百合の間に挟まるなんてイヤだー!!!   作:執筆初心者

25 / 26

またまた過去最長です。何でこんな長くなっちゃうの?ってなりながら書いてました。けど、一旦区切りの良いところまでは出来たと思います。

多分後3話くらいでこの物語も幕を下ろすと思います。蛇足もやるとは思うんですけど、最後まで温かい目で見守ってやってください。

それでは、どうぞ!!


最後の決戦

 

突如姿を現した黒衣の剣士は、間合いを凄まじいスピードで詰めて来た。

 

 

 

 

「ッ!!」

 

 

 

 

 

慌てて剣で受け止めた彩葉。あと数コンマ動作が遅れていたら確実に斬られていただろう。

 

 

 

 

 

早い………!!あの人と同じか、それより少し遅いくらいかもしれない………!!けど、やっぱり、そう何度も受けきれない……!!

 

 

 

 

 

 

火花のようなエフェクトを飛び散らせながらも、何とか鍔迫り合いをする彩葉。だが、この場には──1人のプロゲーマーがいる。

 

 

 

 

 

 

こっちには───お兄ちゃんがいる!!

 

 

 

 

 

 

「………………フッ!!」

 

 

 

 

 

 

確実に金棒が当たる距離まで帝は近づき、無言で確実に敵を屠ろうとした帝だったが──躱される。

 

 

 

 

 

 

目の前の敵が只人なら、確実にダメージを負わせることが出来たのだろうが──そう簡単にはいかなかった。黒衣の剣士は、刀にかけている重心をずらす事で彩葉の体勢を崩しながら、背後から来た攻撃に即座に反応、攻撃された衝撃を利用し、反撃されないように後方に下がった。

 

 

 

 

 

 

 

注意が私に向いている隙に吹き飛ばしてもらおうと思ったけど……そんな簡単にはうまくいかない、か………

 

 

 

 

 

 

 

そうして距離を取った黒衣の剣士は───両手を広げ、微かに見える矢のような物を複数展開していた。

 

 

 

 

 

 

それを目視した私はワイヤーを使い即座に離脱、お兄ちゃんは私よりも早く障害物に隠れようとした。

 

 

 

 

 

 

だが───

 

 

 

 

 

 

「──!チィッ!!」

 

 

 

 

 

 

それすら予想されていたのか、矢を放ったと同時に此方に向かって来たソイツは、地上にいたお兄ちゃんに即座に追いつき、切り掛かった。

 

 

 

 

 

 

慌ててカバーに入ろうとした彩葉だったが───その必要は無かった。

 

 

 

 

 

 

「───舐めんな」

 

 

 

 

 

 

凶刃が鬼の首を刈り取ろうとした───次の瞬間、黒衣の剣士は瞬く前に吹き飛ばされ、矢も弾かれた音がした。

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんの額を見ると、赤く禍々しい紋様が浮かんでいた。………これって、もしかして───

 

 

 

 

 

 

『おおっと!!怒涛の展開が繰り広げられているこの瞬間に、ブラックオニキスの帝アキラ!続けて乃依、雷にチートモードの使用が確認されました!!』

 

 

 

 

 

 

やっぱり、チートモードだ。でも、こんな物使っちゃったら今まで積み重ねて来たものが全部消えるかもしれないのに………

 

 

 

 

 

 

けど、心配と同時に、そこまでしてくれるのかという感動が胸の中を渦巻いた。

 

 

 

 

 

 

「まだまだここからだろ。彩葉!!」

 

 

 

 

 

 

「…………うん!!」

 

 

 

 

 

 

だけど、目の前の敵の強さは───私の想像を遥かに超えていた。どれだけ攻撃をしようと、連携を取ってもギリギリのところで躱されたり、受け流されたりした。倒せそうで、どこか倒せないといった感じだ。ハッキリ言ってキリが無い。

 

 

 

 

 

 

幾度目かも分からない攻撃を仕掛けるが、少しずつ読まれできてる……このままじゃ確実にコイツを止められなくて天守閣を堕とされる……どう、すれば───

 

 

 

 

 

 

「………彩葉!ここは俺がなんとか時間を稼ぐ。だから、アイツ(・・・)を連れてこい!!ボイチャが何でかは知らんがアイツにだけ通じねえ!!直接伝えるしか無い!!」

 

 

 

 

 

 

………確かに、理に適ってはいる。あの人が一番この敵の事が分かる筈。私でも明らかに似ていると感じたんだ、なら、あの人を連れてくれば対処は出来る……けど、今でもこの均衡が崩れるかそうじゃないかのラインなのに、ここで私が離れたら………

 

 

 

 

 

 

 

「彩葉!!俺を信じろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「─────!!」

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と同時に全力で駆けた。後ろは振り返らない。だって、お兄ちゃんが頑張ってるのは知ってたから。このゲームと向き合い続けてた。

 

 

 

 

 

 

 

すごいなぁって、ずっと、思ってた。マグレだとしても、かぐやと一緒に戦って倒せた時、めちゃくちゃ嬉しかった。だから───例え勝てなくても、絶対負けないって信じてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………行ったか」

 

 

 

 

 

 

彩葉が何とか離脱できたのを確認した後に、目の前にある敵を見据える。…………やっぱり、妹がちゃんと誰かを頼れるようになっていて、お兄ちゃんとしては嬉しい限りだ。

 

 

 

 

 

 

俺には簡単には出来なかった。そこは少しだけ、悔しいな………けど、ここ最近の彩葉は少しづつ誰かを頼れるようになってる。きっと、誰かが彩葉を変えてくれたんだ。

 

 

 

 

 

 

仕込み刀を構え、銃を撃てるように目の前の敵に向ける。

 

 

 

 

 

 

多分だが、それはかぐやちゃんだ。あの子は言いたいことをハッキリ言うし、辛くなったら誰かを頼れるタイプの子だと思ってる。彩葉とはまるで真逆な子だな。

 

 

 

 

 

 

それに呼応したのか、再び刀を此方に向けてくる宇宙人。

 

 

 

 

 

 

だからこそ、あの2人はあそこまで仲が良くなったんだろうな。何か足りていないものを感じてたから、一緒にいて楽しいから。俺が分かっていない部分もあるんだろうが、きっとそんなシンプルで、尊い理由だ。

 

 

 

 

 

 

 

彩葉の事を大切に思ってくれてる友達もいた。これからも、ずっと仲良くしてやってほしいな………

 

 

 

 

 

 

 

それに、結局何処の誰かは分からなかったし、どういう考え方なのかもイマイチ分かるようで分からん、彩葉を見守ってる奴もいた。………コレが無事終わったら、コッソリどんな奴か本人に聞いて教えてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

…………感傷に浸るのも、もう辞めるか。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、時間稼ぎとは言ったが、コレでも俺はプロゲーマーだ。全力で勝ちに行かせてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

それに───

 

 

 

 

 

 

「ブラックオニキスである前に、プロゲーマーである前に、俺は彩葉のお兄ちゃんだ!!アイツの(想い)をぶち壊させなんて──絶対にさせねえっ!!」

 

 

 

 

 

 

帝は決意を叫び、目の前の敵に向かって走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が持てる全ての力を込めて、マップ上に表示されている白百合さんの元へ移動する。お兄ちゃんが時間を稼いでくれている間に連れて来ないと、何もかもが無駄になっちゃう………そんな事、絶対させない!!

 

 

 

 

 

 

思いを馳せるは私の大切な友達。2人がかりで一生懸命得体の知れない宇宙人に立ち向かってくれた。今はもうリスポーンもできない状況だろうけど、本当に頑張ってくれたと思う。すごく嬉しかった、傲慢かもしれないけど、私の為に頑張ってくれたんだって、痛いほど伝わったから。

 

 

 

 

 

 

想起するはブラックオニキスの人達。お兄ちゃんが私と関係があるとはいえ、あの人達は私とそこまで関わりが無いのに、チートまで使って助けようとしてくれている。有り難い限りだなぁ、って思った。ブラックオニキスじゃないけど、白百合さんもなんだかんだで助けてくれるしね。

 

 

 

 

 

 

全力で移動しながらも、遠くから聞こえて来る歌声があった。

 

 

 

 

 

 

………かぐや、アンタが来てからさ、ずっと騒がしかったよね。たまーにヒイロも来たり、芦花と真実と一緒に遊んだこともあったっけ。柄にもなく、一緒にはしゃいじゃったりした時もあったっけか………

 

 

 

 

 

 

ずっとさ、分からなかったんだ。お母さんは誰にも頼らずに頑張ってた。私もそうあれって、言われ続けてた。助けなんて求めちゃダメだって。

 

 

 

 

 

 

けど、私の周りはみんなお節介だからさ?なんだかんだで頼ってたりもしたんだ。………でも、心の何処かで「本当にコレでいいのかな?」って、思ってたような気もする。だから、本当の意味で変われたのは──きっと、かぐやのお陰。

 

 

 

 

 

私の家に潜り込んできて、私の事を見てくれて、ちょっかいとか、面倒くさい所はあったけど…………それでも、常に、隣に私の事を想ってくれる大切な人がいるだけで、心が救われたような気がした。

 

 

 

 

 

そう、かぐやのお陰なんだよ!!ヒイロも、芦花も、真実も、かぐやだって、みんな失いたくなんか無い!!私は───

 

 

 

 

 

刹那、彩葉に襲いかかる不安による思案を───黒い影は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

「────え?」

 

 

 

 

 

 

服装がボロボロで、仮面も剥がれてるけど───さっきの奴だ。

 

 

 

 

 

 

嘘だ、お兄ちゃんが負けた?そんなこと考えてる場合じゃ無い武器を構えて体勢を───駄目だ、角度的にも、速度的にも───間に合わない。

 

 

 

 

 

 

 

……………………いやだ。

 

 

 

 

 

 

 

『よし、決めた!自分でハッピーエンドにする!』

 

 

 

 

 

 

 

…………いやだ。

 

 

 

 

 

 

 

『彩葉が危なくなったら、かぐやが助ける!』

 

 

 

 

 

 

 

……こんなのいやだ。

 

 

 

 

 

 

 

『彩葉。好き』

 

 

 

 

 

 

 

やっと、これからもっと楽しくなりそうだったのに……こんなのって、ないよ。

 

 

 

 

 

 

真横から迫ってくる刃がスローモーションに見える。音を聞く感じあの矢も私を囲むように放たれているのが分かる。きっと、このままじゃ待機場所に送られて、ただ見てるだけしか出来ない。……いや、だなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

ふと思い出すは──お節介焼きで、面倒くさい趣味を持ってる、私の親友(ヒイロ)の声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『頼りたくなったら頼ってくれ、友達だろ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………なら、今助けてよ。ヒイロ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────任せとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、私の隣で、周囲で、何かが弾かれたような音がした。

 

 

 

 

 

 

 

「……………@@atpdw.'vj_」

 

 

 

 

 

 

 

「誰だコイツ?なんか俺のパクリみたいな格好してるんだが?」

 

 

 

 

 

 

 

聞き覚えのある声が私に問いかけてくる。そして、仮面をつけてるくせに、何処か安心させてくれるような表情で───

 

 

 

 

 

 

 

「…………お望み通りの奴じゃないだろうが──助けに来た」

 

 

 

 

 

 

 

そう、言ってくれた。………ほんと、都合のいいタイミングで来てくれるなぁ………

 

 

 

 

 

 

 

酒寄の挙動がマップ上でなんかおかしかったから近づいてみたら、俺によく似た黒っぽい奴が酒寄の事を倒そうとしてました。本当に意味が分からない。誰お前?最初居なかったじゃん。

 

 

 

 

 

 

「ふむ、恐らくだが、あの王冠が止まった瞬間にコイツを生産したのだろう。僕達の脅威性に気付いたようだな。流石の演算能力といったところか?」

 

 

 

 

 

 

………成程、そういう事か。確かに此処にいる俺はアバターじゃなくて本体だ。勘づかれてもおかしく無いし、むしろ好都合(・・・)だな。………なら、ひとまず情報収集でもしよう。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、いろP。アイツはどんな奴だ?戦い方とか分かるか?」

 

 

 

 

 

 

 

何故わざわざ俺の元に向かって来たのかだが……恐らく、ボイチャとかの連絡が俺に出来なかったんだろうな。まあただのアバターじゃ無いし、そんなバグが出て来てもおかしくは無い。多少は誤魔化せてもな。

 

 

 

 

 

 

 

だからコイツを止める為に俺を呼ぼうとした結果、ここまで来る事になったって事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

「……何でかは分からないんですけど、貴方が使う武器とよく似たものを用いますし、戦い方が酷似してます」

 

 

 

 

 

 

 

………成程?だが、その割には魔力は全く感じねえな。……っ!!

 

 

 

 

 

 

 

ガキィン!!!

 

 

 

 

 

 

 

「1」€%→+¥:21[58」

 

 

 

 

 

 

 

「少しは作戦会議させてくれよ………!!」

 

 

 

 

 

 

 

早いな……!!下手すれば俺くらいスピードあるじゃねえか。確かに今まで戦って来た月人も間違いなく強かったが、ここまでの奴は初めてだ……!!

 

 

 

 

 

 

魔眼はまだ(・・)使えねえ……!!アレなしでコイツを倒せるか……?いや、ここで倒し切る!!

 

 

 

 

 

 

「いろP!一旦俺はコイツと相手しておく!だから、それまでは残ってる乃依のサポートに行ってくれ!あと………最悪処理しきれなかったらそっちに行くかもしれねえ!連携を取る準備はしといてくれ!」

 

 

 

 

 

 

「……………分かりました!!頑張ってください!」

 

 

 

 

 

 

少し逡巡した様子の酒寄が移動したのを確認した後に、俺は目の前の敵を倒そうとする。

 

 

 

 

 

 

光剣(ルークス)を一時的に解除、そのまま足払いをして敵の体勢を崩したが───倒れそうになった瞬間に、無理矢理剣を両手で地面に突き立て、その反動で跳ね返るように距離をとって来た。

 

 

 

 

 

 

……馬鹿げた身のこなししやがって、いくら宇宙人とはいえそんな事もできるのかよ。

 

 

 

 

 

 

光剣(ルークス)再展開。………どうする?今の感じ技量も俺と同レベルみたいだ、お陰で決定打が無い。取り敢えず合流しやすく、それでいてアイツらの邪魔にならない程度の場所に行く……いや、さっきも考えたが、その前に確実にコイツを倒すのが1番、か……………

 

 

 

 

 

 

 

なら、コイツで───!!

 

 

 

 

 

 

 

光学迷彩(ディストーションフィールド)………!!」

 

 

 

 

 

 

 

コレで無理矢理近づいて、不意打ちをすれば流石のコイツでも………!!

 

 

 

 

 

 

 

相手に気づかれないように、それでいて尚且つ素早く相手の背後に向かい、光剣(ルークス)でそのまま斬りつけようとするが───

 

 

 

 

 

 

「☆♪→27€38%7」

 

 

 

 

 

 

 

「………!!コレすら反応してくるか……!!」

 

 

 

 

 

 

流石に少し狼狽えたのか、距離を即座にとった敵。

 

 

 

 

 

 

 

「なら、コレでどうだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

光学迷彩(ディストーションフィールド)解除。そして、光剣(ルークス)を長くし、長刀にすることでリーチを無理矢理作り出す。コレで有利に状況が運んでくれたらいいが…………

 

 

 

 

 

 

「☆42%:〒85・55€%・」

 

 

 

 

 

 

 

「チイッ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

刀で対抗するのが危険だと悟ったのか、不可視の矢(ニル・アロウ)擬きを大量に繰り出して来やがった……!!やられると厄介極まりないなコレ!|

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、再現出来ていないのか少しだけ見えるのが幸いだが……貫通力は俺の不可視の矢(ニル・アロウ)と同じくらいと見ていい。こんな化け物を野放しにすれば、天守閣が落とされる事間違いなしだ。全滅もあり得る。

 

 

 

 

 

 

 

光剣(ルークス)で矢を弾きながら、俺はアルスハリヤに話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルスハリヤ!!何か策あるか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………そう、だな。見ていた感じ、決定打が互いに欠けている。このまま行けば泥試合になるだろう。だからこそ、一度この膠着状態のまま彼女達の元に行き、複数人で連携を取るしかないだろう」

 

 

 

 

 

 

…………やっぱそうだよな。俺たちが3人なのに対して残ってる月人は2人。王冠野郎は停止してくれたお陰で俺が処理できたし、そのお陰で無限に近い物量で押し返されるなんて事も無くなった。人数差で倒すというのが楽でいい。だが──

 

 

 

 

 

 

「そうなってくると、もう1人の月人はどうするんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

「今頃、残った月人と2人が接敵している所だろう。僕達が近くに行くまでに倒し切れている事を祈るしか無いな。」

 

 

 

 

 

 

 

……なら、何とかして誘導するしかないな。いくら物量があるとはいえ、なんとか捌ける。最悪被弾して欠損が生じても何度か再生は出来る。なら、ひとまずこの状況を継続しつつ、か……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、彩葉と乃依、そしてもう1人の月人が見えてくる位置となった。

 

 

 

 

 

 

………よし、なんとか此処まで移動させれた。が……まだアイツは倒し切れてねえか……!!やっぱあの四本腕は強いんだな………

 

 

 

 

 

 

 

「いろP!!一旦その敵は乃依に任せて、こっちに来てくれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「………大丈夫ですか?乃依さん」

 

 

 

 

 

 

 

「別にいいよー。だって俺プロだし。それに、まだ少しだけチートも使えるしね」

 

 

 

 

 

 

 

「………分かりました。頑張ってください!!」

 

 

 

 

 

 

 

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

そして、彩葉はヒイロの元へと駆けつけた。

 

 

 

 

 

 

 

………さて、コレで準備は整った。小声で話しかけるとしようか。敵も、どうやら考え込んでるみたいだしな。

 

 

 

 

 

 

 

「いろP、今から俺は─────」

 

 

 

 

 

 

 

出来るだけ短く、簡潔に作戦を伝える。

 

 

 

 

 

 

 

「……分かりました」

 

 

 

 

 

 

了承も得た、なら後は───

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、コレで終わりにするぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

この戦いを終わらせるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

「挨拶代わりだ!!受け取れよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

不可視の矢(ニル・アロウ)作成(クラフト)!!そのまま射出、狙うのはアイツが立ってる地面(・・)、そして俺の周囲(・・)だ……!!

 

 

 

 

 

 

数多の不可視の矢(ニル・アロウ)を打ち込まれた事によって立ち上る煙のようなエフェクト。辺りは視界が遮られ何も見えなくなった、コレで酒寄を隠す。

 

 

 

 

 

 

「いろP、後は頼んだ」

 

 

 

 

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

ある物(・・・)を酒寄に手渡し、擬似的な煙幕が消えるまでにアイツに近づく………いた!!

 

 

 

 

 

 

「コレで終わりにしようぜ!!パチモン野郎!!」

 

 

 

 

 

 

光剣(ルークス)を普段通りの長さで生成したヒイロ。そして、剣戟を煙幕から少し離れた所で繰り広げる。互いに切り掛かった回数はこの試合だけだが、それでもかなりの回数だろう。故に、互いに癖は読めている。

 

 

 

 

 

 

 

「〒・771→7#57÷¥」

 

 

 

 

 

 

 

「何言ってるか分からねえ……よ!!」

 

 

 

 

 

 

 

互いの癖が読めているということは、隙を作った方が先に負けるという事だ。そして、今回は───

 

 

 

 

 

 

「っ!!しまっ───」

 

 

 

 

 

ヒイロの右腕が切断される。桜のような、それでいて何処か赤く染まった、赤い桜とも言えるエフェクトが散った。コレで、右腕と共に光剣(ルークス)をヒイロは地面に落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そのまま黒衣の剣士は刀を切り返し、ヒイロの胴体を切り飛ばそうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、この勝負、ヒイロが負ける───訳ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………甘え、んだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝ちを確信させたその瞬間こそ、最大の隙となる。ヒイロは今まで癖を、隙を作っていたのだ。隙を確実に、この瞬間に突かせる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロは、既に発動させてある強化投影(テネプラエ)で強化した右足で敵を全力で蹴り飛ばし、布教空間(パーソナルスペース)を展開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロが左手で取り出したのは、──ヤチヨの傘(・・・・・)だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒイロ…………頑張って………!!」

 

 

 

 

 

 

 

運命に囚われていた少女は、ただ祈る。ちっとも望んでいない結末を壊してくれる事を。

 

 

 

 

 

 

 

そして、そのままヒイロは仕込む前から既に展開していた傘を、蹴り飛ばされ、姿勢を崩した目の前の敵に左手で投げつけるが────コレも無理矢理躱される。

 

 

 

 

 

 

 

 

万事休すかと思われたが───まだ、猛攻は続いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

『おおっと!!ここで乃依!!突如目標を変え、黒衣の剣士に鈍足連射だ!!』

 

 

 

 

 

 

 

『猶予1fです』

 

 

 

 

 

 

 

連射をしたその隙を乃依は月人に狩られ、体を貫かれるが───ニヤリ、と凄惨な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

「…………まんまと引っかかってくれたねー。それでも宇宙人?頭、足りてないんじゃなーい?」

 

 

 

 

 

 

乃依は武器を無理矢理月人の武装に引っ掛け、月人を動けなくした。その瞬間───雷が設置していた、大量の地雷(・・・・・)が起爆する。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、一緒に───死のっか♡」

 

 

 

 

 

 

 

……まあ、充分仕事はしたでしょ。それに、アイツは本物じゃないとはいえ、一応あの時の仕返し(・・・・・・・)は出来た。帝の敵討ちとまでは行かなかったけど…………ざまーみろ。

 

 

 

 

 

 

 

そして、爆音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここでNPCが1人ダウン!!そしてその後に、既に剣で貫かれた乃依もダウンだー!!残りは白百合、そしていろP、敵の鈍足が残った黒衣の剣士一体のみとなりました!!』

 

 

 

 

 

 

 

よし!!コレなら───いける!!

 

 

 

 

 

 

 

 

彩葉(・・)ー!!!!俺に掴まれッ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────ッ!!うん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

煙幕から飛び出して来た彩葉が両手で握るは───かぐやのハンマー(・・・・・・・・)、コレも布教空間(パーソナルスペース)に格納していた今回の切り札(・・・)だ。

 

 

 

 

 

 

 

「彩葉………もっと、一緒にいたいよ……」

 

 

 

 

 

 

 

運命を受け入れようとしている少女は微かに呟く。それが、ただのワガママだとしても。

 

 

 

 

 

 

 

即座に自身の体内に貯めてあった魔力で回復させた右腕で、ヒイロは全力で駆けて来た彩葉の手を掴み、そのまま勢いよく、鈍足状態がまだ取れていない黒衣の剣士の元へ投げる。

 

 

 

 

 

 

 

「────ぶっっ飛べぇっ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

そう言った彩葉によってハンマーを全力で振るわれた事で、思わず武器を手放し、空中に吹き飛ばされた黒衣の剣士。そして───上空から、ヒイロが投げた物(・・・・・・・・)が返ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロは考えた。攻撃が避けられ、受け流されるのなら──避けることの出来ない空中(・・・・・・・・・・・・)で、尚且つ意識外(・・・)から攻撃すればいいと。

 

 

 

 

 

 

故に、ヤチヨの傘(・・・・・)を少し上向きに投げる事でブーメランのように上空から返ってくるようにした。

 

 

 

 

 

 

そして、乃依に何とかして妨害するように彩葉に連絡をさせ、その隙に、傘が返ってくる時の軌道上に敵をハンマーで吹き飛ばす事で───撃破することが出来る、という訳だ。

 

 

 

 

 

 

だが、いくら数千年生きて来たヒイロとはいえ、ハンマーを使うことは今まで無かったのだ。故に、ヒイロはかぐやとずっと一緒だった彩葉に託した。

 

 

 

 

 

何故なら、彼女はかつて───黒鬼戦に備えて、かぐやと連携する為に、かぐやのハンマーを使えるようにしていたのだから。

 

 

 

 

 

 

「───コレで、終わりだ」

 

 

 

 

 

 

そして、空中にいる黒衣の剣士の背後から傘が襲いかかり───胴を両断した。

 

 

 

 

 

 

これにて、雌雄は決した。勝者は───語るまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふう、何とか勝てたな」

 

 

 

 

 

 

良かったーマジで。これで勝てなかったらマジで切腹物だったわ。

 

 

 

 

 

 

そんな事を思っていると、何故か酒寄が耳元まで近づいて来た。……?何これ?何しようとしてんの?

 

 

 

 

 

 

そして、誰にも聞こえないように、彩葉は呟いた。───ヒイロにとって、処刑宣告とも言える言葉を。

 

 

 

 

 

 

「ホントだよ。……勝ててよかったね?ヒイロ(・・・)?」

 

 

 

 

 

 

「まあな、勝ててよ……かっ……た?」

 

 

 

 

 

 

え?ちょっと待って?今コイツなんて言った?いやいや何で?バレる訳が───あ。

 

 

 

 

 

 

「か、仮面が、俺の仮面が………割れてるじゃねえかあぁぁああああぁ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

思わず彩葉から離れ、魂の限り叫ぶヒイロ。

 

 

 

 

 

 

そう、今までの激戦の衝撃、そして黒衣の剣士との最後の剣戟で、既に仮面は目が見えるくらいには割れていたのだ。集中しすぎていたが故にヒイロはそれに気付く事が出来なかった。

 

 

 

 

 

しかも、アバターではなく、ヒイロ本人の肉体をツクヨミに呼んだ事によって、アバターの顔ではなく、正真正銘ヒイロの顔(・・・・・)が見えるようになっていた。故に、言い逃れは不可能という訳だ。

 

 

 

 

 

 

「ずっと、私達のことを見守ってくれてたんだ?わざわざそんな格好しなくても良かったのに………でも、ありがとね?」

 

 

 

 

 

 

う、嘘だ……!!僕を騙そうとしてる!!こ、こんな、こんな事があっていいのか!?完璧に勝ったじゃねえか!?なのに何で………ん?ちょっと待て?なんか酒寄の目が熱っぽいような………ち、違う!!ただの勘違いだ!!俺がそう思い込んでるだけだ!!

 

 

 

 

 

 

 

「………黙ってないで、なんか言ったら?見守ってくれてたのは嬉しいけど、今までずっと隠して来た訳なんだし、謝罪くらいあるよね?」

 

 

 

 

 

 

ニッコリと、優しく微笑んでくる酒寄。………なんか怖いんだけど、なんで?さっきまで本当に優しそうな笑顔だったじゃん。なんでなの?

 

 

 

 

 

 

「さ、酒寄………これは、その………」

 

 

 

 

 

 

「ん?酒寄?おかしいなー?さっき彩葉(・・)って呼んでくれたような気がしたんだけどな〜?」

 

 

 

 

 

嘘だろ?え?マジで言ってる?何を口走ってんだよ俺は!!!!????馬鹿なのか!!??穴があったら入りたい………もう、死にてえ…………

 

 

 

 

 

 

「…彩葉、今まで隠してて本当にすまん……!!」

 

 

 

 

 

 

即座に土下座する俺。…………ああ、もう終わりだよマジで……

 

 

 

 

 

 

だが───追撃は止まない。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、ツー君?ヤッチョにも何か言うことあるよね〜?」

 

 

 

 

 

 

そう言われ振り返ってみると………般若がそこに居た。

 

 

 

 

 

 

…………あ──もしかしなくても………バレた(・・・)?もう嫌だぁ………何もかもおしまいだぁ…………

 

 

 

 

 

 

「本当に、本当に…………す、す、す、すみませんでしたー!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

その後、ヒイロがどうなったかは──また、別のお話。

 




ウラ話

ヒイロ君は普段心の距離をほんの少しだけ離せるように、人の名前は苗字で呼ぶようにしていました。(例外は当然ありますが)ですが、感情が昂ったりすると名前を呼んでしまうという、本人ですら気づいていない習性があります。

いやー、何とか布教空間(パーソナルスペース)使いこなせたんじゃないでしょうか。格納できる空間ってのを考えた時に「なら、ヤチヨとかぐやの武器仕込ませたら……なんかおもろい事出来そうやな」ってなったのでこうしました。

あと、乃依の自爆?についてなんですが………偏見なんですが、ああいう格好した子って、無理心中しそうじゃない?ってなったのでこうしました。なんか良くないですか?これ。


それはさておき………


決着ゥゥ!!!!!!!ハッピーエンド、これにて完成!!良かったじゃんヒイロ君!ちゃんとみんないるよ?何でそんな苦悶の表情なの?教えてよねえねえねえ??

あと、遂に物語も幕を下ろします。温かいエピローグを数話書いて終わりになりますね。

高評価、お気に入り登録、コメントありがとうございます!!良ければどれかして頂けたら嬉しいです!!




















ちなみに、何で曇らせタグがあるのかは、次回か、さらに次の回のどちらかで分かります。絶対にハッピーエンドにはしますけど。

それでは、また次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。