織斑一夏は天才錬金術師   作:佐為苦露譜洲

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リン達が登場。ランファンフラグは立てませんよ?


第6話 リン達と嫉妬

場所は中国、都会ではないが田舎でもない。どちらかというと人は多く露店などが多い町で一夏は呆然と立ち尽くしていた。

 

「ハ………ハラヘッタ………」

 

一夏の目の前には少し変わった服を着た青龍刀らしきものを持った少年が倒れていた。さらにはその少年は一夏が通り過ぎようとした途端にどこかおかしい日本語で喋り出した。周りには日本人はいないし日本語がしゃべれる人も見当たらない。

 

「狙って言ったろ………。仕方ない。ほら、飯を食いに行くぞ」

 

そう言った途端元気になって一夏を掴んで走り出した。

 

 

 

 

 

「ちくしょう元気だったじゃないか」

 

「いやー生き返った生き返っタ‼︎あんたは命の恩人ダ‼︎ありがト!ごっそさン!」

 

一夏が連れてこられたのは一般的な大衆食堂のようなところで、食いっぷりを見て金が足りるか心配になったが一つ一つの料理の値段は低かったので普通に足りた。

 

「それよりも無理に日本語で喋る必要ないから。俺だって中国語できるし」

 

「いいよいいヨ。奢ってくれたからこっちが合わせル」

 

「狙った上に無理やり奢らせた奴が何言ってんだか」

 

「あははははははははは小さいこと気にしなイ‼︎俺はリン・ヤオよろしク」

 

「織斑一夏だ。それにしても見かけない格好だがどこから来たんだ?」

 

「西の方からダ。日本に行きたくてナ」

 

「西の方ってことは結構な高地から降りてきたってことか?大変だったんじゃ?」

 

「あア。もうすごい時間かかっタ」

 

「わざわざこっち側通らなくても………あーヒマラヤ山脈があるから他にルートがないのか。それでまたなんで日本に?」

 

「ISの産みの親、篠ノ之束の出身地に行きたくてナ」

 

「へぇー、なんのために?」

 

「ISコアは賢者の石かもしれないって言うじゃないカ」

 

その言葉が出た瞬間一夏は顔をしかめるがすぐに元に戻る。

 

「すっごく欲しいんだけド、持ってないかナ?」

 

「持っている………と言ったらどうする?」

 

「こうすル」

 

そう言ってリンは指を鳴らす。するとどこからか面をつけた2人が出てきて一夏の首元に刃物をあてる。一人は小柄だが年を取っているようで長い間似たようなことをしているであろう ベテランの雰囲気を感じ取れた。もう一人は同じく小柄だがあまり慣れていないようでたどたどしいような雰囲気を感じ取れた。

 

「ISコアを持っているならくれないかナ」

 

「ISコア、いや賢者の石を手に入れて何をするつもりだ」

 

その問いにリンはニッと笑って、

 

「不老不死の法を手に入れル!」

 

「不老不死ねぇ。そんなことができるのか知らないんだけど。俺だって未完成品を使ったことがあるだけだし」

 

「使っタ?」

 

「こっちの話。まぁなんにせよこれが人にものを尋ねる態度ではないよな‼︎」

 

そう言うと一夏は全く無駄の無い動きで自分の左側にいた若い方に向けて裏拳を放った。滑らかでいて鋭い拳に反応が遅れたのか跳んで避けたものの足に当たってしまった。これではしばらくの間動くことができないだろう。

 

「うぬれ庶民めガ‼︎若がこうして訊いておるのダ‼︎貴様らこそ立場をわきまえロ‼︎」

 

右側にいた方が声をあげたがリンと同じようにどこかおかしい日本語だった。一夏は男の持っていた刃物を右手で掴むと膝で手首を蹴り刃物を自分のものにした。

 

「ぬッ………‼︎」

 

「借りるぜじーさん」

 

一夏は奪った刃物を左手に持ち帰るとじーさんの腹に回し蹴りを叩き込み、店の外まで吹き飛ばした。

 

「もう終わったとか言うなよ」

 

一夏が店の外に出るとじーさんの姿は見えなくなっていた。どこに行ったか探していると後ろから先ほど足を痛めたはずの若い方がクナイを持って飛びかかってきた。それは一夏にとって想定外のことだったが落ち着いて対処する。右手でクナイを握りつぶし左手に持っていた刃物───薄刃の直刀の刃が当たらないようにして剣の腹で叩いて吹き飛ばした。

 

だがすぐに起き上がってきた。そしてどこに行っていたのかじーさんもやって来て2人並んで襲いかかってきた。

 

2人の変則的な攻撃を一夏は動きながら受け流し、避け、反撃している。一夏の戦闘スタイルは元々剣術と体術を組み合わせた独特のものだったが右手が機械鎧になってからは右手も攻撃を受け流したり刃物が通らないために防御に使えたりとさらに変則的なものとなった。本気を出せば千冬とも互角以上に戦うことができるが今は本気を出していない。本気を出すと足技も使うようになってさらに変則的なものとなるため千冬ですら避けるのが難しい。それをイズミは軽く受け流してしまう。先ほど使った足技は右手の代わりに使ったものだ。一夏は今の所右手で攻撃をしていない。

 

「これはちょっと意外だ、ネ‼︎」

 

リンは自分の青龍刀を持って一夏に飛びかかっていく。その動きは仮面をかぶっている2人と同じぐらいのもので、なかなか鍛えられているようだった。

 

「3人対1人は卑怯だろ‼︎」

 

「我ら2人を軽くあしらう者に言われたくないワ‼︎」

 

もっともである。そもそも一夏が強すぎるのであって決して仮面の2人が弱いわけではない。一般人なら秒殺されているだろうし、訓練を積んだとしても勝つことは難しい程度には強いのである。一夏はこれまでに千冬から体術や剣術を教わり、束からは人体の構造から相手の次の動きを予想する技術を教わり、イズミからは相手の攻撃を利用したカウンターなどを教わっている。そんなバケモノを相手にするだけでも大変なのにまだ負けていないことからどれだけの者なのかがわかる。ただ相手が悪かった、の一言に尽きる。

 

「ちっ、このままでは埒があかないな」

 

「それに関しては同意見ダ‼︎」

 

一夏は攻めあぐねていた。誰か一人を集中して攻撃しようとすると他の2人がフォローにまわり、引き離そうとしてもしつこく追ってくる。

 

「いまダ‼︎」

 

リンがそう叫ぶと3人ともいきなり後ろへ飛び退いた。じーさんが手を下に勢いよく押し付けると突如として一夏を中心とした錬成陣が光りだした。

 

「しまった‼︎」

 

一夏は気がつかなかったが3人は戦いながら一夏を誘導し、じーさんが最初に吹き飛ばされた時に移動してきて作っておいた錬成陣に誘い込んだのである。

 

錬成陣が発動し、一夏は鳥かごを大きくしたような檻にとらわれてしまう。

 

「捕まえタ。さぁ渡してもらおうカ」

 

「はぁ、あのさ。国家錬金術師に錬金術で張り合おうなんて何考えてんだよ」

 

囚われたのに余裕そうな表情を浮かべる一夏に対して訝しげに思う3人。

 

「つまりこういうこと」

 

一夏は自分も錬金術を使った。一夏をとらえていた檻は元の地面へと綺麗に直った。多少の錬成痕は残ったものの注意しないとわからない程に繊細な錬金術だった。

 

「「「なッ‼︎」」」

 

3人は一夏の錬成技術に驚いたのではない。一夏が錬成陣を書いたりするような素振りを全くせずにただ手のひらを合わせただけで錬成をしたことに驚いた。

 

「第二ラウンドといこうじゃないか」

 

織斑一夏(国家錬金術師)の本領発揮だ。

 

 

 

 

 

一夏は地面を錬金術で変化させ、先ほどリン達が作ったものとは質も規模も桁外れな巨大な檻を作った。じーさんはその檻にとらわれてしまいリタイア。

 

「ッツ‼︎」

 

「その仮面、壊させてもらう」

 

もう一人の画面に向かって手を伸ばし仮面を破壊する。材質は特殊なものではなくごく一般的に広まっているものだったので簡単に破壊できた。

 

「女の子⁈」

 

その仮面の下から現れたのはまだ同い年くらいの若い女の子だった。その女の子は仮面を壊されたことを理解すると懐から爆弾を取り出して一夏に投げつけてきた。その爆弾は破片を撒き散らすものではなく、牽制用の威力の低いものだった。一夏は回避よりも防御を選び簡単な壁を錬成して防いだ。

 

「ごめん、ちょっとおとなしくしてて」

 

女の子だとわかった途端に態度を変える一夏。じーさんと違い、閉じ込めるようなことはせずロープで簡単に縛るだけにとどめておいた。

 

「さて、リン。あとはお前だけだなァァァァァァァァ‼︎」

 

「えっ、ちょっ、イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンは所謂石抱きの拷問を受けさせられていた。一夏にも慈悲はあるのか座っているのは石だが尖っておらず、ただ足の上に石を置いていくだけのものになっている。それでも重いものは重いだろう。

 

「全く、いきなり斬りかかってくるとかどんな神経しているんだか」

 

「重い重い重い重い重い重イィィィィィィィィィ‼︎スミマセンデシタ‼︎」

 

リンが抱えているのは3枚の石で総重量は135kgにも及ぶ。

 

「はぁ、もういいかな」

 

そう言って解放するとリンは足を抱えて転がりまわった。そんな様子のリンにいつの間に出てきたのかじーさんと若い方は心配している。今のリンの状態は正座した時に足の上にデブに座られたのと同じ状態なので半端ではない痺れが襲っている。

 

「グオォォォォォォォォォォォ‼︎」

 

「賢者の石っていうかISコアは俺の右腕に内蔵されてるらしいからどこにあるのかわからないし、賢者の石の作り方も知らないから何もできないぞ」

 

「グアァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

「聞けよ‼︎」

 

そう言ってリンの足を蹴る。

 

「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

鬼畜なり、一夏。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あノー。め、面を返してくださイ」

 

リンが落ち着いてきた頃に一夏が壊した面を返せと女の子がやってきた。一夏とあまり年は変わらないであろう少女は恥ずかしいのかわからないが顔を赤くしながら話しかけてきた。

 

「ああー、ごめん」

 

そう言うと一夏は手頃な材料を使って寸分違わぬ精度の錬金術を披露した。

 

「はい。ごめんな壊しちゃって」

 

「いえ、こちらこそいきなり襲いかかってすいませんでしタ」

 

「そういえば俺、リンの名前しか聞いてないんだけど」

 

「あ、そうでしたネ。私はランファン。あちらにいるのが私の祖父でフーでス」

 

ランファンよ、そんな簡単に名前を晒すのではない。一夏もさらっと名前を聞き出すな。

 

「あなたの右腕ってどうなってるんですカ?刃が一切通らなかった気がするのですけド」

 

「この腕は義手でね、そこらの刃物なんかでは傷一つつかないぐらい頑丈なんだよ」

 

「グゥゥ、そしてその中にISコアが入ってるってことだよナ」

 

「渡さないからな。抜き出したらコレ(右腕)はただの塊になっちまう」

 

「盗ろうなんて思ってなイ。3人がかりで圧倒された相手からどうやって奪うんだヨ。やっぱ日本に行った方が簡単かモ」

 

「それなら頑張れ、多分無理だろうけど」

 

「ひどいナ。一夏は日本へ帰るのカ?」

 

「いや、俺はロシアに向かう途中なんだよ」

 

「それじゃ、ここでお別れカ」

 

「ああ、いつかまた会おう」

 

そう言って一夏は立ち去ろうとした。

 

そう、立ち去ろうとした(・・・・・・・・)のだ。しかしそれは第三者の介入によって先延ばしになってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?織斑一夏じゃん。なんでこんなとこにいるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後の声はサブタイのあの人。

一夏が強すぎるかもしれません。それでも世界最強(笑)と天災兎と最強の主婦から教えられたなら必然ですか。

ランファンがキツくないのはまだ若いからってことで。
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