お嬢様がGBNにいるわけないだろう!   作:プラ板の削りカス

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【朗報】マスダイバー、殲滅される

 俺──クガ・ヒロトは、思えば他人とあまり積極的に関わろうとしてこなかったのかもしれない。

 マスダイバーのドライセンをビームガトリングで蜂の巣にしながら、ちらりと新しく作った高機動戦用の機体、ジュピターヴガンダムのコックピットに同乗しているイヴの様子を伺う。

 ここ最近、具合が悪そうにしていることもあって不安だったけど、思えば、妹さんたちのことを心配していたのかもしれない。

 

「……イヴ、大丈夫?」

「うん。ありがとう、ヒロト。きっとこの戦いが終わったら、もっとよくなるって……ジュピターヴガンダムもそう言ってる」

「……そっか」

 

 イヴの言うことは抽象的で、わかりづらいところがある。

 でも、そういうものだとわかっていたし、彼女が事実を告げているということは、コアガンダムのテスト飛行の一件から知っていた。

 ……だからなのかもしれない。

 

 俺は、彼女にも深入りしようとしなかった。

 フォースに入ったのも、イヴに言われたからで、積極的にチャンピオンや皆に関わろうとしていたわけじゃない。

 でも、あの人──ミキさんと関わってから、俺は少しだけおかしくなったのかもしれない。

 

『あっはははは! 新鮮なマスダイバーが摘み立て採り放題ねぇ! ほらもっとガッツを見せろよ短小野郎ども、そんなんじゃ私たちをオトすなんて三百年かかっても無理な話だぜ!!!!』

『たまりませんわねぇ、ブレイクデカールなどという自分を慰めるためのツールでしかないものに縋っていた偽りのメッキを剥がすのは! メッキ剥がしのためにガンプラをコーラに漬け込んでいるときのようですわ!!!!』

 

 いや、おかしいのはミキさんたちかもしれない。

 それはともかく、他人に興味が出た、という意味では確かに、俺の中には変化が訪れていた。

 イヴと一緒に、いつかこの宇宙の果てまで旅をする──そんな、細やかな願いを叶えるために生きるだけでなく。

 

『なにやってんだコーイチぃ! さっさと俺にコントロールを渡しやがれ!!!!』

『徹夜明けのお前の操縦なんて危なっかしいだろう!?』

『うるせぇ、15分は仮眠してんだよ! アイハブコントロール! 禊のためにもカスどもは殲滅だ、行くぜレベルソ!!!!』

『俺だって二人に負けてられない……行くぞ、ダブルオースカイ! トランザム……インフィニティ!』

 

 イヴの妹さんたちが所属している「ビルドダイバーズ」をはじめとして、様々な猛者がこの戦場には集結している。

 俺は、確かにフォースに恵まれたのかもしれない。

 チャンピオンの背中を見ていると、とてもじゃないけど追い越せる気がしなくて、心のどこかでは諦めが燻っていた。でも。

 

「……俺も、続く」

「ヒロト?」

「ああ、ごめん。イヴ。俺も……あの人たちの背中を追い越してみたいって、そう思ったんだ」

 

 空間上に展開していたアッザムリーダーでマスダイバーのリゲルグを絡め取りながら、俺は小さく苦笑した。

 GPDをやっていたときのように、少しでも上を目指してみたいという気持ちが、確かに今はこの胸に息づいている。

 それはそれとしてアッザムリーダーに絡め取られたリゲルグのコックピットをビームサーベルで貫いて爆散させつつ、俺は百花繚乱の戦場に目を向けた。

 

『各員に通達、マスダイバーを決して生かして帰すな! 一人たりとも許してはならん、降伏宣言は無視し、その場で撃墜せよ!』

『ロンメル隊長の仰せの通りだ! 各員奮起せよ、これはバトルではない、我々とマスダイバーでGBNの未来をかけた生存競争だ!』

『要するに手当たり次第にぶっ殺せばいいんだろ!?』

『仲間が受けた痛みのツケは払ってもらうぜ……テメェの身体でなぁ!!!!』

 

 ……有志連合とマスダイバーのどっちが正しいのかわからなくなりそうな光景だったけど、ここに集っているのはGBNの上澄みも上澄みだ。

 瞬く間にマスダイバーたちは劣勢に追い込まれ、戦意をなくした相手にも容赦せず弾幕砲火が向けられる。

 俺も完全にこうなりたい……ってわけじゃないけど。

 

 でも、この猛者たちといつか、俺とイヴのコアガンダムで戦えるだけの実力を身につけてみたいと思うことは、確かだった。

 

 

 

 

 

 

「やっぱりイカすわね、ダブルオースカイは」

 

 リクくんが最前線で被弾を恐れることなくバスターソードを振るっている姿をベガ立ち後方師匠面で見守りたい気持ちを抑えつつ、私はノールックで背後から迫ってきたNダガーNをハウリングバスターライフルで撃ち抜いていた。

 デスティニーガンダムとダブルオーガンダムを融合させて、かつ独自色も取り入れられた斬新なデザインは、主人公〜って感じよね。

 ヒロトくんも最前線でジュピターヴガンダムの高機動とトリッキーな戦術を活かして戦っているし、原作では舞台裏でしか語られなかった夢の共演だ。

 

 マスダイバー陣営はどう頑張っても劣勢で、ここから巻き返すことはほとんど……というか絶対に不可能と見ていいだろう。

 まあチャンピオン一人を相手にしても勝てるかどうか怪しい、ブレイクデカール頼みの連中が集まったところで烏合の衆なのは目に見えていたけど。

 それでも抵抗を諦めずに襲いかかってきてくれる根性だけは認めてあげてもいいのかもしれない。

 

 もっとも、その根性をもっと別な方向に使いなさいよとかそういう話なんだけど。

 

『テメェか、好き勝手に暴れ散らかしてる女蛮族ってのは』

淑女(レディ)に対して随分な言い草ですわね、汚いトリニティA様。失礼ですが……ご入浴と歯磨きはなさらないのですか?」

『……殺す!』

 

 汚いトリニティAくんこと褐色肌のゴリマッチョくんは、プロヴィデンスガンダムのドラグーンを展開して襲いかかってくる。

 うーん、ピケストが汚いトリニティBくんを撃破したと聞いたから存在は感知していたけど、本当にこいつ他のゲームでランカーだったのかしら?

 あまりにも煽り耐性がなさすぎるでしょ。

 

 とはいえ、ブレイクデカールで強化されたドラグーンシステムはそこそこの脅威だ。

 元ネタのガンダムSEEDでも後の准将がビーム斬り払いとかいうわけわからんことやってたけど、基本的には防戦に回らざるを得なかったぐらいだし。

 それはともかく、別ゲーってのがなんなのかはよく分からないけど、FPSとかなら屈伸煽りにキレて砂のおやつにされるタイプよね、こいつ。

 

『バカな! なんで避けられるんだ!?』

「潜ってきた修羅場の数が違ぇんだよ、このフニャチ◯野郎! 私のウイングガンダム・フェアリアルに追いつけもしねえくせに吠えるんじゃねえよ!」

 

 どっかのEXVS星やらなにやらでは、オールレンジ兵器は、とにかく意識の外からチクチクやってくるのが鬱陶しいから、必ずステBDなりなんなりを徹底しろと、耳にタコができるほど教えられてきたことだ。

 この汚いトリニティAくんはブレイクデカールの性能を攻撃にガン振りしてるだけだから多少ビームが太くなったぐらいだしね。

 だったら、機動力で強引に振り切るのも容易い。

 

『苦戦してんじゃねえか、加勢するか?』

『いらねえよ! テメェはあのルカとかいう女の相手でもしてろ!』

『ちっ、ったくよぉ、人が気前よく提案してるってのに……』

 

 おお、両手にドッズライフルを持ったAGE-1タイタスとかいう尊厳破壊の塊みたいな汚いトリニティCくんもいたんだ。

 別に、私が二人まとめて葬ってやっても構わないけど、これ以上ルカにお預けさせるのはよくないだろう。

 タイガーウルフさんとシャフリヤールさんに初見殺しとはいえダメージ通してた相手だから、歯応えはそこそこにあるはずだ。

 

「ルカ」

「ええ、ええ! ミキ! とうとう、わたくしと情熱的な交わりをしていただける方が現れてくださったようですね!」

『なんだテメェ、頭おかしいのか?』

「まあ、失礼なお方……これは少々、わからせてあげる必要がありますね♡ どっちが『上』なのかをよぉぉぉぉ!!!!」

『なんだコイツー!?』

 

 だがそれが逆にルカの逆鱗に触れた。

 これで汚いトリニティCくんの運命も決まってしまったか、哀れな。

 ひとえにテメェがカスなせいだけどよ。

 

『余所見してんじゃねぇ、野郎ぶっ殺してやらぁぁぁ!』

「ご丁寧に予告なんかするからこうなるのよ」

『なっ……!?』

 

 私は複合兵装防楯からビームサーベルを展開して襲いかかってきたプロヴィデンスガンダムの左腕関節をピンポイントで切り裂いて、バランスを崩した本体を蹴り飛ばした。

 原作と違ってブレイクデカールのパラメータを極端な方向に割り振っている都合、汚いトリニティAくんのプロヴィデンスの防御力は普通のガンプラと大して変わらない。

 あれをツカサくんが貸したのかそれとも適当にフリマサイトで買ったのかは知らないけど、異常参照がなければこんなものよね。

 

「あんたのバトルスタイル、手数と火力で圧倒するタイプね? 他ゲーがなんなのか知らないけど、手数キャラっていうのは大体懐に潜り込まれると脆いものなのよ」

『なんだと!? なにが言いてぇ!?』

「要するにあんたが取るべき戦法は安い挑発に乗らないで冷静に引き撃ちしておくべきだった、ってことよ。そんなわけで……逝っちまいな、この不燃ゴミがぁぁぁ!!!!」

『ぐ、ぐああああ! ちくしょう、俺がこんな頭のおかしいやつにィィィィ!!!!』

 

 失礼な。ガノタなんて皆頭おかしいのよ。

 

『ひっ……や、やめてくれぇ! 俺は、俺はただボーナスが出なくなったことに腹が立ってただけで……』

「あら、奇遇ですわね。わたくしも貴方の無礼な言葉遣いに少々ブチ切れておりまして」

『言葉遣いに関しちゃお前が言えることじゃないだろ!?』

「気に入りましたわ。その反骨精神……ですので、じわじわと真綿で締めるようにぶち殺して差し上げます♡」

『ひ、ひぃぃぃぃぃ!!!! 誰かー! 蛮族に襲われてるんだ、助けてくれー!』

 

 どうやら汚いトリニティCくんも無事ミン中尉(動詞)されることが決まったようだ。

 クロー・アームに挟まれてじわじわとビームサーベルでコックピットを焼かれる感覚は、ゲームとはいえ相当の恐怖体験だろう。

 ……クルトさんには哀悼の意を表しておこっと。




ロンメルの胃なら荼毘に付したよ
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