ゼロバンゲート番外編〜芦毛のノワール〜   作:茶坊主(ぽんぽん)

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第1話

私は真っ白な芦毛。

 

耳の先から、しっぽの先まで、真っ白。

それだけ。

 

芦毛の先輩ウマ娘は大勢いる。

名前を挙げればきりがない。

 

じゃあ私は?

私は、何番目?

 

拍手は、いつも誰かのもの。

歓声も、記録も、伝説も。

私は、白いだけ。

 

――でも。

白は、何色にもなれる。

これは、

“ゼロ”から、“1番”を目指す話。

 

飛行機を降り、何時間も車に揺られて。

窓の外は、見たこともない色の空。

 

私たちは、ようやくコッチのトレセン学園にたどり着いた。

 

ここまで来られたのは、真面目にやってきたから。

タイムも安定していたし、トレーナーの評価も悪くない。

 

だから、海外遠征志望者の枠には残れた。

でも――

大きなレースに出るのは、私じゃない。

 

エースは、別にいる。

歓声を浴びるのも。

インタビューを受けるのも。

名前を覚えられるのも。

私じゃない。

 

あ、自己紹介がまだだった。

私はピュアノワール。

 

白と黒が混ざった名前の、真っ白なウマ娘。

 

いちばん最後に降りてきたのは、

―アフォガート

 

海外組の大本命。

天才って呼ばれてる。

本人は努力家。

黒毛で、凛と澄ました横顔。

 

拍手は自然に彼女へ向く。

期待も、視線も、未来も。

みんな、彼女が大きなレースで走るのを楽しみにしている。

 

私にとっては――

真っ白なアイスに、

ふりかけられるビターなエスプレッソ。

 

溶けていくのは、甘さのほう。

詩的だけど、笑えない。

羨ましい。

腹が立つ。

 

学園のエントランス

 

「歓迎」と書かれた横断幕

 

コッチの文化に合わせてくれたのかな?

 

仲良くなれるかも?

 

そんな期待はすぐに裏切られた

 

私たちが重い荷物を床に下ろして

整列した途端

 

横断幕は音を立てて引き裂かれた

 

ニヤニヤと笑うホームのウマ娘たち

 

そんな彼女らをまっすぐに見つめながら、アフォガートは前に出た

 

流暢な言葉で話し始める

 

アフォガート

「お出迎え感謝する

私たちはライバルであって敵じゃない

お互いを高めあえる関係を望む」

 

100点の返し

そうね

私なら、”今の覚えとけよ”の一言くらい付け加えるんだけど

 

横断幕を引き裂いた女が近寄ってくる

 

???

「バンダバーグってんだ。

興味無いだろうけど。

 

優等生だね、アンタ」

 

バンダバーグ

「今すぐ走りたいんだろ?

芝に案内してやるよ。

それとも観光案内がいいか?」

 

バンダバーグは顎でしゃくった

 

廊下を抜けて、校舎の間を歩いていく

 

広い…

学園だけで街ひとつ分?

 

みんな足がしっかりしてるわけだ

 

はぁ…私はとりあえずシャワー浴びて寝たい

 

ねぇ、どこまで歩くの?

 

アフォガート

「すまない

先に寮に案内してくれないか?

 

対決するのは明日でも構わないだろ。」

 

バンダバーグ

「ふーん。わかった。

それでいいよ。

じゃあ、ここでゆっくり休みな」

 

バンダバーグは校舎の隅を顎でしゃくった

 

冗談よね?

この地域ではそういうのがウケるんだ

そう確信して私は笑った

 

ピュアノワール

「ちょっと何それ!?

ウケる‪んだけど!‪」

 

バンダバーグ

「…は?」

 

えっ?

笑うところでしょ

 

仲間のみんなまで目を伏せてる

 

笑ってよ…ねぇ〜

 

なんでそんな顔するの

 

バンダバーグ

「あー、私が喋ってるのが可笑しいのか?

訛りが気になる?」

 

私、地雷踏んじゃった…?

何か言わないと…

 

ピュアノワール

「えっと…、あなたの声、素敵よ♪」

 

バンダバーグの仲間も誰一人笑っていない

 

バンダバーグ

「話し方が、気に入らないのかって聞いたんだ!!」

 

バンダバーグが壁を叩く

ドンっという音が反響する

 

私はムッとして返す

 

ピュアノワール

「答えはNO。

だって、今怒る方がよっぽど変よ?」

 

バンダバーグ

「ぐっ…」

 

歯ぎしりの音が聞こえた

 

バンダバーグの目が座る

 

なんなの?

先に挑発してきたのはソッチなんだけど

地元のジョークって難しいんだ?

 

バンダバーグが何か言いかけたとき

アフォガートが割って入る

 

アフォガート

「すまない…長旅で疲れているんだ

勘弁してやってくれ…」

 

彼女は深々と頭を下げる

 

ああ、まただ

また100点満点

 

アフォガートの株があがって

私は後ろに下がる

 

まだゲートも開いていないのに、

私はすでに二番手の空気を吸っていた。

 

 




ゼロバンゲート〜枠外からの挑戦者〜
から数年後の設定です。

学年が上がっているので、原作キャラクター達は育成期間があらかた完了しているくらいの時系列です。
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