彩葉に男の幼馴染がいたっていいじゃない   作:ザワザワする人

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感想いつもありがとうございま~す!



べっ、別に照れてないし!

「ん~~~!!!!さいっこ~~!!!」

 

あの後、ちゃんとかぐやにパンケーキを三段作った。

彩葉は一段をご所望。

まぁ女子高生だし色々あるんだろう。今ほぼ深夜だし。

 

「それで、かぐやと彩葉は引っ越しすんの?」

 

パンケーキを置いている机だって元はかぐやの配信道具で埋もれていたものを引っ張りだしてきたものだ。

今も部屋の隅っこには、雪崩が起きそうなほどに積み上げられている。

ゴミって言うとかぐやが怒るので言わないけれど。

 

「ねぇねぇ彩葉~?引っ越そうよ~」

 

「……そだね。分かった」

 

「え、いいの!?やったー!!!」

 

かぐやはこのせっまい部屋でぴょんぴょん跳ねながら、回り出した。

 

「これまたどういう風の吹き回しで?」

 

「かぐやは顔出し配信もしてるし今回のでますます人気になったし、このアパートだとセキュリティがね……」

 

「ほへ~……(意外とかぐやに優しい)」

 

「それに……」

 

「それに?」

 

「あんなに喜んでくれたら決めた甲斐があるってもんでしょ」

 

「確かにな~」

 

かぐやは変な踊りさえしだす始末。

 

「朔夜も来るでしょ?三人暮らしってなるとおっきい所だよね~」

 

「うん。だからかぐやがこの前言ってた所が良いかなって」

 

「お!彩葉もあそこの良さに気づいちゃった~?」

 

「………」

 

もはや何も言うまい。

どうせかぐやが駄々こねて泣きだしそうになるかもだし。

 

「………文句、言わないの?」

 

横から彩葉がこちらの機嫌を窺うように顔を覗いてきた。

 

「それは多分こっちのセリフだと思う」

 

俺男ですよ?男子高校生ですよ?

男は獣なんですよ?いくらなんでも油断しすぎでしょうよ彩葉さん。

 

「……朔夜なら……別に……」

 

「かぐやが~二階で配信して~。あ!もう朔夜とチャンネル合体すればいいじゃん!」

「そしたら毎回一緒に配信できる!」

「ね、朔夜!」

 

「いや、ファンの人達に聞いてみなきゃだろ?反対多数だったらどうすんだ」

 

「じゃあじゃあ朔夜は別に良いんだ~?」

 

「え、いいよ別に」

 

元々、別にチャンネルを大きくしようと頑張って来たわけじゃないし。

趣味の延長線上というか。日課みたいになってただけだしな。

 

「そ……そっか……」

 

いやなんでそんな照れてんだよ。

 

「じゃあかぐや、アンケート取る!朔夜~どうやるの~」

 

「ん。それはだな~ここをこうして。こう」

 

まぁ『はい』か『いいえ』でええだろ。

お題はさっくーとのチャンネル合体についてのアンケートって事で。

結構ちゃんと説明は書いといてと。

 

「ほいかぐや。ここ押したらアンケート開始な」

 

「てい!」

 

かぐやが元気にエンターを押した。

まぁ、さっきまでかぐやのKASSENにヤチヨカップの発表もあったし意外と皆オンラインかもな。

アンケートは10秒ごとに票数が更新されていく。

そろそろ最初の更新が……。

 

 

 

『はい』  100%  142万4327

『いいえ』 0%     0

 

 

 

ダァァァァァン!!!

 

 

「え、朔夜なんでパソコン閉じちゃうの~結果が見れない~」

 

「おう、明日のお楽しみな」

 

いやなんでだよ。かぐやに求婚してたやつは何をしてんだよ。

そもそもかぐやのチャンネルは100万ちょいだったやんけ。

絶対俺のチャンネルの人も投票してるじゃん。

 

翌日ネットニュースにまでこのアンケートは広がり、朝日さんが適当に言いふらしたせいでブラックオニキスの登録者もアンケートに参加。

最終的に1000万を超えるユーザーがアンケートに投票した。

もれなく全員『はい』に投票してたんだけど。

なにこれ。皆、ふざけてるのかな?

 

 

 

 

 

「あ、こっちやで朔夜」

 

「………カフェってこんなんでしたっけ」

 

「ん?何が~?」

 

「いや、まぁもう何でもいいっす」

 

それから数日後、俺は朝日さんに呼ばれてカフェに来ていた。

結構高そうな所だし、何故か個室なのはもう言わないでおこう。

カフェで個室ってなんやねん。

朝日さんに勧められるまま、俺も席に着く。

 

「なに頼む?朔夜はパンケーキ好きやったよな」

 

「よく覚えてますね、そんな事」

 

「俺からしたら弟みたいなもんやったからな。ちっこい頃の朔夜と来たらそれはもう可愛かったで~?」

 

「……あざす」

 

 

あの後、結局俺はパンケーキを頼んだ。

なんか桁が5個あったのは言わないでおこう。もうなんも分からんわ。

朝日さんが頼んだのはブラックコーヒーだけ。

 

(やばい……めっちゃうまそう)

 

運ばれたパンケーキは三段。

ベリー系の果物は添えられておらず、余程パンケーキの味に自信があると見える。

 

「い、いただきます」

 

恐る恐るフォークを口に運ぶ。

見るからにふっわふわですよ~と言わんばかりの光沢に思わず息をのんだ。

 

(ん~~……!!!)

 

まさしく桃源郷。

俺がかぐやに作るものとは一線を画している。

やっぱ材料とかなんかな~。それとも火力かな~?

 

「あ、そういや朔夜はまだ彩葉の事好きなんやな」

 

「ごほっ!!!ごっっっほ!!」

 

「お~お~だいじょうぶか」

 

「大丈夫か~じゃないっすよ!人が甘味に浸っているって時に!!」

 

まったく急に何を言い出すんだこの人は。

 

「いやなに、乃依が怒ってたで~?試合中に惚気やがって~て」

 

「の、惚気てないっすよ」

 

「あ、もしかして知らんの?これ」

 

そう言って、朝日さんはポケットからスマホを取り出してニュース一面を見せてきた。

 

 

 

『さっくーの恋愛対象はかぐや!?それともいろP!?まさかまさかのハーレム!?それとも大穴の乃依!?』

 

 

 

「……何すかこれ」

 

「朔夜がそれっぽい事をこん前のKASSENで言ったやろ?ネットは大盛上がりしとるで」

 

(あんの……クソ犬)

 

「……すんません。そっちにも迷惑かけちゃって」

 

「いやいやこっちは全然ええよ~。なんかファン増えたし」

 

朝日さんは、その後片肘を付きながら聞いてきた。

 

「それに、本命は彩葉やろ?」

 

「……はい」

 

「かわええのぉ~~!!胸が苦し~~!!」

 

「ちゃ、茶化さんといてくださいよ!!」

 

「俺ほんとに朔夜のお兄ちゃんなってまう?神代彩葉……いいな~~」

「いやでも、酒寄朔夜……こっちもええな……」

 

「なに真剣に迷っとるんですか!!」

 

朝日さんはしばらく本気で腕を組んで唸っていたが、やがてふっと笑った。

 

「まぁ冗談はこのくらいにしとくか」

 

「最初から冗談に聞こえなかったんすけど……」

 

「半分は本気やで?」

 

「やめてくださいよほんとに……」

 

さっきまでの軽い空気が、少しだけ落ち着いたものに変わる。

朝日さんはブラックコーヒーを一口飲んで、視線を俺に戻した。

 

「で、本題や」

 

「……やっぱあったんすね」

 

「なかったらこんな高い店呼ばんやろ」

 

「彩葉のことやけどな」

 

「この前の試合、見てて思ったわ。あいつ、ちゃんと前見てる」

 

「……」

 

「俺がおらんでも、自分で戦えるようになっとるわ」

 

朝日さんはどこか満足そうに笑った。

 

「正直、ちょっと寂しいけどな」

 

「……あんたが言いますか、それ」

 

「言うやろ。兄やぞ?」

 

「でもな。守るだけが正解やないって話、あん時したやろ?」

 

「……はい」

 

「お前も分かってきてる顔しとる」

 

「……どうですかね」

 

「分かってへんやつは、あんな戦い方せえへんよ」

 

あの時の、自爆みたいな一手。

乃依を巻き込んで、雷さんごと吹き飛ばしたあの判断。

 

「自分がどう動いたら、誰が活きるか」

「ちゃんと見えてるやつの動きや」

 

「……」

 

「それが出来るならな」

 

朝日さんは、少しだけ真剣な目で言った。

 

「隣におってもええんちゃうか」

 

一瞬、言葉の意味を理解するのに時間がかかった。

 

「……それって」

 

「許可とかやないで?」

 

「俺にそんな権利ないしな」

 

「……」

 

「でも、任せてもええかなとは思った」

 

その一言が、やけに重かった。

軽く言ってるようで、空気感とか雰囲気というかそういうのは軽くはなかった。

 

「ただし」

 

「……まだあるんすか」

 

「当たり前やろ」

 

朝日さんは指を一本立てた。

 

「泣かせたら、ぶん殴る」

 

「……」

 

「二本」

 

もう一本、指が立つ。

 

「逃げたら、もっとぶん殴る」

 

「理不尽すぎません?」

 

「三本目いくで?」

 

「もういいです」

 

思わず笑ってしまった。

色々あったけれども、なんだかんだでこの人は変わってない。

 

「……その二つは、多分大丈夫です」

 

「ほう?」

 

「泣かせる前に俺が自分で止めますし、逃げるくらいなら最初から関わってないです」

 

「……」

 

朝日さんは一瞬だけ目を細めて、それから大きく笑った。

 

「ええやん。合格や」

 

「何の試験ですかほんとに……」

 

「でもな、流石に高校生のうちに赤ちゃんはあかんで。おんなじとこ住むいうても。ちゃんと自制してな?」

 

「だまっといてください!!!」

 

ほんっっとに、変わんないなこの人!!

 

 

 

 

「うおおおおおおお、すごいすごいすごい!!」

 

「でっけぇ~……」

 

新居に引っ越してきた俺達三人組。

内見で一回来てたとはいえ、やっぱり荷物と一緒に来たらこれから住むんだ~って実感する。

俺の荷物は、結局彩葉のトラックと一緒に送る事にした。

配達員さんの視線が痛かったけど、気にしない気にしない。

 

「ふわ~!!!眺めやばっ!さいきょ~!!」

 

かぐやはベランダから飛び出て、ばか高い眺めを楽しんでいる。

まぁかぐやはあの彩葉の部屋しか知らないし、驚きも俺らに比べて倍増だろう。

 

「で、彩葉?条件は覚えてるよな?」

 

「……はい」

 

俺がかぐや達と一緒に住むことを認めた条件。

家賃を俺とかぐやだけで払うってこと。これ以上、彩葉が働いたら死ぬ。

 

「そんな顔すんな~。かぐやがまた心配するぞ?」

 

「分かった分かった分かりました!!」

 

「ん。それならよし。ほい」

 

ピースからの~ちょっきんからの~コンッ。

 

それから始まったのは大量の荷ほどき。

あ、もちろんかぐやと彩葉のはやってないです。

当たり前だろ。下着とか服とかバンバン出てきてたよ。かぐやが毎回~だ!!って叫ぶから全部聞こえてたけど。

 

「ふぃ~。俺の部屋完成っ!」

 

俺の配信道具はかぐやの配信部屋に全部持ってかれたのであるのは勉強机と布団だけなんだけど。

俺の部屋は二階になった。かぐやの配信部屋の隣。

これから俺はかぐやと配信を一緒にする事になったので、一階で寝ているか勉強している彩葉の邪魔をしないほうが良いという事になったからである。

 

荷解きが大抵終わった俺は、階段を降りていく。

いや、マンションの部屋に階段ってまじ謎だな。

 

「あ、朔夜。買い物行くからついてきてくれない?」

 

「ん、いいよ」

 

「え~かぐやも行く~!!」

 

「だ~め。荷解きがまだかぐやは終わってないでしょ」

 

かぐやは渋々といった様子で、大量の段ボールへと向き合いなおした。

彩葉の言う事は結構しっかり聞くようだ。

 

「何買いにいくん?」

 

「えっと、かぐやのシャンプーとかぐやのコンディショナーとかぐやの化粧水と……」

 

「かぐやばっかり……」

 

「う、うるさい!」

 

「過保護ですね~彩葉ママは」

 

「ママって……朔夜だってかぐやには甘いしパパじゃないの?」

 

「俺そんな甘い?」

 

「え、自覚なし?」

 

「まぁまぁどっちもかぐやには甘いって事で」

 

「ん~、認めたくないけどそだね」

 

 

 

 

「皆~!かぐやっほ~。月からやって来たかぐやだよ~それでこっちが~!!」

 

「さくやっほ~」

 

「朔夜元気ない!ほら、もっと元気だして!」

 

「さ、さくやっほ~!!(かぐやの真ん前でやるの恥ずかしいんですけど!)」

 

「うん!もうだいじょぶ。ってなわけで皆、アンケートの結果で朔夜とかぐやは合体する事にしたよ~!」

 

「……(言い方)」

 

『さっくー……嘘だよな』

『かぐやちゃん……嘘だよな』

 

「かぐやが勘違いしそうなコメントすな」

 

「ん?朔夜どゆこと?」

 

「はい、何でもない。企画はかぐやが考えてきたんだろ?記念すべき初動画の企画は?」

 

大体の企画は俺が考えてきたんだが、今日は珍しく「かぐやに任せて!」と言われたので俺は何も考えてきていない。

まぁ多分まともな企画ではないだろう。

 

「今回やるのは~~~」

 

「どぅらららららら~~」

 

 

 

 

「愛してるゲームぅぅぅ!!!」

 

 

 

『……』

『……』

『……』

 

 

「彩葉~?かぐやが用があるって~」

 

「なんでなんで!かぐやは朔夜とやるの!」

 

一体全体どんな企画が出てくるのかと思えば。

ちょっとでもかぐやの企画力に期待した俺がバカだったか。

 

「そもそもルール分かってるのか?」

 

「もっちろん!予習は万全ですとも!」

 

ならなんで俺となんだよ。

もし彩葉とやってたら需要が大爆発してたぞ、多分。

 

「視聴者だって別にそんなの……」

 

『はよやれ』

『かぐやちゃんの赤面を見せろ』

『さっくーの照れ顔を見せて』

『\50000 ありがとう……それしか言葉が見つからない』

 

視聴者も期待してんのかい!

 

「朔夜……」

 

かぐやが俺の服の裾を引っ張ってくる。

そして上目遣いで。

 

「ダメ……?」

 

「はいはい!分かりました!!やります!!」

 

やっぱり俺はかぐやに甘いらしい。

 

 

 

 

「はいは~い!それじゃさっそく始めるよ~!」

 

かぐやはカメラに向きなおってコメントを呼んでいた。

どうやらもう大盛り上がりのようで、かぐやも楽しそう。

 

「ルール説明~!『愛してる』って言い合って、先に照れた方が負けな!」

 

そう言って椅子をくるっと回して俺とかぐやは向かい合う。

 

「今回はかぐやからね!」

 

「はいはい」

 

「さくや……」

 

(すごいな、宇宙人って自分で頬赤くできんのかよ)

 

「あ、愛してる……」

 

『\10000 ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

『\20000 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

『\40000 我が生涯に、一片の悔いなし……』

 

(コメントうっさ。こっちも真っ赤なんかい)

 

「ん、ありがとなかぐや」

 

「……む~……かぐやの迫真の演技が……」

 

「かぐやに言われてもな~。そりゃ嬉しいけど照れんわ」

 

『なんやこいつ』

『お前、人間じゃねぇ!』

『ならさっくーは、かぐやちゃんを照れさせれるんですかね~~????』

『無理やな。俺なら……もしかしたらいけたかもしれないが!』

 

「じゃあ次!朔夜の番ね!」

 

「ん~……」

 

「まぁかぐやも?ぶっちゃけ朔夜に照れる事なんてぜんぜんだし~」

 

「かぐや」

 

「……ん~?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

俺は椅子から立ち上がる。

そんでかぐやを見下ろすポジションへと移動した。

 

「さ、さくや……?」

 

そこから軽く手を伸ばして、かぐやの頬に添える。

 

「く、くすぐったいな~………」

 

手を徐々に下にずらし、優しく顎に触れる。

俺を見上げていたかぐやの目線を俺に向けてまっすぐにする為に、かぐやの顎を少し持ち上げた。

それに合わせて、俺の顔もかぐやに近づける。

 

「愛してるよ、かぐや」

 

「……え、あ……は……はい

 

「……はい、かぐやアウト~」

 

「…………えっ!?え、ちょ、ちょっと待って!?い、今のはノーカンでしょ!?」

 

「どこがだよ。完全に照れてたじゃん」

 

「て、照れてないし!?今のはその……演出に乗ってあげただけで……!」

 

『\60000 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

『\80000 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』

『\40000 ここホストクラブだったっけ?』

『\100000 ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!』

 

「ほらコメントもこう言ってるぞ」

 

「うぅぅ……さくやのばか……」

 

かぐやは両手で顔を覆って、椅子の上で小さく丸くなる。

耳まで真っ赤になってるのが隙間から見えていた。

 

(……やりすぎたか?)

 

「はいはい、じゃあ一回落ち着こっか~」

 

俺はカメラの方を見て軽く手を振る。

 

「ということで、初動画はこんな感じで——」

 

バンッ

 

「終わらせないよ!?」

 

「うおっ」

 

急にかぐやが机を叩いて立ち上がった。

 

「かぐや、まだ負けてないから!!」

 

「いやもう勝敗ついたって」

 

「ついてない!!次!次やる!!」

 

『2回戦きたw』

『無限に見れる』

『さっくー逃げるな』

 

「いやいやいや、これ以上やったら配信事故になるって」

 

「ならない!かぐや、今度は絶対照れないもん!」

 

「……ほんとか?」

 

「ほんと!!」

 

涙目で必死に訴えてくる。

ここで引いたら、多分ずっと根に持つやつだなこれ。

 

「……分かったよ。じゃあラストな」

 

「やった!!」

 

かぐやは勢いよく椅子に座り直す。

 

「じゃあ今度は同時に!」

 

「同時?」

 

「せーので『愛してる』って言うの!」

 

『天才』

『それはアツい』

『どっちが照れるか分からんやつやな』

 

「……まぁ、それならフェアか」

 

「でしょ?」

 

かぐやはニヤッと笑って、俺をじっと見つめる。

 

「いくよ?」

 

「おう」

 

一瞬、部屋が静かになる。

コメントの流れすら、やけに遠く感じた。

 

「せーの——」

 

「「愛してる」」

 

「……っ」

 

先に目を逸らしたのは——

 

「……さ、朔夜?」

 

「…………」

 

「え、え?もしかして……」

 

かぐやの顔がじわじわと緩んでいく。

 

「朔夜……照れた?」

 

「……」

 

『勝者:かぐや』

『さっくー敗北www』

『これは歴史的瞬間』

 

「……はいはい、俺の負けでいいよ」

 

「やったぁぁぁぁ!!!」

 

かぐやは勢いよく立ち上がって、ぴょんぴょん跳ねる。

 

「かぐやの勝ち!完全勝利!!」

 

「うるさ……」

 

でもまぁ。

 

(……楽しそうだし、いっか)

 

「じゃあ勝者から一言どうぞ」

 

「えへへ~♪」

 

かぐやはカメラに向かって、満面の笑みで言い放つ。

 

「これからも、朔夜とかぐやをよろしくねっ!」

 

『てぇてぇ』

『公式になったな』

『尊いが過ぎる』

 

「いや勝者コメントそれでいいのか?」

 

「いいの!大事なことだから!」

 

その時、配信部屋の扉が開いた。

この場に俺とかぐやがいるので扉を開けたのはもちろん。

 

「……まだやってたの?」

 

「あ、彩葉!」

 

彩葉が部屋のドアを開けて、少し呆れた顔でこっちを見る。

 

「……コメント、すごいことになってるけど」

 

「……見ないでください」

 

「もう遅い」

 

彩葉は小さくため息をついてから

 

「…………楽しそうでなによりやね?」

 

言葉だけ笑って、顔は少しも笑わずにそう言った。

 

(なんで怒ってるの~……こわいよ~……)




皆さん、次からちょっと曇り始めるんでお気をつけて。
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