彩葉に男の幼馴染がいたっていいじゃない   作:ザワザワする人

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感想ほんとにありがとうございます!
物語もそろそろ終盤でしょうかね!
こっから曇りまで一直線なんですけどね!


過去との面談

それから、かぐやと彩葉はめちゃくちゃ忙しそうだった。

まぁかぐやはそんなか、彩葉の方がやばいな。

 

バイトに夏期講習にライブの練習。

 

「まだ……やれるから……」

 

「はい、うそ。強制連行。かぐや手伝って」

 

「かしこまり~!」

 

睡眠は、俺とかぐやの強制連行によって一日六時間を絶対にした。

 

 

食事の面は、かぐやが毎食作ってくれた。

麺から作ったラーメンや蕎麦。二日くらい煮込んだらしいカレー。バカ高いステーキ。

宇宙人とは器用なもので、やろうと思えばなんでもできるのだろうか。

生後約一か月の赤ちゃんと言って誰が信じるんだろう。

 

「うっま」

 

「すごい美味しいね、これ」

 

「ふっふ~ん!天才美少女ですから!!はい、朔夜朔夜!」

 

「ん~よしよし」

 

「ん~!!」

 

「…………」

 

かぐやが作った料理を俺と彩葉が美味しいと褒めて、かぐやが俺に頭を撫でに来る。

そんな決まったルーティーンが、俺らの中では作られた。

 

「俺にライブの演出をお願いしたい?」

 

「うん!朔夜ならきっと出来る!」

 

「いや、俺そんなんやった事ないし……」

 

「そこは大丈夫!KASSENと大して変わんないから☆」

 

突然ヤチヨから呼び出されて突拍子もない事を言わされたりもした。

結局、承諾したけど。

またヤチヨが何か言いたげだった気がするけど、気のせいだろう。

 

「な~んでまた急に呼びだしたん?」

 

「……帝の妹さんと同棲してるんでしょ?」

 

「え、いやまぁしてますけど。あ、かぐやも一緒な」

 

「……あっそ」

 

「え、いやまてまて。なんかいつもより矢が速くない!!??」

 

突然、乃依にSETSUNAを申し込まれてぼこぼこにされたりもした。

あんなん反応できひんやん普通……乃依半端ないって……。

 

 

 

 

まぁそんなこんながありまして、ヤチヨとのコラボライブまで残り一日となりました。

 

「やばっ……緊張して寝れない……」

 

「彩葉が緊張ね~……さっすがヤチヨだこと」

 

いつもの通り俺に強制連行される事はなく、まさかの自分から寝床に着いた彩葉に俺は驚愕を隠せなかった。

これがヤチヨパワー……おそるべし。

 

「なんか失礼な事考えてない?」

 

「気のせい、気のせい。はやくねんねしなさい」

 

「ねんねって……私は子供じゃないんですけど」

 

と彩葉と会話していると突然扉が開かれた。

 

「彩葉!彩葉、あ、朔夜でもいいから助けて!!」

 

俺はついでかよ。

と、ツッコむ前に言葉はすぐに引っ込んだ。

かぐやがその手に抱えていたのは、彩葉のノートPC。

俺は出来る男。女子の機密情報の塊を覗くなんて事はしないのだ。

 

「これなに?どうやって開くの?」

 

「え?あ、勝手に見ないでよ」

 

ピンポ~ン

 

かぐやと彩葉がそう言いあってる時に、呼びだし音が響いた。

 

「またかぐやが何か頼んだ?」

 

「ん~?明日にした気がする!」

 

頼んではいるんかい。

 

「俺が行くから、二人は話しといていいよ」

 

「ありがと、朔夜」

 

「ん~」

 

一体何が届いたのかと思い、映像を出すと映ったのは普通の宅急便のようだ。

 

「は~い」

 

「お荷物で~す!」

 

どうやら本当に普通の荷物らしい。

夜分遅くまでご苦労な事だ。

俺が玄関の扉を開けると、パンパンの段ボールを持った配達員さんが立っていた。

 

「神代さんは、いらっしゃいますか?」

 

「あ、俺が神代です」

 

「では、こちらにサインをお願いします」

 

「は~い(俺に荷物?何で?)」

 

「ありがとうございました!」

 

「お疲れ様で~す」

 

俺は玄関に置かれた段ボールをひとまず俺の部屋までもっていった。

運んでる途中に思いだした。

じいちゃんとばあちゃんが仕送りする~ってそういえば言っていた。もういらないと何回も言っているのに。

 

「よいしょっと……」

 

運んでて思ったけど重すぎないかこれ。

一体全体何が入ったらこんな重くなるんだか……。

 

「手紙ね、いつも通り」

 

ガムテープを取り、段ボールを開けるとまず出てきたのは手紙だった。

ばぁちゃんは、いつも仕送りではこうして手紙で内容を書いてくれる。

スマホでいいよと言っても、どうやらこっちの方が手に馴染むらしい。

 

『朔夜へ

 

えらい良いところに引っ越したみたいで心配です。

 

家賃ちゃんと払える?』

 

「まず家賃の心配かい」

 

『でも朔夜はしゃんとしとるから大丈夫やと思います。

 

仕送りには、じぃちゃんが育てた色んなお野菜を入れときました』

 

「そりゃこんな重いわ」

 

『それと、朔夜の両親から預かってたもんと、アルバム?みたいなんを入れときました。

 

元気が一番やからな。無理せんように』

 

「父さんと母さんから……前言ってたやつだよな~……」

 

あまり探さずとも、それらはすぐに見つかった。

段ボールの中に段ボールでさらに中には緩衝材がこれでもかと詰められていた。

 

()()()()()()……?」

 

中に入ってたのは、銀色の腕輪だった。

くるくると三周くらいしていて、どこか綺麗だなと思った。

 

(どっかで見た事ある気が…………)

 

う~む。考えても答えが出ない。一旦、置いとこう。おしゃれとかよく分からんし。

アルバムはいたって普通のものだった。

 

俺が赤ちゃんの頃からの写真がずら~っと。

父さんも母さんもどこか面倒ぐさがりだったからか、日にちが分かんなかったけど。

 

(なんかちっちゃい俺可愛い……)

 

赤ちゃんとは本当に誰でも可愛く見えてしまう。

 

(お、立ってる)

 

母さんの方へとよちよちと歩いていく俺の写真があった。

 

(はは、おいしそうに食べてら)

 

口をびちゃびちゃにしながら頬張る俺の口を吹く父さん。

 

(あれ……?これFUSHI?)

 

俺が机の上に置かれた何かにビビりまくっている写真。

ぼやけてるけど……このシルエットはウミウシじゃないか?

FUSHIの人形は今はもちろん発売されてるけど、こんな昔にあったっけ?

 

(まぁ普通にウミウシの人形か)

 

ウミウシにビビりまくってるとしたらなんか笑えてくるな。

その時に俺が体を動かそうとして、ちょうど俺が床に置いていた腕輪がコツンと俺の体に当たった。

 

 

ほら~かわええやろ~?

 

かわいくない!!

 

すみませんヤチヨさんちょっと臆病な子で。ってあなたは知ってるんでしたっけ

 

……ううん。こんな朔夜知らない。……可愛い

 

 

(……頭、痛って……なんだこれ……)

 

(父さんと母さんが……誰かと喋ってた?名前は聞こえんかったけど……)

 

俺は改めて、腕輪に恐る恐る触れてみる。

今度は何も起こらなかった。

 

(いやまじ分かんね~……俺も疲れてんのかな……さっさ寝よ)

 

その後、彩葉の部屋に様子を見に行ったら二人で仲良く寝てましたとさ。

 

 

 

 

ライブ当日。

昨日の事もあって早く寝たおかげで体調は万全。

アルバイトも休んだので、今日一日のスケジュールには余裕があった。

 

と言っても俺が彩葉とかぐやとヤチヨの練習を眺めてただけなんですけどね。

ヤチヨ曰く、俺がやる演出は二人にも最後の最後まで隠したいらしい。

ちなみに二人は俺の事をただの護衛と思ってる。

練習は二人がいない時にヤチヨが付きっ切りでやってくれたので大丈夫だと思う。

 

「やばいやばい怖い怖い」

 

だがどうやら彩葉はそうではないようで。

ツクヨミのライブステージ裏で必死に落ち着きを取り戻そうとしている。

 

「だららららら、蟹!だらららら、うさぎ!」

 

かぐやは動物ルーレット……?をしている。

今の彩葉に何を求めてるんだか。

 

「「はいはい。可愛い可愛い」」

 

「だらららら、どじょう!」

 

空間から突然、ヤチヨがでてきた。ビビるビビる。

 

「ヤチヨだ、おつー」

 

「おっつ~☆」

 

かぐやは何で、そんなヤチヨに軽いんだ……?

俺だって最近慣れたと言うに。

 

「ねーねー朔夜。練習しすぎて、お腹すいた~。終わったらパンケーキ作って~」

 

「いいよん」

 

「パンケーキいいな~ヤチヨも食べたいな~」

 

「一緒に食べる?」

 

「……よよよ、ヤチヨは電子の海の歌姫だから食べられないのです」

 

「え~!それ何の拷問!?かぐやだったら絶対無理!!」

 

食いしん坊め。

 

「じゃあ、ヤッチョがかわいそうだからこれ上げる!」

 

そう言ってかぐやが差し出したのは、かぐやが生まれた時から付けていたブレスレット……。

 

(俺の()()と似てる……?)

 

俺が昨日貰ったあのブレスレットに似てる……。

持ってくればよかったかな?かぐやにも聞けたし。

でも父さんと母さんがそれを知ってる訳ないし……。

 

(偶然か……?)

 

これ以上考えても仕方ないか。

 

「こらこら、そういうのはもっと大事な人にあげるものなんだぞ☆」

 

「ふ~ん……?」

 

『各所、準備OKです』

 

舞台監督さんからのメッセージが空間に表示された。

 

「そんじゃ、行きますか」

 

残念ながら、俺と三人の入場方法は違う。

なのでこっからは別行動だ。

 

「かぐや、彩葉」

 

俺は二人に向けてピースを突き出す。

 

かぐやの目は光輝いて、彩葉はちょっと微笑んだ。

 

「「「ピースからの~ちょっきんからの~コンッ!」」」

 

 

 

 

 

 

かぐや達が昇降機で登り切ったあと、爆発的な歓声と熱気が辺りを包んだ。

詰めかけたファンの皆が、腹の底から声を絞り出す。

 

「いいっすね。やっぱ」

 

「そうですね~」

 

俺は舞台監督の人とそんな他愛ない会話をする。

俺も腹の底から、なにかを叫びたくなる。

 

「そろそろですね、さっくーさん」

 

「うっす。練習、ありがとうございました」

 

ちなみに俺が今いるのは会場の天井。

なんとこっから、落ちて登場する。俺が高所恐怖症やったら死んでたって。

 

「……どうか、一緒に踊ってくれる?」

 

ヤチヨがこちらを見たのを合図に、暗転と共に俺は飛び降りた。

ちなみに垂直に。

 

「あ、朔夜だぁ~!!」

 

かぐやが俺に気づいて、手をぶんぶん振りながら声を張り上げた。

 

「「いぇ~い!」」

 

俺は地上すれっすれで、浮遊しかぐやとハイタッチする。

今はイントロ。かぐやとヤチヨは歌わずに、彩葉の演奏の見せ場。

俺は彩葉と目が合う。まだ緊張してるっぽい。

 

俺はそれにとびっきりの笑顔で。

 

 

「楽しも!!」

 

 

なんか、俺らしくない事言ったな。

はずかし。

 

 

パチン!

 

 

ヤチヨとアイコンタクトを交わして、俺は指を鳴らして一斉に銃達を会場に展開した。

皆分かるかな。ライブとかで出てるビームみたいな光あるじゃん?

あれ全部俺がやるんだって。頭おかしいだろヤチヨ。

 

 

でも、楽しい。

この赤い淡い光達が、全部俺の意思で動いてる。

彩葉のリズムに合わせて跳ねる光。かぐやの動きに呼応して弾ける色。

ヤチヨの歌を待つ空間そのものが、俺の光で脈打っている。

 

 

ちなみに俺自身は適当にそこら辺を飛んでおります。

観客の上すれっすれを。

 

 

『その一!いつも違う髪型に、気が付く事!』

 

 

「さっくーだっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「近い近い近いぃぃぃぃぃぃ!!!!」

「かぐやちゃんと結婚しろぉぉぉぉ!!!!」

「愛してるって言ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

俺の事を知ってる人もいるみたいで嬉しそうなのは良かった。

 

 

『それ!!私のぉぉぉ!!!』

 

 

かぐやはとヤチヨは、何してんだ……。

彩葉を挟んで、なんかやってるぞ。

あ、なんか泣いちゃったし。

 

 

(やべ、もうサビだ)

 

 

『ねぇねぇ、世界一好きになっちゃってもいいよ!!!』

 

ヤチヨの声でサビが始まる。

 

銃から出るのを光線ではなく光弾にして、辺り一帯を埋め着くす。

どぉ~~~~ん。なんて音はならないけどもまるで花火みたいに。

 

「綺麗……」

 

彩葉がそうぽろっとこぼす。

 

俺はただ空を飛ぶ、光を縫うように。

 

すれすれをかすめて、光をなぞって軌道を変える。

 

パチン。

 

もう一度、指を鳴らすと光が呼吸するように明滅する。

 

歌と歓声と光が、全部混ざって一つの音になるみたいに。

 

『いますぐによ!』

 

サビの最後らへんの歌詞を、かぐやとヤチヨが歌う。

やべ。俺も下行かなきゃ。

光線を徐々に彩葉に集中させながら、俺もそれに近づいていく。

 

今俺が彩葉の前に出たらびっくりさせちゃうだろうし、後ろからにしよっかな。

俺は後ろから彩葉に近づいて背中合わせに、ぴったりくっつける。

多分、彩葉は演奏に集中して気づいてないな。やっぱ面白いしびっくりさせたろ。

 

 

 

「「ヘイベイビー」!!」

 

 

 

 

 

 

 

それから約一時間。

俺は飛んで、ヤチヨとかぐやが歌って、彩葉は弾き続けた。

驚くほど疲れて、驚くほど熱くて、驚くほど楽しかった。

 

「ヤチヨ、サイコー!!!」

「かぐや、結婚してくれ~!!!!」

「いろP、可愛い~~~!!!」

「さっくーは、さっさと婚姻届だせぇぇぇぇ!!」

 

俺とかぐやだけおかしい。どう考えても。

そもそも誰とだよ。

 

「めーーーーーっちゃ楽しかった!!」

 

かぐやは興奮で、観客席を見渡して。

 

 

「彩葉、朔夜、好き」

 

 

妙に色っぽい顔つきでそう言った、いやライブ直後だからだしな。他意はないよな。

 

「あー、もー、二人と結婚しちゃおっかな~」

 

「……法律でだめだぞ」

 

妙に照れて、そんな事しか言えなかった。

 

「え~別にいいじゃん!彩葉は~?」

 

「せ……生活費折半して……朔夜にちゃんと聞いて……それなら私も、も、もしかして朔夜と……

 

彩葉さ~ん?戻ってきて~?

目をぐるぐるさせながら返事しないで~?

あとなんか最後言った?

 

 

「かぐ……やー!ん……あれ?なんか、今、音声乱れた?」

 

 

それが違和感の始まりだった。

 

 

「何、あれ……月?」

 

 

一つの違和感はツクヨミ内広場のモニターに染み入って、挨拶でもするように己の出自を画面に示した。

 

 

「うわぁっ、何だ!」

 

 

また一つの違和感は仕事中のサラリーマンのスマコンに入り込み、電子データに足跡を残して通り過ぎた。

 

 

「ネット切れちゃった」

 

 

また一つの違和感は無線LANに足を引っかけ、多くのデバイスに不意の断絶を引き起こした。

 

 

「何あれ、故障?」

 

また一つの違和感はライブステージの外部モニターに張り付いて、画面いっぱいにメッセージを書きこんだ。

 

「表示、どうなってんの?」

 

「モニターどうなってんの?」

 

「これ……何の数字?」

 

 

そして、俺にも。

 

 

(なんだ……これ……)

 

 

俺の頭の中と視界が、数字で満たされていく。

 

(スマコン乗っ取られた……?なんだこのバグみたいな……)

 

 

 

『2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12 2030/09/12』

 

 

 

思考の猶予が少しもない。

 

(痛い……痛い……痛い……痛い……)

 

昨日の頭痛の比にならない痛みが、襲ってくる。

 

「朔夜?大丈夫!?」

 

かぐやか、彩葉の声かも分からない。

 

バタンと、何かが倒れる音がした。いや、誰かか。

 

「かぐや!」

 

かぐやって叫ぶって事は彩葉か。じゃあ倒れたのはかぐやで……。

 

「来るな!」

 

人の気配のようなものが近づいてきた。

びちゃびちゃと何か水滴が落ちる音がする。

 

「しっかりして朔夜!かぐや!」

 

体がいうことを聞かない。というより、その指示を出す頭の容量がない。

 

「おいたはダメだよ~☆」

 

何かが吹っ飛ばされる音がした。

声的に、やったのはヤチヨなんだろうか。

 

俺の意識は、ちょうどそこで無くなった。

 

 

 

 

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