百合の間に挟まるなんてイヤだー!!!   作:NTT.T

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お待たせしました。ついにこの物語にとって重要な所と言ってもいいところまで書き切ることが出来ました。かなり文章が長くなってしまいましたが……

恐らくここから数話で、今まで何か疑問を抱いていたかもしれない方はそれが解消されると思います。

高評価、お気に入り登録などありがとうございます!

それでは、どうぞ!


天使(悪魔)のお導き

 

「………ついに、この時が来たか」

 

昨日、ヤチヨからデートのお誘いを受けるという意☆味☆不☆明な事が起こってから1日明け、いよいよツクヨミ内でデートをする時間がやって来るところだ。因みに怖いので10分前くらいには集合場所に着いていた。

 

「まあそう気構えるなよヒーロ君、何、女の子を惚れさせる事には定評のある君だ。デートを失敗する筈がない──」

 

「黙れよマジで」

 

そういい俺はアルスハリヤの顔面をぶん殴った。

 

もう色々限界なんだよこっちは……俺が魔人やらヤチヨとデートやらもう一杯一杯なんだよ……!!何でこう割と上手くいった時にこんな出来事が立て続けに起きるんだよ……!!

 

「フフッ、すまないな。だが、コレは君のためでもあるんだぞ?」

 

「……何?」

 

「まあ直ぐに分かるさ。コレは君と僕、両方が得をする結果に終わると」

 

………今までも充分胡散臭かったが、より酷くなったな。そんな事あるのか……?俺とコイツ、両方が得で終わる……?

 

と、そんな事を考えていると、少し上から声が降ってきた。

 

「やっほ〜!待ったかな?」

 

「……いや、そんな待ってないな」

 

と、割とありがち?なデートの常套句を返すと

 

「うんうん、デートって感じがしていいね〜」

 

ご満悦そうなお顔をしているヤチヨがいた。

 

「それじゃあデートに行く前に……魔法でもかけちゃおっかな〜?と言っても、管理者権限使うだけなんだけどね〜」

 

そう言い、ヤチヨが何かをしたと思えば、ヤチヨの姿が少し透明になった。

 

「………?」

 

「何をしたかっていうと、みんなからヤッチョ達を見えなくしたんだよ〜」

 

「ああ、成程な」

 

確かに普通に見えてたら俺への風評被害ヤバそうだもんな、てか絶対ヤバい。

 

「そーいう事。それじゃ、何処に行きたいとかあったりする〜?」

 

「そう、だな……」

 

やべえ、そういう事考えてなかったぁ……頭の中もうごちゃごちゃし過ぎてて頭から抜けてたぁ………

 

「………何もないなら、ヤッチョが適当に色々連れて行く感じにしよっか?」

 

「……ありがとな」

 

事情はどうあれ、デートをするって言われたんならちゃんとしないとな………次はあって欲しくないが、もしあるのなら参考にさせてもらおう。

 

 

「どういたしまして、それじゃ、ヤッチョおすすめスポットに行ってみよ〜!」

 

 

 

そう言って、ヤチヨは俺の手を掴んだ………掴んだ?しかもコレ恋人繋ぎじゃ………

 

 

 

「………もう俺には何も分からん」

 

 

 

何でこんな好感度高いんだよマジで……意味が分からん。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、少し人気のない所で俺たちは雑談をしていた。

 

「にしても、凄い場所だよな、ツクヨミ。味覚とかそこら辺はまだ再現できてないが…それでも充分すぎるくらい、面白い所だ」

 

俺の前世じゃ、考えられなかったくらい色んな事がここでは出来る。お金を稼いだり、誰かのためのライバー、或いは自分のためのライバーになれたり。誰かと一緒に遊んだり、勿論そんな事をしなくとも景色を見ているだけで飽きない。

 

……想像はしても、決して届くことの無かったものが、確かにここにはある。それだけでここに転生してきて良かったって、そう思える。

 

 

 

「でしょ〜?ヤッチョ自慢の場所だからね〜」

 

 

 

と、褒められたのが嬉しかったのか、笑顔でそんな事を言うヤチヨ。

 

 

 

「だな。ツクヨミには楽しそうな顔してる奴しかいないし、もっと誇ってもいいと思うぞ。さっきも言ったが、俺も楽しませてもらってるしな」

 

 

ライバーとしての配信もなんだかんだ言って好きだし、誰かとしのぎを削るのも好きだ。もし俺がただの一般人で、何も知らなかったとしても、ここで何かを楽しんでそうな気はする。

 

 

 

「ふふっ、そう言ってもらえて嬉しいな。ヤッチョは管理者だからね、そういう言葉は大歓迎だよ〜」

 

 

「そうか、そりゃ良かった」

 

「……そういえば何だけどさ〜、何でそんな格好にしようと思ったの?」

 

「ん?あーコレな」

 

この「謎の白百合仮面V2」の服装のことを言ってるのか。

 

実の所、映像を見た事が無かった、というか無いので師匠がどんな格好をしているのかは分からなかった。だが、小説に僅かに書いてあったイラスト。そして、白い仮面をかぶっている事、焦げ茶色のローブを纏っている事は分かっていたので、それっぽい格好に仕上げることが出来た。やっぱり、この身体で変装するならコレだよな。

 

 

 

 

……話が脱線したな、何で俺がこの格好をしているのか、だったか。勿論それは──

 

 

 

 

「百合の為だ」

 

「………何となく意図はわかったけど、成功した?その試み?」

 

「何の成果も……得られませんでした……!!」

 

こんな変質者みたいな、と言うか変質者の格好してる奴に惚れるわけないと思うじゃ無いですか!?それが意図だったのに………何で一回助けただけでそんな熱っぽい目を向けてくるんですか……!!訳がわからないよもう……

 

と、過去の俺を悔やみ……いや、女の子を助けた事は間違ってないから……ああ、いやでも百合は守れなかったしなあ……やめよう、これ以上は俺の脳が深刻なダメージを負い、百合IQが低下する恐れがある。

 

 

 

 

 

ここは一度、シンプルに気になっていることを聞くとしよう。

 

 

 

 

 

「なあ、話を変えるみたいで悪いんだが……何で俺と、デートしたいなって思ったんだ?」

 

 

 

 

 

この謎が未だに解けない。何回も言ったが、俺はヤチヨと交流を深めようとしたこともない。故に、ヤチヨが俺とデートをしようとするはずが無いのだが……可能性があるのだとしたら、それは──

 

 

 

「……そうだね〜、もうちょっとしたら伝えるからさ、もう少しだけ待ってくれない?」

 

 

 

……まあ、そこまで急かすのもなんか悪いしな。本人が言いたくなるまで待つとするか。

 

 

 

「……ああ、分かった。それじゃあ、もう少し歩こうぜ。まだヤチヨのおすすめスポットは有るんだろ?良かったら、連れてってくれよ」

 

 

 

「………!!うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、ここからの眺めがヤッチョおすすめスポットかな〜」

 

そう言いながら鳥居に座るヤチヨ。やっぱ高いなココ……と思いながら俺もヤチヨの隣……から少し離れたところに座る。

 

「………今、距離開けたでしょ?」

 

「…………イ、イヤー、ナンノコトカワカラナイナー?」

 

ちょっとその目辞めて?なんか怖いんだけどマジで、思わず片言になっちゃうレベルで怖いから。

 

と、そんなことを思っていると少し悲しそうな顔になったヤチヨ。

 

「………そんな事しちゃうんだ、寂しかったのに」

 

「…………………………」

 

「やっとこうやって、ゆっくり話せたのに」

 

「……………………」

 

「…………………意地悪」

 

「……………分かったよ、分かったからそんな目で俺を見るなって」

 

そう言い、距離を詰めた。

 

「うん!ありがとね!」

 

すると先程の泣きそうな表情から一転して物凄い笑顔になった。……嵌められたなコレ………でも、そんな嬉しそうにしてたら怒るにも怒れねえよ………

 

そんな事を思っていると、少しの間沈黙が生まれた。

 

「………………」

 

「………………」

 

………なんでだろうな、今まではそんなこと感じても無かったのに、不思議と懐かしい様な気がする。

 

「あのさ、ツー君?」

 

沈黙を破ったのは、ヤチヨだった。

 

「何だ?気になる事があるって言うなら出来る限り答えるが……」

 

俺のことについてか……?或いは、魔法についての可能性もある。ヤチヨはアレを見たことなどないはずだ。恐らく今まで黙認していただけで、伺える機会を今作ったと言う可能性もある。

 

……どれもただの予測だな、本人が何を言うかは分からない以上、意味はない。ここは本人が何か言うまで待つとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

少し待つと、ヤチヨがポツポツと話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「もし、さ。自分の大切な人と離れ離れになっちゃったら、どうする?」

 

 

 

 

 

 

「会える事は確定してるんだ。けど、そこに辿り着くまでに余りにも長い時間を待たないといけないってなった時…………君はどう感じる?どう過ごすのかな?」

 

 

 

 

 

………これは、酒寄達のことを言ってるのか?いや、それとも……

 

 

 

 

 

「……そう、だな。俺ならきっと寂しく感じるだろうし、待つ事は待つが、待っている間は……どんな気持ちになるかは想像もつかないな」

 

 

「俺にはその待っている人の気持ちは、理解出来ない。いや、理解した様な気にはなりたくない。だからこんな曖昧な回答しかできないが……コレでいいか?」

 

 

俺が相手と関わる上で大事にしているのがそれだからな。……とはいえ、俺も人間……いや魔人だわ。とにかく、元人間だからな。何処かでソレが出来ていないなんてこともあるかもしれんが、それは出来る限り意識している。

 

 

「………ううん、ありがとう。けど、やっぱり君はそういう事言うよね。優しいから」

 

 

 

「そうか?言っちゃえば何だが、相手のことを考えようともしてない様な奴って事だぞ?」

 

 

 

「そんなこと言いながらも、ちゃんと相手のことを理解はしようとするんでしょ〜?それを『自分の想像だから、口に出して相手を傷つけたらダメだから言わないだけ』………でしょ?」

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

怖い。何でそこまで俺の思考回路理解できるの?

 

 

 

 

 

………いや、ここまで材料があるなら、少し推測はできるかもしれん。

 

 

 

 

 

 

俺とヤチヨは昔に会った事(・・・・・・)があるのかもしれない。いつなのかは分からないが、その可能性が高い。それに、もしかすればかなりの間一緒にいた可能性もある。

 

 

 

 

 

 

それなら、俺とデートをしようとするのも納得は行く。問題は……好感度どうなってんだコレ?もう既にヤバいのに、これ以上があるとするならもう終わりだよ終わり。そうだとしたら俺は俺を絶対許さない。自害します。

 

 

 

 

 

「…………うん、もう覚悟はできたかな〜」

 

 

 

 

と、そんなことを言うヤチヨ。……覚悟?

 

 

 

 

「それじゃあさ、一回現実に戻ってみてよ。集合場所は、彩葉が住んでたあのボロアパートね!」

 

 

 

 

………消えたんだが?嘘でしょ?どういうこと?

 

 

 

 

困惑に包まれながらも、俺は一度ツクヨミからログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして外に出てみると、日はすっかり沈んでいて、静けさを感じる様な時間帯になっていた。

 

そして、そんな事を考えていると───

 

「………FUSHI?」

 

そう、FUSHIが現実にいたのだ。……いや、確かにこいつの体は具現化できるはずだからいけるとは思うんだが……なんで?

 

 

 

 

てかなんか顔ちょっと赤い様な………?

 

 

 

 

 

「……………ついてきて」

 

 

 

 

 

そう言って走って行ったFUSHI。………本当に嫌な予感して来た。

 

 

 

 

けど、流石に追いかけないと言う選択肢はないので、とりあえず後を追う事にした。

 

 

 

そして、走った先にあったのはマンションだった。……ここって確か、宇宙船があるとこだよな?

 

 

「ほう、いよいよクライマックスといったところか」

 

 

「アルスハリヤ?何でこのタイミングで出て来たんだ?」

 

 

「言っただろう、コレは僕と君、両方が得をするのだと。………だが、心構えをしておいた方が良い。コレは君にとって、今までにない程の苦痛に……っふ……になるはずだ」

 

「………………」

 

「まあ、要するに忠告、と言う奴だ。流石に何も構えずに行くと本当に君がヤバい事になる可能性があるからな。……とは言っても、僕としては愉しみでしかないんだが……ぶふぉっ!!」

 

……駄目だ。こいつが出てきたことでいよいよ俺の脳は粉々にされることが確定してしまった。そもそもなんかこいつ隠し事あるとか言ってたもんな………行きたくねえ…………だってこいつ笑ってるじゃん。もう確定演出じゃん。

 

「因みにだが、今の僕は数分程度なら君の体を操作することが出来る。無駄な足掻きはやめることだ」

 

「ちくしょう…………!!!!」

 

何でそんなことできる様になってるんだよ……!!魔人化してるって言っても限度があるだろ……!!

 

あまりにも絶望的な宣告を聞かされ、俺は断頭台まで階段で上がる罪人の様な気持ちのまま、先へ進んだ。

 

 

 

 

「…………ここが、そうなのか」

 

 

 

FUSHIの案内通り着いていけば、やはりあの配線だらけの部屋に来た。此処で確か彩葉はヤチヨにツクヨミへ会いに行ったんだよな。

 

 

 

 

 

「うん、ヒイロ(・・・)が考えてる通りだよ」

 

 

 

 

「………お前、ヤチヨか?」

 

 

 

 

「そうだよ〜、FUSHIに体を借りてるけど、中身は私。というか、あんまり驚かないんだね。私がヒイロのこと知ってるの」

 

 

 

 

「………まあ、それは薄々勘付いてたからな」

 

 

 

 

逆に今までの対応でほとんど俺のこと知らないなら恐怖だよ本当に。

 

 

 

 

「そっか、まああそこまで露骨に態度に出してたらそうなるか〜」

 

 

 

 

「………ここへ俺を呼んだ理由は何なんだ?」

 

 

 

 

 

 

「……守護天使(・・・・)さんと、ヒイロとの約束を果たそうとしてるところだよ。だから、それを実行しようとしてるところなんだけど………流石に恥ずかしいからさ?この身体でも。だって、初めて(・・・)だし……」

 

 

 

 

 

 

 

…………そう照れながらいうヤチヨ……………ん?守護天使?…………まさか!?

 

 

 

 

 

 

 

そうして全力でこの場から離れようとしたが──遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストップだヒーロ君、君の身動きは封じさせてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

魔人が、狂気の笑みを浮かべながら俺の動きを止めた。

 

 

 

 

 

 

「テメェ!!!!!!!!!!!!!!!アルスハリヤァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

「ハハハハハハ!!!!その顔が見たかったんだ!!その苦痛に喘ぎ、現実をようやく理解して絶望している、その顔が見たかった!!!ここまで(・・・・)待った甲斐があった!!さあ、責任を取れよヒーロ君!!」

 

 

 

 

 

 

 

クソが!!!!!!もしかしなくてもアレ(・・)をされるってのか!?ウミウシ状態とはいえヤチヨに?

 

嫌だ………そんな事されたらいよいよもう俺は百合の守護者を名乗れない………頼む、辞めてくれ………後生だから………

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな鬼気迫る思いをヤチヨに伝えた。だが──

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ごめんね?FUSHI、それにヒイロ。でも、コレはヒイロが私を待たせた罰なんだから。……大人しく、受けて?」

 

 

 

 

 

 

 

そして、ヤチヨはそのまま───俺の唇にキスをしてきた。

 

 

 

 

 

 

現在(ココ)だッ!」

 

 

 

 

 

 

瞬間、俺の脳に溢れる『かつての記憶』

 

 

 

 

 

 

その膨大な量の記憶に、俺は飲み込まれるのだった。

 





はい、やっとやりたかった事が一つできました。この「記憶をキスで戻す」という事はこの物語を始めるにあたって絶対にやり遂げたかった事です。何故って、コレが一番ヒイロ君の反応が私的に良かったからです。

ですが、コレを成し遂げるには一つの難点がありました。それは「ヤチヨ」の身体は現実に存在しないという事です。………そこで目を付けたのがFUSHIです。彼?彼女?は現実に肉体を持っています。現代でそれを利用する事はありませんでしたが、恐らく今でも出来ると思います。(コレが間違いならガバということで許してください)

まあとにかく、それを利用すれば実質ヤチヨとキスさせることが可能だという事に気づいたんですね。

因みに全くFUSHIが出てこなかったのもそのせいです。だって、「その内自分の意思でするわけでは無いとはいえキスすると決めている相手」と面を合わせることが出来るでしょうか…………少なくとも私は無理です。

ましてや、FUSHIは感情豊かな子です。なら、恥ずかしがって出てこないのも不思議では無いと感じました。

そんな訳で、次回からはヒイロ君の過去編になります。

今回の様にまた少し期間が開くかもしれませんが、お待ちいただければ幸いです。

また、高評価、お気に入り登録などしてくれればモチベ爆上がりなので、良ければして欲しいです。

それでは、また次回!!

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