインアークと呼ばれる………根無し草共が蔓延る反企業勢力の拠点に所属してもらいます。そこでは、働けない者は容赦なく切り捨てられるでしょう。………まっ、彼女なら問題ないでしょうが一応、ね」
レイヴン「…何だ?類は何とやらと言うが、意外だな。そんな連中とまで手を組んでいるのか?」
エリカ「我々の息は多少掛かっておりますが、積極的な行動は取れません。企業に目をつけられては、おしまいですからね」
レイヴン「……まぁ、いい。約束、決して違えなければこちらも何も問題はない。くれぐれも、上手く利用することだな」
そこで会話は打ち切られる。
そして、条件通り私とフィオナはラインアークを拠点とし、カラードに身をおくこととした。カラードでは、所謂シミュレーションに近い形で、同じネクストを相手にすることが出来る。勝てばランクが上がり、上位になればなるほど名が売れる仕組みとなっている。それをオーダーマッチと言う。
今回、私達はそのオーダーマッチと呼ばれる仮想空間での戦闘を行いながらラインアークを防衛する。ここラインアークを失えば、私達は用済みとされ、使えないと烙印を押される。そうなった際、私は愚かフィオナもただでは済まないことは明白。
「勝ち続ける…。最後の最後まで」
誰に聞かせるわけでもなく、自分の覚悟を改めて口に出し、決意を固める。
そうだ。敗北など、許されるわけがないのだから……。