Sword Art・Online 《Strange Dramas》 【完結】   作:与祢矢 慧

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たいっへん、遅くなりすいませんm(__)m
忙しかったわけでは無いのですが、書けなくて……。
代わりに別のアイディアばっか浮かんできます。

サブタイに「終」とありますが、完結はまだ先です。
(てか、完結までどれくらいかかるんだ?)

これも十話か……。


10th 戦:終

 標的を見据え、強く地を蹴る。

 瞬間移動したように距離が縮み、十メートルはあった間合いは既に二メートルもない。

 だが俺の眼は、近づく奴の挙動をスローモーションのように鮮明に捉えている。これはシステムアシストなのか、それとも現実(リアル)の反映なのかは判らない。

 僅かながらも遅れてザザの体が動き始めた。赤く光る眼が驚愕で見開かれている。想定外だったスピードでの接近により、攻撃のリズムが崩れたからだ。

 逆手に持った大剣で横一文字に、斬る。

 ザザはバックステップで後退しようとするが、俺の攻撃範囲は広い。そのまま、剣は奴の無防備な胴体を真っ二つに――――

 

 ガキィンッッ!

 

「オイオイ、俺を無視するなんてイイ度胸じゃねぇか?」

 

 ――――することはなく、阻まれた。エストックではなく、赤黒いダガーによって。

 こすれ合う剣が火花を散らし、衝撃が空気を震わせた。

 力比べは、負ける。

 一瞬で判断し、強く力を込めて後方へと跳ぶ。

 

「ハッ! これでも喰らえッ!」

 

 怒声とともにジョニー・ブラックが現れ、ばら撒くようにナイフを投げつける。

 赤いラインが十本以上、前からだけでなく左右からも、目に映る。俺はそれが現れる順番を見て、冷静に対処する。

 右、左、右、正面と右腕を振り、ナイフを剣で叩き落とし、斬り裂き、弾き飛ばす。一本たりとも、当たらない。

 視線を前に向けると、奴が地団駄を踏む姿が見えた。

 

「なんでだよッ! なんで当たらねぇんだよッ?!」

「……いくらナイフが、多いといっても、全てが同時に、当たるわけじゃない。必ず時間差(ラグ)が、できる」

「テメェは……そのラグを全て見切ったって言うのか?!」

「……フッ」

 

 怒りの混じった喚きに、俺は鼻で笑うことで答える。

 かなりのスピードの《投擲》は視認することすら常識的に不可能だが、俺だからそれ以上のこともできる。

 攻略組の連中も唖然としているが、それ以上に《笑う棺桶》のメンバーが呆然としている。

 

「Wow……。やはり、お前は惜しい」

「……惜しい、だと?」

 

 大げさに腕を広げ、やれやれとばかりに首を横に振る、PoH。

 斬ってやるか、と考えたがさっきの奇襲を防がれたこと思い、止めた。

 そんな俺の思惑を知ってか、笑いながら此方を見る。

 

「そうだ。……お前のその技術、スキルだけじゃないだろう? それに、人を殺す時にお前は罪悪感を感じないはずだ。例えそのプレイヤーがレッドじゃなくても、なぁ」

「……だから、なんだと言うんだ?」

 

 ここが戦場であることを忘れたかのように語りだすPoHに、俺はよりいっそう警戒心を持ってしまう。

 対して、奴はさらに笑みを深くし、右手のダガーの背でとんとんと肩を叩いた。

 

「同じなんだよ、俺とお前は。プレイスタイルじゃない、根本的な部分からな」

「…………黙れ」

「殺ればいいじゃねぇか。グリーンは殺さない? 薄っぺらい正義感なんか捨てちまえよ。お前も感じているんだろ? 人を殺す、快楽ってやつを」

「黙れッ!」

 

 カキンッ。再び投げられたナイフを弾く。

 

 ――――ふざけるな。貴様等は、俺の親友を殺したんだ。

 柄を握る手に込め、そこに左手も添える。これだけで《両手剣》のソードスキルの発動条件は揃う。

 順手に持ち替え、剣を構える。

 

「……っと、オイオイどうした? 殺すことは『悪』じゃねぇことぐらい知ってるだろ。これは俺たちプレイヤー全員に与えられた権利なんだ」

「……確かに、そうだな。だから、俺は殺した」

「だったら、俺たちと一緒に「……だがな」っ、……なんだよ?」

「……アイツの、俺の親友の仇である、貴様等は、絶対に殺す」

 

 その為だけに俺はあの日から生きて、力をつけて来た。燃えるような復讐の想いが、ひたすら殺し、壊してきた。

 そして俺はここで、その復讐を遂げる。

 

 ふと、背後から足音がした。後ろを見れば、キリトとアスナが近づいて来る。

 

「……何しに来た?」

「何って、助っ人だよ。お前でも、流石にあの三人は手こずるだろうと思ってな」

「私としては、トップを抑えることができれば作戦が終わると思ったのよ」

 

 まるで、手伝うことが当たり前、のような言動に苛立ちを覚える。

 俺は構えをやめ、二人に剣を向ける。

 その行動が予想外過ぎたのか、二人は目を丸くする。

 

「失せろ。貴様等は不要だ」

 

 アスナが口を開こうとするが、剣を首元に押し付けて黙らす。

 誰にも邪魔はさせない。これは、俺一人でないと意味が無い。声のない言葉を視線に乗せ、二人を睨みつける。

 

 キリトはどうするか一瞬ためらい、三歩ほど下がった。それに追従するかたちでアスナも下がる。

 邪魔をする意思が無いことを確認し、俺は剣を下ろす。

 

「いいのかお前一人で? 言っておくが俺たちは強いぞ?」

「自惚れも、大概に、しろ。お前は、どうせ、殺される、だけだ」

 

 いつの間に集まったのか、ザザはPoHと同じように嘲笑っている。

 別に俺が殺されるのは構わない。その前に、こいつらを殺せばいいのだから。

 勝つ必要はない。

 

「そういうことは、戦ってから言え。実力も、見ていないくせに、強いだとか、自惚れだとか言うのは、自分が弱いって、言っているようなもんだぞ」

「ハッ、言ってくれるじゃねぇか」

「その顔が、絶望に、染まる、時が、楽しみだ」

 

 恐らく、こいつらは俺の事を覚えていない。

 当たり前、といえばそうなのだが。装備も武器もスキルも、何もかもあの日に全て変えた。

 そのおかげで、俺は新しい力を手に入れた。

 

「なら……やってみろよ」

 

 つぶやくと同時に一歩踏み込み、斬り上げる。それをザザは左に、PoHは後ろに跳んで回避した。

 比較的近いPoHと距離を詰め、振り上がった剣をさっきの軌道をなぞるように斬り下ろす。

 PoHはチィッと盛大な舌打ちをし、友切包丁(メイト・チョッパー)で受ける。

 

 STR(筋力値)で劣っている俺は力押しを諦め、弾き返された剣を角度を変えて再び斬る。

 横薙ぎに近い大振りな攻撃をPoHはしゃがんで避けた。

 ガラ空きになった俺の胴に、すかさずPoHがダガーで斬りつける。

 素早く左のガントレットで受け止めるが……、ピシリと嫌な音がした。それを無視して、奴の重心を崩すように押し返す。

 奴は大きくバックステップをして、距離を開ける。

 

「っと、危ねぇな。……そういや、てめぇの名前聞いてなかったな」

「……ロキ、だ。覚えなくていい、殺すからな」

「忘れてやるよ。殺してからな」

 

 ほぼ同時に、互いが走りだす。

 俺は右下から、PoHは上から斬撃を繰り出す。風を切りながら剣は二人のほぼ中間、武器の種類上PoHに近い位置だが、火花を散らし交叉する。

 ガァンッ! 

 叩きつけられるような鈍い音が耳に響く。続けて、PoHのうめき声も聞こえた。

 

「……なッ、きっ……貴様ァ」

 

 それを無視して上を見れば、洞窟内の僅かな光を反射して光るモノがあった。

 徐々にソレは高度を下げる。

 

 タイミングを測り、落ちてきた所を……蹴り飛ばす。

 

 ソレ、友切包丁(メイト・チョッパー)は高速で回転しながら、壁に激突し派手の音をまき散らす。

 

「さて、これで貴様は、武器なしだ。残念だったな」

「チッ、やられたぜ。………………俺で終わりじゃ無いがな」

「はぁ?……とっ!」

 

 顔の真横を通る赤のラインに気づき、振り向く。

 予想通り、いやシステム通りに迫るエストックを剣の腹で受け流す。

 その場を飛び退くと、俺とPoHの間にザザが身を滑らし割り込んだ。

 

「ヘッド。今の、うちに、武器を」

「Thanks、ザザ。……ちょっとばかし任せた」

 

 二人は二言三言言葉を交わすと、PoHは奥に、ザザはこちらに歩を進める。

 その行動に俺は無意識に高揚した。

 

「ここからは、俺が、相手だ。精々、足掻いて、くれよ」

「いつまで、その余裕が持つか、楽しみだ。……もともと貴様を、殺す気だった。そっちから、来てくれるとは、感謝するぜ」

「……どういう、ことだ?」

「どうもこうも、そのままの意味だ」

「………………フン」

「さぁ、殺ろうぜ。手加減なんか、するなよ?」

 

 深く息を吐く。剣を握る右手に力を込め、目を閉じる。

 集中力が高まり、周囲の喧騒が自分から消えていった。

 Mobと対峙する時以上に神経が研ぎ澄まされていく。

 システムには無い、殺意が俺を満たしていくのを感じる。

 

 目を開けるとザザが構えたまま、こちらを見据えていた。

 早くしろ、と赤い目で訴えられる。

 

 了解、と頷き心の中で思わず笑ってしまう。

 ――――手加減無しと言ったのにな。

 

 両足を肩幅以上にに開き、左半身を前にする。

 切れ込みの入ったガントレットを盾にするように、顔の前に構え、腰を落とす。

 剣を逆手に持ち、右腰に添える。

 

「………………」

「………………」

 

 ――――キンッ。

 どこからか飛ばされた剣が二人の間で跳ね上がり、砕けた。 

 

 それを合図にザザが勢い良く飛び出す。

 右手から攻略組顔負けの鋭い刺突が放たれる。

 それを俺は確実に防御する。

 僅かな隙に乗じて、カウンターを仕掛ける。だが、ザザは上半身を反らすだけで刃を紙一重で避けた。

 追撃に《体術》を使うが、距離を取られる。

 

 間を置かずに接近し、ソードスキルを発動させる為に構える。

 これを見たザザはマスク越しでもわかるぐらいに口元に笑みを浮かべた。

 

 なぜなら、対人戦においてソードスキルを使うことは基本的に悪手だからだ。

 ソードスキルの使用後、スキル硬直が起こる。たった数秒程度だが、体の自由を奪われる。

 つまり、大きすぎる隙を作ってしまう。

 ザザほどの手練なら二秒だけで、少なくとも十回は刺せるだろう。

 

 後ろに振りかぶった両手剣がライトエフェクトを発しながら、ザザに――正確にはザザの左手に――向かって撃ちだされる。

 だが、ザザは軽くステップで逃れ、俺は大きく空振りした。

 

「残念、だったな。ゲーム、オーバーだ」

 

 エストックがライトエフェクトを纏う。

 視界にソードスキルの予測軌道の赤いラインが表示される。

 

 スキル硬直により、体が縛られる。

 

 ザザの動きがスローモーションのようにはっきりと見える。

 

 静かに、俺は心の中で謝った。

 

 

 

 ――――悪いな、ザザ。……手加減していたのは、俺だ。

 

 

 地面が割れるほどの力で地を蹴る。

 空中で後ろ向きに一回転し、着地する。

 即座にスキルを二つ発動。

 一つはソードスキル、《アバランシュ》。

 もう一つは瞬間移動のように距離を詰める、《ラピッド・ステップ》。

 

 ソードスキルを放った直後のザザは右腕を伸ばしきった状態で止まっている。

 その腕を、肘から斬り落とす。

 硬直は解けていない。

 手首を返して肩から左腕も斬る。

 ついでに頭を殴り落とす。

 

 苦悶の声を上げるザザの頭に足を乗せ、首筋に剣を当てる。

 それだけで自分の中を優越感が満たしていく。

 

「クックックッ。いい眺めじゃねぇか、なぁザザ?」

「……何故だ? 何故、貴様は、動けた?」

「決まってるだろうが。……スキルだよ」

「そんな、スキルは、聞いた、ことが、ない」

 

 赤い目で睨みながら、憎々しげに言葉を発する。

 それすらも俺の愉悦を満たす糧に変わる。

 やっと、殺せる。そう思うと自然と口角が上がる。

 

「聞いたことがなくて、当たり前なんだよ。無いんだからな」

「……なんだと?」

「在るわけがないんだよ。このSAO(世界)に、たった一人しか、会得できないスキル」

「……まさか、貴様!」

 

 驚きで赤眼が見開かれる。

 自身が殺される事態にあることを忘れすらいるようだ。

 気に入らないから、さらに踏みつける。

 

「そのまさかだ。……俺はユニークスキルを、手に入れたんだよ」

「ぐぅッ。……どうして、俺たちを、狙う? 討伐隊(あいつら)、みたいな、理由、じゃない、だろう」

「理由、か。……覚えてないだろ、お前は。あの時の事を」

「……あの、時?」

「俺はぼろっクソにされて、親友が殺された日だ」

 

 答えてやったものの、やはり覚えていないらしい。

 別に、それでもいい。

 今こうやって、やっと殺すことが叶うのだから。

 

「……どうだ? 良い冥土の、土産話になったか?」

「お前が、俺たちに、固執する、理由は、復讐だった、ということか」

「正確には、お前だ。PoHもジョニー・ブラックも、本当はどうでも良かった」

 

 邪魔だったから、戦っただけだと加える。

 もうザザの眼に反抗の色はなく、諦めが浮かんでいた。

 

 ――――潮時、か。

 

「話はもういいだろ?」

「ああ。どうせ、もう、逃げれない」

 

 そう言ってザザは目を伏せる。

 頭に乗せていた足を背中にずらす。

 首が露わになる。

 マスクの下を少し見たかったが、もういい。

 

 

「……じゃぁな、赤眼のザザ」

 

 

 

 

 

 俺は、復讐の終わりへ剣を振り下ろした。

 

 

 




どうでしたか?

前話とか見なおして思ったことは、やっぱり「薄い」な、と。
どうにも薄っぺらいようにしか思えないのです。
素人ってのもあるでしょうが。

感想、アドヴァイス、誤字報告等待っています。
短くてOK。
批判カモンです。
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