やっぱりrayっていいですよね。元々BUMPの曲が好きだったってのはありますけど、それでも結構にわかだったのでアカシアとか天体観測とか知らなかったのでこの曲を知れて良かったです。
私事はさておき、お気に入り登録やコメント、高評価ありがとうございます!
それでは、どうぞ!
何とか秘策を弄し、あの人混みの中を抜け、最近全くうまくいかない恨みを込めて、月人共を
俺は来る日──9月1日を待っていた。
「ああ、楽しみだぁ……本当に楽しみだ」
いつあの花火大会が開催されるかが分からなさすぎてどうしようかと思ってたが、そういえば芦花達がチラシ持ってたなって思って、ちょっと聞いてみたんだよな。
そうしてみたら案の定ビンゴ!!見事に俺は情報を入手することに成功!さらに「この日は実家に帰省するんだよね」って予めいつものメンツに伝えておくことで絶対にこの祭りに誘われることもない………!!完璧か?やっぱこういうケアは大事なんだよなぁ………
言ってしまえば脳も筋肉だ、再生と破壊を繰り返すことで能力が向上していくのかも知れないな。俺脳の仕組みとか全く知らんけどそうな気がする。……という事は、今の俺は百合IQ180を超えている可能性があるって事か……?
「………まあ君のことだ。大方何とかしてあの2人……酒寄彩葉とかぐやの後をつけて百合の鑑賞でもするつもりなんだろう?」
「そういう事だな。しかも今の俺は記憶を取り戻したことにより、魔法を現実できちんと行使できる様になったことに加え、かつての俺みたいに短時間の使用で自己消滅する様な危険性もほぼ無く、激痛に襲われることもない。流石に3.4時間くらい連続で使ってたら不味い気もするが、そんな事は少なくとも今はしない。即ち、鑑賞体制は完璧って事よ」
「もっとも、僕が手を下すまでも無く失敗するのは目に見えているがな」
「言ってろよ。人間は失敗を糧に変え、やがて一つの成功へと結びつけていく生き物だ。今の俺は失敗を積み重ね、より百合の高みへと登っている所なんだって分からねえか?………いや、魔人にはこのレベルの議論は難しかったか、すまんな(笑)」
するとまるでバカを見る様な目でこちらをみるアルスハリヤ。
「はぁ………君も魔人だろうが」
「……………」
………た、確かにそうじゃん。俺、魔人だわ………で、でもだ!少なくともお前よりは人だからこの理論はお前には通じるんだよ!!バーカ!バカバーカバーカ!!(語彙力の欠如)
…………話を戻そう。コレはまたとない百合を供給するチャンスだ。最近上手くいかなさすぎて心が限界なのでここで修復しねえと……
それに、コレが終わればいよいよ残ったイベントは月人襲来イベントだけ、ここは何としても乗り切る。
その為には、英気を養うために百合を鑑賞するというのは至極当然の論理と言える。さながら受験生が受験前日に食べるカツ丼と言っても差し支えないだろう。
そんな訳で、俺は準備を整えつつ、その日を胸を弾ませながら待つのだった。
○
「………そろそろ出発するか」
俺は過去の経験を思い出したことにより、新たに2つの魔法を発動することができる様になった。
まずは
俺は現在、この空間に九鬼正宗、それから
そして、
コレらを駆使すれば、かぐやと酒寄を遠くから、さながら観葉植物の様に
「さて、じゃあアルスハリヤ。危なかったら止めてくれよ?俺もどこら辺が危ないかの感覚くらいは分かるが、客観的な意見も大事だ。同居人らしくサポートしてくれよ?」
「言われずともするさ、何せ僕らは文字通りの一心同体だ。君が馬鹿みたいなミスをすれば死ぬのは君と僕。流石にそんなダーウィン賞を掻っ攫えるほどの愚行は犯したくないんだ」
「じゃあ頼んだぜ?もう信用も信頼もほぼほぼしてないが、実力だけは分かってるつもりだからな」
「ああ、大船に乗ったつもりで任せたまえ」
短い会話を済まし、俺はいよいよ部屋を出た。そこから目的地に向かおうとして階段を降り、道路に出たその瞬間───何か取り返しのつかない事をしてしまったように感じた。そう、例えば、長い間怒らせていた猛獣に自身の姿を晒してしまった様な…………
そして、その予感に身を任せ走ろうとした時───右手が誰かに掴まれた。それも結構強い力で。
「つーかまーえた」
「……………ゑ?」
…………嘘じゃん?この声滅茶苦茶聞き覚えあるんだけど……え?いやいや嘘だあそんな訳───
そして、後ろを振り返ってみると───明らかに怒っている芦花と、呆れている諫山がいた。そんな事ある?
「…………なんで、まだここにいるのかなぁ〜?」
「い、いやぁ実は今から実家に向かおうと思ってたところなんですよ芦花様」
あまりの圧に思わず敬語になるんだけど怖すぎませんか??てか何でここにいるの?それもなんか浴衣着てるしもう意味がわからないです。どういう事ですか?
………いや、分かる事はある!嘘をついたとバレるのは普通にマズイ……!!ここは俺の巧みな話術で誤魔化すしか……!!
「そもそもなんだけどさあ、ヒイロって確か実家の人から物凄く嫌われてるとか言ってなかったっけ?何で実家に帰ろうと思ったの?」
「そ、それはな?こう、長い時間をかけて気付いたんだよ。よくよく考えてたらすれ違ってただけで、改めて話したら何とかなるんじゃねってなってな?だから───」
「半分育児放棄してる様な人達と、何を話し合おうと思ってたの?」
「……………………」
アカン(アカン)。その通り過ぎて何も言えねえ……!!いいや!まだ言い返せるところは残───
「というか、もしそうなんだとしてもほぼほぼ何も持ってないのもおかしいよね?久々に会うんだし、普通お土産的なやつ持って行くと思うんだけど?」
「……………」
………………完敗だ。言い逃れができる未来が見えねえ。何で最近全部上手くいかないの???????いい加減にしてくれよラブコメ神!!!お前のせいで全部台無しだよ!!!!!!!!!!
「黙ってちゃ何も分からないんだけど?何か言ってくれない?」
「………………う」
「う?」
「嘘ついてすみませんでした………!!本当は実家に帰る予定なんてないです………!!」
「…………はぁ、じゃあ何で嘘ついたの?」
腰に手を当てながらため息をつく芦花。
「いやーその、酒寄とかぐやが2人で花火見に行くみたいでさ?こう、草葉の陰から見守りたいなぁ……って思って、1人の方が隠れられるかなって、思い、ました」
「……………要するに、たまにしてる百合の鑑賞がしたかったって事?」
「まあ、そんな所だとは思ってたけどね〜」
………なんか、こう、2人から呆れられるのって何回もあるんだけど、それでも意外とメンタルくるなぁって思いました。はい。
「………じゃあ、予定はないって事だよね?」
嬉しそうにそんな事を言う芦花。………というかこの手いつになったら離してくれるの???さっきからなんか恋人繋ぎじゃない?多分間違えたんだと思うんだけどさ??あんまり軽率にそんな事すると俺の心が死ぬぞ?気をつけろ?
「……まあ、そういう事になるな」
俺がそう返すと、芦花はその返事を待ち望んでいたかの様に──
「じゃあ、一緒に行こっか。花火大会」
と,言った。
冗談よしてくださいよマジで。花火大会に行くのはちょっと甘いもの一緒に食べに行ったりとかするのとは訳が違う気がするんですけど?ちょっと?
「え?流石に嘘ですよね?何でそんなニコニコしてらっしゃるんですか?あちょっと待って手を引っ張らないで!HA☆NA☆SE!!」
「いやー青春してるねー」
「諫山は呑気に見てないで助けてくれー!!」
◯
「はい、あーん」
そう言い。俺に向かって、チョコバナナを突きつけてくる芦花。
なんか俺がトイレ行ってる間に芦花と諫山が並んで2人の分と俺の分のチョコバナナ買ってきてくれたらしい……んだが……これは?
「いやいや待てよ芦花。まさかそれって俺にやろうとしてる訳じゃないよな?諫山にやってくれるって事だよな?そうだって言ってくれ……!」
「ん?何言ってるの?これ、ヒイロの分じゃん。お金はこの後払ってくれたらいいから、ほら」
「いやいや一旦待とうぜ?俺普通に自分で食べられるから。な?」
「…………私に嘘ついたくせに。口答えするんだ?」
そう言い頬を膨らましながらこっちを軽く睨んでくる芦花。………やるしか、ないのか?…………………申し訳ございません、百合の神よ。俺は今から禁忌を犯します。どうか寛大な御心でお許しください。
「……分かった、分かったって!はむっ……こへでひひだろ?……(もぐもぐ)……ってうまいなこれ」
いや、コレ普通にうまいな。あんまチョコバナナとか食べたことなかったから新鮮ってのもあるが、甘いし最高じゃねえか。
「でしょ?私たちもさっき食べたけど美味しかったよね?真実」
「そだねー。グルメ系インフルエンサーのこの私からしても、美味しいと言わざるを得ないね」
「諫山が言うなら間違いねえな」
そして、さっきので満足?したのかは知らんが俺にチョコバナナを渡してきたので味わいながら食べ終わった。
「さて、それじゃあヒイロも食べ終わったことだし、他のところも行ってみよー!」
「おー」
「お前らテンション高すぎだろマジで……ってだから無言で手を掴むのはやめてくれって芦花、心臓に悪いから」
何で急にこんな手を繋ごうとして来るの?百合を愛し、愛されている者であるこの俺の目でも見抜けないんだが……?……いや、まさか、結構、というか物凄く好感度あったりするって事………?いやいやそんなまさかね?
そして、移動した先に射的が出来る屋台があったので立ち寄ることにした。
「私、あの犬のぬいぐるみ欲しいかも」
「私はあのお菓子詰め合わせセットかな〜」
そう言い、2人は何とか的に当てようとするが……当たったりはしても倒れはしなかった。
「………だめだったー」
「流石に難しいね〜」
「惜しかったなー、良かったらまた来てくれよなー!」
………よし、やるか。
「じゃあ、次は俺が行くか」
そう言い、俺は銃にコルクを装填し、リロードしてから構え、過去の経験から弾道を予測、そして当てる的の重心を意識して───
パンッ!!………………パンッ!!
「………よし」
「あんちゃん上手いな!ほらよ、景品のぬいぐるみと、お菓子詰め合わせセットだ」
「ありがとうございます」
そう言って屋台から離れ、2人にさっき取った景品を渡す。
「ほらよ、欲しかったんだろ?これ」
「おーまじ?ありがたやー」
そう言い、俺を崇める諫山。調子いいなコイツ……いや別にいいんだけどな?
「……いいの?折角ヒイロが手に入れたやつなのに」
芦花は少し貰うのを躊躇してるみたいだな、まあ関係ないが。
「良いんだよ。元々お前らにあげる予定で取ったんだしな。むしろ貰ってくれた方がありがたい。普段なんだかんだ言って、一緒にいてくれるお礼だ」
ここまでやれたのも、きっとみんなが居てくれたからだ。芦花が俺と友達になってくれなかったら、きっとここに俺は居ないし、諫山がいたからスイーツについて詳しくなれた。2人とも、大切な友達だ。……あんまこんなこと面と向かって言えねえけどな。もちろん、かぐやも酒寄も、ヤチヨだってそうだ。
「………うん、ありがと。大事にするね?」
そう言って、犬のぬいぐるみを大事そうに抱えて俺に微笑んでくる芦花。………百合の守護者としては、こんな笑顔向けられたら駄目なんだが、あんまりにも嬉しそうだから何とも言えねえな。
「…………そ、そうか」
やべえ、なんか思ったより芦花の色気すご───
「ふっ!!!!!!」
パチィン!!
「ヒイロ!?」
「え?どったの急に?蚊でもいた?」
「そーそー、俺の両頬に蚊がいたからな、全力で叩いたんだよ。いやー最近割と湿気もあるし蚊が増えてるのかもなー?」
危ねえマジで、もうちょっとでなんか駄目な領域行きそうだったわ。自制心って大事。うん。
「た、確かに?」
「けど、最近蚊なんて見かけたっけ?」
「多分お前らには見えなかったってだけだろ。ほら、もうそろそろ花火始まるぞ?早く行こうぜ?」
「…………ん」
なんか芦花が手をこっちに突き出してきたんだが?…………あーもう、しょうがねえなぁ………
「………はいはい、こうすりゃ良いんだろ?」
「………………うん。ありがと」
そう言って芦花の手を軽く繋ぐ。…………もうどうにでもなれ、多分何とかなる。これも多分芦花の気紛れだから、多分、きっと、めいびー。
「よし、何とか良いスポット確保できたな」
「そうだねー、ここならゆっくりしながら花火見れるし、最高」
河川敷に少し探して買ったシートを敷き、俺たち2人は座って駄弁っていた。因みに諫山は急に用事ができたとかで帰った。………そんな急に用事ってできるか?と思ったが、気が付いたら居なくなってたんだよな。案外マジだったりするのかもしれん。
そうやって少し待っていると、花火が打ち上がり始めた。どれも陳腐な表現だが、色鮮やかで、こう、腹に響く様な音をしてるな。
「……………あのさ?ヒイロ?」
考え事をしていると、いきなり問いかけてきた芦花。
「どうした急に?諫山みたいに急に用事できた、とかか?」
「ううん。…………ヒイロってさ、ピアスが持ってる意味とかって,知ってる?」
「……………ん?いや、普通に知らんな」
ピアスが、持ってる意味?え?なんか意味あるの?あれ?
「実は男の人か女の人がつけてるかどうかだけでも意味変わって来るし、右耳だけとか、左耳だけとかってだけでも意味変わって来るんだー」
マジかよ、全然知らんかったわ。
「そうなのか………じゃあ、芦花が右耳につけてるピアスってどういう意味になるんだ?」
「…………スマホで調べてみたら?」
少し頬を赤く染めながらそんなことを言う芦花。……なんか、よくない雰囲気になってる気がするんだけど、気のせい?……気のせいにしとくか。うん。
「……そうだな。一回調べてみるわ。……えーっと、どれどれ──」
そうやってスマホで調べ始めた時に──横で芦花が動き出して、次の瞬間、頬に何か感触があった様な気がした。…………え?
思わず横を見たら、してやったりみたいな顔をした芦花がいた。そして───
「好きだよ、ヒイロ」
花火に照らされながら、見惚れる様な笑みで芦花は言った。
その瞬間、辺りで響いている花火の音や、それを見ている人達の喧騒が聞こえなくなった様な気がした。
「───────────(いきなりすぎて脳がフリーズした顔)」
???????????????え?好き?嘘でしょ?ヤチヨに続いて芦花も?そんな事ある?いやいやいやいや………嘘だ!!こんなの幻だろ!!!実は夢オチとかそんなんじゃないのかよ!?冗談よしてくれって!!てかじゃあやっぱあの海で俺が感じた事って間違ってなかったのかよ!!しくじったぁぁぁ!!!!!
「………ほら、ボーッとしてないで、こっち見てよ」
そんな事を言いながら、芦花は両手で俺の顔を優しく包んで正面を向かせる。
「…………そ、それとも、今度は──唇にキスされたい?」
蠱惑的な表情で、ものすごく恥ずかしそうに芦花がそんなことを言った。
「───────────(脳に深刻なダメージを負った顔)」
グボオァ!?何だこれは、何なのだこれは!?理解できぬ理解できぬ理解できぬぅ!!!!!え?じゃあ何?やっぱり芦花は俺のことがすすすすすす好きって事!?もう終わりだよもう………何で立て続けにこんなことが起こるの?ねえ?何で?
「………ち、因みに、その好きって、友達としての好き……だったりします?」
一縷の望みを賭けて尋ねてみるも────現実は非情だった。
「………ここまでしたんだから言わせないでよ、馬鹿」
終わりだ。
「………………そう、だよなあ……」
僕たちは、どうして、こんな(取り返しのつかない)所まで来てしまったんだろう…………何処から、間違えたんだろうな………
「……いきなり返事を聞かせて、なんて言わないからさ。ゆっくり、考えてね?………私はもう………色々恥ずかしいから、帰るね?」
そう言い、顔を赤くしながら少し小走りで帰った芦花。
…………え?ちょっと待って?気のせいじゃなかったら、俺今2人に告白受けてない?どうするのコレ?え?…………え?頭おかしくなる……!!
あまりの情報量に悶えていると、アルスハリヤが出てきた。
「見事に何もかもが上手くいってないな。ここまでいくともはや芸術の域だよヒーロ君。非常に見ていて愉しかった」
「あ、あえ?あ………あ?」
「………これは暫く放置しないと治らないな。……実にいい愉悦だった。その調子で、もっと僕を愉しませてくれ」
言いたいことだけ言ってアルスハリヤは消えた。
……………どうしろと?俺、え?え?あー駄目だこれ、もうなんか無理。え?だってこれ、え?
困惑しながらも、俺はこの先どうすれば良いのか分からず絶望するのだった。
余談ですが、芦花はヒイロ君がほぼほぼ嘘をついていると確信していたので真実と一緒にアパート付近で待機してました。怖くない………?
さあ、ここで更にヒイロ君のハートにダイレクトアタックを仕掛けて行くー!愉しくなってきたー!!
それはさておき、ここまで見てくださってありがとうございます!次回もゆっくり待っていただけたら幸いです。
それでは、また次回!