織斑一夏は天才錬金術師   作:佐為苦露譜洲

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あけました瞬間におめでとうございます。新年初投稿となります。
ちょっと表記の説明をしておきます。
side○○だとその人物の立場になります。
○○viewだとその人物が語り手になります。
No sideだと適当に流すシーンを書きます。

それでは新年1発目、どうぞ


第3話 弟と大佐

一夏は自宅の前にいた。束のラボを出て数時間もしないうちに着いたのである。

 

一夏が消息不明になってから1ヶ月が経とうとしていた。一夏は姉がいない事を願いながら鍵をあけ、ドアを開けた。

 

 

side一夏

 

 

 

(あ〜できれば千冬姉はいない方がいい。1ヶ月もいなくなっていたんだから何されるかわかったもんじゃ無い。弟ならまだいい。とにかく千冬姉はいないでくれ。)

 

と、そう願いながら一夏はドアを開けた。一夏にとっては姉がいるのといないのとでは大きく変わるのである。

 

「よう、遅かったな」

 

「よお、ただいま」

 

ドアを開けた先にいたのは一夏の双子の弟の春十(はると)だった。春十は一夏の顔を見るといつものように見下したような目と声で一夏に話しかけた。ただ、いつもと違って一夏の右腕を見て僅かに驚いたような態度を見せた。一夏はそんな春十の態度に軽く驚きながら同じように冷めた目と声で応答した。

 

「………どけよ、邪魔だろ」

 

「おっと失礼」

 

いつまで経っても玄関から退かない春十に一夏はしびれを切らした。そんな一夏に対して春十は馬鹿にしたような態度をとる。

 

一夏は1ヶ月も千冬に連絡をしていないので、まず千冬に電話をすることにした。

 

「おい、ちょっと待て。千冬姉は今ドイツにいるから電話するなら夜にしろ」

 

「ああ、そうだったな」

 

そういやそうだった。千冬姉はドイツで教官をやっているんだった。

 

ドイツとの時差は8時間ある。一夏は時間が経つまで部屋の整理をすることにした。部屋は1ヶ月前から何も変わっていなかった。掃除もされていない。春十は一夏の事を昔から見下しているような態度をとる。そのため千冬がいないところでは一夏を常にバカにしてきた。もちろん一夏のためには千冬がいる前でしか何もせず、千冬がいない現状では一夏の部屋の掃除なんかするわけがなかった。

 

夜の7時となった。一夏は勝手に夕食を食べた。春十も全く別のものを食べていた。家庭内別居みたいなものである。しかしこの兄弟は5年以上前からこの状態であった。

 

夜の8時となった。ドイツでは正午である。一夏は千冬の携帯に電話をかけることにした。千冬がISの日本代表となったときに、国際電話ができるようにしたのである。

 

千冬はワンコールで出た。

 

「一夏ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎クソ焔にお前が束に拉致されたと聞いて心配してたぞぉぉぉぉぉ‼︎大丈夫か?!何か変なことをされてないか?!束からは何の連絡もなかったからどうなっているのかわからなくてな、とにかく心配してたぞ‼︎変わりは無いか?!右腕と左脚は大丈夫なのか?!痛まないか?動きにくく無いか?なんなら今すぐ飛んでもd」

 

一方的に電話を切った。暴走しているとは思っていたが幾ら何でも近所迷惑なほどの声量だった。

 

一夏は耳が聞こえるようになるのを確認するとまた電話をかけた。

 

「一夏あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎なぜ電話を切った‼︎何があった‼︎大丈夫か‼︎?」

 

「あ〜、千冬姉、一旦落ち着こうか。一方的に喋られると何も報告できない。ハイ、深呼吸して」

 

「すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。よし、落ち着いたぞ。それで腕と脚は大丈夫なのか?」

 

「その事なんだけど、左脚は元に戻ったし、右腕も束さんに特殊な義手を作ってもらったから平気」

 

「何?束がか?そうか、束の奴それで一夏を攫ったのか」

 

「まあ、そういう訳で俺は大丈夫だから、あまり心配しないでもいいよ。それより千冬姉、俺がいなくて身の回りとか大丈夫なの?」

 

「うっ‼︎ま、まあそこは気にするな」

 

その後一夏と千冬は他愛のない話をした。30分ほど過ぎたところで、千冬が誰かに呼ばれ、そこで電話は終わった。千冬は邪魔されたことに激怒したが、千冬の怒号を耳元で聞いた一夏の悲鳴によって衝撃を受けたようだった。

 

 

No side

 

一夏はその後身辺整理などで3日ほど家にいたが、病院から消えたことの説明や事件のことで錬金術協会に呼び出しを受けた。

 

呼び出しは一夏の携帯にかかってきたので、弟にバレる心配はなかった。

 

一夏は春十に対して自分が錬金術師であると隠していた。家族だから隠し通せるものではないが、公表されていないことと束の情報操作、千冬の隠蔽、それにそもそも春十が一夏に対して興味を持っていなかったことが今まで隠し通せた要因である。

 

何故隠しているのかというと、束に錬金術を教わり、錬金術を簡単に行使した時に束が春十の耳に入って一夏が天才であることが知られるのを防ぐためであった。

 

束は自身が天才だったために孤独であると理解していたため一夏にはそのようになって欲しくなかったからである。

 

更には、一夏が師匠の所へ修行しに行ったときは、一夏が帰ってくるまでいなかったことに気付かなかったほどであった。

 

一夏は指示された場所、つまり錬金術協会の総本部へと赴き、そこで協会の幹部達に対して真理を見たと説明し、病院から消えたことについては、束が義手を作ってくれるためだったと説明した。

 

真理を見たと言っていることにも、束お手製の義手だということにも興味を示した協会は、一夏の錬金術の腕と動作確認の意味を込めて、国家錬金術師の試験を受けさせることにした。一夏は筆記試験も、精神鑑定も全く問題なく終わらせ、一夏はISと模擬戦を行う事になった。

 

 

side一夏

 

一夏はISと対峙している。某焔の人は一瞬で終わらせたらしいが一夏には全く余裕は無かった。

一夏はほとんど戦闘というものをやったことがない。

大佐たちがISと戦闘訓練をしているのは何度か見ているが、自分がやるのはこれが初めてだった。

 

ISはあまり速度を出さずに接近してきた。

一夏は小手調べに床を錬金術で変化させ、ISの足元から角柱を飛び出させた。

ISに乗っていた女性は予想外の方向からの攻撃だったため、完全に避けきれずわずかにシールドエネルギーを削られることとなった。

 

次に一夏は全方位から壁を出現させ、ISを飲み込ませた。ISの速度をもってしても逃げられない錬成速度と規模を持った攻撃は、ISを閉じ込め、小さくすることによってジワジワとシールドエネルギーを削りきった。

 

結果は一夏の圧勝である。

 

一夏は自分に全く近付かれる事なく、勝利を収めた。

 

一夏は自分が国家錬金術師になることを半ば確信していた。その為、資格は貰うが時期が来るまでは自分の事を公表しない、といった内容を協会側と交渉した。協会はこのことを承認し、公表は一夏の高校入学と同時にすると決めた。

 

 

一夏はそのまま立ち去っていく。自分の錬金術を驚かなかった唯一の視線に気づかないまま。

 

 

 

試験より数日が経った。一夏は日本に帰ってきており、日本支部に来ている大佐から資格の証明となるものを貰いに、大佐のもとに訪れていた。

 

「よっ、大佐。1ヶ月ぶりか。元気そうじゃないか」

 

「ふん、そんな事はどうでもいい。さっさと終わらせるぞ」

 

「大佐、何怒ってるんだよ?」

 

「怒っている、だと?そりゃあ怒りたくもなるさ‼︎君の姉上に吹き飛ばされて大怪我を負うわ、看護師は全員男だわ、監視対象であった君をみすみす篠ノ之束に攫われて、始末書に追われるわで機嫌も悪くなるだろう‼︎挙句、大総統自ら『彼はまだ子供だ。見ず知らずの者より面識のある者の方が気楽にすむだろうから行ってきてくれ』などと命令を受けた‼︎たかが君に銀時計と書類を渡すために私はここまで来たんだぞ‼︎」

 

「なんか関係ないことが入ってる‼︎それはともかくほとんどが俺か俺の知り合いの仕業だな。色々とすみませんでした」

 

「ふん、それで書類だが読み上げるのが面倒くさいので自分で確認するように」

 

「仕事しろ仕事」

 

「これが国家錬金術師の証し、銀時計だ」

 

そう言って大佐は銀時計を取り出した。その銀時計には六芒星に錬金術協会の紋章がきざまれていた。

 

「そしてこれから君が背負うことになる二つ名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鋼の錬金術師』だ」

 

 

「重っ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏view

 

「重っ‼︎」

 

思わず叫んでしまったじゃないか。『鋼』って、子供に背負わせるものかぁ?確かに俺の錬金術には大佐たちのようなインパクトはないし、身体的特徴もこの右腕ぐらいしかないから納得出来るけどさ。

 

「確かに私も重いとは思うがこれは上の決定だからな」

 

「それなら仕方ないか。りょーかい、これで俺も国家錬金術師か」

 

特に実感は沸かないな。ましてや人体錬成をこの短期間で2回もやってるんだからな。大佐には言ってあるけどこのことが協会にバレたら資格剥奪とかではすみそうにないし。

 

そうして俺は国家錬金術師の資格を手に入れた。名義上、日本国所属の国家錬金術師となって、国籍は無くなった。

 

「千冬姉に連絡しないと」

 

今の時刻は午前11時。ドイツでは午前3時で、真夜中だ。なら先に束さんに連絡をしよう。あの人が今どこにいるのかは知らないけど多分出るだろ。

 

束さんに電話をかける。電話番号はいつの間にか登録されていた。怖い。

 

『もすもすひねもす〜。やあやあいっくん‼︎無事に国家錬金術師になれたようだね‼︎おめでとう‼︎ 』

 

「なんでもう知ってるんですか」

 

『天才である束さんに不可能はないんだよ‼︎』

 

「そうですか。それなら話は早いです。んじゃこれ以上用もないので『ちょっと待った‼︎』ハイ?」

 

『いっくんにはISの適性があることがわかってね。いつでもいいからまたラボに来てよ』

 

「適性⁉︎男の俺にですか⁉︎」

 

『そうだよ。これに関しては束さんも分からない。でもいっくんがその右腕を使いこなしているのが何よりの証拠になってる』

 

「どういうことです?」

 

『その腕の中にはISのコアが埋め込まれていてね、この間いきなりそのコアの信号が強まったんだよ』

 

「えっと、つまりどういうことです?」

 

『つまりだね、ISでいうところの最適化(パーソナライズ)が終了したって事なんだ。それによって動かす時の感覚が違ってくると思うんだけど』

 

「確かに前に比べて動かしやすいですけど。コレってISなんですか?」

 

『そうとも言えないね。シールドエネルギーが無いし、絶対防御も発動しない。ISを人の身体に近付けるように開発したからなんとも言えないよ』

 

「そうですか………ラボにはこちらから連絡を入れたら迎えをよこしてください。そうじゃないとラボがどこにあるのかわからないですもの」

 

『はいは〜い、りょーかいしました〜。それで今すぐでもいいけど?』

 

「あ〜、これから師匠のところに報告に向かうので無理です。すみません」

 

『え、あの人のところに向かうの?』

 

「一応そのつもりです」

 

『ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメだよ‼︎殺されちゃうよ⁉︎?それでもいいの⁈』

 

「か、覚悟はできています………!」

 

明らかに俺の声は震えている。

 

『うぅ、さよならいっくん。君の事は忘れないよ』

 

「束さん、今までありがとうございました‼︎また、必ず戻ってきます…!」

 

『いっくーーーーーーーん‼︎』

 

電話を切る。何やってんだ俺。それにしてもこの腕ってとんでも無い代物だなぁ。それにIS適性って。史上最年少国家錬金術師であり世界に1人の男性IS操縦者?なんだそれは。束さん並みに追われるぞ。

 

 

 

 

 

そんなことより師匠に報告しに行かなきゃな。………生きて帰ってこれるかな?

 

 

 

 

 

 




まだまだ原作には入れそうにありません。
ついに弟が出てきました。でもしばらくは出てこないでしょう。
次回の投稿は6日以降になると思います。
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