未来を掴むのは、幻か真か……   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。5月に発売されるスペシャルシリーズ『伝説の先導者達』を小説を執筆しながらスタンバイしているなかむーです。

 今回は前回のファイトの続きからとなります。

 それでは、本編をどうぞ。


第三話 悠久の魔法師、月の試練に挑む─②

 「スイーツ、スイーツ〜♪楽しみだな〜♪」

 

 京介と緋彩がファイトしている同じ頃、街中で二人の女子高生が歩いていた。そのうちの一人は鼻唄混じりでスキップしていた。

 

 この人物は愛本(あいもと) りんく。今は一緒にいる花巻(はなまき) 乙和(とわ)と共にスイーツ店に足を運ぼうとしている最中であった。

 

 テンションの高いりんくと乙和であるが、後者は嬉しさと同時に何故か怯えも孕んでいた。

 

 

 「ねぇどうしたの乙和ちゃん?もうすぐスイーツのお店に着くよ」

 「それはいいんだけど、どこか衣舞紀や颯樹くんに監視されていそうで怖いんだ……」

 

 

 乙和は顔を青ざめて周囲を警戒しながら呟いた。

 

 

 「それならその分身体を動かせばいいんじゃない?そうすればカロリー実質0だよ!」

 「そんな単純な話じゃないから!」

 

 

 此処に居ない颯樹や衣舞紀の事を懸念している乙和に対してりんくは呑気(いつもどおり)に物事を考えていた。しかし乙和はそれに対して少しだけ羨ましいと感じていたのは此処だけの話である。

 

 だがそれ以前にりんくはある一つの疑念を抱いていた。

 

 

 「しかしなんか騒がしいね。何かあったのかな?」

 

 

 休日とはいえ人は絶えないが、今日はいつも以上に人が多いのであった。というのも、自分達と同じ年代や大学生くらいの年齢の若者が、何処かに向かうように走っていくばかりであった。

 

 

 「もしかして有名人が来てるのかな?ま、乙和ちゃんがいるからかもね!」

 

 

 乙和はその場でドヤ顔をしながらセクシーポーズをするも、通行人は誰も彼女に見向きとせずに素通りしていった。

 

 いくら乙和がメディアに出てるDJユニットのメンバーであってもまだそこまで認知があまり高くないみたいだ。

 

 現実は非情である。その言葉が乙和によく刺さる一幕であったのか、彼女は跪いた。

 

 「聞いたか?燐舞曲(ロンド)の矢野緋彩さんがヴァンガードやってるって話だぞ」

 「えっ、それ本当?行ってみようよ」

 「マジか。相手は同じメンバーの葵依さん?あの人、その手の界隈じゃ【微笑みの騎士】って呼ばれてるし」

 「知った情報によると、【闇の貴公子】がファイト相手を務めてるって」

 「あの【微笑みの騎士】のライバルと緋彩さんがファイト⁉︎行ってみようか!」

 

 

 乙和がショックを受けている最中、りんくは通行人がそんな事言っているのを耳にした。一瞬二つ名らしき物だが、彼女には聞き覚えがあった。

 

 

 「ねぇ乙和ちゃん。今の話、もしかして京介くんと緋彩さんじゃないかなって……アレ?乙和ちゃん?」

 

 

 りんくは乙和に声を掛けるもショックから立ち直れてないからか未だ跪いていた。

 

 

 「乙和ちゃーん?ダメだこりゃ、ショックが大きいんだ……仕方ない、こうなったらカピタルの方が近いからそこから行こうか」

 

 

 本来の目的から外れてしまうが、今回は好奇心が(まさ)っていたようで、りんくは乙和を引き連れる形でカードカピタルに向かうのであった。

 

 しかし乙和は勿論の事、りんくはこの時まだ知らなかった。幸か不幸か、自身達が世界の命運を賭けた大戦に巻き込まれる事に─────。

 

 

☆☆☆

 

 

 ────時同じく、カードカピタル。

 

 

 ファイトが始まった時は観戦客は希美と美夢しかいなかったのだが、『【闇の貴公子】という二つ名を持つ京介と、彼のライバルである【微笑みの騎士】とは同じ大学に通っていてDJユニットのメンバーである緋彩がヴァンガードでファイトしている』という情報を聞きつけた者が後を絶たなかったようで、ファイトスペースはあっという間に人だかりが出来ていた。

 

 

 「しかし人が増えてきましたね…」

 『嗚呼。だがこれだけ人が集まれば幻真獣カードの所有者ともいずれ巡り合うかもしれない。このファイトが終わり次第、探すぞ』

 

 

 美夢とヴェイズルーグはこのファイトが終わった後の事を考えていた。ちなみにヴェイズルーグは今、スマホが浮いてたら悪い意味で目立つ事を考慮してか、美夢の手元に収まって、彼女が通話しながらファイト観戦をしているように周りに見せかけていた。

 

 

☆☆☆

 

 

 「稀代の魔法師のスキル、グレード3のベルクレアにライドされた時、山札の上から7枚見て、2枚まで選んでドロップゾーンに捨ててシャッフルするわ」

 

 

 【山札の上から見たカード】

 ・《梢弓の狩人 トゥリータ》

 ・《戦場の歌姫 アポクルーネ》

 ・《傲然の貴公子 フィランダ》

 ・《悠久の極大魔法 ゼグレ・リオース》

 ・《晴朗の乙女 レェナ》

 ・《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》

 ・《天恵の源竜王 ブレスファボール》

 

 

 「……トゥリータとゼグレ・リオースを破棄。次にオーダーゾーンの《回復魔法 エクスルーナス》を唱えるわ。自身をレストして、ドロップから守護者以外のノーマルユニットを1枚選んでスペリオルコールするわ……私が選択するのはこの子よ」

 (ドロップ10→12→11)

 

大魔法師と共に立つ、

月より出し真なる獣。

(はぐく)む、大樹の竜

コール、《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》!

 

 

 「「アレが緋彩さんの幻真獣……」」

 『そうだ。同時に[ストイケイア]所属の幻真獣でもある』

 

 

 幻真獣の登場に対し、希美と美夢は関心していた。

 

 

 「更にニルズベイグの登場時スキルを発動するわ。CB(カウンターブラスト)1して、山札の上から5枚見て、『ベルクレア』を含むカードか極大魔法カードを1枚手札に加えるわ。チェック…」

 

 【山札の上から見たカード】

 ・《憧憬の乙女 アラナ》

 ・《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》

 ・《悠久の極大魔法 ゼグレ・リオース》

 ・《四精織り成す清浄の盾》

 ・《ティアーナイト コスタス》

 

 

 「ゼグレ・リオースを手札に加えるわ。更にベルクレアのスキルを発動」

 (手札5→6)

 

 「えっ、ベルクレアのスキルって何があるんですか?」

 「三つあるうちの一つよ。まずは一つ、極大魔法かオーダーゾーンの魔法の起動能力を発動した時、ユニット1体のパワー+5000するの。今回はヴァンガードに与えるわ」

 「ヴァンガードにパワーを……」

 

 魔法のオーダーを使うだけでユニット1体のパワーを増加させるスキルを持っていた事に関心を抱く希美であった。ヴェイズルーグも関心している表情に見えた。

 

 

 「魔法を使って攻撃の補助をするんですね」

 「そういう事♪でもまだ私の魔法はこれだけじゃないわ……ベルクレアのもう一つのスキル発動するよ」

 「まだスキルがあるんですか?」

 「先に言ってたじゃない、『三つあるうちの一つ』って。もう一つのスキルは1ターンに1回しか使えないスキルだけど、SB(ソウルブラスト)1とスタルキングをレストして、魔法オーダーをコストを支払わずに発動。スタルキングを唱えた事で、ベルクレアのパワー+5000。更にベルクレアのスキルでニルズベイグにパワー+5000」

 (ソウル2→1)

 (ドロップ11→12)

 

 「ユニットのパワーを上げるスキルがまた使われたっ⁉︎」

 「このスキルはターン1の制限は無いのよ」

 

 

 希美は今一度確認するために、《悠久の大魔法師 ベルクレア》のカードを手に取ってテキストを確認した。すると緋彩の言う通り、ターン1制限は書かれていなかった。

 

 

 「気を取り直して……此処でリアガードを展開するわ、《蒼砲竜 インレットパルス・ドラゴン》をコール。此処でドロップからオーダーカード…《悠久の極大魔法(エターナル・グランマギア) ゼグレ・リオース》を発動するわ」

 「やっぱりあのオーダー…」

 『キョウスケが先程使った《天を覆うは漆黒の翼(アルフィーニ・スヴァトバーギ)》と同じタイプのノーマルオーダーのようだな』

 

 「ゼグレ・リオースを発動した際、このオーダーはバインドされるけどそんなものは関係無いわ。この魔法のスキルは、ヴァンガードのドライブはユニットのスキルで減らないの」

 (ドロップ12→11)

 (バインド0→1)

 

 「ドライブが減らない…?」

 「という事は、ベルクレアはスタンドするスキル…?」

 『だろうな。でなければ、あのオーダーはプレイしていないだろう』

 

 「まだよ。ベルクレアのスキルでインレットパルスのパワー+5000。更にドロップゾーンの《梢弓の狩人 トゥリータ》のスキル、極大魔法をプレイした際に同名ユニットがリアガードにいないなら、ドロップゾーンのこのユニットをスペリオルコール。それも2体分で、左右後列によ。次にフィランダをヴァンガードの後ろにコール。フィランダのスキル…は熟知してるわよね?」

 (手札5→4/ドロップ11→9)

 

 「当然だ」

 「なら説明は不要ね。それじゃチェック」

 

 

 【山札の上から見たカード】

 ・《戦場の歌姫 アポクルーネ》

 ・《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》

 ・《戦場の歌姫 ドルテア》

 ・《四精織り成す清浄の盾》

 ・《悠久の極大魔法 ゼグレ・リオース》

 

 

 「……ニルズベイグを破棄。これで自分ターンの間にフィランダはドロップのカードが10枚以上なら自身のパワー+10000の条件が達成よ。《エネルギージェネレーター》のスキル、これでバトルに入るわ」

 (ドロップ9→10)

 

 

 自身の盤面を埋め終わった事により、やっと緋彩の攻撃態勢が整ったようだ。

 

 

 「まずはブーストせずにベルクレアでヴァンガードに攻撃よ。ニルズベイグのスキル、グレード3以上のヴァンガードが攻撃した時、自身のパワー+5000よ」

 「ノーガード」

 「ツインドライブ。1st《戦場の歌姫 アポクルーネ》。2nd《晴朗の乙女 レェナ》。ゲット、ドロートリガー。インレットパルスにパワー+10000して1枚ドロー」

 (手札4→6→7)

 

 「ダメージチェック《オルタレートスフィア・ドラゴン》。ゲット、ヒールトリガー。パワーをヴァンガードに与えてダメージ1回復」

 (ダメージ3→4→3)

 

 「ベルクレアのスキル、バトル終了時にCB(カウンターブラスト)1して自身をスタンド。更にこのターンドライブは−2されるけど、ゼグレ・リオースの効果でドライブは減らないわ」

 

 「だからゼグレ・リオースはあんなスキルがあったんだ……」

 「それだと緋彩さんはこのターン、実質4回ドライブが出来るって事?」

 『そうなるな』

 

 「次はどうする気かしら?フィランダのブーストしたベルクレアでヴァンガードに攻撃」

 「ノーガード」

 

 

 お互いのダメージは3。此処でガードしなくても残りダメージは充分にあるが、ヴァンガードは何が起こるか分からない。だけど京介は迷う事なく攻撃を受ける選択を取った。

 

 

 「ツインドライブ。1st《悠久の大魔法師 ベルクレア》。2nd《天恵の源竜王 ブレスファボール》。ゲット、オーバートリガーよ」

 (手札7→9)

 

 「このタイミングで引いたか…!」

 「えぇ。このカードを除外して1枚ドロー。パワー1億をニルズベイグに。更に追加効果発動、1枚ドローしてクリティカルをヴァンガードに。前列のユニットのパワー+10000。ダメージ1回復よ」

 (手札9→8→9→10)

 (ダメージ3→2)

 (ドロップ10→11)

 

 「ダメージチェック。1点目《万古に輝く黄金の月》。2点目《第一の幻真獣 "天戒牙狼" ロズトニル》」

 (ダメージ3→5)

 

 「次行くわよ。トゥリータのブースト、ニルズベイグでヴァンガードに攻撃。トゥリータはスペリオルコールしたターン、自身のパワー+2000よ」

 「手札1枚破棄して《プラネットウォール・ドラゴン》で完全ガード」

 (手札8→6)

 

 「やっぱり使ってくるわね……トゥリータのブーストしたインレットパルスでヴァンガードに攻撃よ」

 「この攻撃が決まれば…」

 「京介くんのダメージは6に…!」

 

 

 緋彩のラストの攻撃に希美と美夢は瞬きせずに注視した。しかし京介とてダメージは5。次にこの攻撃を通すと自身の負けは濃厚なので防がない考えは無いのだ。

 

 

 「メイティーナでガード。更にレヴノローグ2体でインターセプト」

 (手札6→5)

 

 「防いだけど…」

 「まだ5000足りない……」

 

 

 インレットパルスのパワーは合計48000。それに対してシールド値は25000。ヴァンガードのパワーを加算すると合計はインレットパルスのパワーと同じになるのだ。しかしパワーが同じなら攻撃が通ってしまう。二人は京介のプレイングミスじゃないかと勘繰った。

 

 「まだだ。ヴェイズルーグのスキル、ドロップのロズトニルとをデッキの下に置いてレヴノローグ2体のシールド+5000」

 (ドロップ6→4)

 

 「えっ、ガード値を上げる効果もあるのっ⁉︎」

 「嗚呼。ガードは成功、そしてメイティーナのスキルで自身はソウルに移動する」

  (ソウル2→3)

 

 「一筋縄はいかないようね……ターンエンド。インレットパルスをソウルに置いて1枚ドローよ」

 (手札10→11)

 (ソウル1→2)

 

 

 「スタンド&ドロー、EC3。《月の門番 ヴェイズルーグ》にペルソナライド…と行きたいが、『ペルソナライド』は知ってるよな?」

 (手札5→6→5)

 (ソウル3→4/エネルギー0→3)

 

 「勿論よ」

 「それならよかった。それじゃあ、気を取り直して……スキルにより前列にパワー+10000して1枚ドロー。これで処理は終わるが、大丈夫か?」

 (手札5→6)

 

 「大丈夫よ」

 

 

 先攻4ターン目が回って、京介は『ペルソナライド』の手順を、緋彩に一から説明しながら実行に移すのであった。

 

 

 「それじゃ、此処で3体目、いや…4体目か、の……幻真獣をお披露目しよう。その前に、ガルズオルムスを前列に移動。その空いたリアガードサークルに、手札のコイツをコールする」

 (手札6→5)

 

 

 京介が先程のターンで披露した幻真獣はこれだけではなかったようで、まだ1体いるみたいだ。

 

 

汝、我の声聞こえるならば呼応せよ

三つ目の祖にして、奈落の矛となりし幻想

異界を()べる、真なる獣

コール!《第三の幻真獣 "玲獄寵妃" ヘルグヴァール》

 

 

 「それが京介クンが所持している幻真獣カードなのね」

 「嗚呼。ヘルグヴァールの登場時スキル、ライドデッキのヴェイズルーグか、ヴァンガードがヴェイズルーグなら、デッキの上から5枚見て、月天儀オーダーか『ヴェイズルーグ』を含むカードを手札に加える。チェック……」

 

 

 【デッキの上から見たカード】

 ・《警邏ロボ デカルコップ》

 ・《無窮の星竜帝 エルドブレアス》

 ・《万古に輝く黄金の月》

 ・《スターアグレション・ドラゴン》

 ・《オルタレートスフィア・ドラゴン》

 

 

 「……《万古に輝く黄金の月(エイリフト・グルマーニ)》を手札に加え、そしてそのままコイツをプレイ。CB1して、『《幻真獣》のパワー+5000して、このターンにカードの効果で登場した《幻真獣》のパワー+5000』するスキルをヴァンガードに付与する」

 (手札5→6→5)

 

 「えっ、それじゃ《月の門》のスキルで出たら実質パワー+10000状態って事⁉︎」

 「それにヴェイズルーグのスキルでも登場する…!」

 

 

 これから起こるのは、最高5回の高火力の攻撃。当然充分にある緋彩の手札も結果次第では尽きる危険も孕んでいた。

 

 

 「それじゃ此処で行くぞ」

 

 

月の門、起動

 

 

 【デッキの上から見たカード】

 ・《無窮の星竜帝 エルドブレアス》

 ・《オルタレートスフィア・ドラゴン》

 ・《プラネットウォール・ドラゴン》

 ・《烏輪の幻真獣 レヴノローグ》

 ・《四精織り成す清浄の盾》

 ・《天を覆うは漆黒の翼》

 ・《第一の幻真獣 "天戒牙狼" ロズトニル》

 

 

 「……ロズトニルとレヴノローグを公開。ロズトニルをスペリオルコールしてレヴノローグをオーダーゾーンにセット。ロズトニルのスキルは勿論知ってるよな?」

 (オーダー4→5)

 

 「えぇ、大丈夫よ」

 「それならよかった。ニルズベイグのいるリアガードサークルを選択して2体同時攻撃を行なえる。更に行くぞ、ヴェイズルーグのスキル。SB2する」

 (ソウル4→2)

 

 

月の門、再起動

 

 

 【デッキの上から見たカード】

 ・《警邏ロボ デカルコップ》

 ・《オルタレートスフィア・ドラゴン》

 ・《無窮の星竜帝 エルドブレアス》

 ・《第三の幻真獣 "玲獄寵妃" ヘルグヴァール》

 ・《第二の幻真獣 "震界蛇王" ガルズオルムス》

 ・《月の門番 ヴェイズルーグ》

 ・《プラネットウォール・ドラゴン》

 

 

 「……ヘルグヴァールとガルズオルムスを公開。ヘルグヴァールをヴァンガードの後ろにスペリオルコール、ガルズオルムスをオーダーゾーンにセット。ヘルグヴァールのスキル、チェック」

 (オーダー5→6)

 

 【デッキの上から見たカード】

 ・《月の門番 ヴェイズルーグ》

 ・《プラネットウォール・ドラゴン》

 ・《警邏ロボ デカルコップ》

 ・《四精織り成す清浄の盾》

 ・《オルタレートスフィア・ドラゴン》

 

 

 「……ヴェイズルーグを手札に加える。コレでバトルに入ろう」

 (手札5→6)

 

 

 盤面を整え終えて漸くバトルに入る事となった京介であった。

 

 

 「まずはヘルグヴァールのブーストしたガルズオルムスでヴァンガードに攻撃」

 「えっ、ロズトニルじゃない…?」

 「ガルズオルムスは、相手ヴァンガードがグレード3以上で、このターンオーダーをプレイしたなら、パワーは5000じゃなくて15000上昇される」

 「ノーガード。ダメージチェック《四精織り成す清浄の盾》。ノートリガーよ」

 (ダメージ2→3)

 

 「ヘルグヴァールのスキル発動。自身をソウルインして、CC(カウンターチャージ)1する」

 (ソウル2→3)

 

 「えっ、ソウルに⁉︎」

 「それじゃ、ヴェイズルーグのスキルのコストを確保できちゃう…」

 「そういうこった。次にヘルグヴァールのブーストしたヴェイズルーグでヴァンガードに攻撃。ヴェイズルーグのスキル発動、CB1してオーダーゾーンのレヴノローグを前列、ガルズオルムスを後列にスペリオルコール。ガルズオルムスのスキル、CB1して自身を後列からでも攻撃を可能にする」

 (オーダー6→4)

 

 「手札を1枚破棄して《戦場の歌姫 アポクルーネ》で完全ガード」

 (手札11→9)

 (ドロップ11→13)

 

 「ツインドライブ…の前に。緋彩さん、アンタに一つ質問しよう」

 『?』

 

 

 ドライブチェックに入る直前、デッキトップに一度手に置いた京介は何故か手を止めて緋彩に問答を仕掛けた。当然緋彩や希美、美夢の頭には疑問符が浮かんだ。

 

 

 「これからツインドライブをするにあたって一つ注意しないといけない事は何かな?」

 「当然トリガーよね。それがどうしたのかしら?」

 「その答えで合ってる。何故なら俺はトリガーを2回連続で引き当てるからだ」

 「ハァ⁉︎」

 

 

 ツインドライブの結果前だというのに、いきなり宣言をし始めるのであった。周りから見たら滑稽とかとしか思えない行動、しかし京介は何の躊躇いもなくそれを言い退けた。

 

 

 「……そう。それじゃ引いてみてちょうだい」

 

 

 京介の事をよく知っているからか、緋彩は

戸惑いもなくトリガーチェックをするよう促した。

 

 

 「……1st《無窮の星竜帝 エルドブレアス》。ゲット、オーバートリガー」

 (手札6→7)

 

 「オーバートリガー…このタイミングで来るのっ⁉︎」

 「このカードを除外、次に1枚ドローしてパワーを後列のガルズオルムスに。追加効果発動、前列のユニットのパワーとクリティカルを2倍にする」

 (手札7→6→7)

 

 

 1枚目はトリガー。だがトリガーユニットよりノーマルユニットの方が捲られる確率が多いため2枚目もトリガーとは限らないのが現状だ。

 

 

 「アレ?でもお姉様、京介くんのトリガーチェックって、さっきからトリガーが来る確率が多くありません?」

 「あっ、確かに」

 

 

 しかし美夢はある一つの疑念を抱いていたのだ。確かに彼女の指摘通り、トリガーのヒットする確率が高いのであった。京介の後方から彼見ていたので、デッキの上を見る効果で後半になるにつれてトリガーユニットが見かけている。

 

 考えられるのはイカサマとかの類だが、京介の性格上、やりかねないが本人はやるつもりは微塵も無い…というのが彼の評価である。

 

 

 『いいところに気づいたな。何を隠そう、あのデッキは、デッキの《幻真獣》をオーダーに置いたり、月天儀オーダーとかの特定のカードをサーチしたりして、デッキを圧縮しているのだ』

 「デッキの圧縮⁉︎」

 

 

 ヴェイズルーグの口から語られた真相を受けて驚くしかなかった。美夢も、それを受けて内心驚いていた。

 

 

 「行くぞ、2nd《警邏ロボ デカルコップ》。ゲット、クリティカルトリガー。クリティカルはガルズオルムス、パワーをレヴノローグに」

 (手札7→8)

 

 「本当に2連続でトリガーを…」

 「それだけじゃないよ。3回目以降のパワー合計が70000以上のクリティカル2…殺意マシマシとしか思えないよ⁉︎」

 

 

 トリガーチェックもあってか、京介の盤面に驚く希美であった。

 

 

 「まずはヘルグヴァールのスキル、自身をソウルに入れてCC。次にレヴノローグのブーストしたロズトニルでヴァンガードとニルズベイグに同時攻撃。ロズトニルのスキル、パワー+5000とCB1して1枚ドロー」

 (手札8→9)

 

 

 「ヴァンガードはレェナ、トゥリータ、アミアブルでガード。トゥリータ2体でインターセプト。トゥリータのスキル、|EB3して自身のシールド+10000、それも3回よ。更にレェナのシールド+5000。ニルズベイグは退却」

 (手札9→6/ドロップ13→18)

 (エネルギー9→0)

 

 

 「次にレヴノローグでヴァンガードに攻撃」

 「(手札に完全ガードは無い上に、コレでは守り切れないわね……)ノーガード。ダメージチェック1点目《アミアブル・フェアリー》、2点目《憧憬の乙女 アラナ》。ゲット、クリティカルトリガー。効果全てをヴァンガードに」

 (ダメージ3→5)

 

 「次だ、ガルズオルムスでヴァンガードに攻撃」

 「此処もノーガードよ。ダメージチェック1点目《戦場の歌姫 ドルセア》。ゲット、ヒールトリガー。パワーをヴァンガード、ダメージ1回復よ。2点目……」

 (ダメージ5→6→5)

 

 

 ダメージチェックでヒールを引き当てたのはいいものの、2回連続で引かないと緋彩の敗北は確実なものとなるのだ。しかし緋彩は諦めていないようで、山札の上に手を置いて捲った。

 

 

 「……《悠久の大魔法師 ベルクレア》。貴方の勝ちよ」

 (ダメージ5→6)

 

 「……月の試練、これにて閉幕」

 

 

 緋彩のダメージゾーンのカードが6枚になった事により、京介の方に軍配が上がるのであった。

 

 

【WINNER:流川 京介】

 

 


 

 

 「対戦ありがとう、京介クン♪」

 「此方こそ。お疲れ様、緋彩さん」

 

 

 ファイトが終わると、二人は握手をした。その瞬間、観戦客達からの拍手が鳴り響いた。

 

 

 「しかし結構目立ち過ぎたか……」

 「でもこれで人集めは出来たから、幻真獣カードの所有者の情報集めが出来るわね」

 

 

 ティーチングファイトの他にも幻真獣カードの所有者探しも兼ねているため、結果的には目的の一つを達成したと言えるだろう。

 

 

 「わぁ! 凄いね京介くんと緋彩さん!」

 

 

 ……と、人混みから大きな声で二人に褒め言葉を投げかけられた。その人物はつい先程カピタルに訪れたりんくであった。

 

 

 「我が友りんくじゃないか。来てたのか?」

 「うん!京介くんと緋彩さんがファイトしてるって聞いたから飛び込んできちゃった!」

 「なるほど…でもなんで乙和ちゃんはあんなにショックを受けているのかしら?」

 

 

 りんくの存在に気づくも、何故かショックを受けている乙和に対して疑念を抱いていた二人であった。

 

 

 「京介くん、ヴェイズルーグさんが…あっ、りんくちゃん」

 「あっ、美夢ちゃん!美夢ちゃんもファイト観戦?」

 「うん。そうだよ」

 

 

 そんな最中、美夢が京介のスマホを持ちながら駆け寄ると、りんくと少しだけ言葉を交わして京介にしか聞こえない程度に耳打ちをした。

 

 美夢から自分のスマホを受け取った京介はヴェイズルーグの話を聞くため、耳を当てた。

 

 

 「どうしたヴェイズルーグ?」

 『君が友と呼んでいたリンクという子とそこの連れの子なんだが、微かに幻真獣の反応がする。事実を確かめたいから、此処からあの二人を連れ出して人気(ひとけ)の無い所に移動出来ないか?』

 

 

 ヴェイズルーグから語られた衝撃の一言。もしそれが仮に本当なら幻真獣カードの所有者は全員揃うのだ。当然、今後のためにいち早く事実確認はしたいものだ。

 

 京介は一旦スマホを上着のポケットに仕舞うと、美夢と緋彩と希美を呼び寄せて彼女達にしか聞こえないように耳打ちをした。

 

 三人は、京介の意見に同意したのか軽く頷いて了承するのであった。

 

 

 「りんくちゃん。一度話がしたいから今いいかな?」

 「話?うん、いいよ」

 

 

 りんくに頼み込むも、彼女は二つ返事で了承してくれたので、話をするためにカピタルを後にするのであった。

 

 

 「アレ?乙和ちゃんは?」

 「あっ、忘れてた」

 「ちょっ!」

 

 

 途中乙和を連れてくるのを忘れてたので、京介は急いでカピタルに引き返した。しかし1分もしないうちに乙和を抱き抱えて合流するのであった────。

 

 


 

 

 「ゴメンね、ご馳走になっちゃって」

 「気にする…その前に口に物を入れながら喋るんじゃありません」

 

 

 一同は今後の話をするため、一旦緋彩のマンションに戻ってきたのだが、テーブルには戻る最中に購入してきたのであろうスイーツが並べられており、りんくはそれらを頬張りながら申し訳無さそうにしているも、口いっぱいにスイーツを頬張っていたため、それらが台無しになっていた。

 

 

 「いいじゃん!そのくらい!」

 「そうだよ!こんなにも美味しいのに!」

 「オタクらも口に物を入れながら喋んな。てかアンタら、仮にも俺より一個上だって自覚はあるのか?」

 

 

 りんくに負けじとスイーツを頬張る希美と乙和に京介は苦言を呈した。

 

 ちなみにスイーツを並べて頬張っている理由としては…先程までショックを受けていた乙和が移動の最中で回復したのだが、スイーツ店に行けなかった事にまたショックを受けて、急遽道中で購入してテイクアウトしてきたのであるからだ。

 

 

 「あはは…でも京介くん」

 「分かってる。俺らは呑気こいてお茶するために二人を呼んだんじゃあないからな」

 

 

 美夢は苦笑いするも、本来の目的があるため、京介と共に気持ちを切り替えて本題に入ろうとするのであった。

 

 

 「話ってなんなの?」

 「それは一番詳しいヤツに話させる」

 「一番詳しいヤツ?」

 『我だ』

 

 

 その時、京介のスマホ(ヴェイズルーグ)は京介の上着のポケットから出てきて先程と同じように宙を浮いた。

 

 

 「えっ、スマホが宙を浮いて喋ってる⁉︎」

 「すごいすごーい!」

 

 

 乙和の反応をするのが当然の事だが、りんくは目を輝かせていた。

 

 

 『これこれ、我はスマホではないのだがな。我はヴェイズルーグ、惑星クレイから来た月の守護者だ』

 「えっ、惑星クレイ⁉︎」

 「なんでクレイのユニットが地球に来たの?」

 『それはだな……』

 

 

 ヴェイズルーグは数時間前に京介達に話した事をそのままりんくと乙和に説明した。

 

 

 「なるほど……でもにわかに信じ難いよ」

 『まぁ君の反応が尤もだな』

 「でもクレイのユニットとお話しできるのは凄い!」

 『君は好奇心旺盛なのだな…』

 

 

 話を終えて、乙和とりんくの反応にヴェイズルーグは苦笑いし(ているように見え)た。

 

 

 「それで話を整理すると、まずは私とりんくちゃんが持っているであろう、その…幻真獣カード…でしたっけ?」

 『そうだ』

 「…それを私達が持ってるか確かめたいと」

 『そうだ。何か心当たりはあるか?些細なことでも構わない』

 

 

 ヴェイズルーグの話を受けた乙和は暫し考え込んだ。すると脳裏に何か浮かんだのであった。

 

 

 「そういえば今朝起きた時にデッキケースが光った感じがしたんだ」

 『ほう?もっと詳しく話してくれ』

 「詳しくって言っても…寝起き直後に起こったから寝ぼけてただけかもしれない……」

 

 

 今朝起きた事を後ほど確認するためだったのか、乙和は自身のポーチからデッキケースを取り出して、自分が使うデッキのカードを確認した。

 

 りんくも心当たりが無いとはいえ、一応念のために自身が所持しているデッキケースを取り出して中身を確認した。

 

 するとその直後、二人の目は見開いた。

 

 

 「ねぇ、もしかしてこの《万化の幻真獣 ウルティニアス》って見慣れないカードが入ってたんだけど……」

 「この《無双の幻真獣 ザルヴァ・ドラグニア》ってカード、デッキに入れた記憶無いんだけど…」

 

 

 

 りんくと乙和以外の幻真獣カードの所有者は一斉に目を合わせた。ヴェイズルーグの助力は多少あるとは言え、まさか此処で幻真獣カードが自身達も含めて集う事が出来たのだから。

 

 

 「それで私たちは地球やクレイで起きた事態を解決するために幻真獣カードを持つ私や乙和ちゃんに協力を求めるんだね?」

 『そうだ。協力してくれないだろうか?君達二人を除けば、全員協力してくれる』

 「うん、いいよ!」

 「ちょっとりんくちゃん⁉︎そんな簡単に信じちゃうの⁉︎」

 「うん!」

 

 

 即座に了承するりんくに驚きを隠せない乙和であった。彼女はまだ信じ難いようで、首を縦に振るか悩んでいる様子であった。

 

 

 「でもいいのか乙和さん」

 「えっ…」

 「このまま放っておけば、スイーツが当たり前のように「美味い」と言えなかったり、食べられなくなる毎日を送る事になるんだぞ?」

 「…!」

 

 

 そんな乙和に、京介は彼女の好きな物を話の引き合いに出して諭してきた。協力してもらうとはいえ、なんか物で釣ったような気がしたのか、京介は罪悪感を抱くも、今後のためと割り切るしかなかった。

 

 

 「それはイヤだ……」

 「だろ?だから此処は…」

 「うん。私も協力する!」

 

 

 悩んだが、自分のこれからのため乙和は協力する選択を決断するのであった。

 

 

 『ありがとう。君達には感謝する』

 「大丈夫だ。ヴェイズルーグ、俺らがファイトする幻影ファイターは何処にいるか分からないのか?」

 『残念な事にな。しかし向こうも幻真獣達を排除する為に動いてくる筈だ。何かしらのアプローチを仕掛けても可笑しくない』

 

 

 確かにヴェイズルーグの言う通り、幻影ファイターが動いてきても可笑しくないのだが……京介と希美がヴェイズルーグとの邂逅から始まって今に至るまで、そんな兆候は微塵も無かった。

 

 頭を悩ませる一同だが、突如ヴェイズルーグ…というより京介のスマホの通知音が鳴った。

 

 

 「誰からだろ?ヴェイズルーグ、すまないが少し弄らせ…」

 『その必要は無い』

 

 

 誰かの通知か確認しようとしたが、スマホが勝手に操作されるのであった。

 

 

 「えっ、なんでっ!?」

 『我が操作しているのだ。スマホに乗り移った分、動くだけだ』

 「真面目なんですね…」

 

 

 美夢は苦笑いしている傍らもヴェイズルーグはスマホの操作を止めなかった。

 

 

 『……キョウスケ。送り主が不明のメールが一通届いている』

 「ウイルスが添付されてるイタズラメールって可能性は?」

 『それは無い。一応確認したがそんな類な物は無かった。だが、写真が一枚添付されていて、文章が添えられている』

 「今すぐ開いてくれ」

 『了解した』

 

 

 ヴェイズルーグはすぐさまメールを開くと、全員にその画面を見せた。

 

 メールの内容はヴェイズルーグの言う通り、『今日の夜22時30分、この場所まで来い』と一文だけ書かれていて、一枚の写真が添えられていて、送り主は不明であった。

 

 

 「この場所は…スカイツリー?」

 「誰が何故この場所に呼び出したかは分からんが、おそらく幻影ファイターが俺達の事を嗅ぎつけた可能性があるな」

 「あり得そうね。それならこのメールに従ってみましょう」

 「元よりそのつもりだ。俺らには奴らを探す糸口は無いからな……此処に行けば何かしらの手掛かりが掴める筈だ」

 

 

 京介と緋彩の提案に全員は首を縦に振った。その後はデッキ調整を済ませてテストファイトを行ない、時間が来るまで暫しの休憩を取るのであった。

 

 そして数時間後、幻真獣カードの所有者一行は目的地まで向かうのであった────。




 まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。

 次回の投稿はまだ未定ですが、早ければ来週の予定だけれど、ちょうどゴールデンウィークと重なるので、1週空けて5月9日になるかと思います。日程が決まり次第、Xにて更新の連絡をしますので、今暫くお待ち下さいますようお願いします。

 それでは、次回をお楽しみに。
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