お嬢様がGBNにいるわけないだろう!   作:プラ板の削りカス

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【悲報】マスダイバーさん、襲撃される

『クソッ、どういうことだ!? 俺たちはただ新型のブレイクデカールをもらえるからって──』

『う、うわああああっ!? な、なんでこんな初心者用サーバーにチャンピオンが!?』

『俺はただ、ちょっと楽して強くなりたかっただけなのに……!』

『たった10人ぽっちブレイクデカールで初心者狩りしたからって、血も涙もねえ!』

『お、俺ら……ここで、し、死んで……っ』

 

 そうだよマスダイバーくん、テメェらはここで全員まとめて死んでもらうんだよ。

 原作では無限再生と過剰強化能力を持ったマスダイバーとの消耗戦ということで、有志連合の士気もロンメル大佐がなんとか持ち堪えさせていた感じだったけど、今回は違う。

 再生もしなければ、システムに致命的な影響を与えてでもパラメータ異常を参照するロジックもない──つまるところ、マスダイバーに恨みを持った有志連合諸君のビュッフェ会場と化していたのだ。

 

「ヌルいヌルい、あんまりにもヌルすぎて欠伸が出ちまうなぁ!? 汚え花火を上げるぐらいしかテメェらには芸なんかねえんだ、だったらさっさと逝っちまいなぁ! ハウリングバスターライフル!」

「わたくしこの度、ミキから散々お預けを喰らっていて……身体が芯から火照っていて仕方ありませんの。ですので……テメェらの爆発で芯まであっためてくれよなぁぁぁ!?」

 

 先陣を切って我先にと突撃していったダイバーたちに加わる形で、私とルカもとりあえず目についたマスダイバーを片っ端から鏖殺していた。

 ガンプラのパラメータが多少強化されたところで、根本的な腕前が伴ってなきゃただのおやつよおやつ。

 無限再生と過剰強化がなければテメェらなんてその程度だ、根性なしが初心者いじめて脳汁垂れ流してただけさ、身の程を知れよ。

 

『ひぃぃぃぃ、蛮族だー!!!!』

『レディビルドが出たぞ、下がれー!』

「人を妖怪みたいに扱ってんじゃねえよ、せっかくのパーティーなんだから……テメェらも死ぬ気で私たちをコマしてみろよなぁ!!!!」

「ええ、全くですわ。このイ◯ポの玉無し野郎どもが」

 

 ルカにそこまで言われて襲いかかってこない辺り、マスダイバー側の戦意は完全に挫けていると見てもいいのだろう。

 まー無理もないか。私たちはともかくとして、最前線ではチャンプにロンメル隊、それにタイガーウルフさんやシャフリヤールさんをはじめとした歴戦の猛者が暴れ回っているんだから。

 とかなんとか考えているうちに、また遠くで爆発の華が咲く。南無三。

 

『く、クソッ……ここまで馬鹿にされて……黙っていられるかよぉ!』

『この戦いが終わったら運営に通報してやるからな! 行くぞ!』

 

 と、思ったら少しは根性のある連中もいるみたいだった。

 そして残念だけど、運営と私たちは今、完全にグルなんですよねぇー。

 通報する前にお前らが晒し首リストに名前を載せられて永久BANされて終わりだっての。

 

 レッドフレーム改とマスターガンダムを使っていたマスダイバー二人組が、タクティカルアームズとマスタークロスを強化して襲いかかってくる。

 でも、所詮は威力を強化しただけで、単純に前ブーを踏んでいるつまらないマニューバに過ぎない。

 宙返りの要領でタクティカルアームズの一閃を回避して、私はレッドフレーム改の背後を取った。

 

『なにっ!? モーション速度と追従が強化されてるのに……』

「わかってりゃ冷静にバクステ踏んで誘導切りすれば対処できんだよこのチンパンジーが! かかってきた度胸だけは褒めてやるから辞世の句でも読んでおきな! ハウリングバスターライフル!」

『ち、ちくしょおおおおっ!!!!』

 

 じゃあな三下。来世ではもっと腕磨いて出直してきな。

 

『なんで地上適性しかないはずのイカロス・ユニットが宇宙でこんなに動けるんだよ! おかしいだろ!』

「あら? あらあらあら? 宇宙適性スキルをご存知でない!? わたくしは飛行スキルを切っている分、スキルスロットが余っておりまして……そういうことですから、死にましょうか♡」

『い、いやだー! 俺はまだ、初心者だって一人ぐらいしか狩ってないんだ、このブレイクデカールは格上と戦うために……』

「そのブレイクデカールを使ってわたくし(かくうえ)に負けている時点で意味はないですわね♡ 潔く死になさいな、この短小早漏包茎がよ」

 

 断末魔の悲鳴を上げる間もなく、ルカのイカロス・ユニットに接続されたクロー・アームに掴まれたマスターガンダムのコックピットがビームサーベルで貫かれる。

 結局初心者狩りはやってたんじゃねえか。

 それにしたってシケた野郎どもだ、ブレイクデカールに自信の大部分を委ねていればそうもなるかって感じだけどさぁ。

 

 もっと我こそはチャンプをブレイクデカールの力で討伐してやるぞー、とか意気込んでる新鮮なマスダイバーはいないものか。

 原作だとバリエントに乗ってたモブくんがイキってたけど彼ならマギーさんのカマに引き裂かれて荼毘に付したよ。かわいそ。

 まあひとえにそれは彼の自業自得だから仕方ないとして、まさかここまでマスダイバー側の士気が低下してるとは思わなかったなあ。

 

 見たところ汚いトリニティもいないし、誰か気概のあるマスダイバーが襲ってきてくれないかしらね。

 それとももっと「いかにも義憤だけで有志連合に参加した気弱なお嬢様」ロールプレイを徹底していればよかったのだろうか。

 せっかくのパーティーだってのに、かかってくる相手がいないんじゃあ股座が乾いちまうよ。

 

「いくら殴っても心が傷まない相手を鏖殺するのも悪くはないですけれど……少しは骨のある相手がほしいところですわね」

「だよねー、私たちもガンガンライン上げて最前線まで合流するしかないか!」

「素敵な提案ですわ、ミキ。ふふふ、最前線まで出向くほどの相手なら、少しは期待できそうですもの」

 

 私たちはスラスターを全開にして、チャンプたちが待つ最前線へと合流すべく、機体をかっ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

「楽しげにしているお嬢様を見るのは、やはり心より楽しいですね」

 

 私──ピケスト・イネアは、中東のとある国で下層民の孤児として生まれた経緯を持っております。

 そのことでかつての故郷を恨んではおりませんし、こうしてメイドとしてヤエザクラの家に拾われた恩も感じております。

 ですが、私にとって世界の中心だったのは、幼い頃より身の回りのお世話をさせていただいたツミキお嬢様なのです。

 

 幼い頃のツミキお嬢様は、本当に死んだような目で毎日を過ごされておりました。

 その姿はまさしく籠の中の小鳥、私はこんな愛でられるためだけに生まれ、育てられてきたお嬢様のお世話を一生せねばならないのかと絶望したこともございます。

 ですが──ですが!

 

『はっははは!!!! やっぱ最前線は違うなァ! どいつもこいつも腰が引けてねえ!』

『ええ、最高に今わたくしは命を──生を感じております、ミキ!』

『私もよ、ルカ! もう最っ高……!』

 

 お嬢様の本性を、鉄仮面の下に押し込めていたものを知ったときは動揺こそいたしましたが、このように──あの死んだ目で易々諾々と家の言うことに従ってばかりだったお嬢様が!

 自らの足で立ち、自らのなしたいことをなしているのです。

 これはもう、長年の従者として喜ばずにはいられないでしょう、それになにより、見ていて最高におもしれーですから。

 

『どけよそこのクソドラゴン、こちとらクライアントから一方的に契約を破棄されて苛立ってんだ』

 

 おや。

 なにやらN-EXTREMEガンダムを知らないにわかが粋がっておりますね。

 トリニティのぐえーした人が着ていたお召し物に似たものを身につけていらっしゃいますが、これはもうぐえーさせてあげるしかございませんでしょう。

 

「では貴方は、お嬢様が心ゆくまで絶頂なさるお姿を見学する邪魔をされにきた、という認識でよろしいでしょうか?」

『どうもこうもねえよ、死ね!』

「ふむ」

 

 ファンネルを展開して襲いかかってくる量産型キュベレイに、変形を解除して、とりあえずメガキャノンの照射を浴びせかけます。

 すると、なんということでしょう。

 ビームを弾いて量産型キュベレイが突っ込んでくるではありませんか、射撃バリアとかいうクソ武装持ちがよ。

 

『はははは! 驚いたか!? 他の連中はブレイクデカールの強化を攻撃に割り振ってる脳筋ばかりだが、俺は違う! 最強の防御力、これさえあればチャンプの攻撃だろうがなんだろうが、カスダメで済ませられるんだよ!』

「ふむ、カスダメは入るのですね?」

『入るが、まさか死ぬまで殴り続けるとかいう実現不可能なことを言うつもりか?』

「いえ……貴方には失礼ですが半自動的に焼死していただきますので」

『は?』

 

 私はもう一度機体をMA形態に変形させて、ドラゴンズブレスを量産型キュベレイへと浴びせかけました。

 当然、防御力を過信している相手はお構いなしに突っ込もうとしてきます。

 ですが。

 

『な、なんだ!? 機体にダメージが!? どういうことだ、耐久値が減って──!?』

「おや、どうやらスリップダメージという概念をご存知ではないようですね。無学なお猿様には大変難しい概念ですから仕方ありませんが……」

『て、テメェチートしてんのかぁ!?』

 

 ただ単に、ドラゴンズブレスには強烈なヒットストップ効果と燃焼による固定のスリップダメージ効果が備わっているだけでございます。

 チートもなにもありません、タネも仕掛けもない手品でございますが……やはり学習能力を著しく失われたマスダイバー様におかれましては、ご理解できない様子で。

 哀れですね。ばにたすばにたーたむ。

 

「ではこのまま私は照射を続けますので、ごゆっくり焼死してくださいませ」

『く、クソがぁぁぁ!!!!』

 

 負け犬の遠吠えは別に心地よくありませんね。

 そういう意味では、お嬢様のようにはなれませんが──私はあくまで、お嬢様を見守るメイドなのです。

 邪魔にならないようにするのはむしろ本懐というもの。

 

 ではお嬢様、ご存分にGBNを堪能してくださいまし。




カチコミタイッ
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