彩葉に男の幼馴染がいたっていいじゃない   作:ザワザワする人

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全話に対する感想が多くてめっちゃ嬉しいです!
これからもどしどし感想お願いします!


指切りげんまん

彩葉が倒れてから数日後に、ツクヨミにて俺達は集まっていた。

女子4に男1。もはや海の時に慣れたわ。

 

「いやー、黒鬼圧倒的だね~」

 

一人掛けの籐椅子に腰かけた諌山がモニターで流れてたツクヨミ公式ニュースを見ながら、つぶやいてリモコンを放り投げた。

黒鬼はそもそもスポンサーがついてる。

宣伝にさらに力を入れているようだし、新規ファンの数でも上昇は止まらない。

 

「む~………どうしたらいいのだー!」

 

かぐやは服を着てくれ。バスタオル一枚て。

いや、オムツ変えたし全部見てるんだけどども。

 

「かぐやちゃんも頑張ってはいるんだけどね~」

「終盤でこの差はキツいね」

 

三人用ソファを長々と占領する綾紬も白旗を上げるかのように天を仰ぐ。

ちなみに俺と彩葉は、隅っこのソファで座ってる。

 

「彩葉はもう体調大丈夫か?」

 

「こっちに来れるくらいには、もう治った。かぐやのおかげかな」

 

「そっか。ほい」

 

「ん」

 

ピースして、ちょっきんして、コンッ。

かぐやが作った合図をするのが、どうやら俺は結構好きらしい。

隣にいるってのが、視界と触覚で伝わってくるのが嬉しい。

 

「………………」

 

………ど、どこからか殺気が?

 

「くそー、帝出てこい!勝負しろ~!」

 

「あ、それいいじゃない?帝VSかぐやでゲーム対決ってのは?」

 

「さっすが芦花、それだ!」

 

「無理に決まってるでしょ、受けてくれるわけないじゃん。むこうはトッププロゲーマーだよ?格が違うって」

 

そう言えば、あの大会は結局俺の不戦勝で乃依が優勝になったらしい。

かぐやからしたら敵に塩を送ったようだけど、どうやらそこまで気にしてないらしい。

流石に、なんかお返し………やっぱりかぐやにはパンケーキか。

乃依ってまずどこに住んでるとか知らないし誰かも知らないしお返しのしようが………。

 

「およ?びっくりした!」

 

「ん?」

 

俺とかぐやにそれぞれ巻物のアイコンが出現する。

これはツクヨミ内でのメールの役割のものだ。

スパムや宣伝が大半だから、かぐやにはまず俺を通すように言ってたから当然俺の方にかぐやは来る。

 

「朔夜~これ見て~」

 

バスタオル一枚で。

 

「はいはい。かぐやは服着てね~。メールは俺が見とくからね~」

 

「かぐやはあっち行く!で服着る!」

 

「え~めんどい~」

 

彩葉に押されながら、かぐやは適当に服を脱いだ場所へと連れてかれた。

俺はまず、かぐやの方に来たメールから開いてみた。

 

(………うっわ)

 

『初めましてかぐやちゃん!

 

俺はBlack onyXの帝アキラ。

 

ここからは提案なんだけど... 

 

KASSENで帝vsかぐやの竹取合戦ってのはどう?

 

かぐやちゃんが負けたら......やっぱ俺と結婚、かな?

 

こっちが負けたら、なんでもお願い聞くよ

 

俺らでツクヨミ盛り上げようぜ!』

 

文章通り、普通にコラボの依頼だ。

ただあちらも性格が悪い。

地力がかぐやの比にならないあちらさんからしたら、勝負に勝っても負けてもファン数が伸びるのはあちらの方が多いに違いはない。

まぁかぐやが劇的勝利をしたらワンちゃんくらい。

かぐやに聞かない分には、判断できないな。彩葉は絶対反対するだろけど。

 

(んで、俺のは~………)

 

『この前の試合の事は許してないから。

 

どれだけ俺が怒ってるのか分かってないでしょ。

 

明日の○○時に待ってるから。

 

逃げたら………分かるよね♡』

 

「ん~?どしたの神代君。冷や汗すごい事になってるけど」

 

「うわ、ほんとだ。顔も青白い?」

 

綾紬と諌山の声を聴いて、かぐやと彩葉がダッシュで戻って来た。

 

「さ、さくやも病気!!??大丈夫!またかぐや、ご飯作る!!」

 

「わ、私のが移ったしか考えられないよね………。ごめん………ほんとにごめん」

 

放心状態になっていると、またもう一通巻物が俺に届いた。

 

『弟がすまない。

 

急に言われても、お前にもお前の用事があるだろう。

 

無視して構わない。先日の大会にも理由があるのだと俺も乃依も分かっている。

 

ただ乃依はお前と会って戦いたいだけだ。許してやってくれ』

 

「はっ………!!」

 

危なかった。もう少しで気を失う所だった。

 

(あれ?)

 

「う………うぅ………さくやぁ~………」

 

「ごめん………ほんとにごめん………だから、無視しないで………」

 

なんか両側から聞こえると思ったら………。

 

(どういう状況なの、これ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「およ、ほんとに来た」

 

「いやあれは俺が悪いし」

 

結局、俺は乃依に勝手に約束された時間に来た。

なぜか雷さんもいるし。いや、ピースじゃないんですよ。

 

「んじゃ、理由聞いていい?」

 

「なんの」

 

「どんだけ俺をキレさせたいのかな?大会で逃げた理由に決まってるよね~………?」

 

「乃依」

 

「雷兄は黙ってて。俺とさっくーの話」

 

「………別になんでもねぇよ。ちょっと体調悪くなっただけだ」

 

(彩葉がな)

 

「……嘘つくんだ」

 

「ついてないって言ったら?」

 

「さっくーは嘘付く時に人の眼をまっすぐ見れない。親御さんがいい人だったんだろうね。でもそんなさっくーも俺は好きだよ?」

 

「需要ゼロやめてね。…さっさとやんぞ。勉強時間削って来てんだから」

 

「………(そうやってまた誤魔化す………)分かった分かりました~。先輩の勉強時間を取るのも悪いし~しょうがないからやってあげます~」

 

「雷さん」

 

「無理だ。俺でも乃依の性格はどうにもできない」

 

「そんなぁ~………」

 

「ほらさっくー。さっさと行くよ。もう逃がさないから」

 

 

 

 

結局SETSUNAを六回やったのだが、結果は三対三。見事なまでに引き分けだ。

でもさっきから乃依が文句を言って帰してくれない。

 

「いや。いや。絶対いや。まだ終わんないから」

 

「朔夜にも理由があるんだ。これ以上迷惑かけるな」

 

「雷兄は、さっくーの味方な訳!?」

 

「あぁ」

 

「あっさり認めた!」

 

「すまないな、朔夜。弟が迷惑を掛けた」

 

「あ、いえいえ。先に迷惑を掛けたのはこちらなので……」

 

「ほらぁ!さっくーもこう言ってるじゃん。一回だけ一回だけ」

 

「ごめんなさい雷さん。「俺は!?」人に呼ばれてて………」

 

「だろうな。先ほどから頻りに時計を見ていたのでそう思った」

「乃依は俺が止めておく。ログアウトしていいぞ」

 

「ありがとうございます雷さん。この恩は必ず。乃依も、じゃあな」

 

そう言って、さっくーは俺の叫び声を背に受けながらログアウトした。

 

「………満足したか?」

 

「してないって言ったらウソ」

 

「ならなんで」

 

「雷兄が止めたんじゃん」

「それに………」

 

どこか清々しささえあった。

 

「幼馴染には勝てないって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだやだやだやだやだぁ~!!!」

 

ログアウトした後、彩葉に呼ばれた通りに部屋に来てみれば駄々をこねまくってるかぐやが。

 

「えと~………なにごと?」

 

俺は部屋の隅でかぐやのゴミもとい配信道具を整理していた彩葉に声を掛ける。

 

「黒鬼との対戦に朔夜が来れないって言ったらこうなった」

 

「あ~………」

 

あの後、結局かぐやは対戦を承諾。

メンバーは後々で決めるという事でひとまず解散になったのだが。

 

「なんで朔夜が来ないの!!朔夜が来ないなら、戦わない~!!」

 

駄々をこねまくってたかぐやは体を起こして、クッションを握りしめながら不安を露わにしている。

俺だって本当は行きたいのだ。

でもどうしても日程が合わなかった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。仕方ないでしょ」

 

どんぴしゃで日程が被ってしまった。

しかもなぜか日帰りだそうで、新幹線の予約も既に取ってしまったらしい。

育ての親にこれ以上迷惑を掛けるわけにもいかない。

 

「朔夜のケチ!おバカ!おたんこなす!」

 

どうやら、今日のお姫様はご機嫌斜めのようだ。

 

「そんな事言われたらかぐやの事嫌いになっちゃうかもな~~」

 

「――――っ!」

 

ぴたり、と。

さっきまで暴れていたかぐやの動きが止まった。

クッションを握ったまま、時間が固まったみたいに動かない。

 

「……え」

 

「え、じゃない~。今の普通にひどい~」

 

「う、うぅ……」

 

みるみるうちにかぐやの顔が歪んでいく。

 

「や……やだ……」

 

「え?」

 

「やだ……きらいに、ならないでぇ……」

 

ぽろ、とかぐやの目から一粒。

あ、やばい。

 

「おい、泣くほどの事じゃ」

 

「やだぁ……!さくやにきらわれるの、やだぁ……!」

 

「ちょ、ちょっと朔夜……」

 

「いや俺悪くないだろ!?」

 

彩葉が呆れた目で見てくるが、納得いかん。

いやまぁ、ちょっと言い方は悪かったかもしれないけど。

 

「……ほら」

 

仕方なく、かぐやの前にしゃがみこんでいつもの様に頭を撫でる。

 

「嫌いにならないよ」

 

「……ほんと?」

 

「ほんとほんと。そんな簡単に嫌いになるか」

 

「……ぜったい?」

 

「絶対」

 

「………ずっと?」

 

「ずっと」

 

「……ゆびきり」

 

「ん」

 

差し出された小指。

かぐやは、涙でぐしゃぐしゃの顔のまま見上げてくる。

絡めた小指が、ぎゅっと力を込めてくる。

 

「……これで、きらいにならない」

 

「だからならねぇっての」

 

「……えへへ」

 

さっきまで泣いてたやつとは思えないくらい、あっさり笑う。

まったく………。

 

「ほら」

 

俺はかぐやに向かって、ピースの先を向ける。

かぐやから涙が消えて、代わりにきらきら星が目に宿る。

 

「ピ~スからの、ちょっきんからの~コンッ!」

 

「仲良しの合図、だろ?」

 

「うん!!」

 

うん。やっぱりかぐやは笑顔が似合う。

よしよし、いい子いい子。

 

「ん~~!!」

 

満足そうに笑うかぐやの頭を、もう一度ぽんぽんと撫でる。

 

ドンッ

 

「っ!?」

 

不意に、横から軽く足を蹴られた。

 

「ど、どうなされました………彩葉さん?」

 

「何でもない」

 

「は、はい?」

 

「な ん で も な い」

 

「はい………」

 

「………(何やってんだ、私………)」

 

「………(何で蹴られた俺)」

 

 





ちなみにこの指切りは後々とんでもないかぐや(ヤチヨ)→朔夜の爆重感情を招きます。
是非とも内容と指切りを覚えててね。
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