お嬢様がGBNにいるわけないだろう!   作:プラ板の削りカス

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【悲報】私のユニコーンがデストロイする

 ヒロトくんのガンプラこと、コアガンダムの特徴は、なんといっても支援機も兼ねているアーマーと合体できることだろう。

 元ネタはGアーマーらしいけど、ガンダムAGEのウェアチェンジとかも組み込まれていると見ていい。

 フリーバトルエリアが展開され、私が乗り込んだウイングガンダムと、支援機のアースアーマーの上に乗ったコアガンダムが空中で対峙する。

 

「障害物はなし、正真正銘の一騎打ち」

『……』

「だったらまずは……私が先手を切らせてもらう!」

 

 誤解を恐れずにいうのなら、コアガンダムそのものは、「強い」わけじゃない。

 とはいえ、レイドボスのアカツキとゲルズゲーが悪魔合体したNPDをコアガンダム形態で倒せるぐらいにはパワーがあるみたいだけど。

 だけど、どちらかといえばコアガンダムにしろ、換装後の各形態にしろ、機体のパワーでゴリ押すタイプではなく、操縦者の技量が力を引き出すタイプなのは間違いない。

 

 だから、なによりも今警戒すべきはヒロトくんが切ってくる手札だ。

 少しでも隙を見せれば搦め手にやられる。

 バスターライフルを牽制射撃として放ってから、私はバード形態に機体を変形させて、一気にコアガンダムとの距離を詰めた。

 

「この距離なら、トラップは使えないわね!」

『この人……俺の戦い方を知っている……!?』

 

 急速変形からの変形解除で伸びのいいフワ格を出されると大体の人間は咄嗟に盾を出せず、セットプレイに持ち込まれる。

 だけどヒロトくんは流石に次回作主人公だけあって反応速度が違った。

 突き出したビームサーベルを受け止めて、小柄なコアガンダムの体躯を活かす形で跳躍、一度アースアーマーを私にぶつけて宙返りする。

 

「クソッ、やるじゃねえか……!」

『君の戦い方は見てる、だったら得意な近接戦に付き合う理由がない』

 

 ヒロトくんは即座に私の背後を取ってコアスプレーガンを構えたけど、まだまだよ。

 急速変形で再び機体を急上昇、ビームの一撃を振り切って、アースアーマーの機首に誤射させる。

 さあ、これで支援機との連携という手札は切れなくなったわけだけど、どう出てくる。

 

『……コアチェンジ、ドッキング・ゴー』

 

 黒煙を上げてアースアーマーが墜落していく寸前に、ヒロトくんはコアガンダムからの換装という手段を選んだようだった。

 変身バンク中にバスターライフルをぶち込んで妨害するという手もあるにはある。

 だけど、それをさせないようにヒロトくんは私のウイングガンダムをあえてバード形態に変形させたのだ。

 

『……まだ名前はないけど、これが俺のガンダムだ』

「いいねぇ、変形合体とはロックだなぁ! もっとバイブス上げていこうぜ!!!!」

『……!』

 

 生コアチェンジに、思わずテンションがぶち上がる。

 それはともかく、アースリィガンダムの特徴は、全アーマーの中でも屈指の使いやすさを誇る汎用性だ。

 ビームライフルにビームサーベルとシールドに頭部バルカン。

 

 そこに加えて、最大出力照射モードというお手本のような万能機の構成は、悪くいえば尖っていないが、よくいえば最高によくまとまっているということだ。

 そして、アースリィガンダムに変形合体したことでアタッチメントが接続され、出力が強化されたコアスプレーガン──いや、ビームライフルをヒロトくんは撃ち放った。

 うおっ、最大出力モードでもないのに威力がバスターライフル並みだな。ビームライフルというかビームマグナムに近いんじゃないのか、これ。

 

「大振りな軌道で避けさせて罠に誘導しようってか!? テメェの誘いにそう簡単にノせられるもんかよ!」

 

 私が避けた先には2基のアッザムリーダーが仕掛けられていた。

 恐らくはそれで絡め取ってから、最大出力モードで撃破するつもりだったのだろう。

 だけど、ヒロトくんがそういう搦め手を得意とするタイプなのは原作で履修済みだ。

 

 アッザムリーダーに触れる寸前でバーニアを停止、バスターライフルを地面へと最大出力でぶち込む。

 

『まさか、反動を利用して……!』

「そのまさかよ! 溶け合い(セッション)はまだまだ終わらねえ! ベースキックのパンチが足りてねえんだよ!」

 

 とはいえ、これでバスターライフルは使い物にならなくなった。

 いや、鈍器としてぐらいなら使えるか。

 射撃武装は中近距離でしか機能しないマシンキャノンとビームサーベルだけっていうのも中々ロックな状況で唆るけど、これ大分無理ゲーじゃねえ?

 

『……そっちのバスターライフルは今ので限界のはずだ、だったら!』

「読めてんだよぉ!!!!」

 

 シールドでビームライフルの一撃を強引に受け止めながら、再び私はアースリィガンダムとの距離を詰めていく。

 こうなれば、なりふり構わずに格闘を振って相手の理性に揺さぶりをかけるぐらいしか勝ち筋は残されていない。

 GBNにアシスト武装はないんだから、この状況で、中遠距離でまごついていたらただのカモだ。

 

 バスターライフルを即席の投擲武器としてぶん投げて、それを目眩しにしている間で私はビームサーベルをシールドから引き抜いた。

 目がいい分、ヒロトくんは頭部バルカンでバスターライフルを迎撃してくれると踏んでの行動だったけど、正解だったようだ。

 読んだ通りにバスターライフルを迎撃してくれたヒロトくんに急接近して、私はビームサーベルを叩きつけるように振り下ろした。

 

「ちっ、いい反応速度してやがる! 持ってけたのはライフルだけか!」

『そっちも……オーガを倒したっていう話は、嘘じゃないみたいだ』

 

 本当なら右腕ごとバッサリ持ってくつもりだった一撃は、直前にヒロトくんが腕部アーマーをパージするという奇策で狙いを逸らされて、持っていけたのはライフルと手首だけに終わってしまった。

 ただ、これでお互いに遠距離戦の手札は失ったということになる。

 だったらここからは、純粋な格闘の振り合いだ。前世のゲーセンで鍛えた反応速度を見せつけてやる。

 

「あっはははは! 楽しい! 楽しいなぁ、ガンプラバトルは! テメェもそう思うだろ、ヒロトぉ!」

『……ああ。あんまり同意したくないけど』

「急に萎えるようなこと言ってんじゃねえ!!!! もっとなにもかも曝け出してバイブスアゲてこうぜ!!!!」

 

 ビームサーベルの振り合いとなれば、多少私にも有利がついた。

 だけど、頭部バルカンを巧みに使ってヒロトくんは剣戟の隙をカバーするから、致命傷には中々至らない。

 そしてこっちのウイングガンダムも損耗の中で傷つき、鈍っていく。

 

 あー、やっぱ楽しい。

 ちまちま射撃戦するのもいいけど、バトルってのは近距離で後先考えずに命削り合って戦ってこそだよなぁ!

 アースリィガンダムの腰アーマーをぶった斬り、切り返しの斬撃がウイングガンダムの左肩アーマーを持っていく。

 

「最っ高……! やればできるじゃんかよ!」

『くっ……!』

「でもまだこんなんじゃねえだろ! テメェの技量(テク)でもっと私をグッショグショにさせてみろよ!!!!」

 

 私はマシンキャノンの応射でアースリィガンダムの頭部を吹っ飛ばして、ヒロトくんは体当たりで私の姿勢を崩して、お互いにマニューバが乱れてしまう。

 ああ、いい──マジで軽くイきそうだった。

 この場にルカがいないのが本当にもったいなさすぎる。あの子にも私たちのハードなバトル(交わり)を見せつけてやりたかった。

 

『これでっ……!』

「終わりだああああッ!!!!」

 

 とはいえ、もう、互いに切れる手札は全部切った状態だ。

 あとはどっちが早く相手のコックピットを貫くかでしかない。

 上空から急襲する私のウイングガンダムに動じることもなく、メインモニターがやられているのにもかかわらず、ヒロトくんはビームサーベルを、ラストシューティングのように天高く突き上げた。

 

 ──結果としては。

 

『Battle Ended!』

『Result:Draw!』

 

 全く同時にコックピットへとお互いのビームサーベルが突き刺さったことで、引き分けというなんともいえない結末を迎えてしまった。

 

 

 

 

 

 

「対戦、ありがとうございましたわ。お強いんですのね」

「……君も、強かった。自重はできてなかったけど」

「そこについては大変申し訳ございませんわ……私、昂るとついあのようにはしたない言葉遣いを……」

 

 これでも(当社比)抑えてた方ではあるんだけど、やっぱり内なるロックとチンパンが抑え切れなかった。

 あれだよ、初期のバナージくんみたいなもんだよ、私のユニコーンがデストロイしちゃったんだよ。今世では生えてないけど。

 とはいえ、なにを言っても言い訳に過ぎないのだから、ぺこりと頭を下げて、私はヒロトくんに謝罪する。

 

「……イヴは、どう思った?」

「ぐしょぐしょ? とかはよくわからなかったけど……ミキのウイングガンダム、とっても楽しそうだった! ヒロトのコアガンダムも!」

「……そっか。俺は正直生きた心地がしなかったけど、イヴがそう言ってくれるなら、いいか」

 

 またELダイバーの情緒によからぬことをしてしまった。

 でも笑って許してくれるイヴちゃんは間違いなく天使。こんないい子を消滅させなきゃいけない未来なんて、やっぱり間違っている。

 だから、私は。

 

「……今、GBNは危機にさらされています」

「……知ってる。ブレイクデカールだろ」

「それをなんとかしようと皆が抗っている……私も同じですわ」

「君は……」

「ですが、しばしお待ちください。必ずや、なんとかしてみせますので」

 

 私は、カーテシーを添えて二人に一礼した。

 それが今示せる、最大限の誠意だからだ。

 具体性も方向性もまだ決まってないけど、希望につながりそうな兆しだけは見えている。だから。

 

「無理に取り繕わなくていいよ」

「ヒロト、様?」

「君は……確かに言葉遣いは悪いけど、ガンプラバトルが好きなのは……悪い人じゃないのは、わかったから」

「……そっか。ありがとね、ヒロト。お嬢様の言葉遣い、堅苦しくて仕方なかったのよ」

「お礼を言われるほどじゃない、ミキ」

 

 笑顔で小さく握手を交わした私たちを、イヴは笑顔で満足げに見守っていた。

 それから私は、二人とフレンド交換をして、GBNをログアウトした。

 さて、これからどう立ち回っていったものかね。




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