1週間に一話、無理そう。完成した時がその時にします。
コトコトと鍋が煮立つ音がする。
微睡み夢の中で漂う強い味噌の香り。
濃厚な味噌の中に潜む磯の匂いが空腹の胃を刺激し、ゆっくりと瞼が開く。
「ここは……」
目に入ったのは照りのある薄い木の天井。
いつも眠っている部屋ではない。
寝起きの目をパチクリと瞬かせ、ここはどこだろうと自問する。
「昨日は……そうだ。鳳翔の店で龍驤と酒を飲んだんだ。それで……痛っ!」
直前のことを思い出した間際、鋭い痛みが脳を打つ。
さらに胃に感じる奇妙な不快感。
あまり感じたことのないこの不調が寝起きの体を襲っていた。
「あ゛〜〜きっつ〜…………」
布団から半身を起こし、気持ちの悪さの原因を突き止める。
頭痛に吐き気、起き上がるのも億劫な全身にかかる重荷。
恐らく、ほぼ十中八九、二日酔いの症状であった。
「おっ! キミ、ようやく起きたんか、寝坊助やな〜もう昼やで?」
中々起き上がる気にもなれず、敷かれた布団の上で耐えているとからからと笑う声が聞こえた。
見ると、障子の入り口から龍驤が顔を出していた。
「なんや顔色悪いな。二日酔いか? まあ、しこたま酒飲んでたらそうなるわな。水とってくるから、そこで待っといて」
障子の奥、漂ってくる味噌の香りがする方へ姿を消した龍驤がすぐに戻ってくる。
その手には氷の入ったコップが一つ。
受け取ったそれを一息に呑む。
口内に寝起きの熱を吹き消す冷気とそれとは別の爽やかな甘みと痺れが喉を潤した。
「ふぅ……生き返る気分だ。これ、何か入れた?」
「レモンと蜂蜜をちょっちな。美味しいやろ?」
「ああ、ありがとう。おいしかったよ。ところで、ここは何処なんだ?」
レモン水で多少マシになった痛みを引きずりながら周囲に目を回す。
6畳間ほどの、小さな和室だった。
障子で仕切られた部屋には小さな箪笥と中心に敷かれた布団があるだけ。
人が普段使いすると言うよりも、今の自分のような突然の来客のための一時的に貸し出すための客間のよう。
部屋の奥から聞こえる調理の音と部屋の様相から凡その予測はついているが、念のためという気持ちもあり龍驤を見る。
「決まっとるやろ。鳳翔の店や。昨日キミが酔い潰れたから部屋借りて寝かせたんや。惜しかったなあ、起きてたら鳳翔の膝枕味わえたんに」
膝枕? と聞き返そうとしたが、その気力が湧き上がらず僅かに口を開くに止まる。
多少回復こそしたが、今は余計なことを話すよりも現状の確認をすることで精一杯のようだった。
「はあ……龍驤、それよりさっき、時間は昼って言った?」
「おう言うたで。時計見てみ、針が頂点突いとるやろ」
促された先にある掛け時計を見る。
「マジか」
それを認識したと同時に一気に頭が冷え込むのを感じた。
明らかな遅刻、もといサボりだ。
急いで下半身を覆っていた掛け布団を払い、気怠い身体を引き摺るように起き上がる。
と、性急に起き上がったためか風に吹かれた紙のように足がふらつき布団の上に尻をついた。
「あーあー無理に起き上がるもんやない。今は寝とき。ただの二日酔いやろうけど、楽になるまではな」
「いや、だけど仕事が……」
彼女の言葉に甘えたい気持ちを押し殺し、再び立とうとする。
そんな俺の肩を龍驤が上から押さえつけた。
「安心せい。ちゃんと連絡しとる。鹿島のやつも怒っとらへんし、今日一日司令官の仕事は休みやで」
「休み?」
「せや。今日一日、キミは休みや」
聞き間違いかと耳を疑った。
提督業とは年中無休が基本。
週休二日などない。労働基準法など無視された職業。それが提督。
緊急時以外はそれほど忙しくなく、過労死待ったなしのため比較的日々の業務が穏やかなことだけが救いである。
可愛い艦娘との触れ合いと手伝いがなければとても続けてこれなかっただろう。
或いは、自分が知らなかっただけで実は取ろうと思えば休みは取れたのかも知れないが。
「休み……休みか……」
口の中で小さく何度も口ずさみ反芻する。
確かめるように、遠い過去に消えたはずのものを懐かしむように。
「せやからもう少し寝とき。昼飯を鳳翔が作ってくれてるからね」
そういうと龍驤の手に力が込められ俺を横にさせる。
不思議と添えるような手でありながら、抵抗は全くできなかった。
寄り添うように、横になった俺に布団を被せた彼女が隣に座る。
見守るような彼女の視線に、まるで病人のような扱いだと口籠もり俺は視線を彼女から天井へと移した。
足を崩している龍驤へ向けると、瑞々しい彼女の太ももとその奥にあるものに目がいきそうになってしまうからだった。
「ん、見たいんか? 見てもええで。なんなら見せたろか?」
というあからさまな彼女の揶揄いが余計に俺を意固地にさせた。
チラとこれ見よがしにスカートの端を少しだけ持ち上げるのも、それに拍車をかけた。
これで見てしまったら、なんだか負けた気がしてならない。
結局、鳳翔の料理が出来上がるその時まで、俺と龍驤の小さな闘争は続いた。
*
昼食後、鳳翔が作ってくれたしじみの味噌汁と秋刀魚の塩焼きをいただいた俺は龍驤と共に裏山を散歩していた。
降って湧いたいつぶりになるかもしれない休みに布団の中で団子になっていたい気持ちがあったが、龍驤から「せっかくの休みなんやで。どっか出かけへんか?」と誘われたからだ。
山道を歩く影は2つ。
俺と龍驤のみ。鳳翔はいない。
彼女は夜の仕込みをしておきたいとのことで夕食を取る約束のみをして一緒には来なかった。
そのため小鳥の囀りと木々のざわめきが通る山道は俺と龍驤の2人っきりであり、彼女曰くちょっとしたデートやなと言うことだった。
目指しているのは山頂近くにあるとある場所であり、そこへ龍驤が案内してくれていると言う形だ。
ちなみに、なぜ休日に向かうのが町ではなく疲労が溜まりそうや裏山なのかと言うと。
『町の空気より、自然の澄んだ空気に触れたほうが酒精も抜けるやろ』
という理由からだ。
あと、純粋に静かに過ごしたい気持ちが勝ったのもあった。
幸いというべきか龍驤と歩く山道の傾斜は高くなく、道も均されていた。
とはいえ傾斜が厳しくないからといって足に負担がないはずもない。
山道を歩き始めて30分ほどか。
早くも、俺の息は乱れ始めていた。
辛くなってきた呼吸を感じながら隣で機嫌よく鼻歌を唄いながらスイスイと歩く龍驤を見る。
俺と違い、彼女の息は乱れていない。
また、艦娘である彼女は自分よりも遥かに肉体が強靭とはいえ山道に慣れていないと思われたその足取りは想像していたよりもずっと滑らかで慣れている様子に見える。
「ん、なあに?」
視線を感じたようで、俺の肩口ほどの背丈の彼女が訝しげに見上げる。
鉄製を思わせるサンバイザーの下から覗く瞳がひどく輝いて見えた。
「いや、随分と歩き慣れてるように見えて意外だなって。案内するって場所のこともあるし、結構この山に登ってるのかと」
春の麗らかな日差しに照らされる彼女の足に目を向ける。
彼女の服装は普段通りの短いスカートに和を感じる紅い上着である。とても山に登る格好とは思えない。
裏山の小さな山とはいえ山は山。
決して重装備とはいえないが白い海軍服を着ている自分よりもよっぽど登山には向かない格好である。
それでありながら彼女の足はまったく乱れることはない。
まるで平地でも歩くかのような軽やかな歩き。
それは山に登ることに慣れた人のそれに見えた。
「あ〜それなりにな。海の方が馴染みはあるけど、せっかく足があんねん。土に触れるってのもええもんや」
どこか感慨深そうに土を踏み締め強く跳ぶ。
船であった頃にはできるはずもなかったことを実感するような動き。
「これもそうや。人を乗せることはあっても触れ合うなんて以前はできへんかった」
そういうと彼女は俺の手を握り、
「お、おい」
「男と女で出かけるんや。ならこれはデートやろ、登山デート。手を繋ぐくらいせんとな」
柔らかな感触に戸惑う俺を無視し、恋人のように絡めた指で先を引っ張る。
足早に一歩先を歩こうとする彼女の動きはまるで恥じらいを隠そうとする少女のようであった。
*
「おっ、ここやここ。司令官、ようやく着いたで」
裏山に登り始めてどれくらいであっただろうか。
絡まった指を離すことなく、彼女に引かれながら登り続け数時間ほど。
風邪を引いたときのような熱い呼吸と滝のように流れる汗から休憩を強く望んでいた矢先、弾むような龍驤の声が鈍くなった足を止めさせた。
疲労で億劫となる気持ちを押し殺し、俯こうとする顔を上げる。
彼女が誘いかける笑みで見つめる先に、大木は屹立していた。
「おおっ!」
目一杯の陽光を浴びる大木は周囲の木々の1.5倍は太くあるだろうか。
白い荒縄でも巻きつけられていれば御神木だと勘違いしたとしても不思議ではない。
俺は疲れていたことも忘れ、その長い年月を積み重ね巨木にまで成長した樹木に感嘆の吐息をついた。
「すごい木だな。一体何メートルあるんだ」
「さあ。ウチも登ったことはあらへんから頂上がどこまで伸びてんのか。ただ、まあ絶景なのは間違いないやろな」
登ってみるか?
問いかける彼女の視線に否と返し、忘れていた疲労に肩を落とす。
「なんやだらしない。もう限界なんか?」
「仕方ないだろ。こっちは普通の体力しかないんだぞ。1、2時間も山を登ってれば疲れるって」
「しゃあないなあ」
息も絶え絶えな俺の腕を引き、大樹に近づく。
そばによると冷気が全身を触れていく。
傘のように伸ばした大樹の枝が影を作り出している。
神秘的……というよりも大自然の優しさを感じる涼やかさだった。
「ほれ、そこに座り。気持ちがええで、ウチのお気に入りの場所や」
促されるまま、大樹に背を預ける。
二又に割れた根の間にはすっぽりと収まることができ、意外なほどに座りやすい。
フラッシュでも焚いたような明るい日差しも遮られ、冷たい大地とどっしりと揺らぐことのない大樹が熱を帯びた身体の芯に冷気を届けてくれていた。
「どや、そこええやろ」
「ああ、龍驤のお気に入りなだけあるよ」
山に吹き付ける微風に青い葉が小さくざわめく。
遠くから運んでくるのは潮騒と街の喧騒。
幻聴か、聞こえるはずのない距離の音色が協奏曲のようで心地よい。
二日酔いによる気怠さも洗浄されていくようである。
「──失礼するで」
「え?」
大樹の股下で足を伸ばし休ませていると、胸の上に重みが加わった。
「なっ、なんでここに座るんだよ」
「なんでってここはウチの居場所なんやで。それを貸しとるわけやから、ここに座るんが当然やろ」
龍驤が股の間に滑り込ませるように入り込んでいた。
胸の上に重なるように乗る彼女の小さな背中とお尻の感触にぞわりとした痺れが全身に疾る。
少女と見紛う龍驤の体躯が、以前荒潮と朝潮と身体を重ねたときのことを想起させた。
「ふう、ええ風やなあ。疲れも飛んでくで」
シャンプーのものか、穏やかな風が運ぶフローラルな香りが鼻腔を打ちどうしようもなく彼女が女性であることを教えてくる。
彼女が身じろぎするたびに反応しそうになる身体を無理矢理に抑え込み、なんとか相槌を打つ。
そうとは知らず身体の上で無邪気さを感じる表情を見せる龍驤は遠くの海に思いを馳せるように目を細めている。
が、俺はそうはいかなかった。
(まずい、なんとか意識を逸らさないと。勃たせてしまうわけにはいかない!)
この密着した姿勢。
ムクリと息子が起き上がれば気付かれるのは必至。
駆逐艦のような少女ならまだごまかしも効くかもしれないが、龍驤は少女の姿をした大人だ。
誤魔化しは不可能だろう。
それでも彼女なら例えそのお尻の下で勃たせてしまったとしても笑って目を瞑ってくれるかもしれない。
しれない……が、そんな『かもしれない』に賭ける危険を犯すことはできない。
俺はじっと背を預ける大樹のように微動だにせずこの時が過ぎるのを待つしかなかった。
「………」
無言の時が過ぎる。
心情は違えども、お互いに今という時に感じ入っている静けさ。彼女の背中からその心臓の鼓動までもが聞こえてきそうである。
と、頭の中で起きあがろうとする煩悩から意識を逸らしていると龍驤の呟きが静寂を破った。
「なあ司令官。ウチらなあの海から来たんや。深海棲艦っちゃう迷惑もんを懲らしめるためにな」
「? そうだな」
沈黙に耐えかねて話しかけたと言う感じではなかった。
「ほんでキミ、平和になったら食い道楽の旅に出たいそうやないか。世界漫遊、ええ夢やな」
「お前、なんでそれを知って……まさか広まってんの!? 鈴谷にしか言ってないはずなんだけど!?」
仰天し後ろから叫んだ俺に僅かに眉を顰めるも、龍驤は反応を返さなかった。
その視線は青く、白く漣立てる海から離れない。
「龍驤……?」
訝しみ、後ろから覗き込むも彼女の心の機微を察することはできなかった。
「ウチらはなんの因果か船やのうて人の心と形を持って生まれた。なんでなんやろなあ。争いの道具なら、心なんぞない方がええやろに。キミなら、わかるんかなあ」
「それは……」
眠るような、柔らかな声色。
だが、自らの根幹に根ざす疑問はとても重たい。
ゲームでそうだったから。
女の子の姿をしていた方が利益が出るから。
陳腐で、風船みたいな軽々しい返答が思い浮かぶも、口に出せるはずもなく噤むことしかできない。
そもそもこの世界は艦これの世界だと俺が勝手に規定しているだけで、ゲームと全く同じ世界なのかはわからないのだ。
艦娘という存在も、深海棲艦と戦うためにいる以外知らないことの方が多い。建造して生まれたり、深海棲艦を倒すと海からドロップ……つまり生まれたりする原理や理由は何もわからない。
だから何故彼女たちが人の、それも女性の姿をしているのか。何故心と呼べるものがあるのかの疑問については何も答えることはできない。
「ウチもわからへん。さっぱりや。この世の中、わからんことが多すぎる」
質問にダンマリで返す俺に彼女の吐き捨てるような小言が流れた。
「それは仕方のないことだろ。自分のことだって、わかってないことが多いんだから」
「それはあれか。昨日のことか?」
「……まあ、そうだ。お前の疑問とは比べるべくもないくだらないことだが、俺は自分の願望を見失っていた。艦娘はみんな可愛いんだ。そんな子たちと仲良くできたらっていうのはある種、男の夢だからな」
喉が震え、顔が沸騰しそうなほどに熱くなるのを感じる。
酒の力も借りず、赤裸々に自身の欲望を口にするというのはかなりの勇気が必要であった。
それも、女性に向けるにはあまりにも品性に欠ける内容であるから、一層難しかった。
「男の夢か。ん〜けしかけたのはウチやし、その夢の一員になるんもやぶさかではないんやけど、その前にこれだけは聞いとかなあかんなあ」
空気を呑む、短い沈黙。
真剣味のある逡巡に、俺の口も黙り込む。
そして僅かな葛藤ののち、紡がれた質問に固く閉ざされていたはずの口は大きく開かせることになった。
「その夢を叶えるのと、キミが元いた場所に帰るの。選べるとしたらどっちがええ?」
「…………え?」
予想だにしなかった思わぬ質問。
後ろに顔を向けて上目遣いで見てくる彼女に思わず息を呑む。
「それは、どういう意味……」
「キミがここにおるんは奇跡や。理屈はわからへんけど、キミはどっかウチらの知らんとこから来た。それだけは知っとる。ただなあ、奇跡はそう続かへん。キミは選ばなあかん」
なにを?
喉から発することなく見つめ返すだけの疑問の視線。それを掬い取った龍驤は続ける。
「帰るか、進むかや。恐らくやけど帰ったらもう戻れへん。逆に進んだらキミの元の居場所には帰れへん。奇跡は2度も起こってはくれへんやろうからな」
「なんでそんなことが」
「わかるかって? ウチらもキミと同じように奇跡の産物やからかもなあ。言うたやろ、世の中わからんことが多すぎるって。ただの勘や。でも、間違ってないと思うで」
奇跡の産物──。
光栄だが、自身が艦娘と同じと考えるにはあまりにも自分が普通すぎて素直には受け取ることができそうにない。
だが、理由はわからないが奇跡が起こったことでこの世界に来たというのは納得できることではあった。
「それでや、キミは──どうしたい?」
その問いに、俺はすぐに返すことができなかった。
龍驤の話ぶりから、元の世界に帰る方法を彼女は知っているのかもしれない。争いのない、平和なあの一軒家に……。
悩む中、鼻先が触れ合いそうになるほどの至近で見つめる彼女は静かに待ってくれている。
目が離せなかった。
至近で見た彼女が美しかったからではない。もちろん彼女の容姿が整っていることなど語るべくもないことだが、そうではない。
彼女の瞳が、背中を預けている樹木と同じ色をしたその視線があまりにも澄んだ色をしていたからだ。
俺は、心の中心を覗かれているような気がしてざわめいていた興奮が吹っ飛んでいくのを感じた。
「そんな悩まんでいいよ。あまり時間はないやろけど、今すぐってわけでもない。頭の隅にでも置いといてくれればええ。………せや、手握ったるわ。ウチらとイチャつきたいみたいやからな」
一向に答えが出せない俺に微笑んだ彼女に両手が包まれる。
登っている時と同じように彼女の指が俺の手を握り込み、逃がさないように絡ませている。
恋人繋ぎといえば聞こえはいいが、今の俺の心境的にはそこまで甘い空気に浸ることはできない。
「男の夢、叶えたいんやったらもっと艦娘と触れ合い。話すでもなんでもええけど、その機会を作ったり。今のままじゃ、夢のまた夢やで」
「……できてないかな」
「できとらへんなあ。今のキミ、鹿島とばっかやし。さすがに自覚はあるやろ」
「うーん、まあ」
それを言われると、思い当たる節しかない。
提督になって数ヶ月。いったいどれだけの艦娘ときちんと交流をしていたのか。数える程度か。特定の娘ばかり贔屓にしていた気がする。
覚えることが多く、日々の任務に忙殺されていた中で視野狭窄となり忘れてしまっていたと言うことか。
「提督失格だな」
「挽回したらいい。キミがどんな選択をしても、ウチはそれに付き添ったる。まっ、艦娘としてはキミに提督でいてくれた方が嬉しいんやけどな!」
しんみりとした空気を一喝する快活な笑いが山に響いていく。
明るく支えてくれる彼女の後押しが差し込む木漏れ日のように暖かくありがたい。
「なら手始めに、龍驤のことを教えてもらおうかな」
「ほっほう。この龍驤さんの、何を知りたいんや?」
「なんでもいいさ。好きなことや、嫌いなこと。それ以外でも、なんでもな」
「なんでも言うんが一番困る言うのに。まあええ、その代わりキミのことももっと教えてもらうからな」
「──ああ」
爽やかな風と大樹に見守られた山中の片隅、両手を繋ぎ、お互いの心臓を重ね合わせながらの他愛のない話は空が赤く染まるまで続いた。
イチャつくだけの話を書けばいいってわかっていても、なんかズレちゃうんだよなあ。
もっと読みやすい文章と台詞回しをできるようになりたいなあ。