百合の間に挟まるなんてイヤだー!!!   作:NTT.T

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最終回でございます。ここまで本当に長かった……

彼らの物語の終幕をどうぞ、愉しんでいってください!

それでは、どうぞ!



百合殺しは続くよ何処までも

 

パズルのピースが一つ、また一つ嵌め込まれ、やがて一つの絵画が見えるように、自身が構築されているのを感じる。

 

 

時間を掛けながらも、確実に空白が埋まっている。そして、やがて完成へと至るのだろう。

 

 

いや、構築というより復元されている様な……そんな不思議な感覚だ。

 

 

……不思議と心地の良い感覚だな。まるで部屋に帰って百合ゲーを満喫し、百合の素晴らしさを頭の中で何度も反芻している様な……そんな感覚だ。

 

 

そして、その感覚に身を任せ、俺は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん?」

 

 

ふと目が覚めると、見慣れない天井が目に入った。

 

 

木の様な物で造られているのが分かり、骨組みもしっかりしてそうだ。現代ではあまり見かけない感じの天井だな。

 

 

上半身を起き上がらせ、いつの間にか被っていた布団を体からどかし、周囲を見渡す。

 

 

舞台劇で出そうな障子や襖などがあり、古めかしさ、懐かしさを感じる。

 

 

そして、それに似つかわしくない魔人──つまり、アルスハリヤがいた。

 

 

ようやく(・・・・)お目覚めか……我々が過ごした時間からすればほんの一部にも過ぎないが、それはそれとして苦労したものだ。感謝の一言くらいあっても良いんじゃないか?ヒーロ君」

 

 

「???」

 

 

いや普通に何言ってるか分か……あ。

 

 

これまでの出来事を全て思い出し、思わず立ち上がったヒイロ。

 

 

「そうだ……俺は確か、隕石を斬って……あの後、俺はどうなったんだ?」

 

 

あの時、体を維持する事が魔眼も酷使した事で困難になっていた筈……

 

 

月人戦の時に魔眼を使用しない事で、少しでも今後の展開が楽になる様にしてたんだけどな……その程度じゃ流石に駄目だったって事か。

 

 

「まあ、結論から言うならば、君は何とか生還する事に成功したと言う訳だ。ヒーロ君がヤチヨの一撃で気絶した後の事だが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………成程?定期的に貴方達の体を研究させる代わりに、万が一其方が宇宙船に乗れない状況下に陥った場合の救助を頼みたい……ですか』

 

 

『そうなるな。君達は研究が即座に終わったと言っていたが……何も分からないと判断したからこそ、研究が即座に終わったんじゃないか?』

 

 

『……その通りです』

 

 

『なら、このまま定期的に実験を続けたら?もしかすれば君達の助けになるような成果が得られるかもしれない。少なくとも、一回だけの研究よりは成果は得られる筈だ。……違うか?』

 

 

『………そう、ですね。この後上に提案してみます。一考の余地は有りますから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ。そんな具合で僕が交渉をした結果、僕達のことを助けに来てくれた。と言う訳だ」

 

 

成程な……あの時微かに見えたのは、月人が俺の救助の為に乗ってた宇宙船だったのか……って事は、やっぱここ月なのかよ……

 

 

見覚えあると思ったらそういう事か……

 

 

「……それは分かったが、俺の肉体を良く維持できたな?確かにお前なら人体に詳しい都合上、何とかなりそうではあるが………」

 

 

「そうだな。君の体を構成している魔術演算子はかなり少なくなっていた。だからこそ、何とか君が意識を失っている間に体を維持し、新しく魔術演算子が生成されるのを待っていた訳だ」

 

 

それに、とアルスハリヤは続けた。

 

 

「君は一度四百年の眠りについたことで、魔人としての機能が向上していた。それが無ければ魔術演算子の生成、体の維持等をする前に崩壊するのが先になっていただろう。要するに、上手く噛み合ったと言う訳だ」

 

 

「………そうか。そりゃ良かったわ。ありがとな、感謝はしたくないが、コレばっかはまたお前に助けられた訳だからな。形式上感謝はしておく」

 

 

俺の一言の後に、ふっ、とカッコつけながらアルスハリヤはいつも通りの口調で話してきた。

 

 

「何、君に死なれては困るというだけだ。僕の愉悦の為に、な」

 

 

………取り敢えず、皆を置いてサヨナラなんて事はしなかったって訳だ。良かった良かった……これで帝にも怒られずに済むな。

 

 

「なら、後は帰るだけって事か?」

 

 

アルスハリヤに俺が問いかける。

 

 

そして、少し考え込み、アルスハリヤは告げた。

 

 

「……そうなるな。取り敢えず、今から月人にツクヨミと月を繋げてもらうように頼むとするか。何だかんだでこの一年間(・・・)、君の体は随分研究されていたからな。その分の仕事はしてくれるさ」

 

 

ほーん。何だかんだでやる事やってるんだなあの月人達。まあ色々助けてくれたっぽいから別に良いんだが………って、うん?

 

 

「………ちょーっと待て。アルスハリヤ?今一年間(・・・)って言ったか?」

 

 

「…………気付いてしまったか。ヒーロ君」

 

 

如何にも悪そうな顔をして、アルスハリヤは俺に話しかけた。

 

 

「そう!君が隕石を斬ってから!既に現実世界では一年の月日が経っている!!……さて、ここで問題だ。この状態で君がノコノコ帰れば……どうなると思う?」

 

 

「…………」

 

 

……何だろう。物凄く嫌な予感がする。一度見つかったらその時点で何もかもが終わるような……いや、待てよ?

 

 

「……分かった!完璧な策を思いついたぞ俺は!」

 

 

この窮地を乗り越える為に必要な事……それは───

 

 

 

 

 

 

 

「隠密だ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

こう、上手い事光学迷彩(ディストーションフィールド)を使って、誰かしらに一瞬だけ姿見せて『ただいまー!!』とかいってそのまま隠れたら良いんだよ!!そしたらアイツらも俺の生存を知れるし、俺も何とか生き残れる!

 

 

それで、怒りが収まってそうな頃を伺ってマジの謝罪をすれば完璧……!!天才の所業だなコレは。流石百合IQ180といった所。しかも今の俺は一年間の休息を得た事でさらにバージョンアップした!

 

 

もう誰も俺の百合色の脳細胞を上回る事はできねえって事だな……!!

 

 

「…………(救いようのない馬鹿を見る目)」

 

 

「……おいおい、まさかこの俺が失敗するとでも思ってるのか?言っとくが、もう肉体の主導権は俺が握ってるんだ。しかもだ、一年間もお前が主導権握ってるのも相まってもう抵抗出来ねえんじゃねえか……?」

 

 

普段からそんな事してるんだったら話は別だが、基本的には俺が主導権を握ってるんだ。不慣れな事をしてるって事になるから、恐らくしばらくの間主導権は握られない筈……!!

 

 

「………クソッ……!!バレてしまったか…!!どうやら、君の頭脳を甘く見積り過ぎていた様だな……」

 

 

心底悔しそうな顔をしているアルスハリヤ。

 

 

……おいおい、完璧に決まっちまったなコレ。遂に俺の頭脳が悪魔を上回ったって事か?祝杯代わりに百合でもキメたい所だなぁ………!!

 

 

「さて、じゃあ憂いもなくなった事だし、とっととツクヨミに行かせて貰うとするか!!」

 

 

そして俺は、月人に感謝を伝え、月を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おお、なんだかんだで久しぶりな気がするな」

 

 

現在、光学迷彩(ディストーションフィールド)を使用して、何とか隠れている所だ。ただ、あまり長くここに居るのはマズイ。手早くスマコンとの繋がりを辿って部屋に帰らねえと───

 

 

 

 

 

 

その瞬間、ヒイロに悪寒が走った。

 

 

 

 

 

 

感覚に従い、即座に物陰に姿を隠し、光学迷彩(ディストーションフィールド)を過信せずに、確実に身を隠せる様にした。

 

 

そして、上空からやって来たのは当然───ヤチヨだった。

 

 

ヤチヨは辺りを見渡し、まるでそこに何かが居たはずなのに気が付けば居なくなった様な、そんな不思議な表情を浮かべていた。

 

 

「………おかしいな〜?今絶対ここら辺に不正アクセスした不届き者がいるはずなんだけど………一体どこの誰なんだろうね〜?」

 

 

ここに誰かが居る事を確信しているかの様に、空中から微動だにもせず何度も辺りの風景を見るヤチヨ。

 

 

「……………(顔面蒼白)」

 

 

おいおい普通にバレてるじゃねえか!!何でだよ!!幾ら管理者とはいえ限度があるだろ限度が!!教えはどうなってんだよ教えは!!

 

 

しかもあの顔は俺でも分かる……普段通りに見えるが確実にアレはブチギレてる!!もう捕まったら最後なのが嫌でも分かるぞ……!!

 

 

……いや、コレはチャンスなのでは?このまま一瞬だけ姿を晒し、そのまま退散すれば───いや、その前になんかされて終わりそうだな。ヨシ!この案は無し!!

 

 

恐らくだが、俺がいる事は確信しているとは思う。だが、今の俺はアバターじゃなく実体。故に俺の状態はヤチヨでも弄れはしない……筈だ。

 

 

なら、後は身を潜めてやり過ごせば「とか思ってるのかな〜?」

 

 

「…………は?」

 

 

気が付けば、俺が隠れていた木箱の真上に、ヤチヨが立っていた。

 

 

「最初から気付いてたんだよー?ヤッチョこれでも管理者だからさー?マップを見れば、例え透明になってる人が居ても一目瞭然なんだー」

 

 

そこで言葉を区切り、ヤチヨは見えなくとも確実にいる誰かに話しかける。

 

 

「……さて、ヒイロー?あれだけ帰ってこいっていったのに一年くらい私達の元に来なかった訳だし、どんな理由があろうと()が必要だよねー?」

 

 

どうやら、俺である事はほぼ確信しているらしいな……怖いよマジで。

 

 

それに……うん。こういう時にいつも通りの顔だと、やっぱ余計怖いな。

 

 

いや現実逃避してる場合じゃねえ!?……コレはアカン。その罰とやらを受ければ確実に俺が死ぬ。精神的に。いや、受けるのが正しいのは分かるんだけどな?このラインを越えればいよいよ終わる………!!

 

 

 

 

 

 

なら、一か八か!!

 

 

 

 

 

 

「………あ!ちょっとヒイロ!?どこ行こうとしてるの!?」

 

 

コイツ(ヤチヨ)が俺の事を捕まえる前に離脱!!コレに賭けるしかねえ……!!

 

 

全力で走りながら、俺は微かにあったスマコンとの繋がりを探知───出来た!!よっしゃ俺の勝ちだ!!

 

 

「すまんヤチヨ!!心の準備できたら誠意込めて謝るから許してくれ!!」

 

 

「………っ!!ちょっと、待っ────」

 

 

ヤチヨが俺に伸ばした手が触れる前に、何とかツクヨミを離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………逃げられたか〜……」

 

 

全く。せっかくの再会なのに逃げられるなんて心外だな〜?そんなにヤッチョが怖かったのかな?でも……ヒイロが悪いんだよ?こんなに私のこと待たせてさ?

 

 

「四百年待ったかと思えば、今度は一年待たされるなんてね〜……」

 

 

女の子を待たせるなんて論外って事をヒイロは知らないのかな?まあ、ヒイロって相当なクソボケだし、仕方ないと言えば仕方ないんだけどさ……

 

 

「逃げられるなんて思わない方がいいよ?だって……私も、みんなも、もう待ちくたびれてるからさ?」

 

 

待つのは得意だからね。意外と耐えれたんだけど……彩葉達(・・・)はどうなってると思う?

 

 

「まだ私に捕まった方が良かった気もするんだけどな〜……」

 

 

………考えただけでホントに怖い。それに多分、ヒイロは自分の部屋に帰ったと思うんだけど………

 

 

「この時間帯、そしてこの日………うん。もう間が悪いとかの次元じゃないね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

俺は今、何とかヤチヨの魔の手から逃れる事に成功し、安堵に包まれながら久々に百合を摂取しようと……思ってたんですよ。

 

 

「…………嫌、だ……置いて、かないで……」

 

 

「……ヒ、イロ…………」

 

 

「………彩、葉……ヒイ、ロ……いっしょ、あそ、ぼ……」

 

 

なんか俺の部屋で寝てるー!?え!?まるで意味が分からんぞ!?おいおいどういう事だよコレは!?

 

 

しかも、彩葉とかどこか苦しそうだな……芦花も。かぐやはなんか滅茶苦茶ニヤけてるが…………

 

 

「冷静に考えてみたまえ、何故一年間も家賃を支払えていない部屋をまだ使えると思ってたんだ君は?」

 

 

学習しない馬鹿を見るような目で俺を見ながら、アルスハリヤは俺にそう伝える。

 

 

「……………」

 

 

そうじゃん…!!完全に忘れてた……もう一年経ってるもんな、当然だ。……いや待てよ、じゃあまさかコイツら──

 

 

 

 

 

 

俺の部屋の家賃を、払ってくれてるって事か?

 

 

 

 

 

 

改めて辺りを見渡す。芦花、彩葉、かぐやの三人が俺の部屋で寝ているという点を除けば、俺の記憶と何ら変わらない部屋だ。

 

 

もうそろそろ日が明ける時間なのだろうか、日の光が少しづつ出て来ているのが分かる。カーテンの隙間から漏れている光に照らされながらも寝ている三人は、不謹慎にも天使の様に見える。

 

 

……俺の居場所を、守ってくれてたんだな。俺が帰ってくるかも分からないのに………

 

 

不思議と何処か心が温かくなるのを感じる。……嬉しいな。

 

 

と、感傷に浸っていたが………あれ?よくよく考えるとマズイのでは?

 

 

え?だってコレ、俺の安全地帯なくね?どうすんの?

 

 

ドアを開けて外に出るのもマズイ……!!音を立ててコイツらを目覚めさせたら最期……俺は確実に終わる。詰むポイントが多すぎんだろどうなってんだよマジで!?

 

 

……一体、俺はどうすれば………あ。

 

 

そうだわ。俺今光学迷彩(ディストーションフィールド)使ってるし全然大丈夫じゃねえか。

 

 

とはいえ、俺とコイツらの距離は依然として近い。部屋の小ささをこれ程恨んだ事はないかもしれんな………!!

 

 

……よし、足音を立てずに、そーっと、そーっと。

 

 

床に障害物がない事を確認し、俺は着実に一歩、また一歩と踏み出し、ドア(ゴール)へと近づいた。

 

 

そして───いよいよドアは目の前だ。

 

 

よっしゃ!!!完全に僕の勝ちだ!!!ここまでくれば勝利確定将来安泰未来は、百合は俺の手にある!!

 

 

すまんな三人共……俺の心の準備が出来たら絶対会いに行く……だから、後一日……いや二日待っててくれ!!

 

 

勝利を確信しながら、俺はドアの鍵を開けようとした。

 

 

 

 

 

 

「…………ヒイロ?」

 

 

 

 

 

 

その声が、聞こえるまでは。

 

 

「………………」

 

 

後ろを錆びたロボットの様にゆっくりと振り返ってみると……いつの間にか、起きていた芦花がそこに立っていた。

 

 

お互いに事態を理解出来ていないのか、身動きが取れない。

 

 

馬鹿な………!!光学迷彩(ディストーションフィールド)を使っている筈なのに……何故バレた!?俺の百合への信仰心が揺らいだとでも……!?

 

 

「ヒーロ君。君は一つ、重大な勘違いをしている」

 

 

アルスハリヤが俺に伝える。その、あまりにも絶望的な事実を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体いつから、君の体の主導権を僕が握れないと錯覚していた?」

 

 

 

 

 

 

 

 

……何……だと……それじゃあまさか、さっき俺に悔しそうな表情を見せたのは……ブラフ!?

 

 

クソッ!!まんまと嵌められた!!俺が光学迷彩(ディストーションフィールド)を展開していたと思い込んでいただけで、実際は何処かのタイミングで既に解除されていたって事か!?

 

 

そして、俺がその事実に愕然としている隙に……気が付けば芦花が目の前に立っていた。

 

 

「……これって、夢なのかな?どう思う?ヒイロ?」

 

 

少し涙を目に溜めて、そんな事を俺に言う芦花。

 

 

……完敗、だな。恐らくだが、アルスハリヤは彩葉達が俺の部屋に居ることがあると知っていた。月人を使って観察していたんだろう。

 

 

そして、彩葉達が居るタイミングで俺を移動させる様に誘導、そのまま彩葉達と会わせようとしてたって事か………クソッ!!何処までも悪辣なやつだなコイツはぁ……!!やはりコイツは殺さないと(使命感)

 

 

頭の中でアルスハリヤを確実に処分する方法を考えつつ、芦花に返事した。

 

 

「………いや、夢じゃねえよ。………その……ただいま。芦花」

 

 

現実を受け入れて、その場に動かずに居た俺に抱きついて来た芦花。

 

 

「……ばかぁ……!!ずっと、ずっと心配してたんだよ……」

 

 

泣きながら、俺に訴えかけてくる芦花。

 

 

「……ああ」

 

 

「帰って、来てくれるって信じてたけど……ずっと、音沙汰も無いし……もう、帰って来ないんじゃないかって、怖かった………!!」

 

 

「…………ごめんな。待たせて」

 

 

「ホント、だよぉ………!!」

 

 

………心配してくれてたもんな、あんなに。…こうなって当然か。

 

 

そう考えると、少しだけとは言え、彩葉達に会わないと言う選択肢を取ろうとした俺は………いや、もうそんな事はしねえ。

 

 

「もう、いなくなったりなんてしねえよ。お前らが死ぬまで、ずーっと一緒だ」

 

 

「………ホントに?」

 

 

涙を流しながら、上目遣いで俺に問いかける芦花。破壊力が高すぎねえかコレ?ヤバすぎだろ。

 

 

「ああ。何せ、俺は実質不老不死だからな。お前らの気の済むまで一緒にいれる」

 

 

まあ、芦花には告白されてるわけだしな。返事は……まだ出来そうにねえけど、それくらいの事はしないと納得してくれないだろう。

 

 

「………そっかぁ………」

 

 

………ん?あれ?おかしいな、結構いい感じに終わりそうな気がしたんだけど……物凄い悪寒がする。

 

 

何故か少しづつ気温が下がっている様な感じさえして来た。そして、その空気の中芦花は───

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ………一緒に暮らそっか?」

 

 

 

 

 

 

 

俺にとっての核爆弾を投下して来た。

 

 

「………?????」

 

 

「だって、ずーっと一緒なんでしょ?なら、一緒に暮らさないとずーっとって言えないよね?」

 

 

あ、これやった。言葉選びミスった俺。しかも抱きつかれてるせいで逃げられん。

 

 

「だいじょーぶ。ここならそんなに家賃も高くないし、一緒に住めるよ?というか、彩葉とかぐやちゃんと一緒にここの家賃払ってるしね」

 

 

「……………(無言で抗議の意を込めて首を全力で横に振る)」

 

 

違う違うそうじゃないって!?家賃の話はしてねえから!?倫理的にも百合的にもおかしいんだよその理論は!?

 

 

あまりの急展開に頭がパニックになっている俺に、更なる刺客が襲いかかって来た。

 

 

「そういう事。ヒイロは一度目を離したらすぐどっか行っちゃうのが分かったからさ?私達が管理してあげないと………」

 

 

「………彩、葉」

 

 

いつの間にか彩葉も起きていた。かぐやはまだ寝ている様だ。

 

 

と言うか、え?待って?今管理って言った?俺の気のせいじゃないよね?

 

 

「………おいおい待ってくれよ。俺が悪いのは分かってるんだけどな?流石に………」

 

 

「……言ってなかったかもだけどさ?私、ヒイロの事好きだから。もう、離したくない」

 

 

「………………ん?」

 

 

え?

 

 

え?嘘だぁ………けど、なんか目見たら納得しちゃうわー。終わりだよマジで。だって目がドロドロしてるし据わってるしな……というかよくよく見れば芦花もだわ。終わり終わり。全部壊れたよ俺が見たかった百合。

 

 

「けど、ヒイロって絶対私達に惚れないと思うんだよね。だって、数千年生きてる訳だし、価値観が物凄いズレてると思う」

 

 

………それは、そうだな。百合に生きてる訳だし、恋愛なんて考えたことも無かった訳だしな………

 

 

いや嘘。割と欲望が襲ってくる事あるからダメかもしれん………何でこんな長く生きてるのに仙人みたいな精神にならなかったんだよ俺は……!!

 

 

欲望(百合)を求めて生きていればそりゃそうなるだろう。当たり前である。

 

 

「だから、いつか帰って来たら……私達がどんな風にヒイロの事を想ってるか、理解(わか)らせようと思ってたんだ」

 

 

「………え?ちょっと待って?私達?」

 

 

コイツらヤバいこと言ってない?え、だってそれってつまり………

 

 

「うん。だって一人だけだとみんなハッピーエンドになれないしさ。ヤチヨがヒイロの事を私、芦花、ヤチヨで囲っちゃえばいいって提案して来たんだ」

 

 

………ヤチヨォ………!!お前何やってんだよマジで……!!

 

 

「分かってんのか……!?そんなの明らかに不純だぞ不純!!大体彩葉お前かぐやのこと好きだろおかしいって絶対───むぐっ」

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと待って、頭がパンクするから。ちょっ、舌入れるのやめて!?待って、頼むから、止まっ、止まれー!?

 

 

 

 

 

 

 

「……………ぷはっ……今はまだ起きてない人もいるし、静かに、ね?」

 

 

口から銀色の橋を掛け、どこか妖艶に微笑みながら、芦花は俺にそう言い聞かせた。

 

 

……また俺芦花にキスされた?俺?それも唇に?……もうヤダァ……!!何も、何も守れねえ……!!彩葉も俺の事好きなんだろ!?もう百合を一切合切壊しちゃってるじゃねえか!?

 

 

「………良いなぁ………コホンッ、納得出来ないみたいだけど、これでも結構譲歩してるんだよ?ヒイロはこれまで通り、何をしたっていい。けど、ヒイロが私達にした仕打ちを考えれば……監禁したって良かったんだから」

 

 

「─────(この世の終わりを嘆いている顔)」

 

 

……駄目だ。ここから抜け出せる未来が見えねえ……いくら魔眼を使っても、もう捕まってる以上、何も出来ねえよ………

 

 

「じゃあ、取り敢えず一緒に話そっか?さっきの提案にOK出すまで逃がしてあげないから………私とかぐやも、たまにここに泊まりたいし」

 

 

「え?」

 

 

「それに、さっきも言ったけど、今まで私達がどんな思いでここまで過ごしたか、言いたい事は山ほどあるから……覚悟しなよ?」

 

 

「え?」

 

 

あ、そうだ。収入がもっと安定したらその内みんなで暮らせる様に、新しい部屋借りないとなぁ……なんて末恐ろしい事を言う彩葉。

 

 

「ほらほら、早く早くー」

 

 

笑っている筈なのになんか湿度を感じる顔をした芦花に手を引っ張られ、部屋のリビング(地獄)へと誘われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

い、いやだ!!こんなの、こんなの俺は認めねえ!!絶対にコレだけは嫌だ!!俺を誰だと思ってる!?百合の守護者だぞ!?こんなエロゲみたいなハーレムが許されると思ってるのか!?許せない!!許せるはずがない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、俺は魂の限り──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆ、百合の間に挟まるなんて……イヤだぁー!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、そう叫んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これからも是非、愉しませてくれよ?ヒーロ君」

 

 

魔人はそう言い、心の底から嗤いながら、これからの日常を想像するのだった。

 





何とか走り切ったー!!

と言うわけで、これにてこの物語の本編は一旦終わりです。

あんまり考えずに突っ走って来ましたが、何とか終わらせられました。ヒイロ君にどうやって魔法使わせるか、とか、ヤチヨとどうやって一緒に過ごさせようか……とか考えることが多すぎて大変でしたが、自分なりに纏められたと思います。

ヒイロ君の醜態を愉しんで頂けたなら感無量ですね。三条燈色君が活躍する『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと』マジで面白いので、このノリが面白いと感じられた方は是非!見て欲しいです。あと誰でも良いですから二次創作作って下さい。

『超かぐや姫!』も当然面白いので、二次創作バンバン作ってください。見たいです。

それでは、蛇足〜でまたいつかお会いしましょう!

ここまで見てくださって、ありがとうございました!!
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