はい、ということで閑話です。
今回も少し前のお話なので、この世界ではこんな事があったんだなーって感じで見てくれたら良いんじゃないでしょうか。
それでは、どうぞ!
これは、私こと酒寄彩葉が上京してしばらく経ち、芦花や真実、それからあの
学校の昼休み、私達は昼食を食べ終わった後に雑談をしていた。
「はあ?買い物ー?」
「そーそー買い物、良かったらヒイロも来ない?」
「えー?うーん………そうだな……」
最近何か遊びに行く頻度増えてる気がするし、百合に挟まりたく無いしな……ここは一旦間隔開けた方がいいんじゃないか?と……と、小声で呟くヒイロ。
……そもそも、最初から百合なんてないって事にいつ気付くのだろうか、コイツは?
なんて事を考えていた。すると
「甘〜い物も食べに行く予定なんだけど、いかがかな〜?」
真実がそんな事を言い始めた。当然ヒイロは──
「是非行かせていただきます」
まあ、そうなるよね?百合と甘い物には弱いのがヒイロ……なんだけど、流石にチョロ過ぎない?反射で動くのやめた方がいいよ?いっつもそれで『やらかしたーーー!!!!』ってなってるのに……
と、そんな事を考えながら3人の会話を見ていた。そんな時──
「おい、何蚊帳の外みたいな顔してんだよ」
「え?」
ヒイロが私に話しかけて来た。
……いやいや、いやいやいや今の私金欠だし………普通に無理なんですけど?というかそんな事みんなも知ってるじゃん。第一、そんな事してる暇なんて私には………なんてそんな事を考えていた。
「その顔……さては『けど私お金ないしなあ……』とか『勉強で忙しいしな〜』とか、そんな感じのこと考えてるだろ?」
「うっ…………」
「図星かよ」
………ほんと、何でこんな所は敏感な癖に芦花のことは気づかないのか、未だに分かんないんだよなぁ……もう考えるのめんどくさいから『ヒイロはクソボケだから』で済ませるようにしてるけど………
「ほら、最近テストで助けて貰ったお返し的な奴全然出来てなかったから、ここでまとめて大放出するのがいいと思ってな。二人もそれでいいだろ?」
「良いよー」
「おっけ〜」
「ちょっ………!?私の意思はどこ行ったの!?」
「……最近休めてないだろ?たまには休憩した方が、勉強も捗ると思うぞ?」
そんな事を言いながら、私をじっと見つめてくるヒイロ。
……いっつもこんな感じでゴリ押されるんだよなあ……ここまで心配そうな顔で言われたら断りずらいし……はぁ………
「…………分かった、分かったわよ。最近はそういうの無かったし、今回はいいけど………しばらくこんなの受けないから!!」
「ちょろはだねー」
「ちょろはちょろは〜」
「チョロすぎー、コレが完璧超人の姿かよ笑えるわー」
「うっさい!!」
そう言って三者三様にみんな煽ってくる………そんな事言うならもう行かないからね!!??……って、言えたらいいのになあ……
「というか、チョロさだけはヒイロと彩葉って似てるよね〜。案外お似合い……か、も……」
「………そうかもねー」
ダメダメ真実!?それはやば過ぎでしょ!?芦花がヒイロの事どんなふうに思ってるか知っててそんな事………!!
「?いやいや、俺如きにお似合いな奴なんて何処にも居ないだろ。………それに、俺は百合の守護者。間違っても百合の間には挟まらない事を念頭に行動している男だ。そんな奴が誰かと付き合うわけないだろ」
「「「…………………」」」
ああ……(呆れ)
「……え?何この沈黙?………俺なんかやった?」
と、真実を優に超える爆弾発言をしたヒイロ。
………うん、百合のことについて考えるより、女心について勉強した方が百合のためになるんじゃない?……てかコレほんと大丈夫?そろそろやばそうなんだけど………ヒイロが………いや、一回くらい痛い目にあった方がいいのかも………?
と、ヒイロが今後どうなるのかを少し考えながら、時間は過ぎていくのだった………
◯
それから数日後、私達は買い物に来ていた。
「本当女子って買い物好きだよなあ……実際楽しいのかコレ?いや、楽しいからこそここまで来てるんだとは思うんだが……」
「そーそー、楽しいから買い物してるんだよー、それに、ヒイロも甘い物巡りできたしウィンウィンじゃん」
「……まあ、それもそうか」
「私もグルメな物は結構食べれたし満足かな〜」
「……私は少し奢られ過ぎたからちょっと罪悪感が……」
「まーそこはゆっくり慣れていけばいいだろ。きっといつか、こういう経験が役に立つ時が来るからな」
と、そんな事を言うヒイロ。
そんな時、本当に来るのかなあ……だって、お母さんは──
「……なあ、酒寄。あんま考え過ぎんなって。肩の力抜こう、な?」
「うん。そっちの方がこう、見てて安心するからさ。もっとこう、リラーックスしよ?ね?」
「そ〜そ〜、私なんて難しいことそこまで考えてないし。さっきまでデザートのことしか考えてなかったよ〜」
「いや、流石にヤバ過ぎだろそれは」
「えー?ヒイロもそんな感じじゃない?」
「嘘だろ綾紬!?俺をそんな目で見て………いや、改めて考えたら俺も諫山と同じ穴の狢かもしれん……」
「でしょー?」
「ふふん、つまりヒイロも私と同じでそこまで何も考えてないってことになるね〜」
「………そんな、馬鹿な……俺は百合IQ180の男だぞ?何も考えてないだなんて、そんな事がある訳が……」
「実際そうじゃん」
芦花が放ったその言葉で完全に心が折れたのか、項垂れるヒイロ。それを見て私は──
「……ふふっ」
………今は相談できなくても、いつかそう出来るようになれたらいいな。………いつか、自分から誰かを頼れるように──
と、そんな事を思うのだった。
場所は少し変わって、私達は同じショッピングモールの中の店にある、アクセサリーを見ていた。
……流石にここで何かを買ってもらうのはヤバいので、猛烈に断った。なので私は見てるだけだ。
「俺、アクセサリーとかこうやってしっかりと見るの初めてかもしれん」
「まあ、ヒイロは行かなさそうだよねー」
「解釈一致〜って感じ」
「お前らの俺に対する印象どうなってんの?」
「クソボケ」
「女誑しでしょ?」
「以下同文〜」
「ええ………(困惑)」
俺のどこにそんな要素が………?とぼやくヒイロ。
自覚できてないのがより酷い………いい加減芦花の我慢の限界が来そうなんだけど……よく耐えてるなコレ相手に、普通ならそろそろキレてもおかしくないレベルじゃない?
と、そんな事を考えている時に
「ねえヒイロー?もし、このピアスの中のどれかから選ぶとしたら、どれが一番私に似合ってると思うー?」
と、芦花がいきなりそんな事を言い始めた。
「え?」
「…………?」
「おお〜」
……どういう事?……意味が分からなさ過ぎて反応できなかったんだけど?……いや、一瞬分からなかったけどなんか意図読めたかも。……というか、真実のその『おお〜』ってどんな感情で言ってるの……?
とまあ、そんな事はさておき………私の考えてる事が合ってるとするなら……ヒイロはどう答えるんだろう……ちょっと気になるかも?
そして、そんな事を言われたヒイロは少し真剣に考え始めて、それから少し経ってから答えを出した。
「……んー?どれが綾紬に似合うか……?そう、だな……このハートのピアスとか似合いそうだな。なんかこう……言葉に出来んがしっくり来る感じがする」
「ほうほう、成程ね。じゃあそれ買うー」
「ん???」
ヒイロが選んだピアスを手に取って、そんな事を言った芦花。
まあ、やっぱりそうなるわよね……好きな人に選んでもらった方がそりゃ嬉しいに決まってるじゃん。………まあ、ヒイロは全くそれに気づいてないんだけど……
「……いや、コレは俺の主観で選んだやつだろ?……もっとこう、自分でゆっくり選んだ方がいいんじゃないのか?その方が愛着も湧くだろうし………」
と、困惑しながら問うヒイロ。それに対して芦花は──
「ううん……これでいい。というか、これがいいの」
そう、ピアスを大事そうに手に包んで、本当に嬉しそうに微笑んで答えた。……きっとこれが、芦花がここに来た目的の一つなんだろうなあと、私はそう感じた。
「………?何でそんな嬉しそうなんだ?」
「さあ?自分で考えてみたら〜?」
「…………分かんねえー」
と、ヒイロは眉を顰めながら呟いた。
………早めにその答えは出した方がいいと思うよ、うん。じゃないともう、取り返しのつかないことになりそうだし………こっちが見ててモヤモヤするし。………ん?何でモヤモヤなんてしたんだろう、私?
「いやー甘々ですなぁ〜、お陰様で胸焼けしそうだよ〜」
と、そんな事を言う真実。……まあ確かに、あんなの見たら胸焼けするよね、と私もその言葉に共感したのだった。
◯
翌日、芦花と真実に『一緒に学校行かなーい?』なんて言われたので、ヒイロと一緒に集合場所に向かってたんだけど……
「あれ?綾紬ピアス付けてるじゃねえか……って、何で右耳だけなんだ?」
そう、芦花はピアスを片方だけ付けていたのだ。それも右耳に………ん?確か右耳だけにつけるのって──あ。
「………………実はそういうファッションが有るんだよね〜、だから、この前ヒイロに選んでもらって、自分で買ったやつで真似てみたって感じ」
一瞬歓喜したような表情だったのも束の間、気が付けばいつも通りの顔に芦花は戻っていた。……まぁそりゃコイツが知ってる訳ないよね。多分芦花もそれは分かってたんだとは思うんだけど、期待したんだろうなあ……
と、そんな芦花の心境も知らずにヒイロは──
「成程、ファッションは俺疎いから全然知らんが、そういうファッションも有るのか……流石美容系インフルエンサー、博識だなー」
これだよ、もう本当に終わってる。
「………はぁ…」
「ん?何でそんなため息ついてるんだよ酒寄?それに………なんで諫山もそんな救いようの無い物を見るような目なんだ?」
………もう何回これ言ったか分かんないけど、本当やばいなコイツ。
コレを長ーい事想ってきた芦花の事を尊敬しつつ、いつまでこんな感じなんだろうか……とヒイロの事を見ながらそう思ったのだった。
はい、という事で、お楽しみいただけたでしょうか?
私、思ったんですよね。ピアスを芦花の右耳につけるのは良いとして、どうすればもっとヒイロ君がコレを知った時にダメージを受けさせられるのかを。
そして出た結論は「ヒイロ君自身にそのピアスを選ばせる」という事でした。本人は芦花の気持ちなんて知りませんが、それはそれとして真剣に選んでいたので芦花も嬉しくなるし、余計恋しちゃうんじゃないかって。
そんな、百合の守護者にとっては最悪の選択を知らず知らずのうちにしてしまった事に気づいた時が最高に素晴らしいと、気づいてしまったんですよ……!!
とまあ、ウラ話は置いといて、ここまで見てくださってありがとうございました!!
良ければ次回も温かい目で見てやってください!
それでは、また次回!!