ゼロバンゲート番外編〜芦毛のノワール〜   作:茶坊主(ぽんぽん)

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第8話

ピュアノワール

「もう一本、お願いします!」

 

トレーニングの時間

アフォガートが座って見学している

 

来週に控えたメインレースの選考会

彼女が棄権するかどうかは

誰からも知らされていない

 

でも、いい方向に話が進むわけなんてない

 

それは全部、私のせい…

 

私にできることは、少しでもアフォガートの代わりが務まるように、努力することだけ

 

チームメイト

「ノワール、無理しすぎよ!

どうしたの…?」

 

ピュアノワール

「ううん!まだ全然、余裕だから!」

誰の目にも嘘だとわかる

私の膝は震えていた。

 

言うことを聞け!

この汚い脚!

 

私は拳で自分の脚を叩いた。

膝は震え、呼吸は乱れ、視界が滲む。

 

チームメイト

「ノワール、やめて!そんなことしても速くならない!」

 

ピュアノワール

「速くならなきゃダメなの!!

 私が……私が速くならなきゃ……!」

 

声が裏返る。

喉が痛い。

胸が苦しい。

 

アフォガートは座ったまま、

包帯の巻かれた脚を押さえながら、

じっと私を見ていた。

 

その目は、責めていない。

怒っていない。

ただ、痛そうに、悲しそうに、

“見ている”。

 

見ないでよ……!

そんな目で見ないでよ……バカ!

 

ワラビーラッシュ

「見苦しいわね。

ノロマがお涙頂戴のお芝居なんて…」

 

嫌味な女!

何で今、来るのかな…

 

ワラビーラッシュ

「そろそろ交代の時間よ。

退いてくださる?」

 

ワラビーラッシュの取り巻き達は、当たり前のように練習器具を片付け始めた

 

チームメイト

「あ、もうそんな時間?

わかった。片付けるね!」

 

ワラビーラッシュ

「明日から練習場所の確保も不要ね。

エースがあんな状態で、誰がレースに出るの?」

ワラビーラッシュは、

アフォガートを顎でしゃくった

 

その言葉は、

アフォガートを侮辱しているようで、

私の胸を真っ二つに裂いた。

 

ピュアノワール

「なんだと…!こいつ!」

拳を握りしめて、

ワラビーラッシュの前に立つ

 

ワラビーラッシュ

「文句があるなら、ここで勝負してあげてもよろしくてよ?

まぁ、でも、白いだけの悲劇のヒロインで、私の相手が務まるかしら?」

 

“白いだけ”

“悲劇のヒロイン”

 

その二つの言葉が、

心を一気に黒く染める。

 

チームメイト

「ノワール、練習場所の予約時間は決まってるから、ワガママ言わないの。

行きましょう。」

 

普通の言葉。

普通の注意。

普通の対応。

 

助かったとでも言わせたいの!?

 

みんな、みんな、私の敵!

 

怒りに任せて芝を踏みつける

 

足の形に芝が深く沈む

 

この足跡は醜い私

 

踏んづけても

踏んづけても

消えないんだ…

 

---

 

ピュアノワール達が去った後、

ワラビーラッシュは足跡を見つめていた

 

ワラビーラッシュ

「うふふ…、見つけたわ。

やっぱりあの子だったのね。

芦毛のゼロさん。」

 

まるで獲物を見つけた猛獣のように

彼女は口角を上げた

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