前世の妹が今世の彼氏に告白したらしいんだが   作:雷神デス

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電車とか新幹線で食べる食べ物ってなんであんなに美味しいんでしょうね


前世の妹がベッドの下を探ったらしいんだが

「話が盛り上がるのはいいけど。ちゃんと時計は見るようにね?待ち合わせに遅れるだけならともかく、乗る時間に遅れちゃ大変だよ?」

 

「「まことに申し訳ありませんでした……!」」

 

 

 なんやかんやあって、待ち合わせの時間に雑談を楽しみすぎて遅れる、というバカみたいなやらかしをしてしまった俺達二人は、仲良く新幹線の中で優斗君に怒られてしまったのだった。

 心なしか優斗君の目線が冷たい気がする、マジでごめん。

 

 

「けどまあ、加奈は話が上手いしね。時間が経つのを忘れちゃうのも仕方ないか」

 

「上手いかどうかは知らないけど、話をするのが好きではあるかな?奏ちゃんとかも、誰かと話すのは得意そうだよね」

 

「いえ、私はまったくそんなことは無いというか……話をするのは得意じゃないですけど、話を合わせるのは得意ですかね?」

 

「合わせる?」

 

「はい。あらゆる話題に適度な相槌と適当な共感をしておいて、まったく興味が無い話でも相手側からはなんとなく話をした気になる話術です。大抵の場合、相手はサンドバッグを求めてて会話なんて求めてませんし」

 

「す、すれてる……!そんなことは無いと思うよ……!?」

 

「いや、割とそうだと思う。というか僕もその技術は使ってる。面倒くさい人を相手にする時の必須スキルだよね。部活の先輩相手に何度か使った」

 

「あれぇ!?優斗君まで!?」

 

 

 君は友達と普通に楽しそうに会話する爽やか陽キャのはずでは……!?

 いやまあそういう人が居る、ってのは否定できなくはないけども!

 多分世の中そんな人ばっかじゃないと思うよ、多分!

 

 

「私は中学生の頃に、愛想笑いと受け流し力がこの先の生活に必要だと学びましたね。親がそういうの得意だった、ってのもあるのですが、相手を不快にさせない会話の重要性が成長していく毎に実感するようになるんですよねぇ……」

 

「一回こじれると尾を引くからね。プライド高い人に下手な対応すると怖いよ。女子は陰湿だって話はよく聞くけど、正直集団社会で暮らしてる奴全員陰湿の気はあると思うんだよね。ほんとに、ほんとに酷かったから……」

 

「なんか私が知らない闇が噴出してる……!く、苦労したんだね?」

 

「むしろなんで加奈さんはそういうの体験してないんですか……?」

 

「ほら。加奈の場合、下心とか無く平気で人を褒められるタイプの人間だから。大抵の人から気に入られるタイプの」

 

「ああ、なるほど。私たちとは別の世界に生きてる類の……!」

 

「知らない間に私と二人の間に隔たりが出来てる……!?」

 

 

 いやまあ確かに、コミュニケーション能力に困ったことは碌に無かったかもしれないが。

 一応前世では少しだけ悩んだこともあるが、すぐに解決しちゃったし。

 けど多分、ここまで拗らせてるのは二人にも原因があると思うんだ俺は。

 

 

「ていうかなんか、二人とも変なところで似てるね……?」

 

「まあ、そうかもですね。根くら──内向的コンビです。加奈さんは当然外向的ソロです」

 

「今根暗って言ってなかった?いやけど、私も割と内向的だよ?」

 

「いいですか?よく聞いてください。内向的な人はあんなスラッスラと呪文みたいなドリンク注文出来ないんですよ」

 

「あ、ごめんそれは僕も出来る。加奈とよく行く」

 

「裏切り者め、恥を知ってください。私たちは友達が注文したのを見て『あ、自分もこれでお願いします』って言う注文しか出来ない人種のはずでしょう……!」

 

「高校に入って加奈と一緒に居る時間が増えたから、自然とそういう場所に行くことも増えたんだよね。カラオケとかボウリングとかゲームセンターとか。だからごめんね奏さん。その道は既に、僕が三年前に通り過ぎた場所なんだ」

 

「原因は加奈さんですか。おのれよくも根暗仲間を誑かしてくれましたね。罰としてアイス奢ってください。新幹線で買える、あのリッチなアイスでお願いします」

 

「すっごく理不尽に奢らされるのが確定した!?」

 

 

 今の彼は、以前から見ていた王子様としての彼とは随分違って。もう爽やかな笑みはあまり浮かべず、時折何かあった時に、はにかむくらいに笑うだけだった。

 その姿が新鮮に見えて、同時にこれが彼の素の姿なんだろう、と確信する。

 ……優斗君は、俺に本当の姿を見せようとしてくれているんだろう。

 王子様を目指した彼ではなく、本当に好きになってほしい自分を。

 

 

「……しょうがないなぁ。俺が奢ってあげるかね」

 

「あれ?俺って言うようになったんですね、加奈さん。私が知る限りでは、ラーメン屋の方のお父さんの前でしか言わなかったはずですけれど……」

 

「んー、まあ。他の人が居る時は取り繕うけどさ。二人の前なら別にいいかなって」

 

「……優斗さん。加奈さんと何かありました?」

 

「あったよ。すっごいあった。けど君には秘密だ」

 

「なるほどそうですか。いえまあ、そのにやけてる口元を見ればどうなったかはなんとなーく想像は付きますけど」

 

 

 何かあったか、と聞かれれば、振られた挙句にキスされた、としか言えないが。

 それで纏めるには、あんまりにも、沢山の意味が込められていたのだろう。

 俺だって一度は誰かに恋をしたことがあるんだから、それくらいは分かる。

 

 

「いいですもん、私も加奈さんと色々お話しましたけど、全部内緒です。優斗さんには何一つ教えませんからね。二人だけの秘密です」

 

「どっちにしろ話す気なんて無かっただろうに……」

 

「バレましたか。とはいえ、少し寂しいものはありますね。せっかくこうして三人仲良く旅行に行けるくらい親密になれたというのに、三人だけの秘密と呼べるものが無いのは。せっかくですし、何かありません?こう、バラしてもいいような秘密の話」

 

「バラしていいなら、秘密の話では無くない?」

 

「この三人でなら、バラしてもいい話ってことです。ほら、なんかありません?」

 

「ん~、そうだな……。ちょっと重い話でもいい?」

 

「……嫌な予感しますけど、いいでしょう。バッチ来いの姿勢で行きましょう。おらこーい!」

 

「僕って、母が浮気相手との間に作った子なんだけどさ」

 

「もう聞くのを後悔しそうになってきました」

 

「楽しい雑談で話す内容では無さ過ぎる……!」

 

 

 いやまあその話自体は、初対面の頃に教えられたので知ってはいるんだが。

 今思い返すと、あの頃の優斗君ほんと暗かったよなぁ。

 経緯を知れば当たり前の話だし、よくもまあここまで明るくなったものだ。

 その要因に、俺が少しでも絡んでいるなら……ちょびっとだけ嬉しいな。

 

 

「で、当時子供だった僕はそんなこと全然知らなかったから。母さんが友達だ、って言って紹介してくれた浮気相手の人と遊ぶことが何度かあったんだよね。今思うと、あれ多分浮気がバレた時に、僕を自分のところに引き取るための準備だったんだな、って気づいたんだけど」

 

「想定してたよりも滅茶苦茶ドギツイ話を聞かされてびっくりしてます」

 

「ああ、ここからが本番だよ?」

 

「嘘でしょここまでの話がただの前フリ……?」

 

 

 なんかこの子、深掘りすればする程闇が深い話が出てきそうなんだけど。

 

 

「どうにもその浮気相手、非合法な仕事に手を染めてた、いわゆるヤクザってやつみたいでさ。今思い返してみると、他にも政治家やら医者やら、色んな男の人と会って、やたら親密そうにしてたんだよね。まあつまり、浮気は一つじゃ済まなかったんだろうなって」

 

「あの、ものっすごく嫌な予感がしてきたんですけど」

 

「で、浮気がバレた原因って、母さんの素行を見かねた父さんが、DNA検査をした結果、父さんの遺伝子と一致せずに、って流れなんだけどさ。これ、父さんが父親でないって判明しただけで、じゃあ実際の父親が誰か、ってのは、多分まだ分からないんだよね」

 

「……えっと、それって」

 

「浮気相手は、僕のことを自分の子供だ~って信じてるんだろうけど。僕が父親側に残ったから、DNA検査なんかできっこないわけで」

 

「オッケーやめましょうほんとに。なんかもうダメですこれ深掘りしたら」

 

「トップバッターに相応しい話だったかな?」

 

「ハードル高くしすぎだからね!?奏ちゃん、下げる役目頼んだ!」

 

「うわーすっごく嫌だ」

 

 

 奏ちゃんが始めた物語だろう、君がどうにかしてくれなきゃどうしようもないんだが。

 あと俺の秘密って、前世関係は絶対ばらせないし、そうなると他が無いんだよな。

 強いて過去にあったでかい出来事を挙げるなら、変態野郎に誘拐された話か?

 いやけど割と重めの話になっちゃうし、優斗君は知ってるんだよなぁ。

 

 

「えー、では私の秘密は……。あー、ちょっとだけ下ネタの方向性でもいいです?」

 

「……えーと、僕が気まずくならない範囲でなら?」

 

「ああ、そんな大した話じゃないですよ。こう、子供心の探求心と言うか。そういうのがある、って知った時のお話をしようかなと。少し笑える話なので、優斗さんの今のおもーい話の後にするにはピッタリでしょう」

 

「へぇ、そういうことなら楽しみだな。僕も重い話はあんまり好きじゃないし」

 

「じゃあなんでさっきあんな話を……?」

 

「加奈に話してなくて、奏ちゃんにも言っていい秘密ならばこれくらいかなって」

 

「滑らない話でも要求するべきでしたかね……!」

 

「それはそれでおかしな話を聞かせてくれるパターンもありそうだけどね~」

 

 

 しかし、割とこの子も平気でぶっこんでくる気がするんだよなぁ。

 ていうか前世の妹の猥談を聞く、ってのもなかなか心理的ハードルが高いな。

 完全に俺の都合だが、あんまり過激なことを言いそうなら止めねばならぬ。

 お兄ちゃん許しませんよ……!

 

 

「えっと、これは私がまだ六歳くらいの頃、兄の部屋を探索した時の話なんですけどね」

 

「うん?」

 

「兄の部屋は、当時の母の要望で、兄が事故で亡くなった後もそのままの状態で残されていたんです。いずれは片付けなければいけないだろうけれど、せめて整理が付くまで、ってことで。けどまあ、そんな感動ストーリーを幼い私が理解できるはずもなく」

 

「……まあ、子供なら探検するよね。多分僕でも同じことした。僕の場合は、屋敷が大きい上にお手伝いさんが多かったから、探検って言うよりかくれんぼがメインだったかもだけど」

 

 

 のほほんと話している二人なのだが、何故だろうか。

 奏ちゃんの話を聞いていて、ひどーく嫌な予感がしてきた。

 奏ちゃんの兄の部屋、つまりは前世の俺の部屋、そして前世の俺は男で死亡時期は高校生。

 友人もそれなりにいたし、ゲームや参考書を借りたりすることも多かった。

 

 

「最初の探検では、ゲームや漫画を見つけまして。しっかり掃除はされていたので埃なんかは被って無くて、まだその頃は女児向けの玩具しかなかった私にとっては、兄の部屋は宝の山のように思えたんですよ」

 

「へぇ、ちょっとだけ羨ましいな。少し昔の漫画やゲームって言うのは、今だとなかなか手に入らないことも多いしね」

 

「ですです。それに、やっぱり家族だったからなのか好みのジャンルも似ていたようで。母には内緒で部屋の物をかたっぱしから遊び尽くして、引っ越した後も自分の部屋に兄のお下がりが残ってるんですよね~。けど、一年もすれば、大抵の娯楽は遊び尽くしちゃうものでして」

 

「むしろよく持った方じゃないかな。僕の部屋なんて三日もすれば飽きそうだし……で、それからどうしたの?」

 

「普段は調べないような場所を調べ出したんですよね。例えば、ほら。ベッドの下とか」

 

 

 嫌な汗が噴き出してきた。

 ベッドの下には無かったはずだ、友人に聞いていい隠し場所を考えたのだ。

 母さんにバレないように、家族にはバレないように隠しておいたはずなのだ。

 いやしかし、もし奏ちゃんが、遊び盛りの子供が。

 遊びたいがために、隅々まで部屋を調べ回ったりしたのなら──!?

 

 

「で。色々探した末に、滅茶苦茶がっちり隠している場所から、女の人が裸になってるうっふ~んな雑誌を見つけちゃったんですよね、はい」

 

 

 殺してくれ。

 妹にエロ本がバレた。

 しかもよりにもよって今世の元カレにばらされた。

 

 

「あ……。そりゃ、そうか。高校生だったもんね……。……ちなみに一切他意はないしただの興味本位で聞くんだけど、どんなジャンルだった?」

 

「おねショタ物でしたね」

 

「おお。なかなかニッチなところを」

 

 

 殺……いや、落ち着け、クールになるんだ朝宮加奈。

 私はただの朝宮加奈、今は女子高生の美少女で、そんな淫らな本には一切かかわりのない女の子、むしろこういう場面では「えー、何それ?やだ不潔~!」なんて茶化すくらいのことをするべき女の子、一体何を元カレに殺意を向ける必要なんてあるのだろうか!

 

 

「今だとそんなに珍しいジャンルでも無くなりましたけどね。なんか全体的にミステリアスなお姉さん物が多かったですよ。当時はそういう本のことを知らずに、母に何かを聞くために見せに行っちゃったんですよね。いやー、今思い返すと兄には悪いことをしました!」

 

 

 お前マジでふざけんなよ?

 え、おま……見せたの?母さんに?あれを?

 いやてか待て、あれ確か全部友人から借りたもんだろ?

 なんでお前ら取りに来てないんだそうすればこんな悲劇も……!

 

 

「そ、それはまた……。子供の残酷さと言うか。いやけど、悪いと思ってるならここでそれを言うのはどうなんだ……?」

 

「いえいえ、これには続きがありまして。実はそのうっふ~んな本、どうにも兄が友人に頼んで借りていたものらしいんですよね。なんで取りに来なかったのか、と尋ねたら、『何も恩を返してやれなかったから、せめてそれくらいの物はあいつにくれてやりたかったんだ』とか言ってたそうです。いやー、人徳ですねハハハ!ちなみに母と父は爆笑しておりました」

 

「今僕は善意による凄まじい暴力を見たのかもしれない」

 

「ちなみに今も実家にありますよ。見ます?」

 

「これで見るって言ったら僕の社会的地位が死なない?」

 

「安心してください。私はむしろ健全だと思いますから!」

 

「君が良くても僕の心が死ぬんだよね」

 

 

 俺の心ももれなく死ぬけど?

 

 

「ところで加奈さん、なんでそんな風にうずくまって震えてるんですか?」

 

「如何なる手段で死体を山に埋めるかを考えてる」

 

「え、こわ。誰かに恨みでもあるんですか?よしよし、復讐は何も生みませんよ」

 

「なんでそうなったかは分からないけど、その時は僕も手伝うよ、加奈」

 

「いやそこで協力の意を表明されても困るんだけど……」

 

 

 優斗君って時折ブレーキ壊れるよな。

 まあ、まあ、まあいいだろう、いいだろうともああ許すとも!

 だが貴様覚悟しておけよマイシスター、君の実家で恥ずかしい秘密を探ってやるからな!

 深夜ラジオに送ったポエムや、親に隠れて描いた中二ノートなんかを探ってやるからな!

 覚悟しておけよマイシスター、前世の恨み、はらさでおくべきか……!

 

 

「で、あとは加奈さんの番ですね。何かあります?」

 

「おっと。ん~、秘密って言えるような話もあんまり無いんだよね。強いて言うなら……あんまり好んで人に見せてはいないものとかならあるかな。まだ優斗君にも見せてなかったはずだし。多分これを見せたのは、五里羅さんくらいかなぁ?」

 

「今なんか下手な秘密よりも面白そうな名前が出ましたね。え、苗字ですか?」

 

「名前だよ。とっても美女な淑女だよ」

 

「親は何を想ってそんな名前を……?」

 

「五里には千里には届かずとも、長い距離を生きて欲しいという意味を込めて。羅にはうすぎぬという意味があるから。多くの事柄を広く長く学んで、人並みに生きて欲しいという意味を込めて、親が付けてくれた大切な名前だそうだよ」

 

「ごめんなさい、私が悪かったです。滅茶苦茶良い意味で名付けてたんですね……!私はてっきり、同じ読み方のあのジャングルの王者に由来した名前なのかな~って思ってしまって……!穿った見方をした自分が恥ずかしいです」

 

「あとゴリラのようにたくましく生きて欲しいという意味を込めて」

 

「やっぱりゴリラじゃないですか!」

 

 

 いやほんといい意味でもあるんだよ、五里羅さんの誇りでもあるし。

 それはそれとして絶対本人もそのツッコミ入れられるのを楽しみにしてる節はあると思うから、もし会うことがあったらそのツッコミを入れてあげるといいよ奏ちゃん。

 バカにしたら怒るけど、そうで無ければいい人だから、淑女だし。

 

 

「まあ、なんてことはないんだけどさ。はいこれ」

 

「ブッ!?」

 

「ちょっ!?」

 

 

 というわけで、気軽に軽く服を捲ってお腹を見せてあげたのだが。

 何やら優斗君が水を噴き出しかけ、ゲホゲホと咳き込んでしまい

 奏ちゃんは慌てたように、優斗君の目線を隠している。

 何をそんな慌てているのだろうか。

 

「加奈さん!?なんで突然服の裾を捲ってるんですか!?」

 

「いやだって捲らなきゃ見えないし。ほら、これが普段隠してる秘密」

 

「いや秘密って……ん、あれ」

 

 

 ようやく気付いてくれたようで、奏ちゃんは少し驚いた顔をして、俺の腹を見る。

 五里羅さんに指摘されて以降、あんまりお腹を誰かに見せることは無くなったが。

 まあ、この二人にならば、さして問題にもならないだろう。

 

 

「これって。手術痕ですか?」

 

「そうそう。けどそれだけなんだよね。何か凄い手術があって、その勲章だよ、みたいに言えればいいんだけどさ。物心ついた時にはもうあって、由来とかなーんにも知らない。俺も知らないんだから、他の人が知ってる訳も無く。父さんに聞いても、だんまりなんだよね」

 

「……初めて聞いたね、そんなこと」

 

「話す機会も無かったしなぁ。あと見えづらいし、見せたくなるようなものでもないしさ。前に病院行った時にお医者さんになんとなく聞いた時は、かなり腕がいいお医者さんがやってくれたのだけは分かった」

 

「そもそも、小児外科って貴重だそうですしね。何か大きな病気でもあったんでしょうか……?」

 

「かもね。今のところは知る必要性も感じないし、あの人もあんまり話したくなさそうだから気にしないようにしてる。あとは胸のところにも見えづらい跡があるけど……まあ、これは流石に見せると、ね?」

 

「少なくともこの新幹線の中だとやめてくださいね!?」

 

 

 まあ、そんなくらいだ。

 俺に何か大きな秘密がある、と言えば、そりゃまあ前世関連がそうなるのだろうが。

 朝宮加奈としての秘密と言えば、この程度の小さなものでしかない。

 

 

「けど、少し気になりますね~……。調べたら病院とか特定できたりしません?」

 

「アハハ、どうなんだろ?奏ちゃんならほんとに調べちゃうかもな」

 

「僕も少し気になるけど。とりあえず加奈。いきなり服を捲るのはやめなさい。びっくりしたよ」

 

「ごめんごめん」

 

 

 少しのお叱りを受けながらも、どうにか俺の恥辱という代償と共に重い空気は無くなり。

 その後は楽しくお弁当などを食べながら、目的地に到着するのであった。

 今後は絶対、友達に頼んで恥ずかしいものは焼いてもらうようにすると心に誓って……!

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