かなりオリジナルの展開なので、正直キャラ変しちゃってるかもしれませんが、それでも良いよって方はご覧ください!!
少し、というかかなり昔の話になるが、俺は今世では両親を7歳の頃くらいに失っている。なんて事はないありきたりな話だ。飲酒運転をしていたヤツが俺の両親を轢いたのだ。即死だったらしい、なら引き取ってくれる親族は居たのか?だって?
答えはYESだ、但し、物凄く嫌悪されていたしご飯や学費は出してくれるがそれだけだった。一度だけ「何でそんなに俺のこと嫌うの?」って聞いてみたら、
「嫌いに理由なんてないわよ、強いて言うなら……その大人ぶった態度が無理なのよ。ただでさえあんな両親の元に生まれてきたのに……」
そこから先は、もう聞きたくなかった。
仕方ねぇだろ、俺だって好きでこんなふうに振る舞ってる訳じゃない、演じれたらそうしてるんだよ、大人にすらなった事がないガキがどうやったらそんな器用なことできるんだよ?
もしかしたら今世はうまく行くんじゃ無いか……そういう淡い期待を抱いてしまったのが間違いだったのかも知れないと、そう思っていた。
こんな事なら最初から期待しなければ良かったとも思ってしまっていた。
どんどん生きるのが嫌になってしまっていた。
死にたかった。
ハッキリ言ってこの時の精神状態は最悪だった。下手すれば自殺してしまっていたかも知れない。
そんな時に、綾紬と出会ったのだ。
◯
やることも無かったので公園のブランコで黄昏ていた。
「あれから3年か……早いもんだなほんと」
乾いた笑いが漏れる。自分が両親を失って今の両親に引き取ってもらって3年、もう小学4年生になった。その内中学生にもなるのだろう。それでも、この心の裡に溜まっているヘドロは固まって、こびりついて取れはしない。
一体自分は何のために生きているのだろうか、惰性で生きているだけで何も生きている実感が湧かない。そもそも何故転生なんてしてしまったのだろうか、こんな事ならいっその事──
「あの時死んでいれば──」
「それ以上は言わないで、お願い」
「───」
思わず言葉を失った、ここ最近では先生すらも俺に事務的にしか話しかけに来ないのに、俺に何かを訴えかけてきた奴はコレがここ数年で初めてだった。
「誰だ?オマエ?」
改めて自分の声を聞いてみると、ひどく掠れた声だった、まともに人と会話していなければそりゃそうなる。滑稽だった。
「私の名前は、綾紬芦花だよ。──ねぇ、私と友達にならない?」
「は?」
理解ができなかった、今更友達?そんなものを作ったところで──
「はいストップ!その顔、やめて欲しいな?見ててとっても苦しそうだよ?」
「知るかよそんなこと、常にこうだろ、俺は。大体、お前に何が分かるんだよ?大して話したこともないくせに、どうせ正義の味方気取りで──っ……ごめん、そっちの気持ちも知らないでこんなこと言っちまって」
「ううん、いいよ。そういう事も言われると思ってここに来たんだから」
「……なんで、こんな風にお前のことを悪く言うようなヤツと友達になろうとしたんだよ?」
「うーん、うまく言葉にできないんだけど、敢えて言うなら……似てるように感じたから、かな?」
「俺と、お前が?何処がだよ」
「……私ね?好きな人がいるの、その人はとっても周りの事を見過ぎてて、いっつも周りの事ばっかり気にしてて、優しくて……とっても素敵な子なの。って、こんな事普段なら絶対言えないんだけどね?何でかな?」
「いきなり何だよ急に、そりゃ、まぁそこまで知らない奴になら知られても良いんじゃね?って感じじゃねぇの?」
「それもそうな気がするけど……やっぱり一番似てるって思う理由は、君と私が、抱え込みやすいタイプってこと」
私の好きな人もそうなんだけどね……とソイツは独り言を吐く。
「君のこと、ここ最近ずっと見てたの……楽しくなさそうだった、一目見た時からずっと苦しそうだった……泣きそうな、顔、してたよ?」
「……………………………」
………分からねぇよそんなの、鏡なんてもう見た記憶すらない。
「でね?きっと何か抱え込んでる事があるんだろうなって、そんな風に想像して……私も苦しくなったの」
「……………」
「私もね?たまに苦しくなる事があるの。『本当にこんな気持ち抱いていいのかな?』とか、『もし伝えたら周りの子に馬鹿にされないかな?』とかって、そんな気持ちを、ね?」
「きっと、君と私の感情は、似てるようで全然違うんだと思うよ?……今友達になろうとしてるのも、もしかしたら同情してるだけだからかも知れない。けど、だからって見捨てるなんてできない!!だって……そんなに助けて欲しい顔ってしてるのに、見て見ぬ振りなんてできないよ!!」
「………」
……ただの綺麗事だと吐き捨てることもできた、無視することだってできた。同情してるだけだと決めつけることもできた。
……けど、もう一度、もう一度だけ期待してみようと思った。おかしいよな?さっきまで期待したく無いとかごねてた奴がいきなり何をって言うかもしれないが、コイツは俺と対等になろうとしたし、親身に話を聞いてくれた。だからなのかは分からんが、何故か妙な自信が急に湧いてきたんだ。
コイツは今この瞬間、絶対に期待を裏切らないって。
「!?」
改めて彼女の顔を見る。というか、今まで下を向いて話していたから初めて顔を見たかも知れない。本当に失礼な奴だなと、自分を卑下する。
綺麗な瞳だ、というか、見覚えが微かにあるような………
「あ」
「え?」
「…………」
「え?大丈──」
「ああぁぁぁぁ!!!ッケホ!!ゲホ!!」
「え!?え!?どうしたの急に?」
やべぇ急に叫んだせいで喉が…!!ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ!!そうじゃん!!さっき綾紬芦花って言ってたじゃん!!なんでもっと早く気付かなかったんだよ俺!!
何が「コイツは絶対に裏切らない」だよ!!そりゃそうだろだってあの綾紬芦花だぞ平伏しろ俺!!
ってことはなんだ!?転生した先って……「超かぐや姫!」の世界ってことかよーー!!?
◯
そこで俺はようやく、自分の根幹でもある、「百合」を思い出せたんだ。今まで塞ぎ込んでいたのが一気に馬鹿らしくなった。ずっと親の愛が欲しかった、だからそれでしか俺の心の泥は落とせないだろうと、そう絶望していた。
けど、いくら与えられない物を求め続けるだけじゃ駄目だったんだ。何処かでそれに気づかなきゃいけなかった。
多分、一人じゃ無理だったと思う。
けど、お前が行動してくれたからこそ、俺はこの世界を美しく見る事ができるようになったし、かつての腐った俺をぶち壊せたのだと、そう確信している。
だから──
「あの、さ?綾紬」
「ん?って今名前呼んでくれた!?」
「俺と、友達になってくれないか?」
「………っっ!!!いい゛よ゛!!!ごれ゛がら゛も゛よ゛ろ゛じぐね゛!!!」
「……ブフッ!!ハハハハハ!!!!なんでお前が泣くんだよ!!!!笑わせんなっていきなり!!!!」
「だっ゛で〜〜!!」
そこからはもうずっと笑ってたな、途中から綾紬も泣き止んで一緒に笑ってたし、もうめちゃくちゃだったのを覚えている。
この痛みが、幸福が消えることはないだろう。
なぁ、綾紬、優しいお前がいてくれたから、お前がこんな俺なんかのために一歩踏み出してくれたから、俺はこの時からやっと一歩踏み出せた気がしたんだ。幸せになれたんだよ。
なら、お前も幸せに、いや、お前を含んだ皆んなをハッピーな百合に持って行かないと釣り合いが取れないよなぁ!?
あ、もちろんノーマルも薔薇もOKです!!
とまぁ、こうして俺の人生は新たなスタートを切る事ができたんだ。
◯
「……いやぁ、そう考えると懐かしいよな」
「ん?何が?」
ロールケーキを食べ終え、紅茶を少し飲み話しかける。
「ほら、昔荒んだ頃の俺に綾紬が話しかけて、友達になってくれた頃からもう7年くらい経ってるんだなぁって、な」
「そっか、アレからもうそんな経つんだね。あの時と今のヒイロを見比べてみたら、ほんと別人みたいに見えそうだね?」
「そうかもな、今の俺は百合に生きる百合ニストだからな!!かつての貧弱で繊細な俺とはもう違うのだよ、綾紬」
「………」
「綾紬?」
「その、綾紬ってのもうそろそろやめよ?」
「ん?つまりどういいいいいい!!?」
「だ か ら !!名前で呼んでって事だよ!!ほんと鈍感なんだからああ!!!」
「分かった!!分かったから肩を揺らすのは止めろって!!、冗談抜きで肩が外れるからあああ!!!」
「じゃあ言って?」
「分かったよ……ヴヴン……芦花、これでいいか?」
「うん!!それでよし!!今度からずっっとそれね!!」
「分かった分かったってば……ってものすごい笑顔だな芦花」
「ん?なんでだと思う?」
「えー?教えてくれよ」
「えへへ……内緒!!」
それは、ヒイロが自分で考えないといけない事だよ!!
……ありがとうね、あの時友達になってくれて。
ヒイロのお陰で私、隠し事なんてしなくなってきたんだよ?
(まぁ今は一個だけ、隠し事してるけどね?)
君は、元気になってからはずっと自分に正直だったよね。
百合百合〜って、自分の好きな事を隠さなかった。
そんなヒイロの生き方を見てたから、私もそんな風に生きてみたいなって思えたんだ。
って、改めて考えてみれば、ヒイロは私に感謝してて、私もヒイロに感謝してるってことかな?
ってことは両想いってことかな?嬉しい!!
冗談はさておき……
いつか、
ウラ話
実はヒイロ君の前世も中々苦しい物で、幼い頃から病弱で、親も仕事で病院に中々会いにきてくれず、本しかマトモな娯楽が有りませんでした。そんな時に彼がハマったのが、「男子禁制ゲーム世界で俺が出来る唯一のこと」でした。
特に燈色君の百合に生きる生き様に憧れてしまい、そこから連鎖的に百合も好きになったって感じですね。「超かぐや姫!」も、そう言う経緯で見てたって訳ですね。
さて、かなり芦花の性格、と言うかなんか色々変えてしまった気がしますね。と、言うのも、本当にハッピーエンドにしたいってなったら、我慢なんてさせたくないですよね?少なくとも私はそう思います。
なら、破茶滅茶なヒイロくんを小学生ぐらいからずっと近くで見てたら我慢できなくなるんじゃ無いかな?って思ったんですよね。
性格ってのは高校生くらいまでならいくらでも変えられる、らしいのでこんな芦花ちゃんがいてもおかしく無いんじゃ無いかなぁ、って思いました。
そのうち、ヒイロ君が復活してからどんな感じだったかを間話として作ってみたいですね。