遊戯王5D's ガールズ・セキュリティ   作:なら小鹿

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Sp 2-6 脅威! 隊長特権!!

 

「さすがに守りを固めてきたか。それとも、まさかとは思うが苦し紛れのブラフか」

 

 ティール隊長の目がミナミのフィールドに向けられる。隙あらば詰めの甘さを指摘されそうな視線に、ミナミは腹の底が重くなった。

 

 足下には今しがた伏せたリバースカードが2枚ある。モンスターはエースである〈ゴヨウ・セイバー〉がいるが〈デモンズ・チェーン〉に縛られて身動きすらままならない。

 

「ブラフだと思うのでしたら、攻めてきてはどうです」

 

「ほう、なかなかの自信だな」

 

 ここで黙り込んでは逃げに走ったと見なされる。そうなればティール隊長は容赦なく攻めてくる。だったらせめて虚勢でも強がりでも構えなくては。そう思ったミナミだったが──。

 

「ならば徹底的に叩き潰すまでだ。言っておくが、生半可な防御は無意味だぞ」

 

 ティール隊長の視線が鋭くなる。犯罪者をデュエルで拘束する時のそれだと直感でわかった。

 

「いくぞ、私のターンだ! ドロー!」

 

 TURN 3

  ティール LP 4000 手札 4枚 → 5枚

 

 ドローと同時にティール隊長がカードを見確かめる。そして、次の瞬間には手札からカードを引き抜いていた。

 

 即断即決。あるいは歴戦のガールズ・セキュリティとしてのデュエル経験がミナミを(ほふ)る最適解を瞬時に導きだしているのか。

 

「〈ジュッテ・ジェネラル〉を召喚!」

 

 ジュッテ・ジェネラル(攻撃表示)

 星4/地属性/戦士族/ATK 1500/DEF 800

 

 手札から召喚されたのは大型の十手に、鬼の面具と陣羽織をまとった武将のモンスターだ。

 

 詳細なテキストまでは知らないが、支給カードリストには功績を挙げたセキュリティへの報奨としてあったレアカードだ。

 

「〈ジュッテ・ジェネラル〉のモンスター効果発動! このカードをゲームから除外することで、私はそれぞれレベルの異なる下級戦士族モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚できる!」

 

「デッキからモンスター2体を同時に……!?」

 

「安心しろ。この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、エンドフェイズに除外される。当然、守備表示で攻撃もできない」

 

 よくある制約だが、それを聞いてもミナミは微塵も安心できなかった。なぜなら──。

 

 ──ぶぉぉぉおおお!

 

 鬼の面具を被った御用武将が大柄な法螺貝を吹き鳴らす。戦の合図が轟き、瞬く間に2体のモンスターが特殊召喚される。

 

「私が特殊召喚するのはこの2体だ! 来い、チューナーモンスター〈トラパート〉、そして〈パトロード〉!」

 

 トラパート(守備表示)

 チューナー/星2/闇属性/戦士族/ATK 600/DEF 600

 

 パトロード(守備表示)

 チューナー/星3/地属性/戦士族/ATK 800/DEF 1200

 

 見覚えのあるピエロと、白バイと一体化したモンスターがフィールドに並んだ。しかも──。

 

「2体ともチューナーですか……」

 

 効果や攻撃が封じられてもシンクロ召喚の素材にはできる。ミナミはそのまま視線をスライドさせる。ティール隊長のフィールドには3体の〈ゴヨウ・ディフェンダー〉が健在だった。

 

「さすがに察しが付いているようだな。だが、いくら先を読もうが、対抗する手立てがなければ無意味だぞ。そのことを今から教えてやる!」

 

「……っ」

 

「私はレベル3の〈ゴヨウ・ディフェンダー〉に、レベル2の〈トラパート〉をチューニング!」

 

 不気味に笑ったピエロがその身をリングに変え、岡っ引きロボがそのリングへ飛び込む。列を成した輝きが光の柱を打ち立て、まばゆい輝きが風圧を伴って襲ってくる。

 

「地獄の果てまで追い詰めよ! 見よ、清廉なる魂!」

 

 星2 + 星3 = 星5

 

「シンクロ召喚! 来い! 〈ゴヨウ・チェイサー〉!」

 

 ゴヨウ・チェイサー(攻撃表示)

 シンクロ/星5/地属性/戦士族/ATK 1900/DEF 1000

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 

 十手が光のヴェールを切り裂き、白塗りの仮面を被った岡っ引きの戦士が大見得を切って現れる。

 

「やはりシンクロ召喚を」

 

「察しは付いてた、という顔だな。ならば、これもわかっていたはずだ。私はレベル3の〈ゴヨウ・ディフェンダー〉に、同じくレベル3の〈パトロード〉をチューニング!」

 

 乱れ舞う3つのリングを、3つの星がくぐる。再び白光する柱が打ち立てられ、荒れ狂う強風が吹き付けてきた。

「荒ぶる獣の牙もて捕獲せよ! シンクロ召喚!」

 

 星3 + 星3 = 星6

 

「いざ()(たけ)れ! 〈ゴヨウ・プレデター〉!」

 

 ゴヨウ・プレデター(攻撃表示)

 シンクロ/星6/地属性/戦士族/ATK 2400/DEF 1200

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 

 光のヴェールを鉤爪が乱暴に引き裂き、その中から躍り出てくるのは角と牙を生やした獣人の岡っ引き。剥き出しの足がフィールドを踏むなり、獣顔負けの咆哮を轟かせる。

 

「一気に2体のシンクロモンスターを……、さすがですね」

 

「おべっかならいらないぞ。隊長職に就く以上、これくらいはできて当然だ。それともまさか私が椅子に座ってばかりのお飾りの隊長とでも思っていたのか」

 

「……いいえ」

 

 言われて、いつか記録映像で見た希少カード輸送車強奪事件を思い出した。窃盗団をただひとりで壊滅させたティール隊長が生半可なデュエルをしてくるはずがない。

 

 それは最初からわかっていたし、覚悟していたつもりだったが、そんなミナミの想定を、ティール隊長は易々と越えてきていた。

 

「〈ゴヨウ・チェイサー〉のモンスター効果。このカードは自身以外の地属性・戦士族のシンクロモンスター1体につき、攻撃力を300ポイントアップさせる。フィールドには私の〈ゴヨウ・ディフェンダー〉と〈ゴヨウ・プレデター〉、そして貴様の〈ゴヨウ・セイバー〉の3体がいる」

 

「私のモンスターまで数に」

 

「そうだ。よって攻撃力は900ポイントアップする」

 

 ゴヨウ・チェイサー ATK 1900 → ATK 2800

 

(くっ……〈ゴヨウ・セイバー〉の攻撃力を上回られた……だけど)

 

 ティール隊長は間違いなく攻撃をしかけてくる気だ。ミナミは残り1枚になった手札に目を落とす。デッキ調整で入れるべきか迷いに迷ったカードであり、今この状況をどうにかできるとすれば、このカードしかない。

 

「この瞬間、手札の〈ライオット・シールド・ガードナー〉のモンスター効果を発動!」

 

「ほう」

 

「相手がモンスターを3体以上、召喚・特殊召喚したターン、このカードは手札から守備表示で特殊召喚できます!」

 

 ライオット・シールド・ガードナー(守備表示)

 星5/地属性/戦士族/ATK 100/DEF 2400

 

 全身を覆い隠すほどの巨大な防護盾が壁のようにフィールドに突き立てられ、それを持った守護者がティール隊長のモンスターたちの前に立ちはだかる。

 

「〈ライオット・シールド・ガードナー〉は守備表示で存在する限り戦闘で破壊されず、相手は他のモンスターを攻撃対象にできません!」

 

「なるほど、そうきたか」

 

 これでティール隊長は戦闘破壊できない〈ライオット・シールド・ガードナー〉にしか攻撃できず、その攻撃もすべてすべて無力化される。

 

(もうティール隊長のフィールドにチューナーはいない。そして通常召喚も行っている)

 

 ミナミはこのタイミングを狙っていた。なぜなら──。

 

「シンクロ召喚しきった後なら、破壊効果をもった別のシンクロモンスターで、その防御を突破されることもない。そう踏んだか」

 

「…………はい」

 

 また手の内を読まれている。ミナミは思わず喉がつまるような感覚に襲われた。

 

 本来なら〈ジュッテ・ジェネラル〉からチューナー2体を特殊召喚したタイミングで〈ライオット・シールド・ガードナー〉を特殊召喚できた。しかし、このモンスターが耐えられるのは戦闘破壊のみで、効果破壊には耐性がない。だからギリギリまで我慢したのだ。

 

(先を読まれていたとしても、対抗できる手札があるかは別問題のはず)

 

 さっきティール隊長自身の言っていたセリフが頭に甦ってくる。とはいえ、このまま大人しくターンエンドしてくれるとは到底思えない。

 

「私のデュエルスタイルを想定して、対策を練ってきたところまではいい。しかし、カードプレイのタイミングを見誤ったな」

 

「……どういう意味ですか」

 

「言葉通りだ。攻撃宣言時に特殊召喚していれば、このターンを凌げたかもしれなかったのに」

 

 言いながらティール隊長が手札からカードを引き抜く。一瞬見えたカード名はウルトラレアであることを示す金文字だった。

 

「このカードは自分のメインフェイズ中に、相手がモンスター効果を発動している場合に発動できる」

 

 カードがディスクにセットされると、ティール隊長の手の中に軍配が現れた。

 

「発動しろ〈三戦の才〉!」

 

 三戦の才 通常魔法

 

「〈三戦の才〉!? そのカードは……!」

 

「さすがに貴様も知っているようだな」

 

 知っている。いつか窃盗団が輸送車ごと盗んだ希少レアカードの1枚だ。

 

「このカードは3つの効果からいずれか1つを選択して発動する。1つ、私はデッキからカードを2枚ドローする。2つ、貴様の手札を見て1枚をデッキに戻させる。そして3つ──!」

 

 ティール隊長が軍配を振り下ろす。そこに刻まれた天地人の金文字がぎらりと光った。

 

「相手モンスター1体のコントロールをターン終了時まで得る!」

 

(ここでコントロール奪取効果を……!?)

 

 咄嗟にミナミは自身のフィールドに目をやる。しかし遅かった。ミナミを守るように盾を構えていた〈ライオット・シールド・ガードナー〉が怪しげなオーラに取り憑かれている。

 

「貴様のモンスターは私の軍門に下った。さて、これで攻撃対象を制限する効果も消えたな」

 

 ティール隊長のフィールドで〈ライオット・シールド・ガードナー〉が再び盾を構える。これでミナミは丸裸も同然だった。

 

「バトルだ! 行け〈ゴヨウ・チェイサー〉!」

 

 名指しされた〈ゴヨウ・チェイサー〉が縄付きの十手を高速回転させる。ガールズ・セキュリティに配属されてから幾度となく見てきた攻撃だが、今はそれだけではない。

 

「リバースカードを発動しようとしても無駄だぞ! 〈トラパート〉をシンクロ素材にしたモンスターが攻撃する時、貴様は罠カードを発動できない!」

 

「……そうでしたね」

 

「随分と潔いな。だが容赦はしないぞ! やれっ〈ゴヨウ・チェイサー〉!」

 

 たっぷりと遠心力の乗った十手が投擲される。狙いはミナミの〈ゴヨウ・セイバー〉だ。〈デモンズ・チェーン〉に縛られたままの身では回避どころか防御もできない。攻撃が命中すると同時に爆散。攻撃力の差が衝撃となって襲ってくる。

 

「ぐっ、うっ……!」

 

 ミナミ LP 4000 → LP 3500

(ダメージとしてはそれほどでもない。けど……)

 

「まだ終わりではないぞ。〈ゴヨウ・チェイサー〉は戦闘破壊したモンスターを、攻撃力を半分にして私のフィールドに特殊召喚できる。召し捕れ!」

 

〈ゴヨウ・チェイサー〉が縄を引くと、煙の中から〈ゴヨウ・セイバー〉が引きずり出された。下手人のように両腕と胴を縄で拘束され、そのままティール隊長のフィールドに転がされる。

 

 ゴヨウ・セイバー ATK 2300 → ATK 1150

 

「くっ……〈ゴヨウ・セイバー〉……」

 

「これで貴様を守るモンスターはいなくなったな。だが、バトルはまだ続いているぞ。〈ゴヨウ・プレデター〉でプレイヤーへダイレクトアタック!」

 

 許しが出ると同時に闘争本能むき出しの咆哮が轟いた。獣人の岡っ引きが超人的な脚力で跳躍し、天井の照明を背に頭上から鉄の十手を振り下ろしてくる。

 

「リバースカード・オープン! 〈カウンター・ゲート〉!」

 

 カウンター・ゲート 通常罠

 

「相手モンスター1体のダイレクトアタックを無効する!」

 

 ──バジジジジッ!

 

 振り下ろされた十手が半透明の障壁にぶつかった。叩きつけられる十手に障壁が激しい火花が散らす。

 

「その後、カードを1枚ドローし、それがモンスターだった場合、自分フィールドに召喚できます!」

 

「ただし、それは攻撃表示での召喚だ。慎重に考えろ。私のフィールドには貴様から召し捕った〈ゴヨウ・セイバー〉がいるのだからな」

 

 そうだ。迂闊にモンスターを出せば、ダメージを受けるだけでなく〈ゴヨウ・セイバー〉にトークンを特殊召喚させる切っ掛けを与えてしまう。

 

「理解しています。それでも私は……ドロー!」

 

 ミナミはカードを引く。ここで挫けていてはわずかな勝機さえも潰えてしまう。祈るような気持ちでドローしたカードを見確かめる。

 

「ドローカードはレベル4の〈アサルト・ガンドッグ〉! 攻撃表示で召喚!」

 

 アサルト・ガンドッグ(攻撃表示)

 星4/地属性/獣族/ATK 1200/DEF 800

 

 背中に弾倉と機関銃を備えた猟犬がミナミの前に躍り出る。

 

「ほう、攻撃力1200か。いいカードを引いたな」

 

 見た目に反して心許ないないステータスだが、それでも攻撃力の半減した〈ゴヨウ・セイバー〉と、まだ攻撃権のある〈ゴヨウ・ディフェンダー〉はギリギリ食い止められる。

 

(なんとか防ぎきった。あとは次のターンで奪われた〈ゴヨウ・セイバー〉を戦闘破壊できれば……)

 

 気づかれないようミナミは足下にある伏せカードに意識を向ける。セットしてあるのは〈リビングデッドの呼び声〉。囚われた〈ゴヨウ・セイバー〉をミナミの墓地へ戻しさえすれば、まだ逆転の芽はある。

 

「どうした。まさかとは思うが、安心して次のターンの戦略を立てているのか」

 

「……どうでしょうね」

 

「それで虚勢を張っているつもりか。だったら、鏡の前で練習し直してこい。私のバトルフェイズはまだ終わっていないぞ」

 

 そのひと言だけで背筋に嫌な汗が垂れた。見ればティール隊長の手札はまだ3枚ある。まさかこのタイミングで追撃を──。

 

「何を青ざめている。実践の相手は手加減などしてこないぞ。私は手札から速攻魔法〈戦闘輪廻(バトル・リンカーネーション)〉発動!」

 

 戦闘輪廻(バトル・リンカーネーション) 速攻魔法

 

「このカードはバトルフェイズにのみ発動できる! そして自分フィールドのモンスター1体をリリースし、そのモンスターの半分以下のレベルをもつ戦士族モンスター1体を墓地から特殊召喚する! 貴様から奪った守備モンスターはこれにて釈放だ」

 

 ティール隊長の場で盾を構えていた〈ライオット・シールド・ガードナー〉が光になって霧散する。

 

「リリースした〈ライオット・シールド・ガードナー〉のレベルは5。よって墓地からレベル2の戦士族である〈トラパート〉を特殊召喚する! 甦れ!」

 

 トラパート(守備表示)

 チューナー/星2/闇属性/戦士族/ATK 600/DEF 600

 

「そして〈戦闘輪廻(バトル・リンカーネーション)〉の更なる効果! このカードでチューナーを特殊召喚した場合、そのモンスターを素材にシンクロ召喚を行える! 私はレベル6の〈ゴヨウ・セイバー〉に、レベル2の〈トラパート〉をチューニング!」

 

 チューナーである〈トラパート〉が両手を広げてリングに変わり、召し捕られた〈ゴヨウ・セイバー〉が縄に引っ張られ、強制的にリングの中へ放り込まれる。

「このモンスターを召喚するにはシンクロモンスターが必要だったのでな。貴様のモンスターを使わせてもらうぞ」

 

「素材にシンクロモンスターを……まさか……!」

 

「ほう、知っているのか。だが、知っていたなら警戒すべきだったな。言ったはずだぞ。私は隊長特権であらゆるカードを使えると」

 

 宙に舞ったリングは2つ、そして〈ゴヨウ・セイバー〉から解き放たれた星は6つ。第3デュエルフィールドの高々とした天井で列を成した輝きが暗雲を生じさせる。耳をつんざく雷鳴が轟き、フィールドに稲光の柱を打ち立てられる。

 

天網恢々疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさず! 悪逆非道を絶て! シンクロ召喚!」

 

 星2 + 星6 = 星8

 

「轟臨せよ! 〈ゴヨウ・キング〉!」

 

 天を割るかのごとき落雷が、目に見えるすべてを稲光が白く染め上げる。その光を切り裂いたのは大振りな十手型の薙刀。粉雪のように舞い散る光の中、威厳と貫禄をまとって立つのは歌舞伎役者のような白塗りの顔に、大柄な体躯をした法の番人。

 

 ゴヨウ・キング(攻撃表示)

 シンクロ/星8/地属性/戦士族/ATK 2800/DEF 2000

 チューナー+チューナー以外のシンクロモンスター1体以上

 

「こ、このモンスターは……!」

 

 ミナミも知っていた。といっても噂でカード名と召喚条件を知っただけで、実物のカードはおろか、こうして召喚される光景を目にするのは初めてだ。

 

 そして、どうやら観戦席にいる七光り組もそれは同じらしい。さっきまでティール隊長の連続シンクロ召喚にも高みの見物を決め込んでいた面々がざわつき始めた。

 

「……ねぇ、ちょっとあのカードって……」

 

「……そうよね。例の事件で使われたっていう……」

 

「……あの噂ってホントだったの……」

 

 断片的にしか聞こえてこないが、どうやら観戦席の面々はあのカードについてミナミ以上に何か知っているらしかった。特に先輩にあたる局員たちが囁きあっている。

 

 ──ごぅん!

 

「騒ぐな。まだデュエル中だぞ」

 

 ティール隊長の意を汲むように〈ゴヨウ・キング〉が身の丈よりも長大な薙刀の柄を打ち鳴らした。まるで以心伝心のような連携だが、それ以上に観戦席はあの切れ長の目が怖かったらしい。

 

「ティール隊長、率直におうかがいします」

 

「なんだ」

 

「どこで、そのカードを」

 

 セキュリティに支給されるカードはすべてリスト化されている。支給先の部署や条件などはそれぞれ異なっているが、リストだけなら自由に閲覧できる。そして、ミナミが見たどのリストの中にも〈ゴヨウ・キング〉のカード名はなかった。

 

 ただ、こんな噂を耳にしたことがある。

 

 真偽は不明だが、治安維持局には支給リストにはない支給カードがあると。

 

「ひとめ見ただけて支給リストにないカードと判断できるとは、なかなか勤勉だな。では冥土の土産に教えてやろう」

 

 その言葉を現実で聞くことがあるなんて。思いつつも、この状況ではまさにそうだった。

 

「あまり知られてはいないが、治安維持局には新規開発されたカードを試験的に実践投入する制度がある。かつて私はそれに志願し、このカードを手渡されたのだ。ちょうど希少カード輸送車強奪事件が発生した頃だ」

 

「それはつまり……」

 

 入局式で見た映像がフラッシュバックする。夜空を忙しなく走るサーチライト。空撮された郊外の廃工場。ティール隊長が単身で乗り込み、アジトを制圧してガールズ・セキュリティの名を知らしめたあの事件。

 

「理解が早いな。いま貴様が相手にしているのは、()()()()()()()()()()()()()私のエースモンスターだ」

 

 

 

 To be next true ……

 





ティール隊長の使った〈三戦の才〉は初収録でウルトラレアだったものです。他のカードもそうですが、デッキを見せてもらったら、確実にギンギラギンに光ってます。

それでもって今後もOCGでガチカードになった経験のあるカードを使っていく予定です。
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