彩葉に男の幼馴染がいたっていいじゃない   作:ザワザワする人

41 / 41
ifルートを書き上げる。
続きも書く。
R18も構成が浮べば書く。
三つともやらなくっちゃぁならないってのが、完結後の辛いところだな。
覚悟はいいか?俺はできてない。


銀メダルでは終われない。

「それじゃあ、私行くから」

 

「おう。向こうに着いたら連絡しろよ」

 

「子供じゃないんだから」

 

そう言いながら、彩葉はピースをこちらへ向けた。

 

ピースからの、ちょっきんからの、こんっ。

 

かぐやが考えた、仲良しの合図。

 

俺も同じように指を動かし、最後に彩葉の拳へ自分の拳を軽く当てる。

 

それが離れてから、彩葉はキャリーケースを引いて歩き出した。

 

少し進んで。

 

止まって。

 

だけど振り返らずに、片手だけをひらひら振る。

 

「朔夜も、ちゃんと自分の場所を決めなよ」

 

「……分かってるよ」

 

「分かってないから言ってる」

 

「最後まで厳しいなぁ」

 

「幼馴染だからね」

 

それだけ残して、彩葉は改札の向こうへ消えた。

 

かぐやが帰ってきて、かぐやとヤチヨのボディが完成して、二年。

 

俺達の生活は、あの頃とはまるで違うものになった。

 

彩葉は作曲家として、日本と月を行ったり来たり。

 

かぐやは相も変わらずライバーを続け、地球でも月でもライブを開いている。どっちで活動しても本人の騒がしさは大して変わらない。

 

ヤチヨも歌姫として活動を続けてる。

 

世界一有名な家族は、なんて聞かれたら、俺達の名前がそれなりの順位に上がるくらいにはなった。

 

そんでもって、俺は。

 

「皆~、さくよろ~。今日も適当にやっていきま~す」

 

『適当にやる人の大会成績じゃない定期』

 

『前回大会優勝おめ』

 

『遂に万年二位を卒業した男』

 

『彩葉ちゃんに報告した?』

 

『結婚して』

 

「優勝の報告はしたけど、結婚はしませ~ん」

 

『なんで????』

 

『候補三人もいて????』

 

『人類の敵』

 

「人類を勝手に背負わせんな」

 

かぐやとやってたのとは別のチャンネルでライバーを続けていた。

 

続けてはいるけど、今じゃ毎日配信するような元気はない。

 

学生時代なら、勉強してバイトして料理してゲームして、彩葉とかぐやのお世話まで出来た。

 

若さってすごい。

 

今は仕事が終わってベッドに倒れこめば、一時間は起き上がれない。

 

いや、まじで。

 

あの頃の俺、体力どうなってたん?

 

『でもマジで誰とも結婚しないの?』

 

『彩葉ちゃんとは幼馴染なんでしょ?』

 

『かぐやちゃんとはもう夫婦を通り越して家族』

 

『ヤチヨとはどうなってんだよ』

 

「三人共、大切な家族ですよ。だからこそ、そういう形にはならなかったっていうか」

 

結婚しなかったことを、後悔してない。

 

三人から離れたかったわけでもなければ、嫌いになったわけでもない。

 

今でも連絡はする。

 

彩葉とは月一くらいで、どっちが模試みたいな問題を早く解けるか競争してる。

 

大人になってまで何をしてんだ、俺達は。

 

かぐやは毎日のようにメッセージを送ってくる。内容の七割が食べた物の写真で、残りの二割がパンケーキ作って。一割が意味不明なスタンプ。

 

ヤチヨとは、護衛契約がなくなった今でも、たまにライブで共演する。

 

皆、大切だ。

 

何も変わってない。

 

ただ俺達は、結婚しなかった。

 

俺だけの場所に三人を引き止めるより、三人が行きたい場所へ行ける方がいいと思った。

 

我ながら格好つけた考えだ。

 

別にもっと単純に、三人の誰か一人を選ぶなんて出来なかっただけかもしれない。

 

全員と結婚するっていう、かぐや提案の超ハッピーエンドもあったけど。

 

結婚はハッピーエンドじゃない……気がした。

 

その後も人生は続く。

 

だったら、無理に物語を締めなくてもいいだろ。

 

「まぁ今は一人で気楽にやってるよ」

 

『強がり乙』

 

『目が死んでる』

 

『部屋きったな』

 

「人の部屋を指差すな。今日片づける予定だったんですぅ」

 

『予定』

 

『配信始めてますけど』

 

『誰か世話してやって』

 

「自分の世話くらい出来るっての」

 

ピンポーン。

 

配信部屋に、インターホンの音が響く。

 

何か頼んでたっけ。

 

まぁいいや。配信中に来るなら、大体宅配だろう。

 

「ちょい待ってて。多分ご飯来た」

 

『自炊は?』

 

「今日はお休み」

 

『昨日も聞いた』

 

「昨日は昨日。今日は今日」

 

椅子から立ち上がり、玄関へ向かう。

 

扉を開く。

 

「遅い」

 

「……なんでお前がいんの?」

 

そこにいたのは宅配の人ではなく。

 

黒いパーカーにキャップ。片手にはツクヨミへ入るためのデバイス。

 

もう片方の手をポケットへ突っ込み、いかにも機嫌が悪そうに俺を睨んでいる。

 

乃依だった。

 

「連絡したけど」

 

「配信中だから見てない」

 

「知ってる。見てたから」

 

「じゃあ来んなよ」

 

「なんで?」

 

「なんでって……」

 

俺が答えに詰まっている隙に、乃依は俺の横を通り抜ける。

 

おいおい。

 

何で当然みたいに人の家へ上がってるんだ。

 

「あ、ちょっと」

 

「うわ、きたな」

 

「開幕それは失礼すぎるだろ」

 

「さっくー、自分の世話くらい出来るって言ってなかった?」

 

「出来る。今日はまだやってないだけ」

 

「それを出来ないって言うんじゃないの」

 

こいつ。

 

本当に俺の配信を見てやがった。

 

「今、配信中だから静かにしろよ」

 

「じゃあ出る」

 

「おう。そうしてくれ」

 

乃依はそのまま、配信部屋へ入っていく。

 

出るというのは、家からではなく配信に、だったらしい。

 

待て待て待て。

 

そっちじゃない。

 

絶対荒れるって!

 

「おい、乃依!」

 

「どーも。さっくーの家に来てま~す」

 

『??????????』

 

『乃依ちゃん!?』

 

『なんで!?』

 

『同棲!?』

 

「してないしてない!こいつが勝手に来ただけ!」

 

「俺の服あるけど」

 

「前に泊まった時に置いてっただけだろ!」

 

『泊まった????』

 

『詳しく』

 

『正座した』

 

「違う!作戦会議してたら遅くなったから泊めただけ!」

 

「同じベッドで寝たよね」

 

「俺は床で寝てたわ!」

 

「さっくー、寝相悪くて途中からベッド落ちただけじゃん」

 

「お前が俺を蹴り落としたから避難したんだろうが!」

 

『同じベッドで寝た』

 

『事実確認ヨシ』

 

『祝砲用意』

 

「あぁぁぁぁもう!今日の配信終わり!おつさく!」

 

『逃げた』

 

『続報待ってます』

 

『乃依ちゃん頑張れ』

 

「頑張る」

 

「返事すんな!」

 

配信終了ボタンを押し、俺は椅子へ倒れこんだ。

 

ほんの数分で、いつもの配信より疲れた。

 

明日には切り抜きが上がってんだろうな。

 

嫌だなぁ。

 

絶対、変なタイトルを付けられる。

 

「で、何しに来たんだよ」

 

「勝負」

 

「帰れ」

 

「即答?」

 

「俺は今、配信で疲れたの。これから飯を食って、風呂入って、寝るの」

 

「へぇ。一人で?」

 

「一人暮らしなんだから一人だろ」

 

「寂し」

 

「お前は喧嘩売りに来たのか?」

 

「勝負しに来たって言ったじゃん」

 

乃依は手に持っていたデバイスを、俺の机へ置いた。

 

しかも大会仕様のちょっといかついやつ。

 

「今日こそ決着つけるから」

 

「何の決着だよ」

 

「全部」

 

乃依がこちらを見る。

 

さっきまでの、からかうような目じゃない。

 

「さっくー、まだ逃げてるでしょ」

 

「……何から」

 

「いろいろ」

 

「雑ぅ」

 

「彩葉も、かぐやも、ヤチヨも選ばなかった。三人のためって顔して、一人でいる」

 

「別に三人のためだけじゃねぇよ」

 

「じゃあ何で?」

 

「俺がそうしたかったから」

 

「ほんと?」

 

乃依は俺の目をまっすぐ見た。

 

むかつく。

 

昔から、こいつはこうだ。

 

俺が嘘をつく時、相手の目を見られないことを知っている。

 

彩葉と一緒。

 

「……ほんとだよ」

 

「じゃあ、俺の目見て言って」

 

「お前、そういう圧迫面接みたいなのやめろよ」

 

「見れないんだ」

 

「見れるわ」

 

「じゃ、見て」

 

「……」

 

「ほら」

 

「近い近い近い!」

 

いつの間にか乃依の顔が、まじで数センチくらいの距離にあった。

 

俺は椅子ごと後ろに下がる。

 

危なっ。

 

「何すんだ!」

 

「目見てって言っただけ」

 

「距離感がおかしいだろ!」

 

「今さら?」

 

今さらと言われれば、確かに。

 

乃依とは何年も戦ってきた。

 

ツクヨミの大会で顔を合わせれば、必ずと言っていいほど勝負した。

 

俺が負ければ、次は勝つまで逃がさないと追いかけてきた。

 

勝ったら勝ったで、たまたまだとか、今の判定はおかしいとか文句を言って再戦を要求してきた。

 

乃依の中では、多分負けても勝っても次がある。

 

俺も、それが嫌ではなかった。

 

「なぁ、乃依」

 

「何」

 

「お前、俺に勝ってどうしたいの?」

 

「さっくーに負けを認めさせたい」

 

「それだけ?」

 

「それだけじゃ足りない?」

 

「いや、お前なら世界征服とか言い出しそうだし」

 

「失礼すぎ。ほら、早く準備して」

 

「本気でやんの?」

 

「負けた方が夕飯」

 

「今から作るの?」

 

「嫌なら買ってきて」

 

「結局俺が用意すんじゃん」

 

「俺が勝つから、さっくーが用意するんでしょ」

 

「もう勝った気かよ」

 

「負けるつもりで来るやついる?」

 

乃依が自分のデバイスを装着する。

 

俺も仕方なく、もう一つを頭へ被った。

 

「俺が勝ったら、片づけ手伝えよ」

 

「やだ」

 

「何でだよ!」

 

「夕飯を賭けるんでしょ。勝手に条件増やさないで」

 

「ほんっとに性格悪いな!」

 

「さっくーに言われたくない」

 

視界が暗くなる。

 

浮遊感の後に、全身の感覚が切り替わる。

 

目を開けると、そこは月夜に照らされた闘技場だった。

 

観客はいない。

 

配信も切ってある。

 

誰も座っていない観客席を、白い明かりが静かに照らしている。

 

その中央で、俺と乃依が向かい合った。

 

武器を選ぶ。

 

足元から光が伸び、俺の手へ馴染んだ銃が現れる。

 

乃依も装備を呼び出し、軽く振って感触を確かめていた。

 

「疲れてるなら、今から言い訳しといていいよ」

 

「配信終わりの人間へ押しかけてきたやつが言う?」

 

「負けた時に使えるでしょ」

 

「心配しなくても、負けねぇよ」

 

「それでこそ」

 

開戦を知らせる光が落ちる。

 

乃依が地面を蹴った。

 

速い。

 

分かっていたはずなのに、その初速へ反応が一瞬遅れる。

 

「よそ見してる場合?」

 

「してねぇよ!」

 

紙一重で攻撃を避け、こちらも撃ち返す。

 

乃依は身を捻りながら回避する。

 

そのまま床へ片手をつき、勢いを殺さず俺の死角へ回る。

 

相変わらず無茶苦茶な動きだ。

 

でも、長く戦ってきた分だけ分かる。

 

次は右。

 

その次は上。

 

右から来た攻撃を受け流し、跳び上がった乃依の着地点へ弾丸を置く。

 

乃依は空中で軌道を変えた。

 

化け物か。

 

「読めてないじゃん」

 

「読んで避けられたんだよ!」

 

「それ、読めてないって言うけど」

 

乃依は笑っていた。

 

俺が逃げずに撃ち返した時だけ見せる、楽しそうな笑い方だった。

 

結局。

 

俺は負けた。

 

いや、言い訳させて。

 

ほんのちょっと配信疲れがあったんですよ。

 

あと乃依のやつ、こっちの反応を覚えすぎ。

 

何で数年前の大会で一度使った回避癖まで対策してんの?

 

ゲーム終了の表示が消え、俺達は元の部屋へ戻った。

 

デバイスを外した乃依が、得意げに俺を見る。

 

「俺の勝ち」

 

「はいはい。何食べたい?」

 

「パンケーキ」

 

「夕飯っつってんだろ」

 

「じゃあオムライス」

 

「子供か」

 

「かぐやには作ってたじゃん」

 

「……見てたん?」

 

「昔の配信。かぐやのチャンネルに残ってた」

 

「お前も暇だな」

 

「暇じゃない。さっくーのこと調べてただけ」

 

冷蔵庫を開ける手が止まる。

 

「……怖」

 

「何で?」

 

「俺が同じこと言ったら、普通に通報案件だろ」

 

「俺はいいの」

 

「何で」

 

「俺だから」

 

「無敵かよ」

 

卵はある。

 

ご飯も、冷凍してるのが残ってる。

 

玉ねぎと鶏肉も、ぎり。

 

「手伝え」

 

「勝者なんだけど」

 

「なら座って待ってろ」

 

「それはそれで暇」

 

「我儘だなぁ」

 

乃依はダイニングの椅子に座り、頬杖をつきながら俺を眺める。

 

視線がうざい。

 

包丁を動かす手元を、じぃっと見てくる。

 

「何」

 

「別に」

 

「見すぎ」

 

「見てない」

 

「目ぇ合ってるけど」

 

「さっくーが見てきたんじゃん」

 

「お前が先だろ」

 

「証拠は?」

 

「この会話いる?」

 

フライパンに具材を入れて炒める。

 

卵。

 

牛乳。

 

少しだけマヨネーズ。

 

かぐやに初めて作った時より、手際は良くなってる。

 

そりゃ何年も経ってるしな。

 

「ねぇ、さっくー」

 

「ん?」

 

「三人のうち、誰が一番好きだった?」

 

卵を溶く手が止まった。

 

「全員」

 

「逃げた」

 

「逃げてねぇよ。ほんとに全員大事だった」

 

「じゃあ、俺は?」

 

「は?」

 

「俺はどのくらい?」

 

「何が?」

 

「さっくーの中で」

 

乃依の声は、いつもの調子だった。

 

冗談みたいに軽くて、でもその目は笑ってない。

 

「……比べるもんじゃないだろ」

 

「また逃げた」

 

「じゃあ何て言えば満足なんだよ」

 

「俺が一番って」

 

「無茶言うなって」

 

「無茶じゃない」

 

乃依は椅子から立ち上がり、俺の隣へ来た。

 

狭い。

 

包丁を持ってるから近づくな。

 

「危ないって」

 

「彩葉とは幼馴染」

 

「そうだな」

 

「かぐやとは家族」

 

「うん」

 

「ヤチヨとは護衛と歌姫。ずっと前から知ってる」

 

「……まぁ」

 

「俺は?」

 

「ライバル?」

 

「疑問形なの、むかつく」

 

「いや、お前が一番ライバルだろ。何年勝負してると思ってんだ」

 

「それだけ?」

 

「……友達」

 

「それだけ?」

 

「しつこい!」

 

「だって、さっくーがずっと逃げるから」

 

乃依は伸ばした手で、俺の服の裾を掴んだ。

 

指先だけ。

 

いつもみたいに腕を引くでもない。

 

ただ、逃がさないように少しだけ掴んでいる。

 

「俺、三人の代わりじゃないから」

 

「……代わりにする気なんかねぇよ」

 

「ほんとに?」

 

「彩葉みたいに俺の考えてること全部分からないし、かぐやみたいに簡単に笑わないし、ヤチヨみたいに優しくもねぇ」

 

「喧嘩売ってる?」

 

「最後まで聞け」

 

俺は火を止めた。

 

このままだと卵が焼けすぎる。

 

「お前はお前だよ。いつまでも勝負挑んできて、俺が嫌がっても追いかけてきて、嘘ついたらすぐ見抜いて」

 

「うん」

 

「人ん家に勝手に来て、配信を荒らして、飯まで作らせてる」

 

「うん」

 

「反省しろや」

 

「やだ」

 

「そこはしろ!」

 

乃依は、少し笑った。

 

いつもの、人を馬鹿にするような笑い方じゃない。

 

「なら、それでいい」

 

「……何が」

 

「俺は俺って分かってるなら」

 

「だから何の話だって」

 

「そのうち分かる」

 

「お前、ほんと説明下手だな」

 

「さっくーが鈍いだけ」

 

俺はオムライス作りを再開した。

 

どうして乃依があんな話をしたのか、この時はまだ分からなかった。

 

いや。

 

本当は、少し分かってたのかもしれない。

 

分かったら、また選ばなくちゃいけなくなる。

 

そんな気がして、考えないようにしていた。

 

乃依は、それから頻繁に俺の家へ来るようになった。

 

最初は勝負。

 

次は配信の作戦会議。

 

その次は、近くまで来たから。

 

さらに次は、帰るのが面倒になったから。

 

理由なんて、日に日に雑になっていった。

 

俺達の勝負は、いつもツクヨミで行われた。

 

乃依が玄関から入ってくる。

 

俺が夕飯の支度をしている間に、乃依が勝手に準備する。

 

食事と風呂を済ませたら、二人でログイン。

 

月明かりの下で、互いの武器を向け合う。

 

勝負を口実に会っているのか。

 

会うために勝負をしているのか。

 

途中からは、俺にもよく分からなくなった。

 

乃依が勝てば、次の日も勝負。

 

俺が勝っても、納得するまで再戦。

 

どっちが勝っても何も終わらない。

 

「お前また靴下置いてってる」

 

「洗っといて」

 

「自分で洗え」

 

「もう洗濯機回してるでしょ」

 

「俺の洗濯物と一緒にすんなよ!」

 

「何で?」

 

「何でって……何でだよ」

 

洗濯をして。

 

「また俺のプリン食っただろ!」

 

「名前書いてなかった」

 

「二人しか住んでないみたいな言い方すんな!」

 

「二人しかここ使ってないじゃん」

 

「住んでんのは俺だけ!」

 

冷蔵庫の食べ物を奪われ。

 

「あれ、俺のパーカー知らん?」

 

「これ?」

 

「何で着てんだよ!」

 

「寒いから」

 

「自分の服あるだろ!」

 

「これの方が楽」

 

服を奪われ。

 

乃依が帰った後も、家の中にあいつの物が残るようになった。

 

歯ブラシ。

 

着替え。

 

ツクヨミへ入るためのデバイス。

 

乃依が好きな炭酸飲料。

 

冷凍庫には、あいつが勝手に買ってきたアイス。

 

何ならツクヨミの対戦設定まで、乃依用のものが保存されている。

 

これ、半分住んでない?

 

そんな疑問を抱いた頃。

 

久しぶりに、皆で集まることになった。

 

「ただいま朔夜ぁぁぁぁ!」

 

「うおっ!」

 

扉を開けた瞬間、かぐやが飛びついてきた。

 

相変わらず勢いがおかしい。

 

もういい大人なんだから、人へ突進するのはやめなさい。

 

「おかえり。元気だったか?」

 

「ちょ~~元気!パンケーキ作って!」

 

「会って早々それ?」

 

「朔夜のパンケーキは別腹だから!」

 

「まだ何も食ってないだろ」

 

かぐやの後ろから、彩葉とヤチヨも入ってくる。

 

「久しぶり。片づけたんだね」

 

「俺を何だと思ってる?」

 

「片づけ出来ない人」

 

「出来るわ!」

 

「ヤチヨも久しぶりに朔夜のお料理食べたいな~」

 

「はいはい。今日は腕を振るいますよ」

 

「……勝手に話を進めないでもらえる?」

 

背後から、乃依の声。

 

三人の視線が、一斉に俺の後ろへ向いた。

 

乃依は俺のパーカーを着ていた。

 

片手には俺のマグカップ。

 

まずい。

 

これはとてもまずい。

 

「乃依?」

 

「久しぶり、かぐや」

 

「何でいるの?」

 

「泊まってたから」

 

「言い方!」

 

彩葉の目が細くなる。

 

「朔夜」

 

「違う。いや違わないけど、そういう意味じゃなくて」

 

「何も聞いてないけど?」

 

「あ、はい」

 

彩葉さんの圧、昔より増してない?

 

かぐやは俺から離れ、乃依の周りをくるくる回り始めた。

 

何を調べてるんだ。

 

「乃依、朔夜のこと好きなの?」

 

「うん」

 

即答。

 

「おい!」

 

「隠す必要ある?」

 

「俺が知らなかったんですが!」

 

「さっくーが鈍いだけ」

 

「いや待て待て待て。いつから?」

 

「昔から」

 

「雑!」

 

「俺はずっと勝負しろって言ってたじゃん」

 

「それを告白として受け取るやついねぇよ!」

 

「さっくーに勝ったら、さっくーを貰うつもりだった」

 

「初耳だよ!」

 

「今言ったから」

 

「乃依」

 

彩葉が静かに、俺達の間へ入った。

 

乃依は俺から目を外し、彩葉へ向く。

 

「朔夜は、誰かの代わりをあなたにさせてない?」

 

「してない」

 

「即答なんだ」

 

「さっくーは、そんな器用じゃないでしょ」

 

「……それもそうだね」

 

「納得早くない?」

 

「朔夜だから」

 

彩葉はどこか、安心したように笑った。

 

かぐやは、乃依と俺の顔を交互に見ている。

 

ヤチヨは何も言わず、ただその様子を見守っていた。

 

「ねぇ、乃依」

 

「何」

 

「朔夜、連れていくの?」

 

かぐやの声は、少しだけ震えていた。

 

あの頃と同じ。

 

ハッピーエンドの話をして、月には帰りたくないと駄々をこねた頃。

 

置いていかれるのが怖くて、俺に嫌いにならないでと泣いた頃。

 

「かぐや」

 

「い、いや別に!朔夜が乃依を好きならいいんだよ!かぐやもう大人だし!ハッピーエンドなら全然!」

 

「かぐや」

 

「でも、朔夜がいなくなるのは……ちょっと、やだなって」

 

乃依はしばらく、何も言わなかった。

 

こういう時、こいつは意外と不器用になる。

 

ツクヨミの中なら、どれだけでも俺を挑発出来るくせに。

 

乃依が、かぐやへ手を伸ばす。

 

慰め方も分からないのか、頭の上に置いただけ。

 

「連れていかない」

 

「……ほんと?」

 

「さっくーが勝手についてくるかもしれないけど」

 

「そこは言い切ってよぉ!」

 

「顔近い。泣きつかないで」

 

「乃依ぃぃぃぃ!」

 

「ちょっ、服で涙拭かないで」

 

「それ俺の服!」

 

かぐやが乃依へ抱き着き、乃依が心底嫌そうな顔をして、彩葉が二人を見て笑う。

 

ヤチヨも静かに、俺の隣へ来た。

 

「朔夜」

 

「ん?」

 

「今度は、ちゃんと選んでね」

 

「……何を?」

 

「自分のハッピーエンド」

 

ヤチヨは、いつものように笑った。

 

「ヤチヨ達のためとか、乃依のためとかじゃなくて」

 

「朔夜が、一緒にいたい人を」

 

その言葉が。

 

胸の奥へ、ゆっくりと沈んでいった。

 

三人が帰った後。

 

乃依も帰ろうとしていた。

 

靴を履き、玄関の扉に手を掛ける。

 

「乃依」

 

「何」

 

「……お前、俺のこと好きなの?」

 

「さっき言ったよね」

 

「いや……ちゃんと」

 

「ちゃんと言わせたいんだ」

 

「そういうわけじゃ……」

 

「好きだよ」

 

乃依は振り返らなかった。

 

「最初は、ただ勝ちたかった」

 

「うん」

 

「いつも二位で、あと一歩で勝てるのに、自分で止まって。嘘ついて誤魔化して、誰かのためみたいな顔してるさっくーがむかついた」

 

「悪口しか出てこないじゃん」

 

「でも、俺が負けた時に笑わなかった」

 

扉に掛けていた手が離れる。

 

「俺が勝った時も、言い訳しなかった」

 

「次は勝つって、ずっと追ってきた」

 

「俺も追いかけた」

 

「気づいたら、勝っても負けても、次にさっくーと戦えるのが楽しみだった」

 

乃依が、こちらを見る。

 

「三人を選ばなかったから俺、は嫌」

 

「……」

 

「一人で寂しいから俺、も嫌」

 

「俺は彩葉でも、かぐやでも、ヤチヨでもない」

 

「さっくーが三人を好きなままでもいい。忘れなくていい」

 

「その横に入れろとも言わない」

 

「俺とさっくーで、別の場所を作ればいいでしょ」

 

言葉が出なかった。

 

乃依は俺の返事を待っている。

 

ここで誤魔化したら、こいつは怒る。

 

それでも何度だって、また聞いてくる。

 

そういうやつだ。

 

「……俺さ」

 

「うん」

 

「お前といると、疲れる」

 

「知ってる」

 

「すぐ勝負を挑んでくるし、勝手に家へ来るし、俺の飯食うし」

 

「うん」

 

「でも、お前が帰った後って、なんか静かすぎるんだよ」

 

「……うん」

 

「配信してても、料理してても。次にお前が来るの、ちょっと待ってる」

 

「ちょっと?」

 

「かなり」

 

「それで?」

 

「……好き、なんだと思う」

 

「思う?」

 

「こういうの慣れてないんだって!」

 

「三人も候補いたのに?」

 

「候補って言うな!」

 

乃依は満足してない顔だった。

 

しょうがない。

 

もう一度、ちゃんと言う。

 

「好きだよ、乃依」

 

乃依は目を丸くした。

 

それからほんの少しだけ、頬を赤くして。

 

「遅い」

 

「ごめん」

 

「でも、許す」

 

「そりゃどうも」

 

「じゃあ勝負しよ」

 

「今から!?」

 

「まだ決着ついてないから」

 

「何のだよ!」

 

「全部」

 

結局、俺達はもう一度デバイスを装着した。

 

ログイン先は、いつもの闘技場。

 

告白した後だろうと、俺達の立ち位置は変わらない。

 

互いに武器を持ち、月明かりの下で向かい合う。

 

乃依が武器を構える。

 

「手加減したら別れるから」

 

「まだ付き合って一時間も経ってないんだけど?」

 

「じゃあ始まる前に終わるね」

 

「縁起でもないこと言うな!」

 

「あ、俺が勝ったら告白やり直し」

 

「さっきので終わりだよ!」

 

「下手だったから」

 

「お前なぁ!」

 

開戦の光が落ちた。

 

乃依が踏み込む。

 

今までと同じ速さ。

 

同じ鋭さ。

 

でも、さっきまでとは違って見えた。

 

俺はこいつを傷つけないために、手を止めなくていい。

 

中途半端に譲った方が、ずっと傷つける。

 

乃依はそういうやつだ。

 

一発。

 

二発。

 

乃依の攻撃を避けながら撃ち返す。

 

俺の弾丸が頬をかすめ、乃依の刃が肩を切り裂く。

 

互いの残り体力が、少しずつ削れていく。

 

乃依には俺の癖を読まれている。

 

でも、それは俺も同じだ。

 

乃依は追い込まれると、最後に必ず正面から来る。

 

俺が逃げると考えているから。

 

だとしたら。

 

今回は、逃げない。

 

乃依が視界から消える。

 

背後。

 

振り向く。

 

刃が目の前まで迫る。

 

避けずに一歩を踏み込み、銃口を乃依の胸へ押し当てる。

 

乃依の刃が俺へ届くより。

 

ほんの僅かに早く。

 

引き金を引いた。

 

光が乃依の胸元を貫く。

 

勝敗を告げる文字が、月夜へ浮かんだ。

 

俺の勝ち。

 

乃依が仰向けに倒れる。

 

俺は銃を消し、乃依の前へ歩いていった。

 

昔の俺なら、勝ったことを謝っていた。

 

運が良かったとか。

 

たまたまだとか。

 

次なら負けるとか。

 

相手が傷つかないための言葉を並べて、自分が勝った事実から逃げていた。

 

でも。

 

乃依が欲しかったのは、そんな俺じゃない。

 

「俺の勝ち」

 

乃依は地面に倒れたまま、悔しそうに俺を睨んだ。

 

「……むかつく」

 

「知ってる」

 

「次は俺が勝つ」

 

「それも知ってる」

 

乃依へ手を伸ばす。

 

「好きだよ、乃依」

 

「……勝った方が告白するの、意味分かんない」

 

「お前がやり直せって言ったんだろ」

 

「こういう時だけ俺のやり方を使うの、ほんと性格悪い」

 

「乃依に言われたくないなぁ」

 

乃依は俺の手を取った。

 

引き起こすつもりだったのに、そのまま強く引かれる。

 

体勢を崩した俺を、乃依が片腕で受け止めた。

 

顔が近い。

 

でも今度は、椅子ごと逃げることも出来ない。

 

「でも、これは俺が勝ち取ったの」

 

「負けたくせに?」

 

「次は勝つから」

 

「じゃあ、その次は俺な」

 

「ずっと続けるつもり?」

 

乃依が笑う。

 

「そのために好きになったんだけど」

 

その日から、俺達は付き合い始めた。

 

乃依との関係は、付き合う前と大して変わらなかった。

 

少なくとも、最初のうちは。

 

乃依は相変わらず、何の連絡もなく家へ来る。

 

当然のように夕飯を要求して。

 

俺の服を勝手に着て。

 

夜になれば、二人でツクヨミへ入る。

 

一つだけ変わったとすれば、勝った方に要求出来る内容が増えた。

 

「俺の勝ち」

 

「……今日は調子悪かった」

 

「言い訳?」

 

「事実確認ですぅ」

 

「じゃあ、勝者のお願い」

 

「何だよ」

 

「明日休みでしょ。出かける」

 

「いいけど、どこに?」

 

「買い物」

 

「何買うんだ?」

 

「行けば分かる」

 

こいつがそういう言い方をする時は、大体ろくでもない。

 

けれど翌日、乃依が俺を連れていったのは、家具屋だった。

 

二人で使える大きさのテーブル。

 

乃依が気に入ったソファ。

 

食器棚。

 

何故か二人分の食器。

 

そこまで選んでから、さすがの俺も気づいた。

 

「乃依」

 

「何」

 

「これ、どこに置くの?」

 

「さっくーの家」

 

「俺の家、そんなに広くないけど」

 

「引っ越せば?」

 

「誰が?」

 

「俺達」

 

「……俺達?」

 

「うん」

 

また、こいつは。

 

大事な話をする時ほど、何でもないみたいに言いやがる。

 

「それ、同棲ってこと?」

 

「他に何があるの」

 

「もうちょっと段階とか、相談とかあるだろ」

 

「今してるじゃん」

 

「家具を全部決めてからする相談じゃねぇんだわ」

 

「嫌?」

 

問われて、言葉が止まる。

 

乃依と一緒に住む。

 

毎日起きたらいて。

 

帰ってきたらいて。

 

飯を食べて。

 

ツクヨミへ入って。

 

勝負して。

 

喧嘩して。

 

ログアウトすれば、また隣にいる。

 

想像してみても、不思議なくらい違和感がない。

 

「……嫌じゃない」

 

「じゃあ決まり」

 

「いや、でも仕事とか場所とか」

 

「候補は調べてある」

 

「早いな!」

 

「さっくーが遅いから」

 

「それ便利な言葉じゃないぞ!」

 

それから三か月。

 

仕事から帰った俺は、新しい家の前に積まれた段ボールを見て立ち尽くしていた。

 

部屋番号は合ってる。

 

引っ越しの日も今日で合ってる。

 

でも聞いてた量の倍くらいない?

 

「あ、帰ってきた」

 

「乃依?」

 

乃依が部屋の中から出てきた。

 

後ろでは、雷さんが段ボールを運んでいる。

 

「雷さん、何してるんですか」

 

「乃依の引っ越しを手伝っている」

 

「それは分かるんですけど、この荷物の量は?」

 

「半分はツクヨミの機材だ」

 

「どんだけ持ってきたの!?」

 

「今のだと同時に入った時、ちょっと遅延するから」

 

「大会でも開く気か!」

 

乃依がポケットから紙の束を出した。

 

「賃貸の契約。住所変更も済ませた」

 

「話が早すぎる!」

 

「さっくーが遅いから」

 

「やっぱり便利に使ってるだろ!」

 

「彩葉達にも挨拶を済ませた」

 

「え?」

 

「かぐやからこれ」

 

乃依がスマホを出す。

 

そこに映った動画の中で、かぐやが両手を振っていた。

 

『朔夜ぁ!乃依とお幸せに!でもパンケーキ作りに行くし、朔夜のも食べに行くからかぐやの部屋も用意してね!』

 

「用意しねぇよ!」

 

『彩葉もヤチヨも一緒だから、四部屋いるね!』

 

「もう家を買わなきゃ無理だろ!」

 

『超ハッピーエンドぉぉぉ!』

 

動画はそこで終わった。

 

乃依がスマホをしまう。

 

「だって」

 

「だって、じゃないよ……」

 

「嫌なら出ていくけど」

 

乃依が、段ボールの一つに手を置く。

 

表情はいつも通り。

 

でも、少しだけ不安そうだった。

 

俺に嫌われると言って泣いた、かぐやほど分かりやすくない。

 

それでも。

 

何年も見てきた俺には分かる。

 

「……乃依」

 

「何」

 

「荷物、どれから運べばいい?」

 

「ゲーム機材」

 

「先に服とか日用品だろ」

 

「ツクヨミ」

 

「はいはい」

 

「あと、今日の夕飯は俺が作る」

 

「大丈夫?」

 

「失礼すぎ」

 

「何作んの?」

 

「オムライス」

 

「……そっか」

 

「さっくーが作ったやつ」

 

「お前に最初に作ったのは別の料理だろ」

 

「知ってる。かぐやに作ったやつ」

 

乃依が段ボールを持ち上げる。

 

「でも今日からは、俺達のだから」

 

「……おう」

 

乃依のオムライスには卵の殻が入っていた。

 

ケチャップは多すぎるし、ご飯の味は場所によって違う。

 

多分、途中で調味料を入れるのが面倒になったんだろう。

 

「どう?」

 

「卵の殻が入ってた」

 

「細か」

 

「ケチャップ多すぎ」

 

「細か」

 

「でも、美味かった」

 

「当然」

 

乃依は満足そうに笑って、皿を俺の方へ押した。

 

「負けた方が皿洗いね」

 

「いつ勝負したんだよ」

 

「オムライス早食い」

 

「聞いてない!」

 

「俺が勝った」

 

「卑怯だろ!」

 

「勝ちは勝ち」

 

俺は文句を言いながら、二人分の皿を持って立ち上がった。

 

洗い場に立つ。

 

後ろでは、乃依がもうツクヨミの機材を準備している。

 

「さっくー、早く」

 

「皿洗わせたのお前だろ」

 

「待ってる」

 

「先に入ってろよ」

 

「一緒に入るから待ってる」

 

「はいはい」

 

皿を洗い終わり、乃依の隣へ座る。

 

二人同時にデバイスを被る。

 

接続を開始。

 

暗闇が晴れると、見慣れた月夜が広がっていた。

 

目の前には乃依がいる。

 

現実では隣にいて。

 

ツクヨミでは、こうして向かい側にいる。

 

変なの。

 

「今日も俺が勝つから」

 

「昨日は俺が勝っただろ」

 

「今日は俺」

 

「じゃあ明日は俺な」

 

「明日も俺」

 

「明後日は?」

 

「俺」

 

「ずっと続くじゃん」

 

「うん」

 

乃依は武器を呼び出し、俺へ矢先を向ける。

 

「そのために来たから」

 

開戦の光が落ちた。

 

俺達は地面を蹴り、いつものように本気でぶつかり合った。

 

今日の勝者は乃依だった。

 

最後の最後で読み負けて、俺の体力が先に尽きた。

 

勝負が終わり、同時にログアウトする。

 

視界を覆っていた月夜が消え、まだ段ボールだらけの部屋へ戻った。

 

隣では乃依もデバイスを外している。

 

「今日、俺の勝ち」

 

「はいはい。明日は俺が勝つ」

 

「明日も俺」

 

「じゃあ明後日」

 

「明後日も」

 

「ずっと続くじゃん」

 

「さっきも同じこと言ってた」

 

乃依は立ち上がり、床に置いていた飲み物を拾った。

 

そのまま新しく用意した自分の部屋へ行こうとして、途中でこっちを振り返る。

 

「さっくー」

 

「何?」

 

「言って」

 

「何を」

 

「分かるでしょ」

 

「……おかえり、乃依」

 

「玄関で言ってない」

 

「今でいいだろ」

 

「もう一回」

 

「はいはい。おかえり、乃依」

 

「ん」

 

それから乃依は、少しだけ笑って。

 

「ただいま、朔夜」

 

明日も、その次の日も。

 

俺達はきっと、ツクヨミで戦う。

 

勝っても負けても、次の一戦がある。

 

戦いが終われば、同じ場所へ帰ってくる。

 

彩葉も。

 

かぐやも。

 

ヤチヨも。

 

これから先、ずっと大切な家族だ。

 

忘れることなんてない。

 

その思い出の空いた場所に乃依を押し込むんじゃない。

 

俺と乃依は、俺達の場所を新しく作っていく。

 

物語の終わりなんて、まだ決めなくていい。

 

俺達の最初の一戦は、ここから始まるのだから。





次回!!遂に地球に登場!朧ちゃん!!
作者が構成考えるの遅すぎて朧ちゃん不機嫌だぞ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~(作者:白豆男爵)(原作:超かぐや姫!)

超人の女子高校生・酒寄彩葉の隣の部屋に住む親友の男子高校生・神崎万羽。▼万羽の存在がもたらす、皆さんの知るものとはちょっと違う「超かぐや姫!」の物語...


総合評価:686/評価:6.1/完結:59話/更新日時:2026年07月12日(日) 18:41 小説情報

超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話(作者:陸結)(原作:超かぐや姫!)

完璧超人女子高校生酒寄彩葉と莫大な借金を抱えて日夜バイトを繰り返す男子高校生有原泉が運命的な出会いをしてハッピーエンドへ向かう話▼作者の体調不良に付き更新が滞っています。ご了承下さい


総合評価:421/評価:6.25/未完:24話/更新日時:2026年05月31日(日) 22:21 小説情報

八千と百六八年(作者:節足甲殻)(原作:超かぐや姫!)

なんて綺麗で美しくて残酷なのだろう。▼それでもやっぱり、笑顔が見たい。▼ノリと勢いで書いちゃいました。映画と小説の情報をもとに書いていきます。▼小説初挑戦の筆者ですが、長い目で見ていただけると嬉しいです。▼(2026/4/25)日間ランキング五位、誠にありがとうございます。


総合評価:707/評価:7.39/連載:6話/更新日時:2026年07月12日(日) 12:00 小説情報

超かぐや姫! ~月見酒に寄り添う鈴の音~(作者:筍の研究所)(原作:超かぐや姫!)

何気ない日常を過ごす一人の男のお話し▼――あるいは、少女達が最高のハッピーエンドを迎えに行く物語▼『超かぐや姫!』に脳を焼かれたオタクです。▼この小説には映画『超かぐや姫!』のネタバレが含まれております。▼原作改変や独自解釈も多分に含まれているため、ご了承ください。▼


総合評価:1425/評価:8.21/連載:4話/更新日時:2026年06月01日(月) 13:00 小説情報

ちょっ、ッッま...自分まで巻き込まれる必要なくないかぁ!!??(作者:大塩tune八郎)(原作:超かぐや姫!)

ツクヨミ。それはVR技術によって産まれた仮想世界。▼そこは、あまるほど楽しくて、あまりにも美しい、誰も争わないくていい皆んなが笑顔になれる素晴らしい非現実。▼これから話す物語は、そんな世界にのめり込むどころか埋まってしまうほど好きになってしまった男がとんでもねぇ理不尽に見舞われる話。▼感想・評価もらえるともの凄く承認欲求が満たされます。ありがとうございます。


総合評価:359/評価:7.67/連載:7話/更新日時:2026年08月05日(水) 18:53 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>