いろPとお揃いのスキンの人がかぐいろ達と絡むだけ   作:条約

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 ギャップって、好きですか?

 (色々捏造してます‼︎)


番外
月人考察


 

 

 

 

 

 

 

 

「──もし、かぐやさん周りの事が()()の筋に知られたら、少しまずいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……いつからか、只者ではないと思っていた。

 

 

 ユーザーネームを天地混沌(てんちこんとん)

 愛称を天地(てんち)とか(てん)さんとか(てん)とか。

 ツクヨミで路上ライブしてた頃に同じ着ぐるみを着ている人が居る、と聞き付けて来て出会った人だった。

 

 

 ゆるふわっ、とした感じの着ぐるみ好き(ツクヨミにも居る愛好家ほどではない、らしい)のお姉さんといった感じで、かぐやに絡まれたり、かぐやに着ぐるみを勧めてみたり、ライブに来てくれたりといった中で仲良くなっていった。

 

 

 ──はじめに、はっきりと気付いたのはかぐやが天地をKASSEN─神戦─に誘って、共にプレイした時だろうか。

 紫の上着に短い袴とタイツに下駄の意匠が入ったブーツといういつもの格好(着ぐるみ好きではあるが、常時着ぐるみをスキンに設定している訳ではない)で参戦した天地は、強かった。

 長い刃と、それに等しい長さの柄のシンプルな長巻を手に凄まじい切り込みを見せる。

 後にプロゲーマーである兄との面識もあったと分かり、調べてみるととある大会で歴代大会の中でも名勝負と評される立ち会いを兄と演じたのが、確かに天地だった。

 顔の下半分をマスクで隠し、いつもより長い袴に白い羽織と、一見別人だったが、羽織から覗く紫の上着と袴の下の下駄ブーツ、何より顔の上半分は間違いなく天地のものだった。

 

 

 それから天地を注意して見てみると、システムの理解度やふと零れ出る知識や仕草など。何とも言い難いがそこかしこに“只者ではない”ものを感じ取った。

 

 

 決定的だったのはつい先日、期間内に登録者数を最も増やし見事ヤチヨカップを勝ち抜いたかぐやとヤチヨのライブ終盤。

 ぼんやり白く輝き、頭が灯籠になった不気味なヒトガタが現れた時。

 ふと、目についた観客席の人混みに混ざる天地は、長巻となる簪風アクセサリーを手に、いつになく真剣な──臨戦態勢だった。

 

 

 

 

「月はもう、人の手の届かない場所ではありませんから」

 

 

 

 

 ……だけど、ここまでとは、思わなかった。

 

 

 そしてしばらく経ち、『少しまずい話をお聞かせしたいのですが、大丈夫ですか?』と連絡が届き、とある商店街に建つ寂れたビルの喫茶店に赴くと、天地と同じ雰囲気をした女性が現れた。

 『いろさんですね?天地混沌です〜。本名と職業はー──』、──そうして取り出して来たのは、()()()

 

 

 陸上自衛隊二等陸佐 雨土(あまつち)鵬呼(おうこ)

 

 

 ……本人は『左遷されちゃって、ひまなんです』と言っていたが、彩葉にはそんなの判断できない立場に居る、ユーザーネームと本名に負けないくらい厳つい肩書きが天地の正体だった。

 

 

 

 

 

「……先日、ライブと同時刻に立川周辺で電波障害があったのを知ってますか?各通信キャリア提供社だけでなく、警察に経産省、それに自衛隊と防衛省もこの事を調べてるんです」

 

「……はい」

 

 

 

 

 ……彩葉が恐れていた、しかしいつしか現実味がないからと忘れていた、政府側の人物が彩葉自身『……自分がおかしくなったんじゃ』と思う解剖ものの出自のかぐやについて話している。

 ……恐ろしさと緊張を、彩葉は感じていた。

 

 

 

 

「このあたりは日本政府の施設や基地もありますからね。……ツクヨミでの灯籠おばけ、スクリーンショットに撮った人が何人もいます。──それに現実のAR機器であの灯籠おばけを見たという人もいるんです」

 

「⁉︎」

 

 

 

 

 だが、それを上回る驚きを雨土は齎した。

 あのヒトガタが、現実にいた?

 

 

 

 

「電波障害にも色々理由があるのですけど、今回は大容量のデータが割り込んだ事によるシステムの圧迫でした。こういうのはデータの送信元があるのが普通なのですけど……、……今の所、誰も送信元を見つけられてません。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………」

 

 

 

 

 ……彩葉は、ただ静かに話を聞いていた。

 

 

 

 

「……そして、それだけのデータが通ったのに、嘘のように痕跡が残っていないのです。誰かが布団を踏んだ跡が現れたのに、体温の温かさも、靴下の繊維や足の皮膚片も無いみたいな、おかしな状態。──ここに来る前、ヤチヨちゃんからデータの提供がされたんですよ?」

 

「ヤチヨが……⁈」

 

「門外不出のツクヨミのデータにも、何も残っていない。あの灯籠おばけに変えられて、強制ログアウトさせられた人も、ライブの後、無事に復帰できているのです。……強引に割り込んだのに、いやに丁寧で、滑らかで、不始末が無い()()()

 

 

 

 

「──かぐやちゃん、月から来たって言っていましたよね?」

 

「…………」

 

 

 

 

 ……言って、しまっている。

 

 

 

 

「竹取物語のかぐや姫みたいに。退屈な月からここに来たって。『かぐや姫をモチーフにしたライバーの設定』なら不自然でもないのですけど……」

 

「…………」

 

「一ヶ月くらい前に、彗星と()()()()反応の大気圏突入が観測されてですね?大気圏突入による摩擦熱を乗り越え、質量を残したまま落着したはずなのに……、……どこにも落着痕が残っていない。落着地点と見られる送電塔周辺にも傷一つ無い」

 

「…………」

 

「……話によると、その彗星、便宜上『彗星』と呼んでるだけで氷や塵でできた彗星のものとはかけ離れた組成だと見られてるらしいですよ?一番近いのは、人工衛星や多段ロケットのような人工物。……けれどそれにしてはエネルギーが多過ぎる。()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

「…………あの、っ」

 

 

 

 

 ……怖い。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……雨土さんは、どう、したいんですか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆるふわな着ぐるみお姉さんだと思ってた人の中に、こんなに怜悧で、目敏くて、隠されたものを暴き立てるものが潜んでいたなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめんなさい、怖がらせちゃいました。私が左遷されたのも、気になる事を無闇に調べたからなのに……」

 

 

 

 

「──私は、赤ちゃんを実験施設に引き渡して、お母さんと引き離すような真似は、しません」

 

「…………?」

 

 

 

 

 ……雨土は、謎の宣言をした。

 

 

 

 

「……小さい頃、妹が生まれたんです。ちっちゃくてかわいらしい赤ちゃんが」

 

「……はあ」

 

「だけど、ある日、大雨でお母さんごと川に落ちて……、……行方不明になってしまったんです」

 

「……」

 

「…………お母さんは、特に酷く憔悴して……。…………あんな姿を、二度と、見たくありません」

 

 

 

 

「──私には、彩葉さんと、かぐやちゃんが、お母さんと、赤ちゃんに見えたんです」

 

「そう、なんです、か」

 

 

 

 

 ……確かに。

 騒がしくて、勝手で。

 わがままで、──明るくって、よく笑う。

 ……あっという間に喋れるようになって、彩葉とそう離れてない背丈に成長したけど。

 やたらカラフルなゲーミング色に光る電柱の中に居た赤ちゃんだった、あの頃と、本質は変わらないのかもしれない。

 

 

 

 

「…………すいません。……辛い話を、させてしまって」

 

「あ〜、いえ大丈夫ですよ!妹も奇跡的に無事でしたし、今もお母さん共々元気ですから!」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「ここのマスターがうちの妹なんです。散々構われて、恥ずかしがり屋になっちゃって」

 

「ええっ⁉︎」

 

 

 

 

 奥に引っ込んだあのマスターが⁉︎

 ダンディで渋い中年男性にしか見えなかったのに⁉︎

 

 

 

 

「──と、うちの妹が怪盗ばりの変装をするようになったというそれは冗談なのです。ここでバイトしてるのは本当なんですけどね?今日は非番でしたけど」

 

「あぁ、なんだ……」

 

 

 

 

 ……なんか、ホッとした。

 

 

 

 

「ともあれ、私から政府や上役なんかに報告するつもりはありません。それぞれバラバラの事で、繋ぎ合わせても荒唐無稽な話ですし、細心の注意を払いましたから私からかぐやちゃんに辿り着く事も無いはずです」

 

「そ、そうなんですね」

 

 

 

 

 ……ただそうなると、いつから見当を付けていたのか分からないけど、下手するとライブから数日でここまで調べ上げ『かぐやが月からやって来た』という仮説にまで行き着いたこの人がよりヤバく感じられてしまうのだけれど……。

 

 

 

 

「ただ、『絶対に気付かれない』と断言はできませんし……。……もし気付かれたら、色々まずいです」

 

「……かぐやが、宇宙人だからですか?」

 

「ちょっと違います。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 …………。

 少し、()()が言った情報を噛み砕いて考えてみれば、すぐに見当が付いた。

 

 

 

 

「……月の人という圧倒的な技術格差を持ち、どういう基準で動くか分からない存在が、地球に干渉できる場所にいたのに、今まで誰もそれに気付かなかった……。……それがまずいんですね」

 

「はい。ちゃんとした理性と判断力を持つ人に伝えても、それ故に誰も動かさず、何もしない訳には行かない事実です。……月人(つきじん)、うん、月人がいいですね。月人がどういう存在なのか、誰も知らない。暴力を持ってるのか、悪意があるのかさえ分からない。そんな存在が居ると分かれば、警戒と分析、対策をせざるを得ないのが統治機構というものですから」

 

「……うえっ……」

 

 

 

 

 ……学校の授業程度にしか歴史などを学ばず、ニュース程度にしか社会を知らなくても、『技術格差』、『分からない存在』、『身近な脅威』で人類がどれだけやらかして来たかを知る機会は枚挙に暇が無い。

 ましてや彩葉は忙しい中でも東大を目指せる見識があるのだ。

 より具体的に見当がついてしまう。

 

 

 

 

「まぁ、ここまで彩葉さんとかぐやちゃんの生活に介入はしてないみたいですけど……、……それもどういう判断基準でしてなかったのかもまた謎ですからね。そして何をやってキレるのかも分からない」

 

「……確か、月面に調査と実験の基地を作る計画があるってニュースでやってましたよね。……もし本当に、月に異星人がいるって分かったら……」

 

「なんでも使って排除しようとする人がいるでしょうね。なんなら通用するかも分からないのに。『大規模な電波妨害なら通用するはずだ』、『核爆弾が効かない訳がない』みたいに。──それこそが、犯しちゃいけない一線かもしれないのに、です」

 

「……」

 

「そしてこれは現実空間とは違う空間にある月とか、『ざっくり月の方から来たと言っただけ』で本当はもっと遠い星から来ていても同じです。『そこに隠れ潜む、得体の知れない奴らがいる‼︎我々はそれを退治しなければならない‼︎』みたいな感じで、情報の拡散と旗頭と世論次第では総力を挙げて宇宙開発を強行する全地球規模の圧政社会ができあがるかもですね。まぁ、ここまで行くとほぼ世迷言なのですけど」

 

「…………」

 

「そうなったら、せっかくのファースト・コンタクトも台無しです」

 

 

 

 

 …………これまでの、かぐやとの生活は、とんでもないものを秘めていたんだ……、……と、彩葉は思わざるを得なかった。

 

 

 

 

「…………、雨つちっ、さんは、どうするんですか?」

 

「あ、呼びやすいように呼んで大丈夫ですよ〜。私も『彩葉さん』、って呼んじゃってますしね。…………そうですね、…………かぐやちゃんはやっぱり、月に戻されちゃうんですか?」

 

「…………、……はい。次の、満月に」

 

「それなら、私は私なりにかぐやちゃんと彩葉ちゃんが引き離されないように頑張ります。……けど、月人を探せる機材も無ければ、口の硬い人材の選定もできていないです」

 

「…………」

 

「何より時間が足りな過ぎます。めちゃくちゃ頑張るつもりですけど、これから月人がどこにいて、何を話せば通るのかを探り当てるのはちょっと現実的じゃないです。…………だから、最悪にも備える事になると思います」

 

「最、あく……」

 

「竹取物語と違って、軍勢の頑張りに感涙してくれて『ならお前はここにいなさいっ……‼︎』みたいになってくれるならいくらでも暴れますよ?でもそれは希望的観測がすぎる事です。…………竹取物語で、かぐや姫は不死の薬をなめた。かぐやちゃんに目に見える負荷は見当たらないので、最悪は『かぐやちゃんが死なないまま、彩葉さんに取り残される』事だとします」

 

「……死なない、まま……」

 

「そうならないように、私は頑張ると決めました」

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、これはあくまで私の考えた事で、私がやりたい事です。──私は、彩葉さんじゃ、ありません」

 

「──」

 

 

 

 

 それは、心のどこかに、弱気が差していた彩葉に喝を入れるようで。

 

 

 

 

「誰よりもかぐやちゃんと接してきた彩葉ちゃんだから、知っている事があるはずで、向ける思いがあるはずです。彩葉さんはどう考えて、どうしますか?」

 

 

 

 

「彩葉ちゃんは、どうするのですか?」

 

 

 

 

 ──私は、どうするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──不死の歌を、作ろう。

 

 

 

 

 心に、灯が灯った。

 

 

 

 

「……私は、諦めません。『天地混沌』さん。私が呼んだら、暴れてくれますか?」

 

「もちろん。全力でやりますよ」

 

「月人が思ったより弱い可能性だってありますもんね。天地さん、今日はありがとうございました」

 

 

 

 

 この日彩葉は、己が道を決めた。

 

 

 

 

 

 

 













「(……だけど、そうなるとあれだけ調べられて……、……きっと他の誰にも気付かれてない天地さんに情報を提供した)」

「(……私は細心の注意を払ったはずです。今まで尻尾を見せなかった月人は分からないにしても、電子機器は一番気を付けましたし、どうしても観測された場所を繋ぎ合わせてもそこら辺のAIの動向推定では当たり障りのない行動しか算出されないはずです。……それなのに私が月人について調べていると分かってたみたいに、機密に情報を送信してきた。……思えばライブで月人をたしなめてる様子だった)」




「「((月見ヤチヨって何者ですか……?))」」








 ……お母さんと赤ちゃんを引き離すのは、あんまりじゃありませんか。
 (かぐいろが赤子と母に見えたというのは個人の所感です‼︎)




 『平安時代ならいざ知らず、現代社会において月人って色々ヤバくね?』って思ったのを誰かに言わせたくて気付いたら着ぐるみお姉さんが強強お姉さんになった。


○天地/雨土
 現実では雨土二佐。ないし雨土鵬呼二佐。
 茨城県出身。
 とても自衛官とは思えない雰囲気。
 ベビーシートが水に浮かばなければ危なかった妹の名は雨土瑞虎(ずいこ)。……両親の趣味で姉妹揃って仰々しい名前。
 憔悴した両親に変わり、幼くして二つ隣の自治体まで妹の行方を探しに行った。

 自衛隊に入ったきっかけは妹を助けた男が謹慎中の陸上自衛官(後に濡れ衣を晴らされ、無事復帰)だったから。
 若くして、ほぼ実績だけで二佐に昇進した。その辺の活躍形にできたらきっと超かぐや姫!が匂わせにしかならない。
 自衛隊では相棒の杉下右京さんとか型月のロードエルメロイII世とか、そのあたりのポジ。
 目敏く、無視できない影響力を齎すのに、権力闘争に然程熱心ではない。
 そして地位立場階級権威機構よりも個人信念立ち位置したい事過去今未来を重視するタイプ。
 だからツクヨミに入り浸れるくらい、暇になった。

 ……公務員が仮想通貨を得られるツクヨミをやるのは副業禁止で服務規定違反ではないのかと思ったけど、近頃はものによっては許可される場合もあるそうで、けれどざっと見た限り配信者や作家の類は許可されにくいそうでそもそも自衛官だし……。
 ……とりあえず本作では『ふじゅ〜をゲーム内通貨としてのみ扱うよう設定できる(ただし監査が大変になるので監査筋に嫌われる。なので公務員でツクヨミユーザーだと公言する者は稀)』てな感じで、どうか……。

○彩葉
 色々聞かされた。
 そして、不死の歌を作ると決めた。

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