織斑一夏は天才錬金術師   作:佐為苦露譜洲

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前回投稿からかなり時間が開いてしまいました。でも次回からは原作を外れるので少しだけ早めに投稿できるかも?多分無理。


第4話 師匠と五反田

一夏の自宅より師匠を訪ねて三千里

 

 

と言うのは冗談で、一夏の最寄駅から電車で3時間半。一夏はとある小さな肉屋の前にいた。

 

said一夏

 

「とうとう来ちまったなぁ……。師匠……留守だといいなぁ‼︎」

 

目の前の店が鬼の家なので怯えている。

 

「へい、らっしゃい‼︎」

 

いきなり背後から声をかけられる。威勢のよい青年の声だ。

 

「!!!!」

 

一夏は声が出せないほど驚く。恐る恐る振り返るとそこには接客スマイルを浮かべた筋肉質の人物がいた。

 

「あれー?一夏君?ひっさしぶりぃ!」

 

「メ、メイスンさん。お久しぶりです」

 

一夏はメイスンの事を苦手としている。その話は次回にでも。

 

「イズミさんに会いに来たんだろ?待ってな今呼んできてやっから」

 

そう言って店の裏口から入っていく。

 

「ちょうどよかったね!イズミさんねつい先日旅行から帰ってきたばかりなんだよ」

 

それを聞いて一夏は「まだ旅行に行っててくれればよかったのに………‼︎」と心の中でつぶやく。

 

店の中から声が聞こえる。

 

「あっ店長!裏に珍しい客が来ていますよ」

 

「客だぁ?」

 

ドスドスドスと歩いてくる音が聞こえる。扉の向こうから血の付いた肉切り包丁が出てくる。そして極悪プロレスラーのような体躯と顔を持つ人が出てくる。踏みしめた階段にはヒビが入り、手をかけた扉はわずかに凹んだ。普通ならばその時点で逃げ出すが一夏は逃げ出さない。ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと背後に効果音が見えてくるが気のせいだろう。

 

「あ?」

 

その人物は一夏よりもかなり背が高いので見下ろすような形になる。一夏はコワモテに睨まれたことで体が震える。

 

「ど…どうもお久しぶり……………………です」

 

この人の名前はシグ・カーティス。師匠の旦那さんである。

 

「一夏か?少し見ない間に変わったな」

 

そう言って一夏の頭を撫でてくる。体格差があるので一夏の頭はシグの手によって完全に覆われるほどである。

 

「急にどうした」

 

「師匠に教えてもらいたいことがあって……」

 

「ああ、こっち来な。メイスン、しばらく店たのむ」

 

「へーい」

 

「師匠の身体の具合は大丈夫なんですか?」

 

師匠は昔出会った時から病弱で何かあるごとに吐血していた。

 

「そこそこ元気だがまぁ病弱には変わり無いな。おいイズミ、一夏のチビが来たぞ」

 

「一夏が?」

 

「起きれるか?」

 

「大丈夫。今日は少し体調がいいから」

 

シグは窓から家の中に話し込むと中から女性の声が聞こえてくる。

 

(師匠、また身体悪くなったのかな?)

 

家の中からパタパタと足音が聞こえてくる。シグとは大違いの軽い足音だ。

 

「qふぁrjgせfxhktgxせちjcせ‼︎」

 

扉の中から足が飛び出てきて一夏を蹴り飛ばす。一夏はそのまま吹き飛んで壁にぶち当たる。

 

「ロイから聞いたぞ。国家錬金術師になったそうだなこの馬鹿弟子が‼︎」

 

「なんとか言え‼︎」

 

「無理だよイズミ」

 

一夏はニューネッシーみたいに血まみれになって何もしゃべれない状態になっていた。

 

「せ、師匠、具合悪いんじゃないんですか?」

 

「何を言う‼︎おまえが遠路はるばる来たというからこうして……ごばぁ!」

 

イズミは喋っている最中に吐血する。

 

「師匠ーーーーーーー‼︎」

 

「無理しちゃダメだろ。ほら薬」

 

「いつもすまないねぇ」

 

「おまえ、それは言わない約束だろう」

 

「あんた……‼︎」

 

2人は背後にハートマークが浮き出るぐらいの勢いで抱き合う。

 

(また始まったよ………)

 

似たことは昔もあり、一夏は至近距離でそれを見させられていた。

 

「え〜と、あらためてお久しぶりです」

 

「うん、よく来た!」

 

イズミは笑いながら一夏の頭をはたく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば師匠、なんで俺が国家錬金術師になったこと知ってんすか?」

 

「ああ、それはさっきロイから電話が来たんだよ。お前が国家錬金術師の試験を突破したってね」

 

「大佐ーーーーーーーーーーーー‼︎くそっ大佐め勝手に言いふらしやがってぇ‼︎」

 

「一夏、お前私が言ったこと破ったな」

 

「シ、シカタナカッタンデスヨ。大総統だっていましたから手を抜くこともできませんでしたし………」

 

「………見せてみろ」

 

「…………………………………………………………………………………………………………………………………ハイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏は外に出てイズミの前で錬金術を行使する。両手を合わせ、コンクリートをIS【白騎士】の姿に錬成する。

 

「‼︎」

 

イズミはその錬成方法を見て驚く。

 

「おまえ錬成陣なしでできるの?」

 

「え?はい一応……」

 

そのままイズミは一夏の右腕を見つめる。

 

「一夏」

 

「はい?」

 

「おまえひょっとしてあれ(・・)を見たのか?」

 

「………はい」

 

「なぜそんなことをした。全て話せ」

 

一夏は全てを話した。

モンド・グロッソの時に誘拐されたこと。

その時に強制的に人体錬成をしたこと。

人体錬成によって真理を見たこと。

通行料に右腕と左脚を取られたこと。

その後救出されたが束にさらわれたこと。

束によって賢者の石を使って左脚を取り戻したこと。

しかしそこでも何か取られたこと。

それはまだ分かっていないこと。

束に義手を作ってもらったこと。

成り行きで試験を受けさせられたこと。

高校生になるまでは公表されないこと。

そして、IS適性があること。

全て話した。

 

「………そうか。………三丁目の通りに………葬儀屋があるから自分の分の予約して来い‼︎」

 

イズミは手をボキボキと鳴らしながら激怒する。

 

「冗談はさておいて………あれほど人体錬成はやるなと言ったのに、師弟揃ってしょーもない…」

 

「やっぱり師匠も…」

 

内臓(なか)をねあちこち持ってかれた。大馬鹿ものだよほんとに。まぁ私は昔よりもずっと楽になったよ。一部とはいえ束に人工内臓を作ってもらったからね」

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇ‼︎束さんが‼︎?」

 

「1度目は仕方ないとしても2度目は自らの意思でやったんだろ?」

 

「………はい」

 

「………つらかったね」

 

「そうでもないですよ。確かに腕が義手なのは大変ですけど千冬姉に追いつけるかもしれない一歩を踏み出せたんですから」

 

「このばかたれが、無理しなくていい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………………はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天才って奴かねぇ」

 

「そんな!天才なんかじゃありません」

 

「あれを2回も見てきて天才じゃないって?それは今までに人体錬成をやったものに対しての侮辱だぞ」

 

「そっすね」

 

「まったく、我が弟子ながらたいしたものだね。でもケジメはつけなきゃならないんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「破門だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言いたいが事情が事情だ。今回だけは見逃してやる」

 

「ふぁっ?ど、どもありがとうございます?」

 

 

 

 

 

 

 

「それで、一夏。これからどうするつもりだ?」

 

「ひとまずは千冬姉のいるドイツに向かいますよ。あの人が1年も俺に会えなかったら帰ってきた時が悪夢ですから」

 

「ま、まぁそうなるだろうな。一夏、気をつけてな」

 

「はい。それじゃあまた。ありがとうございました」

 

 

破門の危機は免れた一夏は千冬のいるドイツに向かう。千冬は以前、一夏が修行で留守にしていた時に暴れに暴れて天災篠ノ之束すらをも恐怖に陥れたほどだった。帰った一夏はその後1週間、168時間を千冬の側で過ごすことになったが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏はIS適性があるためIS学園に入ることが決定しているため残りの中学校生活を自由に過ごすことにした。ドイツに向かう前に先にロシアへとより、シベリア鉄道でヨーロッパを目指そうとしていた。その準備のため一旦家に帰っていた。春十は家にいたもののいないものだと考えてすぐに家を出てきた。一夏は旅に出る前に悪友の五反田弾のもとへと向かった。

 

五反田弾の家は五反田食堂という店をやっていて一夏は時々そこで食事をしていた。

 

「ん?一夏じゃないか。どうしたんだよこの頃学校に来てないじゃないか」

 

呼び鈴を鳴らす前に弾は家の外にいる一夏に気づいて話しかけてきた。

 

この時の一夏は必要最低限の荷物しか持っていなかったため大した量の荷物ではなかった。さらに手袋をしていたため右腕を怪しまれることはなかった。

 

「よう弾久しぶりだな。上げてもらっていいか?」

 

一夏は許しをもらい、弾の部屋へと上がった。

 

「それで、説明してもらおうか。何があった?」

 

「いやー、色々あってさ。詳しくは言えないんだけどな。まぁ今日来たのはちょっと報告しなきゃならないことができたもんでな」

 

「報告?」

 

「ああ、俺は残りの中学校生活を自由に旅をして過ごす。だからもう学校には行かない」

 

「なっ‼︎成績とかいろいろあるだろ‼︎」

 

「俺の成績を知っての言葉か?」

 

現に一夏は中学レベルはとうの昔に終わり、大学の専門的なものでも大抵のことは理解していた。

 

「うーむ、まぁお前だしな‼︎またいつも通りに自由にやるんだろ」

 

「ああ」

 

「おーいお兄。お昼ご飯ー。って一夏さん⁉︎」

 

扉を開けて入ってきたのは弾の妹の五反田蘭だった。まだ小学生だがかなりのしっかり者で兄の弾よりも出来た人間だ。子供らしく、可愛らしい服装だがやはり家の中では着飾る必要がないのかかなりラフな格好だった。

 

「お兄‼︎一夏さんが来ているならそう言ってよ‼︎」

 

「あれ?言ってなかったっけ?」

 

蘭が弾に死に体にナイフを突き立てるがごとくの視線を送ると弾は、マ○オのように縮んでいく。

 

「あ、あの一夏さん。よかったらお昼いかがですか?まだ、ですよね?」

 

「ありがたくいただくよ」

 

「い、いえ………」

 

蘭はそのままそそくさと立ち去っていく。ぱたんと扉が閉じて静寂が訪れる。

 

「しかしアレだよな。蘭って俺のことどう思ってるんだろう」

 

「は?」

 

「いや、だって俺が来るといつもあんな感じによそよそしいだろ?今もさっさと出て行ったし」

 

はあ、とため息をつきすぐにふう、とため息をつく弾。

 

「………………死ね」

 

「………わけがわからないよ」

 

「とにかく飯食ってけ。旅だなんだの前に腹ごしらえだろ」

 

「おう、そうだな。ゴチになるぜ」

 

 

一夏はそのまま五反田食堂でご馳走になった。料理人は厳さんという2人の祖父でかなりの高齢の人だが、まだまだ現役である。弾には厳しく蘭には甘く、で食事の間の会話が盛り上がったせいで弾は何度かおたまを投げられていた。この食事の間に蘭にも旅に出ることを伝えたが、蘭はかなり取り乱し半ば強制的に一夏に一週間に一度は連絡するように約束させた。ちなみにこの時蘭は先程とは全く違うすこし背伸びをしているような服装になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、二人とも。高校に入る頃には戻ってくるよ。じゃあなまたいつか」

 

「おう。またな。頑張れよ」

 

「一夏さん‼︎ちゃんと連絡くださいよ‼︎」

 

 

一夏はロシアへと向かうためにまずは中国に行き、それから陸路でロシア入りをすることにした。五反田食堂には弟が向かったことを知らずに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

side春十

 

一夏の双子の弟である春十は転生者であった。かつて死んでしまった時にこのISの世界へと転生することとなり、原作知識を持っていたためにハーレムをつくろうとしていた。しかし誤算があった。転生した世界はISはISでも錬金術が一般的に広まっている世界だった。春十は鋼の錬金術師の事をほぼ全く知らなかった。だがそんなことはどうでもいいと言わんばかりに錬金術はほとんど勉強せず、学校では赤点ギリギリだった。それでも転生する前の知識を活かしてかなりの成績は残していた。

 

そんな彼は箒をすでに落とし、鈴も落とそうとしていた。さらには蘭のことも狙い、現在はほぼ毎日のように五反田食堂へと通っていた。

 

「おーい弾。来てやったぜ」

 

そこは一夏が出て行ってからものの5分も経っていなかったので弾と蘭は食堂内にいた。

 

「お、蘭。可愛らしい格好をしているじゃないか。もしかして俺を待っていたのか?」

 

ゲス顏で舐め回すかのように蘭を見つめる。このようなことが毎日のようにあるので弾も蘭も春十の事をかなり嫌っていた。なぜ一夏と同じ遺伝子を持つのにこうも違うのだろうと。

 

「………お兄、あとはよろしく。私は部屋に戻る」

 

蘭は先程の一夏がいた時とは極端に変わりほとんど感情を出さずに部屋へと逃げていった。そんな様子を見て春十は、

 

「おやおや、照れちゃったのか?はは、可愛い奴め」

 

などとほざいている。弾は春十を上に行かせないように道を塞ぐ。弾は普段、妹に頭が上がらずにいるがやはりちゃんと兄として妹を守るのである。

 

「春十、飯を食いに来たのか?」

 

「当たり前だろ。蘭が引っ込んだのはすこし誤算だけどな」

 

「ならさっさと食って帰れ」

 

弾は蘭に春十を近づけないようにする。春十に対する嫌悪感を隠そうとしつつも隠しきれていなかった。

 

春十は先程一夏が食べていったメニューと全く同じものを食べて帰っていった。ついさっき兄がいたとも知らずに………。




初めての一夏以外の視点。

師匠は少しだけ優しくなりました。そして残念‼︎棺桶は無いです。すいません。

このままだと蘭がメインヒロイン化しそうな気がする。ダ、ダメだ‼︎私はのほほんさんが大好きなんだ‼︎

次回、過去編。

尚、次より投稿する際は18か20時に投稿します。
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