ゼロバンゲート番外編〜芦毛のノワール〜 作:茶坊主(ぽんぽん)
ピュアノワール
「そういえば…、なんであんた
そんなに私に絡むのよ……」
バンダバーグは鼻で笑う。
本当に呆れたような、でもどこか照れたような顔。
バンダバーグ
「好きでやってんじゃない。」
ピュアノワール
「……は?」
バンダバーグ
「今度の団体戦は、
お前と同じチームで走るからに決まってんだろ?」
ピュアノワール
「ええぇぇ!!?」
声が裏返る。
目がまん丸になる。
尻尾がピンッと跳ねる。
バンダバーグ
「何その反応。
私が一緒に走るのそんなに嫌か?」
ピュアノワール
「いや……その……
だって……アンタ……
私のこと……」
バンダバーグ
「白いのって呼んでるだけだろ。
別に嫌いじゃねぇよ。」
ピュアノワール
「……っ」
その言い方があまりにも雑で、
でも、
嘘がひとつも混じっていない。
バンダバーグ
「なんかつまらないことで悩んでんだろ。
らしくないぞ。」
奥歯を噛む
この女…!
ピュアノワール
「つまらないって、アンタねぇ…。
人の気持ちも知らないで…!」
バンダバーグ
「お前の気持ちなんて知るかよ…。
誰もお前の”今、走ってる姿”以外に興味なんてないだ。それとも、惚れた男でも見に来るのか?」
ピュアノワール
「その通りだとでも言って欲しいわけ!?
まぁ、アンタみたいなガサツには分からない話だけどね!」
バンダバーグ
「へぇ…言うじゃないか。
もしかして、気になってるのって、
あの髭面の中年トレーナーか?」
榊原トレーナーのことを言ってるのだとしたら
酷い勘違いだ。
好きどころかむしろ苦手…
ピュアノワール
「いい加減にしろよ、この大女!
レースの前にその口きけなくしてやるんだから!」
無性に腹が立ってきた
バンダバーグに掴みかかろうとしたその時
アフォガート
「やめて!」
また最悪のタイミングで現れるんだから
ピュアノワール
「何しに来たのよ!お説教!?」
アフォガート
「そんなこと1度もしたことない。」
悲しそうに目を伏せながら
「私も、その女神像を見に来ただけ…」
あ…
確かにアフォガートが私に説教なんかしたことない
自分が勝手に思い込んでただけだった
恥ずかしくなる
でも、こういうところよ
アフォガートの嫌いなところ
アフォガート
「これが芦毛の伝説なんだ。」
彼女は女神像の前に立った
碑文を指でなぞりながら、目を瞑る
何かを想像しているのか
表情が柔らかくなる
そして、こちらを振り返った
アフォガート
「レースで1着とるのって嬉しい。
でも、それっていつか忘れられるよね。」
私とバンダバーグは腕を掴み合いながら、固まっている
「1番嬉しいのは、観客の熱狂とか声援の中に自分がいたって思えることじゃないかな…。
私もこのウマ娘みたいに、伝説になりたい。
あの”走りは誰にもマネできない”って言われてみたい…」
バンダバーグが目を細めながら…
「なんか語り出しだぞ?
お前の国から来たやつって、みんなこうなのか?」
私まで変なやつ扱いされてるし…
ピュアノワール
「無菌室で育つとこうなるの。
私まで一緒にしないで…」
アフォガートが真っ直ぐな目でこちらを見てくる
バンダバーグ
「とにかく…!
共同戦線だ。
わだかまりはなし!いいな?」
ピュアノワール
「アンタが勝手に因縁つけてきただけでしょ…」
バンダバーグ
「その口、縫ってやろうか?」
アフォガート
「あはは!
なんか楽しくなってきたね!」
アフォガートは、私とバンダバーグの手を取り、重ね合わせる
人たらし…
主人公め…
こんなことされたら、
私もその気になっちゃうじゃないのよ!
でも、嫌な気持ちはしないわね。
少なくとも昨日までよりは、良い方向に向かうかもしれない