ゼロバンゲート番外編〜芦毛のノワール〜   作:茶坊主(ぽんぽん)

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第15話

バンダバーグ

「だーかーら!

私が、こうやってバトン差し出すから、ちゃんと受け取れ!」

 

バンダバーグはバトンをアフォガートの手に叩きつける

 

アフォガート

「その姿勢じゃダメ。

渡す時は減速。角度も揃えて。」

 

バンダバーグ

「そんなことより速く走るトレーニングだ!

こんな細かいこと後回しでいいんだよ!」

 

アフォガート

「非合理的!

タイムを1秒縮めるよりも、

バトンタッチの精度をあげる方が遥かにタイムは縮まる!」

 

バンダバーグの気持ちはわかる

でも、アフォガートの論理は隙がない

だから、私も言い返せない

 

何か言わなきゃ…

 

ピュアノワール

「少々出遅れても、最後に私が捲って勝つから… 」

 

バンダバーグ、アフォガート

「「はあ…?」」

 

おデコがくっ付くくらい近くで睨み合ってた2人が同時に私の方をむく

 

バンダバーグ

「おい白いの。

 今なんつった?」

 

アフォガート

「“捲って勝つ”……?

 団体戦で……?

 あなたが……?」

 

二人の視線が、

まるで“現実を確認するためのレーザー”みたいに刺さる。

 

ピュアノワール

「い、いや……その……

 だって……私、最後の区間だし……

 ほら……勢いで……」

 

バンダバーグ

「勢いで言うな。

 団体戦は“お前一人の見せ場”じゃねぇんだよ。」

 

アフォガート

「そう。

 あなたが最後に捲るためには、

 私たちが“繋ぐ”必要があるの。」

 

バンダバーグ

「だからバトン練習してんだろうが!」

 

アフォガート

「だからこそバトン練習が大事なの!」

 

二人がまた言い合いを始める。

 

……あれ?

私のせいでまた喧嘩してる?

なんで?

なんでこうなるの?

 

アフォガート

「ノワール、あなたは“最後に捲る”って言った。

 その言葉、私は嫌いじゃない。」

 

ピュアノワール

「えっ……?」

 

アフォガート

「でもね。

 “捲る”って言うなら――

 私とバンダバーグの走りを背負う覚悟が必要なの。」

 

バンダバーグ

「そういうこった。

 お前が最後に全部持ってくって言うなら、

 私らは“お前のために”走ることになる。」

 

アフォガート

「だから、軽々しく言わないで。」

 

ピュアノワール

「……っ」

 

胸が熱くなる。

 

怒られてるのに、

責められてるのに、

なぜか――

嬉しい。

 

だって二人とも、

“私が最後に走ること”を前提に話してる。

 

逃げていた頃の私なら、

絶対に聞けなかった言葉。

 

バンダバーグ

「いいか白いの。

 お前が最後に捲るって言うなら――

 私らは絶対にバトンを落とさねぇ。

 だからお前も、絶対に落とすな。」

 

アフォガート

「そして、

 “あなたの走り”で勝って。」

 

ピュアノワール

「……っ……!」

 

胸の奥で、

昨日よりも大きな火が燃え上がる。

 

ピュアノワール

「……わかった。

 私……最後、絶対に捲る。

 アンタたちのバトン、絶対に落とさない。」

 

バンダバーグ

「よし。

 言ったな?」

 

アフォガート

「じゃあ、練習再開しよっか。」

 

三人の視線が交わる。

 

昨日までバラバラだった三人が、

今は同じ方向を見ていた

ーー

 

私たちは納得のいく仕上がりを見ないまま本番を迎える

 

学園内から街を一周して、最後の区間は真っ直ぐな上り坂。

 

スポンサー、地元の商店、観客、全てが熱狂の渦を作っていた

 

公式レースっていうより

地元のお祭りって雰囲気ね

 

酒瓶を振り回し赤ら顔の人達

 

贔屓のウマ娘の応援グッズを持つ行列

 

高級そうなスーツに身を包んだ男たちは、

一瞬たりとも見逃すかと言わんばかりに

メモを片手にパドックを見ている

 

バンダバーグ

「怖気付いたなんて言うなよ」

 

ピュアノワール

「てっきり模擬レースくらいのもんだと思ってたけど…」

 

1人の記者が近づいてくる

 

記者

「あ!芦毛の方ですね!

お話を伺っても?」

 

芦毛ってだけで注目されるって本当なんだ…

 

記者

「いやぁ、見事に全身真っ白だ。

まさに、芦毛の伝説が舞い戻ったみたいですね!

お名前を教えてもらってもいいですか?」

 

ピュアノワール

「…っ。

私は…、ゼロバンゲート。」

 

記者

「ゼロバンゲート……!

 いやぁ、これは面白い!

 “ゼロ番目のゲートを開く芦毛”……

 記事映えしますよ!」

 

ピュアノワール

「え、あ、あの……

 記事に……?」

 

記者はもう聞いていない。

興奮したようにメモを走らせている。

 

アフォガート

「ノ、ノワール……?

 いま……なんて……?」

 

バンダバーグ

「おい白いの。

 どういうつもりだ?」

 

二人の視線が刺さる。

でも、昨日までのような“責める目”じゃない。

 

ただ――

“覚悟を問う目”。

 

ピュアノワール

(……怖い……

 でも……

 もう逃げたくない……)

 

深呼吸して、

胸の奥の火を確かめる。

 

ピュアノワール

「……本当の名前を出す勇気は、まだない。

 でも……

 あの走りはもう隠せない。」

 

アフォガートの目が揺れる。

バンダバーグは腕を組んだまま黙って聞いている。

 

ピュアノワール

「だったら……

 利用してやるのよ。

 “ゼロバンゲート”って名前も、

 街の期待も、

 伝説も……

 全部、私が使ってやる。」

 

アフォガート

「ノワール……」

 

バンダバーグ

「……へっ。

 言うじゃねぇか。」

 

ピュアノワール

「だって……

 私の走りはもう……

 隠すだけのものじゃないから。」

 

その言葉を言った瞬間、

胸の奥の火が――

はっきりと形を持った。

 

 

 

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