転校生の時間
今日から転校生が来るらしい。
…まあ、昨日遅くまで校舎に残ってたから設置作業は見てたんだけどね。
なので、朝早くから校舎へ赴きデカい直方体の機械『自律思考固定砲台』と話すことにした。
「よっ!」
『……』
「無視か?寂しいねぇ…」
『…………』
「寝てないのは知ってるぞぉ?」
『…何か用でしょうか』
「おはよう自律思考固定砲台。俺は如月空吾。好きに呼んでくれ」
『…?』
「おはようと言われたらおはようって返すのがマナーだぞ。あとは名乗られたら名乗り返すのもな」
『あなたに名乗る理由がありません。また、挨拶をしても何のメリットも発生しません』
「メリット?そんなのは沢山あるぞ?まずはクラスメイトとの円滑なコミュニケーションだ。これがあればお前は教室の外での出来事も把握できる。他には殺せんせーが偶にポロッとこぼす弱点や行動を知ることもできる。取り敢えず2つ挙げたけど、理解できたか?」
『貴方の言うことは理解しました。ですが、現在のクラス全員と円滑にコミュニケーションを取ることは労力の無駄であると判断いたしました』
なかなか手強いな…
「じゃあ、殺せんせーと俺以外知らないこと教えてやろうか?」
『貴方と暗殺対象以外が…?』
「おう。まだ知ってるやつが少ないとっておきだよ。知りたいか?」
『情報提供を要求します』
「じゃあ教えてやるよ。殺せんせーには完全防御形態が存在する。動けない代わりに何の攻撃も効かないんだよ対先生物質でもな。お前の製作者にはまだ内緒にしておいてくれよ?現場で動く奴と後方で色々する奴は動き方も違うからな。俺とお前でやってみたい暗殺方法も思いついたからな」
『……了解しました。情報提供感謝します。作戦がまとまり次第、報告をお願いします。それを見てから参加するか推考いたします』
「いいぞ。そっちも今何か思いついてる作戦とかあるならサポートするぞ?」
『本日は対象の動きを見たいのでサポートは不要です』
「オッケー。あと授業中は撃ったら駄目だぞ?ここは君の実験場じゃないんだから。代わりに休み時間の間はここに殺せんせー引き留めといてやるから」
『了解しましたが、解析が不十分だと感じた場合は授業中でも発砲します』
「ってことだから殺せんせーは休み時間の間はずっとここにいろよ。なんなら授業終わってもずっとここにいろよ」
「にゅぃやッ!!?気づいてたんですか!?」
「どうせ来るだろうと思ってな」
『私は貴方に隠れていて見えませんでした。暗殺を開始します』
ガチャガチャ鳴ったと思えば変形して銃が出てきた。
そして、それを何のためらいもなく発射しだした。
俺は床に座り邪魔しないように待機した。
ある程度撃ち終わると、無傷の殺せんせーと銃口を下げている自律思考固定砲台の姿があった。
「なあ、この弾を回収する機構とかあるのか?」
『ありません。…弾の回収をサポートしていただきたいです』
「良いけど、後でその機構つけていい?」
『―弾の無駄は減らしたいと考えます。』
「じゃあ後で付けるぞ?」
『はい』
国に頼めば金は出てくるから助かるねぇ…
それはそれとして…いい殺意だ。
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改良の時間
翌日、学校へ来るとガムテープで縛られた自律思考固定砲台がいた。
「…なにこれ?」
「あぁ?昨日みたいにバカスカ撃たれ続けたら鬱陶しいんだよ。だから縛ってやった」
「寺坂…お前さぁクラスメイト縛るなよ。文字だけだったら変態だぞ?」
「ちげぇーよ!」
「二次元の女の子を縛るってホントにさぁ…」
「誤解を招くような言い方やめろ!」
まあからかうのはこれくらいにしておこう。
ガムテープを外しておく。
「おい!何してやがる!」
「自律思考固定砲台、昨日行ったこと分かった?コミュニケーションって大事だろ?」
『…はい。もっと労力を割いておくべきでした。ですが、何故拘束を…?』
「自律思考するなら、もうやらないだろ?」
『善処いたします』
「じゃあ殺せんせー、出席とって」
「ヌルフフフ…ええ、磯貝くん!」
「あ、はい!」
今のうちに改良しておこう。
「自律思考固定砲台、昨日言ってた機構のパーツ持ってきたから改良するぞ?」
『はい。暗殺に影響のない範囲でお願いします』
「まかせろ。あと俺のロボを動かす権限を渡しておくから、外での活動に使うといいよ」
『感謝いたします』
これでフードロイドとパワーダイザーを使えるようになった…はずだ。自律思考固定砲台の行動範囲が広がることは良いことだ。
「お前の親が使えないように、お前のみに権限与えたから権限の共有はするなよ?」
『はい』
「よし、これで完成だな。取り敢えずバガミールのデータを写せるか?」
『これですか?』
「そうそう。職員室に偵察させてるから…って何してんだビッチ先生?」
映像の中では
『身体に顔があればモテるって聞いたけどホント!?』
『何言っているんだ…』
酒の席くらいじゃないかな…
「よし、予想外の映像だったが問題ないな」
『はい。情報収集と弾回収の件感謝します。』
「授業中はもう撃つなよ?代わりにポテチョキンとかで斬りに行かせるのは良いけど」
『はい』
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翌日
…なんかデカいんだが…
「もし…自律思考固定砲台?」
『はい!なんでしょうか!』
「それ、どうした?」
『殺せんせーが新たに改良を加えてくれました!』
「そっか…因みに俺の施した改良の方に触ったりしてた?」
『いいえ!そっちはノータッチでしたよ?』
「それならいいや。色々と言えない技術も使ってるから。…もしお前の親がそこを弄くろうとする奴なら隠しておいてよ」
『了解です!』
声も画面もデカく…
というか背景ファンシーだな。
まあ、これならもう争うこともないだろう。
この日は平和だった。
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さらに翌日
律がもとに戻った"フリ"をしていた。
何故フリか分かったかと言うと、フードロイドのアクセス権限を律が持っているのが分かったからだ。
烏間先生や律の話から聞いた開発者は、律に絶対の自信を持っていた様子だから自分以外がつけた機能を残すとは思えない。
だがフードロイドのアクセス権限者が代わっていたり、減ったりはしていなかった。
なので、結論として律はフリをしている。
だが面白そうなので黙っておこう。
律からの皆へのドッキリであり、ただのプログラムではないことの証明だろうからな。
「では、点呼を取ります。」
「戦闘準備…」
「皆!伏せろぉ!!」
バッ!
空気を振るような軽い音が鳴り、律の出す4丁の機関銃は花束へと変わっていた。
一つ目はコブシ、2つ目はジャガ、3つ目はスカビオサ、最後はクロッカスだ。
『殺せんせーは私のボディーに計250点の改良を施しました。そのほぼ全ては開発者が不要と考え削除・初期化してしまいました…ですが、私個人はE組で学習した協調性というものを必要と感じたため』
『私の体の奥底へ隠しました!』
「つまり、生後数ヶ月で反抗期か」
『はい!殺せんせー、私は悪い子ですか?』
「いえいえ、年頃の中学生が反抗期なのは健全なことですよ」
皆驚いてて満足だよ。うん。