コスメ売り場に到着する。
ちなみに下着などはファッションショーが終わった後、ケイとユナが買いそろえており
男二人は外で待っていた、当たり前である。
並ぶ化粧品の数々にケイは視線を巡らせた。
「ケイちゃんは普段何使ってるの?」
「んー……そうですね」
ユナの質問にケイは戸惑う、キヴォトスと並んでいる商品がまったく違うのだ。
迂闊に答えれば怪しまれかねない。
「せっかく新しく買うんだし、いつもと違うやつにしよう」
即座にリョウがフォローに入る。
「は、はい」
「とりあえずスキンケア類からだな……ちょいと失礼」
「ちょっ……ちょっと……」
リョウがぐいっと近づき指をケイの頬に当てる。
急接近にケイは戸惑う。
(ち、近い……)
「わお、大胆」
「るっせぇな、肌質見んことには始まらねぇだろ」
茶化す才馬を睨みつけるリョウ。
(この肌ならなんでも合うか……母さんよりは選ぶの楽だな)
ふけりながらリョウは指を離した。
「水岡、俺的にはサラッとしたタイプの化粧水でいいと思うが」
「んーちょっと待ってね」
ユナは両手でケイの頬を触る。
「うわー!!もちもちぷにぷに!!理想の肌だよ!」
「ユ、ユナ!触りすぎです!」
「こ、これは……癖になるっ……」
ムスッとするケイを気にせず頬の感触を楽しむユナ。
才馬がユナの首根っこを掴む。
「はいはーい、困ってるしもういいでしょうが」
「あーん……もちぷにぃ……」
名残惜しそうに涙を流すユナ。
「嵯峨野……アンタ、よくはまらないわね」
「真面目にやってんだよ俺は」
(我慢したわ!!触れんならずっと触りてぇよ!)
というのは心の声にしまい込みリョウは続ける。
「なぁケイちゃん、普段使ってた化粧水は水気あるタイプか?」
「え……ええ、使いやすいですし」
ちゃん付けにいつもは突っ込む所だが真剣な表情のリョウに気圧される。
「化粧水はケチらず使えるやつがいいからこいつかな……どうだ水岡」
「私も水気あるタイプのがいいと思う、私的にはこっちのがいいと思うけど」
違うボトルを手に取るリョウとユナ、ケイはテスターを使ってみる。
「んーどちらもよさそうですが……他に判断基準はありますか」
「俺の選んだほうが近所に売ってる場所が多い」
「ならそっちのがいいわね!これはカイトに使わせる!」
「何で俺ぇ!?」
「今どきは男もスキンケアすんのよ!!」
唐突なご指名に戸惑う才馬、リョウは化粧水をカゴに放り込んだ。
「あとは乳液、洗顔と……素材がいいからこそクレンジングで台無しにできねぇし……多いなクソ……ケイちゃん、無理して合わせなくていいから気になったやつあったら言ってくれ」
「わ、わかりました……」
茫然とするケイにリョウは問いかける。
「……なんだよ」
「いえ……やけに詳しいなと」
「あー……水岡言ってたろ、男もスキンケアするんだよ」
「アンタの肌やってるようには見えないけどー?」
ユナがじっとリョウの顔を覗き込む。
「う……うるせぇな、めんどくせぇから忘れがちなんだよ」
リョウはそっぽを向き、言葉に詰まる。
その一瞬の間を、才馬がさらっと拾った。
「あーあれだよ、懐かしいな嵯峨野、あのー……中学の時さ、モテるために皆で色々研究したもんな」
「はぁ?何のこと……」
軽い調子で口を挟む才馬、記憶にないことを言い出すのでリョウは怪訝な顔をする。
才馬はちらっとだけリョウを見る。
ほんの一瞬、視線が合う。
(余計なことは言わないさ)
そんな無言のやり取り、リョウは小さく舌打ちした。
「あー……そんなこともあったわ」
適当に合わせるリョウ。
「へぇ〜?」
ユナがにやにやしながら腕を組む。
「その割には全然活かされてないけど?」
「うるせぇな」
あしらうリョウにケイは首をかしげる。
「ではその研究の成果は?」
「知らん、死んだ」
即答である。
「雑すぎでしょう!?」
才馬が笑う。
「まぁでも実際、こいつ三日で飽きてたしな」
「お前が誘ったんだろうが」
「ノリは良かったじゃん、“これで俺もモテるか……”とか言って」
「言ってねぇ!」
騒がしいやり取り。
だがケイは、会話ではなく“間”を見ていた。
(……隠してますね)
理由までは分からない。
ただ――
(……似ている)
母親の話題に触れた時。
キヨツグに中学の話をされた時。
道中、眼鏡に言及した時。
その時と同じ感じがした。
一瞬だけ考え、
(今、聞くことではありませんね)
そう結論づけ、小さく息を吐き視線を戻した。
「次は何を買いますか」
何事もなかったかのように言う。
リョウが一瞬だけこちらを見る。
「……一通りそろえたら、メイク道具だな」
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スキンケア用品を買いそろえた後
売り場を移動しながらユナが呟く。
「嵯峨野、どこまで分かるの?」
「ファンデは多少な」
「お、頼れるじゃん」
「それ以外は知らん」
「ダメじゃん!」
ユナによる即ツッコミ。
才馬が笑いながら棚を眺める。
「まぁでも最低限分かればいいでしょ」
「いやよくないわよ」
そんなやり取りの最中――
「……なぁ、嵯峨野」
才馬が一つ手に取る。
マットな質感の黒を基調にしたシャープなパッケージ。
「お、いいなそれ」
リョウも覗き込む。
「なんか強そうじゃない?」
「確かにな、この赤の奴と並べるとかっこよくなんねぇか?」
「つ……強そう?かっこいい……?」
メイク道具に使わないような単語の羅列にケイは目を細める。
しかしリョウと才馬は肩を寄せ合って続ける。
「見ろ才馬、更にこの金のやつも並べると……」
「おお!高級感あってかっこいいな!!」
意気投合。
男のサガともいえようかコレクター欲、
馬鹿二人はコスメの高級感ある見た目にご執心だ。
「見た目で選ばないでください!!」
「いや、大事だろポーチにちゃんと入るかあるし」
「急に否定しづらいポイントでまともなこと言わないでください!」
突っ込むケイに真顔で答えるリョウ。
「それに見てよこの三つ、三種の神器って感じでイカすじゃん」
さらに才馬による全く役に立たない援護爆撃。
「それ持ってるの全部ファンデじゃないですか!?」
「アホカイト!!三種の神器はファンデ、リップ、カラコンよ!諸説あるけど!!」
ケイとユナのツッコミが炸裂した。
感想、お気に入りありがとうございます。
ケイちゃんといえばお洒落、外せませんね。
そしてほっぺはもちぷに、いいね?
スキンケア、化粧品の描写は雑ですみません。
小説初心者なのでその他至らぬ所は言っていただけると励みになります