甘い世界で微笑んで   作:XX

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 最近復帰して、やっぱ艦娘可愛いということで自己発散のために書きたくなりました。
 一般にするか18にするか悩みましたが、とりあえず今のところは一般で書いていこうと思います。


プロローグ

 

 ヤリたい。

 

 艦これの世界に来てはや数ヶ月。いつくかの大きな戦いを超え、海の平和をわずかながら取り戻した俺は、最近激しく抑え難い劣情の念に悩まされていた。

 

 右を向けば見目麗しい美女、美少女たち。左を向けば誘っているのかと言いたくなるようなスキンシップをする少女たち。

 理由もなく、提督してこの世界に立っていた俺は彼女たちに囲まれ、日々煩悩が高まっていくのをひしひしと感じていた。

 

「ああ、ヤリたい……」

「はい? 提督さん、なにをやりたいのですか?」

 

 執務室で小さく呟いたのを書類に目を向けていた秘書艦の鹿島が耳ざとく聞きつけた。

 

「いやっ! なにも、うん。なんでもない。気にするな」

「はあ。もし、なにかしたいことがありましたら、何でもおっしゃってくださいね。私がお手伝い致しますので」

「ああ」

 

 しまったと、慌てて誤魔化した俺に、彼女は首を傾げながらも朗らかに笑って答えた。

 美しい、彼女のお淑やかな気風を感じさせる柔らかい涼風のような笑顔だった。

 

 そして一瞬の攻防の末、落ち着きを取り戻した執務室で事務仕事が再開される。

 しかし、書類に目を向ける俺の集中力は途切れていた。その内心では湧き上がる煩悩を抑えるために必死であった。

 

(何でもか……。何でも手伝うって鹿島は言ってくれたけど、何処までなら手伝ってくれるかなあ)

 

 などと、普段ならねえよと一蹴するような考えに支配されるほどに、俺の欲望は肥大していた。

 

 チラと、書類を顔の前に掲げ鹿島を盗み見る。

 

 美しい女性だ。歳は18から20代前半くらいだろうか。左右に結んだ銀髪に深い海を思わせる青い瞳。彼女が着ている純白の制服はその内面の清らかさを表しているようでさえある。

 

 だが……いや、だからこそであろうか。

 そんな彼女に俺は今、無性に触れたいと思っているのは。

 

 その白い太ももに触れたらどんな反応をするだろうか。

 慌てるだろうか。それとも怒るだろうか。或いは、突然の行動に戸惑うということもあるかもしれない。

 

 それか、胸はどうか。ふっくらと膨らんだ女性らしい胸。恋人でもなければ決して触れてはならない禁制の場所の一つ。

 そんな場所に触れたならば、いつも優しく、どんな不満を述べても受け止め手伝ってくれる彼女はどうするだろう。

 

 流石にセクハラだと憲兵に訴えられるか。そうでなかったとしても、彼女との関係を大きく揺り動かすことになるのだけは確実だ。

 

 だが!

 それでも!!

 俺の理性という名のダムは、もう限界に来ているのだ!!!

 

「鹿島」

 

 俺の呼びかけに彼女が顔をあげる。

 確かな信頼を感じる瞳が向けられる。

 

「鹿島、この世界に来て初めて出会ったのは君が最初だったな」

「はい。提督さんが、この鎮守府に着任して私たちの提督さんになってくれた日のことは今でも鮮明に覚えてますよ。ふふ」

「ああ。君には感謝しているよ。色々と、本当に未熟な俺を支えてくれて。君がいなかったら俺はどうなっていたことか」

「感謝なんて。私は当然のことをしたまでですから。私の方こそ、提督さんが来てくれて感謝しています」

 

 目を瞑り、懐かしむようにその時ことを思い出している彼女。この世界のことを何も知らない俺に多くのことを教えてくれたのは彼女だ。

 提督としての仕事も、それ以外のことも献身的なまでに付き合い、教えてくれた。

 

「そんな君に、こんなことを言うのは、その、憚られるのだが」

「……はい」

 

 過去を振り返り、部屋を満たしていた穏やかな空気から一変。苦悶し、表情が歪んだ俺に、彼女の面持ちも固くなる。

 ゴクリと、俺は初めて艦娘の少女たちに海へ出撃するよう告げた時のような緊張を帯びながら、彼女に一言告げた。

 

「君を抱きたい」

「………………はい?」

 

 その瞬間、空気が凍りついたのを感じた。

 

「あの、それは、どう言う」

「いや間違えた。抱きたいと言ってもあれだ。抱きしめたいという意味で。いやまあ、抱きたくないと言うわけではないのだが……!」

 

 鹿島の思考が停止し、俺の言葉の意味を咀嚼するのに数分。慌てて弁明する俺はどのように写っているのだろうか。

 ようやく動き出した彼女は、一度宙を見上げ、次いで心配げな顔を向けた。

 

「提督さん。なにか、悩んでいることでもあるんですか? もし、お疲れの様子でしたら、少し仮眠を取っていただいても大丈夫ですよ」

 

 どうやら彼女の中で俺は悩みか、疲労のあまり錯乱してしまっているように見えているらしい。

 あながち間違いとも言い切れないのが悲しいところだ。

 

「いや、寝て解消するようなものではなくてな。ちょっとした、悩みがあってだな」

「提督さん、任せてください。この鹿島、全身全霊で提督さんの力になります。だから、その悩み、聞かせてください」

 

 真っ直ぐな心。思いやりに満ちた言葉だ。

 そんな彼女にこんな感情を向けるのは、やはり辛い。だが、これ以上一人で抱えてもどこかで爆発するのも事実。

 

 何せ俺の目は、彼女の顔ではなく豊満な胸に行っていたのだから。

 この欲望の爆発、今後、その矛先が鹿島のような女性ではなく少女の域を出ない駆逐艦に向けられたならばと考えるだに恐ろしい。

 

 ならばいっそのこと、艦娘の中で一番に信頼でき、ある程度そういうことに対して理解をしてくれそうで、且つ内々に処理してくれそうな彼女にこそこの悩みを打ち明けるのが最善。

 

 後々一人、冷静になって考えるとそんなわけないだろとツッコまれそうなことを、俺は加速した脳内の中で考えた。

 

「鹿島、実はな………」

 

 俺は最近悩んでいたことを吶々と口にしていく。男としての欲望を持て余していること。夜、一人でいても突撃してくる艦娘がいるため、発散できないでいること。

 

 スキンシップの特に激しい駆逐艦の娘たちを性の対象として見始めていることなどなど、凡そ女性に告げるものではないセンシティブな内容を全て話した。

 

 最後らへんは、悩みを聞くごとに硬直し、真っ赤に染まっていく彼女の様子が楽しくなっていたのは内緒だ。

 

 ともかく、全てを話し終えた時、俺は奇妙な充実感に満たされていた。

 悩みを人に打ち明けるだけでも楽になると言うのは本当らしい。

 

 想定外の悩みにどう対処したらいいかと赤く染まったまま震える彼女に、俺は辱めという性癖の良さを垣間見た気がする。

 

「提督さんは……」

「ん?」

 

 もじもじと鹿島が両手の指を交差させながらたどたどしく口を開く。

 

「提督さんが、最初に抱きたいと仰られたのはつまり、私と恋人になりたいってことですか?」

 

 上目遣いで問われるその質問に一瞬だけ目を丸くし、自問する。

 

 彼女と恋人関係を築く。ああ、それは何と幸福なことだろうか。

 画面の向こう側で、いつも秘書艦としてしか見れなかった彼女と結ばれると言うのは夢のような話だ。

 

 だが、今の煩悩に濡れた俺が彼女と恋人になりたいのかと問うならば、果たしてYESと言えるだろうか。

 

(難しい。正直なことを言うと、鹿島と恋人になりたいかと聞かれたら勿論なりたい。だが、それ以前に俺はヤリたいのだ!

 中学生や高校生の頃の盛りのついた犬のような気持ちなのだ。つまり……)

 

 誰でもいい!

 この欲が発散できるなら、鹿島でなくてもいい!

 

 最低な結論だった。

 我がことながら、あまりにも酷い見下げ果てた想いだ。敢えて言おう、カスであると!

 

 その証拠に、俺の息子はどの娘に対しても反応してしまっている。

 

 だから、俺は偽らない。

 ここで彼女に恋人になりたいと言えば、きっと受け入れてくれる気がする。それは、男として、人として、選んではならない選択だ。

 

「鹿島、俺は恋人になりたいかと聞かれたら、なりたいと答えるよ」

「でしたら──」

 

 俺の言葉に受け入れ態勢を取ろうとした鹿島、そんな彼女を遮り、俺は語った。俺の正直な想いを。

 

「だが! だがしかしだ鹿島。俺は、俺はな、ヤリたいのだ! 女と、できるば可愛い娘と! だから、正直に言おう。恋人とか、今はどうでもいい!!」

 

 言ってしまった。

 一瞬で後悔という念が押し寄せてくる。これで、鹿島との交際の道は絶たれた。そんな糸が切れる音がした気がする。

 

 頬を上気させ、俺を受け入れようしていた彼女の目が冷たくなっていくのがわかる。

 海のような深い優しさを湛えた瞳が、今は凍りついた氷原の大地を思わせる寒々しい瞳になっている。

 

 ああ、劣情が恐怖に変わっていくよ。

 

「提督さん、そこに座ってください」

「はい」

 

 粛々と裁判を受ける囚人のように膝をつく。彼女の示す指先は、冷たい床を示していた。

 

「貴方には、提督というお立場に預かる者として様々なことを教導しましたが、改めて、教えなければいけないようですね」

「はい」

 

 あれだけイキたがっていた俺の息子も彼女の圧が恐ろしくて萎えてしまっている。

 正直者は損をするというのは事実だな。やはり、先人の戒めには倣うべきだったか。

 

 まあ、ここで恋人になりたいと告げたなら、きっと俺は後悔していただろうから、悔いはないのだが。

 恐ろしい剣幕で正座した俺に詰める鹿島の説教に、俺は「はい」と答え続けることしかできないのだった。

 

 

 

 

 鎮守府の一室。

 暗くカーテンを閉められた部屋で、ヘッドフォンで耳を塞いだ少女がいた。

 

 セーラー服を着た紫陽花のような髪色をした少女である。彼女の口元はニンマリと裂け、内心の喜びをこれでもかと示している。

 

 そんな彼女の前にあるのは、傍聴機。

 普段から鎮守府内の様々な事柄をゴシップ記事として発信するためにある機械。彼女の私物である。

 

 その私物が傍受しているのは艦娘である彼女が付き従う提督がいる執務室。

 そこで行われている鹿島の説教が流れていた。

 

「青葉、聞いちゃいました! ふふふふふ。これは、拡散しなければなりませんね!」

 

 ウキウキとした様子で彼女は今聞いた一部始終をしたためるため、机に向かう。

 

 翌日、『提督の暴露! 恐るべきその正体!!』と銘打たれた新聞が鎮守府内の全ての艦娘に発行された。

 その荒唐無稽さを感じさせながらも、一定の納得感を与える内容に多くの艦娘が驚愕した。

 

 ある艦娘は「こんな新聞になど一々付き合ってられん」と一蹴し、演習場に向かい、生真面目さが傘を着たような少女は「司令官への侮辱です!」と憤りを見せた。

 

 しかし提督を慕うものたちは、この記事に書かれていることを半信半疑ながらも彼と恋仲になる絶好のチャンスと受け取っていた。

 

「既成事実さえ使ってしまえば、あとはこっちのものデース!!」

 

 そういった声が響き渡る鎮守府で、件の提督は謎の悪寒に襲われることになるのだった。

 

 

 





 もっとイチャつく話で始めるつもりでしたが、書き終わったらそこまでいけなかった。書く欲求が溜まったら次話を書きます。

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