百合の間に挟まるなんてイヤだー!!!   作:執筆初心者

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お待たせしました!ついに、ようやくこの時がやって来ました…!!色々やりたいことが多すぎてボリュームがまた馬鹿みたいな事になってますが、ご了承ください!!

コメント、高評価、お気に入り登録などありがとうございます!良ければしてやってくれたら幸いです!

それでは、どうぞ!



馬鹿げた結論

 

ヒイロの家でパーティーの段取りを立てていた次の日。私は学校に着き、芦花達と授業が始まるまで話をしていた。

 

 

 

 

「ところで、パーティーの段取り決めてたらしいけど、どんな話してたの?」

 

 

 

 

首を傾げて、ちょっとした疑問を私に問いかけてきた芦花。

 

 

 

 

 

あ、そういえば『パーティーしてみない?』的なお誘いはしてたけど……昨日どんな話してたか伝えてなかったかも。ちゃんと伝えとかないとね。

 

 

 

 

「えーっとね……取り敢えずケーキはかぐやが作りたいらしいからかぐや担当で……あと、私が学校に行ってる間はかぐや暇してるし、私から何かしら準備するように言ったんだよね。めっちゃルンルンだったよ」

 

 

 

 

昨日の出来事を思い返しながら話すと、芦花が楽しそうな表情で私に話しかけてきた。

 

 

 

 

「それだけかぐやちゃんも楽しみにしてるって事でしょ。下手すればもう二度と会えなくなるところだったんだし、喜びもひとしおって事なんじゃなーい?」

 

 

 

 

 

もちろん、私達も楽しみだけどね?ねー真実?という問いかけに、それな〜とゆるゆるな表情で返事を返す真実。

 

 

 

 

 

確かに、かぐや昨日の夜から物凄い浮かれてたし、楽しみにしてるのは間違いないかも。あと、昨日は。…昨日は…………あれ?

 

 

 

 

 

昨日のことを振り返っていると、まだ来ていない奴(・・・・・・)がいることに気が付いた。

 

 

 

 

「……………そういえば、ヒイロまだ教室来てないよね?学校休むって事かな………」

 

 

 

 

ヒイロが学校休むとか私見たことないんだけど………いや、案外寝坊してるとか?この前も百合の事について考えて徹夜してたらしいし……いや、よくよく考えたらヒイロが遅刻する所すら見たことない。

 

 

 

 

 

何でだろうか、少しだけ胸騒ぎがする。

 

 

 

 

 

不安に駆られながら思考を繰り返していると、芦花と真実は信じられない様な顔で驚いていた。

 

 

 

 

「え?………ホントじゃん。おかしいなー?この時間くらいには絶対教室に居るはずなのに………でも私、ヒイロが学校休む所見たことないし、何なら遅刻すら見たことないんだけど………」

 

 

 

 

 

「休むにしても、ちょっとヒイロらしくないよねー。一言くらい私達に何か連絡すると思うし………それに、今芦花が言ってくれたけど、私も、ヒイロが学校休むとこも、遅刻するとこすら見たことないかな」

 

 

 

 

 

動揺を隠しきれない様子の芦花。真実も何ともいえない表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

……芦花と真実ですらヒイロが休んだり、遅刻したところを見たことがない………か。

 

 

 

 

 

そんなことを考えながらも、ふと教室にある時計を見ると、もう間も無く授業が始まる時間となっていた。………やっぱり、何かあったのかな……

 

 

 

 

 

結局、ヒイロは学校に来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり、教室を後にする生徒が出てくる中。私達はヒイロが学校に来なかった事について心配していた。

 

 

 

 

 

「やっぱりコレおかしいよね………明らかに異常事態でしょ」

 

 

 

 

 

結局あの後、私たちには音沙汰も無かったから「ワンチャン先生には連絡してるんじゃ無い?」と芦花が提案してくれたので、私達は昼休み、立花先生にヒイロから連絡が来たか尋ねたけど──

 

 

 

 

 

 

 

 

『その件についてなんだが………3人とも、一回二条の家訪ねてみてくれないか?学校に連絡が来なかったから、電話を掛けてみたんだが………何度かけても繋がらないんだ。だから、流石に少し心配でね……様子を見てあげて欲しいんだ』

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、先生も何回か連絡はしたらしいけど、それでも連絡は来なかったらしい。…おかしい。そんな事あるの?ってなったし……考えすぎなのかな………?

 

 

 

 

 

「そうだね………私、一回ヒイロの家に行ってみる。体調崩して、連絡出来ないくらい辛いからこんな事になってるのかもしれないしね………彩葉と真実も来る?」

 

 

 

 

 

芦花にそう問いかけられたけど……そんなの、考えるまでも無い。

 

 

 

 

 

「絶対行く。ヒイロには色々お世話になったお礼がしたかったし……何より、苦しんでるんだったら尚更見過ごせないから」

 

 

 

 

 

「私も行くよー。流石に心配だからね〜……取り敢えず、流動食とかスポドリ買って持っていこっかな。もしヒイロが体調崩してるんだったら必須でしょ」

 

 

 

 

 

確かに……じゃあ私は熱さまシートでも持っていこうかな……

 

 

 

 

 

 

そうして、私達は一度家に帰り、各自準備してヒイロの家に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……やっぱ何回電話とかしてもダメだー……流石に一回くらい気付くと思うんだけどなぁ……」

 

 

 

 

 

芦花がスマホを見ながらそうぼやいたので、思わず頷いた私。何回も連絡すれば一度くらいは気付くと思うんだけどなぁ…………因みに、真実は少し遅れてくるらしい。なんでも───

 

 

 

 

 

『思ったより色々家にあったから、必要な物だけまとめてから行くー』

 

 

 

 

 

との事で、流石に悪いとは思ったんだけど、まあそれだけ心配なんだろうな………と思ったので、取り敢えずオッケーした。なんだかんだで、真実も芦花も長い事ヒイロと一緒にいるわけだし、その分心配してるんだと思う。

 

 

 

 

だから、用意する担当の人が沢山いても意味無さそうだしという事で、私と芦花はそこまで用意をせずにここまで来た。とは言っても、見舞い用の物くらいは持ってきてるけどね?

 

 

 

 

 

「………ヒイロ、大丈夫なのかぁ。彩葉?」

 

 

 

 

 

因みにだが、かぐやもついてきている。なんでも──

 

 

 

 

 

『かぐやも心配だし、一緒についてく!!それに、もしちょっと前の彩葉みたいにヒイロが風邪引いてるんだったら、かぐやも助けになれるし!!』

 

 

 

 

 

らしい。まあ、その通りだから何も言えないし、心配なのは分かるから一緒に連れてきたけど……

 

 

 

 

 

「よし、それじゃ早く行こっか。彩葉?かぐや?」

 

 

 

 

 

「うん」

 

 

 

 

「りょーかい!」

 

 

 

 

 

少し駆け足気味に階段を駆け上った私達。そして、ヒイロの部屋の前についた。

 

 

 

 

 

芦花が少し間を置いて、インターホンを押した。

 

 

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

 

 

返事は、無い。

 

 

 

 

 

「…………ヒイロー?大丈夫ー?彩葉とかぐやちゃんと私の3人でお見舞いに来たんだけどー?後で真実も来るよー?」

 

 

 

 

 

芦花が声を掛けながらノックを数回する。

 

 

 

 

 

コンコンコン、と聞き心地の良い音が何処か虚しく響いた。

 

 

 

 

 

返事は、ない。

 

 

 

 

 

「ヒイロー?一言ぐらい返事出来ないー?」

 

 

 

 

 

「ヒイロー!!大丈夫ー!?」

 

 

 

 

 

 

私も声を出して呼んでみた。かぐやもそれに続いてヒイロのことを呼んだ。

 

 

 

 

 

それでも、返事はない。

 

 

 

 

 

「………どうしよ…合鍵とか持ってたら部屋に入れるんだけど、流石に持ってないしなぁ……彩葉?持ってたりしなーい?」

 

 

 

 

 

 

「いやいや!?流石に持ってないけど!?」

 

 

 

 

 

思わずびっくりしながら返事をした私。………でも、ドアを開けてもらわないと何も出来ないしな……どうすれば……

 

 

 

 

 

そんなことを考え、僅かな望みを懸けてドアノブを回してみると───ドアが、開いた。

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

呆然とそんな事を呟くしか出来なかった。けど、ドアが開いているのは好都合だと思い、3人で部屋に入ってみた。明かりはついていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロは居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意味が分からなかった。ヒイロの靴は確かにそこにある。いっつも同じ靴しか履いていないのは知っていたから間違いない。けど──どこにも居ない。まるで、神隠しにでもあったみたいに。

 

 

 

 

 

寒気を覚えながら、私達は部屋を見渡した。けど、そもそもこのアパートに隠れる場所がないことなんて私も知っていたし、芦花も知ってる筈だ。

 

 

 

 

 

一度落ち着いて探すために、少し深呼吸をしながら、改めて周りを確認してみると──机に、ビデオカメラが置いてあった。

 

 

 

 

 

「………?ヒイロ、ビデオカメラなんて持ってたっけ?見たことないんだけど……」

 

 

 

 

 

「かぐやも見たことなーい」

 

 

 

 

 

思わず疑問を漏らした。何だかんだで私も結構長い事ヒイロといたと思ってたんだけど、それでも見たことがなかった。

 

 

 

 

 

「私も、今まで一回も見たことないねー……中身、一回見てみる?」

 

 

 

 

 

芦花がそう言ってきた。とは言え、現状それしかすることがなかったので、少し悪いとは思いながらカメラの電源をつけてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中には一つだけ動画があった。時間が惜しかったので、テレビに繋ぐこともせずに、小さい画面を肩を寄せながら3人で見る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………これで撮れてる、のか……?まあ、多分撮れてるだろ………これを見てるやつは、彩葉とかかぐや、芦花、諌山辺りだろ?だから、お前ら宛に最期のメッセージを残しておく事にする』

 

 

 

 

 

 

 

………最期の、メッセージ?………嫌な言い方するなあ……だって、それじゃあまるで…遺言みたいじゃん。

 

 

 

 

 

 

そして、映像の中にいるヒイロは、私達に言った。───決定的で、致命的な言葉を。

 

 

 

 

 

 

『結論から言う。俺は───もう、ここにはいない。どこを探しても居ない筈だ。ワンチャン……死んでるかもな』

 

 

 

 

 

 

………は?嘘、でしょ?

 

 

 

 

 

 

誰かの息を呑むような音が聞こえた。私なのか、それすら分からなかった。

 

 

 

 

 

『だから、お前らに伝えておきたいことだけ伝えておく事にした。何も言わずにサヨナラ。なんてのは、流石に納得できないだろうしな………』

 

 

 

 

 

…………嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!!そんな事、ある訳ない。だって、昨日パーティーしようって、約束したばっかじゃ───

 

 

 

 

 

『ああ、じゃあな(・・・・)

 

 

 

 

 

昨日、そんな事をヒイロが言っていたのを思い出した。そうだ、いつもなら『またな』とか言う筈なのに…それに、確かに昨日は色々おかしかった。…って事は、コレは───本当なの?

 

 

 

 

 

認めたくない気持ちと、絶望と、「もしかしたらドッキリかもしれない」という、ほんの少しの希望を持ちながら、私は動画の続きを見た。

 

 

 

 

 

『……とは言っても、何から話したら良いか分かんねえな……それじゃあ、まず………芦花』

 

 

 

 

 

「………うん」

 

 

 

 

 

何かを堪えながら、芦花は頷いた。

 

 

 

 

 

『お前には、色々世話になったよな。俺と初めて全力で向かい合ってくれて、友達になってくれた。あの時、本当に嬉しかったんだよ。そこから仲良くなって、気がつけば高校まで一緒だった。………一緒にいてくれて、ありがとな』

 

 

 

 

 

そして、少し気まずそうにしながら、ヒイロは再び口を開けた。

 

 

 

 

 

 

『…あーそれと、その………返事、まだ返せてなかったよな………ごめん』

 

 

 

 

 

横を見てみると、その言葉で何かが決壊してしまったのか、芦花は……嗚咽を漏らしながら、涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

「…申し訳なく、思ってるんだったら、早く出てきて、返事してよぉ……!!お願い、だからぁ…!!」

 

 

 

 

 

涙を流しながら、祈る芦花。けど───その祈りが叶う事は、この場ではなかった。

 

 

 

 

 

『……それから、諌山。お前はふわふわしてるように見えて、なんだかんだ言って友達の事をしっかり見てる優しい奴だ。……彩葉なんか、特に危なっかしいからな。最近は少しマシになったが、見守ってやってくれ』

 

 

 

 

 

……ここにいたら、どんな反応してたのかな。真実。

 

 

 

 

 

『………かぐや。お前とは短い付き合いだったが、本当に感謝してる。お前がいたから、彩葉は変われた。ありがとな』

 

 

 

 

 

「……やだ。ちゃんと出てきて言ってよ……ヒイロォ……」

 

 

 

 

 

出てこないと、どこか察していたんだろう。泣きそうになりながら呟くかぐや。

 

 

 

 

 

返事は、ない。

 

 

 

 

 

『それと、かぐやいろPの動画も面白かった。勿論百合を求めて見てたのは間違いねえが、それ抜きで面白かった。………あと……紅茶の淹れ方、結局教えてあげられなかったな………ごめんな。嘘つきで』

 

 

 

 

 

ひっぐひっぐと、泣きながらかぐやが話した。

 

 

 

 

 

「ヒイロォ…!!かぐや、ハッピーエンドに、ヒイロも一緒に連れでぐって、言ったじゃんがあ゛…!!なんで、かぐやだぢを置いてぐのぉ……!!」

 

 

 

 

 

 

『最後に……彩葉』

 

 

 

 

 

………いやだ。聞きたくない。だって、だって!!聞いたら、どうしようもない程、認めざるを得なくなるじゃないか───ヒイロが、もういないって。

 

 

 

 

 

けど、聞かなくちゃいけないのは分かってて、何も出来なかった。きっと心のどこかで認めちゃったんだと思う。コレが───嘘なんかじゃないって。

 

 

 

 

『お前とも、何だかんだで長い付き合いになったよな。最初は見ていて危なっかしいと言うか、なんと言うか……まあ、何かとヒヤッとするようなことがあったのは間違いないな』

 

 

 

 

 

……その節は、ご迷惑をおかけしました。

 

 

 

 

 

 

心の中で謝る私。……ちゃんと、ヒイロの目の前で謝らせてよ。

 

 

 

 

 

 

『まあ、だからと言って全部の問題がお前の中で解決したって訳じゃあ無いだろうが………今のお前なら、きっと何だってなれる。……俺が居なくても、大丈夫だ』

 

 

 

 

 

……大丈夫とか、そんな問題じゃ無いんだよ……!!なんで、そんな簡単に自分がいなくなることを許容できるの……!?いやだよ……そんなの………

 

 

 

 

 

 

『……納得出来ないのは分かってる。けど、お前らに負担はかけられねえんだよ。だから───ごめんな』

 

 

 

 

 

「ふざ、けんなよ………!!勝手に居なくなって……私達の心掻き乱しやがって……!!いるなら、早く、出てきてよ…………」

 

 

 

 

 

泣きながら、思いの限り叫ぶ私。

 

 

 

 

 

………みんなの啜り泣く声が、泣き叫ぶ声が聞こえる。……そして、少し時間が空き──ヒイロがまた、話し始めた。

 

 

 

 

 

 

『………それから、彩葉。お前にやって欲しいことがある』

 

 

 

 

 

 

「…………何?」

 

 

 

 

 

 

 

涙をハンカチで拭きながら、ヒイロに返事をする。それに対する返答が来ることなどないと、分かっている筈なのに。

 

 

 

 

 

 

『………ヤチヨに、伝えてやってくれねえか?【ごめんな】って。…いや、色々伝えたい事はあるんだが、お前らに対して言うこともかなり纏めてコレだからな………纏め切れる気がしねえんだよ。それに、止められそうだったからな』

 

 

 

 

 

「………うん。分かった。ヤチヨに、伝えとく」

 

 

 

 

 

 

 

そして、全部言い切ったかのような表情をして、ヒイロは───

 

 

 

 

 

 

 

 

『……まあ、こんな所か。……多分、もう会えないと思うから、改めて伝えておく。………今まで、ありがとな』

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を最後に、動画は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

見終わった直後くらいに来た真実に事情を伝え、ヒイロの部屋でみんなで一緒に泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、かなりの時間が経ち、芦花、真実は家に帰って行った。……どんな気持ちで明日過ごせばいいんだろう……私達。

 

 

 

 

 

 

 

でも、受け入れるしか無いのも現実で。だから──

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロ、アンタの分まで、一生懸命生きるから。だから、これからも、見守って───いや、待てよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、動画の最後にヤチヨの名前が出てきたの?

 

 

 

 

 

 

 

 

……あの二人にそこまで接点はなかった筈……いや、言われてみれば、この前の時にヤチヨがブチギレながらヒイロを引っ張ってたけど……もしかして、何か関係があった?

 

 

 

 

 

 

さっき『止められそう』って言ってたし……ヒイロがいなくなる事を止めるぐらい、ヤチヨはヒイロの事を想ってるって事?

 

 

 

 

 

 

 

なら、ヤチヨなら何か知ってるかもしれない。それに、ヤチヨについてまだ違和感がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜか、私が作った曲と、ヤチヨの曲のメロディは同じ………この『なぜ』に関連性はないかもしれないけど───可能性があるなら、やるしかない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな結末!絶対認めたく無い!!でしょ!?かぐや!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ!!うん!!こんなバッドエンド、絶対やだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

涙を流しながら、それでもそんなのは嫌だと、2人の少女は心の限り叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

例えコレが我が儘で、私達が現実から目を逸らしてるだけの愚者だと罵られても、納得出来ない!!なら、行動するしか無い!!

 

 

 

 

 

 

 

それに、ヒイロは『死んだ』とは言ってない。『どこにも居ない』って言ってたんだ!まだ、可能性はある!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………待ってろよ?絶対見つけ出してやるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロは知らなかっただろうが───

 

 

 

 

 

 

 

少女のユメ(恋心)とは、親愛とは、誰もが計り知れないほど強いものなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、二人に私の持論を話して、4人で全力でヒイロの事を探すことにした。流石に先生達に話すのは事が大きくなり過ぎるから、あくまで話すのは本当の最終手段ということにして、取り敢えず『ヒイロは体調不良で休んでるだけ』と伝えた。

 

 

 

 

 

 

そして、芦花と真実には、現実で直接ヒイロを探してもらっている。私とかぐやは──ツクヨミで、ヤチヨを探している。何か手掛かりがあるかもしれないからだ。

 

 

 

 

 

 

すると──

 

 

 

 

 

 

「おい、コッチだ」

 

 

 

 

 

 

 

「……FUSHI?」

 

 

 

 

 

 

 

なんでFUSHIがこんな所に……?普段ヤチヨと一緒にいる筈なのに……

 

 

 

 

 

 

 

「ヤチヨは今作業中(・・・)だから動けないんだ。もう終わってると思うが…………だから、ついて来い。案内してやる」

 

 

 

 

 

 

そして、なんかよく分からない裏口のようなものをかぐやと一緒に通ったら………気がつけば───よく分からない部屋に来ていた。まるで、前の私の部屋みたいな………え?

 

 

 

 

 

 

 

「え!?マジで前の私の部屋じゃん!?どうなってるのコレ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「うわー、マジでそうじゃん。どうなってんの?」

 

 

 

 

 

 

と、かぐやと私で驚いていると───後ろを向いている誰かがいた。窓から漏れている夕日で、髪を照らされたその後ろ姿は、まるで───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その誰かは、私達の声に反応したのか、振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、やーっと来た。待ってたよ?彩葉?それからかぐや?」

 

 

 

 

 

 

 

ヤチヨだった。笑顔だけどどこか怖いのは気のせいなんだろうか……?

 

 

 

 

 

 

「ヤチヨ………早速で申し訳ないんだけど、聞きたい事があるんだ。なんで───」

 

 

 

 

 

「ちょーっと待って?その前に………彩葉?私が誰か、分かる?」

 

 

 

 

 

 

先ほどとは違って、どこか怯えた表情で、ヤチヨは問いかける。私は、誰なのかと。

 

 

 

 

 

……色々おかしいところはあるけど、直感的に気付いた。

 

 

 

 

 

 

「………かぐや?」

 

 

 

 

 

 

「え?かぐや?でもここにかぐやいるよ?」

 

 

 

 

 

 

頭にはてなマークが浮かべたような顔をしながら、疑問を漏らすかぐや。

 

 

 

 

 

 

……かぐやが言っている事は正しいし、私がおかしい事を言っているのは分かる。けど、何となくそう思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

「………昔話でも、しよっか」

 

 

 

 

 

 

その言葉と共に、床に座った私達。

 

 

 

 

 

 

そうして語り始めたヤチヨ。そこからは荒唐無稽な話が続いた。ヤチヨがかぐやで、私の歌を聞いて月から帰ろうとしたら隕石にぶつかって、8000年も前の地球に来てしまった事、ヤチヨはウミウシに意識を飛ばして活動していた事。そして───

 

 

 

 

 

「それで、悲しみに暮れていたかぐや姫の元に、一人の青年がやって来ました。その青年の名前は───二条ヒイロ」

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

「嘘ー!?そんな事あるー!?だってそれじゃヒイロって───」

 

 

 

 

 

 

 

そこで、彩葉はある一言を思い出す。

 

 

 

 

 

 

……いや待てよ。ちょっと前に『長生きしてる』って言ってたな……!!分かるかそんなの!?というか、そんな前から一緒にいたの!?いや、浅い関係じゃ無いとは思ったけど……いや、アイツマジで何者なんだ……?

 

 

 

 

 

 

「そして、ウミウシになった私と、ヒイロは2人で行動をとりました。色んな人と出会って、色んな人と別れた………けど、本題はここじゃ無い」

 

 

 

 

 

 

 

と、ここで話を区切ったヤチヨ。

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッチョの昔話を語りたいのは山々だけど、今起きてる異常事態がある。それは───」

 

 

 

 

 

 

 

「………ヒイロが、どこにもいない」

 

 

 

 

 

 

 

「………かぐやも分かんないんだよねーそれ」

 

 

 

 

 

 

 

「そう。私も色んな場所をハッキング………いや、拝見させてもらったんだけど、何処にもいないんだー。ヒイロは簡単には死なないっていうか、体の構造的にほぼ死なない筈なんだけど………」

 

 

 

 

 

 

………化け物すぎない?ヒイロ。そんな人外みたいな体してたんだ……いや、だからって今の私の想いが変わる訳じゃ無いけど………待てよ、何か聞き逃せない事言ってる気がしたんだけど……というか、作業中(・・・)ってそういう事か………まあいいか。ヤチヨだし。

 

 

 

 

 

 

「なら、ヒイロと過ごした数千年でも彩葉に見せて見たらどうだ?手掛かりがあるかもしれん」

 

 

 

 

 

 

ここで、FUSHIが声を出し、提案して来た。

 

 

 

 

 

 

 

「……FUSHI?それがどんな意味か、分かって言ってる?」

 

 

 

 

 

 

少し怒気を孕んだ表情で声を発したヤチヨ。

 

 

 

 

 

 

確かに、数千年分ってのはちょっと、いや、物凄いカロリー高いかも知れないけど──知りたい!

 

 

 

 

 

「いや、ヤチヨ!私に見せて欲しい!ヤチヨとヒイロが、どんな風に過ごしてたのか!ヒイロが何処にいるのか、それを見たら分かる気がするんだ!!」

 

 

 

 

 

「かぐやもかぐやも!!だって、これでもコンピューター系には強いし、だいじょぶだってー」

 

 

 

 

 

 

私たちがそういうと、ヤチヨ(かぐや)は物凄く眉を顰めながら悩んでいたが───

 

 

 

 

 

 

「…………納得はしたく無いけど、非常事態だから許す!けど、危なかったらすぐ止めるからね!?」

 

 

 

 

 

 

何とか許可を出してくれた。

 

 

 

 

 

 

「「うん!!」」

 

 

 

 

 

 

そして、少し深呼吸しながら、平静を取り戻し、情報を見逃さないようにして───よし、いける!

 

 

 

 

 

 

 

「かぐや!?準備はいい!?」

 

 

 

 

 

 

 

「おっけー!!」

 

 

 

 

 

 

私達の反応を見て、FUSHIが目を爛々と光らせながら私たちを見た。

 

 

 

 

 

 

「どうやら、準備はできたようだな………それじゃあ、行くぞお!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二条ヒイロは、2つ過ちを犯した。

 

 

 

 

 

 

1つ。ヤチヨの事について気づかせるヒントを与えてしまった事。本当に自分が何処にいるか知られたくなければ、そのままヤチヨの事を黙って仕舞えば良かった。尤も………そんな事をヒイロがする訳無いが。

 

 

 

 

 

 

そして2つ。酒寄彩葉の情報処理能力を、甘く見過ぎていた事だ。これにより、酒寄彩葉は、───ある場面を記憶する事とになった。

 

 

 

 

 

 

ヒイロの目的(・・)。それを知るために必要な、ある一幕を。

 

 

 

 

 

 

ヤチヨはきっと、余りにも些細な出来事すぎて思い出そうとすらしなかった。その記憶が、今。明らかになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、いつかの記憶。ありふれた日常の中にあるような……そんな記憶の、ほんの一部のお話。

 

 

 

 

 

 

 

『ねえねえー?ここ数十年、物斬っては飛ばし過ぎじゃなーい?修行でもしてるん?何なら今しようとしてるソレなんだけどー!!!』

 

 

 

 

 

 

 

小柄な体躯に合わない大声を出したかぐや、いや、ヤチヨ。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その問いかけにに呼応するかのように、ヒイロは、自身の数倍(・・・・・)はあろう巨大な岩石を───真っ二つに、斬った。

 

 

 

 

 

 

 

ズドーン、と、辺りが揺れるほどの巨大な岩石を、いとも容易く斬り伏せたのだ。因みに、ヤチヨはこの時───

 

 

 

 

 

 

 

『危ないから、見るにしても遠くから見とけよ?』

 

 

 

 

 

 

 

とヒイロに言われたので、ヤチヨは離れて見ていた。大声を出していたのは、ヒイロに聞こえるようにしたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

そして、ヤチヨの元に近づいて話しかけたヒイロ。

 

 

 

 

 

 

 

『………ふう。ああ、コレな。まあかぐやのいう通りで、ある修行(・・)をしてたんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

『えー!?どんな修行してるのー!?教えてー!!』

 

 

 

 

 

 

 

『………まあ。原理を話すのは難しい所あるから、簡潔に説明するとすれば───何でも斬れる剣(・・・・・・・)だ』

 

 

 

 

 

 

 

『………何それ、チョーカッコいいじゃん!?………でも、何でそれ修行し始めたん?カッコいいから?』

 

 

 

 

 

 

目をキラキラ輝かせたヤチヨにそう問われ、考え込むヒイロ。

 

 

 

 

 

 

すると、少し()に目線を向けたと思うと、再びヤチヨの方に目線をヒイロは向けた。

 

 

 

 

 

 

『そう、だな。……斬りたいものが出来た。いや──斬らなければならないもの(・・・・・・・・・・・・)が出来たって所か?」

 

 

 

 

 

 

『………んー?よく分かんないけど……結局そのー、斬らなければならないものって、何なん?』

 

 

 

 

 

 

『……………まあ、その時までの秘密だ』

 

 

 

 

 

 

 

『えー!?教えてよー!!ヒイロのバカー!!』

 

 

 

 

 

 

 

『安心しろよ。いつか知れるし、それに──俺が、絶対ハッピーエンドに導いてやるから』

 

 

 

 

 

 

『………それもよく分からんけど、じゃあさ!名前(・・)だけでも教えてよ!!その剣の名前!!』

 

 

 

 

 

 

『…まあ、それくらいならいいか。…ゴホンッ!!その剣は、森羅万象を断つ、俺が知ってる中でも最強の剣!!その名も───』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………接ぎ、人(アルス・マグナ)…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒイロとヤチヨの記憶を覗いて、彩葉が色々脳破壊されながらも得た、ヒイロが持つ、最強の剣。その存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

……ヤチヨがぶつかった隕石。そして、接ぎ人(アルス・マグナ)……そっか!!分かった!!だからヒイロはさっきの場面で()を見たんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤチヨ!かぐや!分かった!!ヒイロは───」

 

 

 

 

 

 

 

そして、酒寄彩葉は辿り着いた。凡人なら笑い伏せ『アニメの見過ぎだろ?』と罵るだろう、その結論に。

 

 

 

 

 

 

誰もが認める天才であり、尚且つ二条ヒイロの目的(百合)の為なら何でもするだろう、その行動力を知っていた彼女だからこそ、辿り着いた結論。それは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隕石を、斬るつもりなんだ」

 

 

 

 

 

 

シンプルであり、それでいて───馬鹿げた結論(正解)だった。

 





……やっと、ここまで来れましたよ。正直私がこの作品を作ろうとしたきっかけは『ヤチヨとキスさせる』と『鬱陶しい隕石をヒイロ君にぶった斬らせたい』という目的で書いていました。

だって、キモくないですか?ヤチヨが生まれたのは確かに隕石のお陰かもしれませんが、それはそれとして腹立つなぁコイツ……!!ってなってたんですよ。






なら、輪廻なんて関係ない状態を作り出して、斬らせるしかないよなぁ……!!

ってなったんですよ。

それに、この隕石は正真正銘───百合の間に挟まる奴なのです。そんな存在を、ヒイロ君が許すはずがないんだよ……!!




因みに、ヒイロ君はこの技を練習しすぎて、記憶を失った状態でも使いこなすことができました。なので、記憶が消えていた時も『隕石を斬る』という話をアルスハリヤに4話で話していました。

「簡潔に言うぞ、─────────」の───の部分ですね。

どうやって宇宙に行くのか、とかそんな事を抜きにしてヒイロ君は隕石を斬る手段を持っていました。だからこんなことが言えたわけです。




というわけで次回『百合の間に挟まる奴は──』でお会いしましょう!

さらばーい!!
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