彩葉に男の幼馴染がいたっていいじゃない   作:ザワザワする人

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かぐやの心理描写初めてちょっと書いたけどむっずいですねこれ。
感想ほんといつもいつもありがとうございます!



だってきっとそれでいい

「ねぇねぇ、こことかどう?」

 

<極上空間を味わうデザイナータワーズテンション 3LDK 家賃三十五万円>

 

「いいじゃ~ん。かぐやが出すからさ~。見て、マンションなのに二階があるんだよ。二階がかぐやの配信部屋兼寝室ね、一階は彩葉と朔夜が使っていいから。ねぇ、いいでしょ~?吹き抜けで、システムキッチンでパントリーにバルコニーだよ!しかも、最上階!」

 

「もう、酔いそう。保証人もいないし、こんな小娘どもに貸してくれるわけ」

 

む~。彩葉のけちんぼめ!

あ、そうだ!朔夜が一緒にお願いしてくれたら彩葉も許してくれるかも!

 

「ほぇ?なんか見つけたの、彩葉?」

 

彩葉が突然うずくまっちゃった。

 

「彩葉~?大丈夫?体アツアツだよ?」

 

「ごめ………かぐや」

 

そう言って、バタンって、彩葉が前に倒れた。

 

「い、いろは?」

 

かぐやが体を揺さぶっても、彩葉は起きないし、返事もしてくれない。

 

「いろは!!いろはってば!!!」

 

いや。いやいやいや。絶対そんなのいや!!

 

頭に浮かんだゲームのバットエンドを、頭の中で必死に否定した。

 

(誰か……誰か………)

 

そんな時に、ぽつんと頭に浮かんだ。

 

 

 

 

「さくや………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

気が付くと、私はいつもの部屋でいつもの布団に寝かされていた。

なんで、家にいるんだろう。あの不動産屋の看板から記憶がない。

もしかして、かぐやが運んでくれたのだろうか。

いや、あいつ金持ちだしタクシー使ってるか………。

 

「おはよ」

 

慎重に首を起こしていると、真隣から声が聞こえて、飛びのいた。

事もなく、力が入らずに私は横に倒れこむ。

 

「おっと………病人は安静に。バイトには休みの連絡入れといた」

 

横に倒れこむ私を、片手で支えてくれた。

それで、またゆっくりと布団に眠らされる。

 

「なんで………」

 

マスクの中の籠った空気の中で、私はガラガラの声を出した。

 

「さくやが、ここにいるの………?」

 

確か、今日は一日中勉強するってかぐやが文句を言っていたのを回らない頭がかすかに覚えていた。

そうだ、かぐやがいない。

どこに行ったのだろうか。

まさか私は朔夜にまた迷惑を……。

 

「………今、彩葉が考えてる事も含めて、話がしたかった」

 

なんで、そんな顔をしてるんだろう。

 

「かぐやには、とりあえず俺の部屋で料理してもらってる」

 

やめてよ。

 

「寝たままでいいから」

 

泣きそうな顔しないでよ。

 

「俺の話を聞いてくれ」

 

……やめてって!!

 

「さくやっ!」

 

私は思うがままに、朔夜の両手を掴んだ。

 

「そんな悲しそうな顔するならっ……話さないでいい!!」

 

「私は………朔夜にそんな顔してほしくない!!」

 

「私の……私のせいで、朔夜に迷惑を………」

 

「かけたく……ないっ………」

 

全部吐き捨てて、目から出るものも止まらなくて。

でもそんな私の名前を、優しく呼びながら。

 

「彩葉」

 

そっと、花に触れるみたいに。

私の頭を撫でてくれた。それがなんだかお父さんに似ていて。

 

「迷惑なんて思ってないよ」

 

「………うそじゃん」

 

「俺の嘘くらい、彩葉なら見破れるだろ?」

 

「………うん」

 

「だからさ、俺の話聞いて?」

 

「………ごめ」

 

「あやまらない」

 

「………は、はい」

 

 

 

 

それから朔夜は、色んな事を教えてくれた。

朔夜の声が、静かに小さな部屋に響いていく。

大きくもなく、強くもないのに。

その一言一言が、逃げ場を塞ぐみたいに胸の奥に落ちてくる。

 

朔夜は、配信者だったらしい。

それも結構人気の人。ヤチヨの護衛をしてた人だ。

今じゃなきゃ羨ましいっていう感想を抱いていたのかもしれない。けれど今は、ただ驚きしかなかった。

 

朔夜は、模試で一位を取れたらしい。

勿論、私も受けた模試だ。

だから、私は一位じゃない。朔夜が一位だ。

 

それで、最後が一番分からなかった。

KASSENの公式大会で、一位を取れる瞬間があったのに。

引き金を、引けなかったらしい。

 

(情報が多すぎて………頭が痛い)

 

けれど、ちゃんと向き合わなきゃいけない。

朔夜が、全部私に教えてくれてるんだ。私も、ちゃんと考えなきゃいけない。

 

 

 

 

彩葉に本当に全部話して、頭と心の整理がついた。

 

「俺はさ」

 

「彩葉と一緒にいれる価値みたいな………資格みたいなのが欲しかったんだよ」

 

小さな頃から、俺と彩葉は対等じゃなかった。

かぐやが赤ちゃんの時にも考えたけど、俺は彩葉の真似事しか出来なかった。

俺の、存在価値って何なのか。

彩葉を越してから、またそれを頭じゃない所で考え始めた。

 

「小さい頃に、ピアノの発表会があったろ?」

 

「……うん。覚えてる」

 

「俺は一位を取れて、彩葉は二位を取った」

 

「昔はな、シンプルに嬉しかったよ。一位が、嬉しかった」

 

「でもな、彩葉が泣いてるのを見たんだ。会場の裏で、彩葉のお母さんに怒られながらさ」

 

「はず………」

 

「まぁまぁ。そこでな、俺は思ったんだよ。思っちゃったんだよ」

 

「………嬉しくないって」

 

そこから、多分無意識だった。

次のピアノの発表会で、俺は手を抜いた。

彩葉は一位を取って、俺は二位を取った。

 

「次の発表会で彩葉の笑顔が、見れたんだ」

 

「俺は、その顔が好きだった」

 

「泣いてる顔の何倍も、何十倍も」

 

別に全部に手を抜いてた訳じゃない。

ほとんどはシンプルに彩葉に負けてた。

 

「彩葉が一位で俺が二位を取る度に、俺は思ったんだ」

 

「俺はそんままで良いのかなって」

 

「小さな頃の俺はバカだったから、一位しか分かんなかった」

 

「一位しか、彩葉とは対等になれないって」

 

「そんな風に思って、そんまま高校生にまでなった」

 

「そんなよく分かんない心境のままこの前、彩葉を抜いた。抜いちゃったんだよ」

 

「馬鹿でも考えりゃ分かるよな。俺が一位を取ったら、彩葉は一位じゃなくなるんだ」

 

「一位の価値が、ぷかぷか浮いてるクラゲみたいに形を持たなくなった」

 

「だからさ、俺分かんなくなったんだよ」

 

「勝つ意味も、負ける意味も」

 

「……彩葉の隣にいる資格も」

 

 

 

 

朔夜がそう言ったとき、胸の奥がびくっと震えた。

 

朔夜の「隣にいる資格」という言葉が、頭の奥で何度も反響していた。

 

まるで、ずっと前から同じことを考えていたみたいに。

 

ずっと前から、同じ場所をぐるぐる回っていたみたいに。

 

ふと、遠い記憶がゆっくりと浮かび上がってきた。

 

まだ今よりずっと背が低くて世界の全部が少し大きく見えていた頃。

 

近所の公園だった。

 

夕方で、空は少しだけ暗くなり始めていて街灯がぽつぽつと灯り始める時間。

 

ブランコが、風もないのにきぃきぃ鳴っていたのを覚えている。

 

私は、砂場の端にしゃがみこんでいた。

 

手のひらは砂で汚れていて、爪の間にも入り込んでいて。

 

何を作っていたのかは、もうすっかり覚えていない。

 

ただ、楽しかった気がする。

 

すぐ隣に、朔夜がいたから。

 

同じ目線で、同じ場所で。

 

当たり前みたいに、そこにいたから。

 

でも、その日は気づいたら、朔夜がいなかった。

 

ほんの一瞬、目を離しただけだったと思う。

 

誰かに呼ばれたのかもしれないし。

ただ別の遊具に遊びに行っただけかもしれない。

 

その時の私は、なぜか急に、周りの音が遠くなった気がした。

 

誰かの笑い声も、保護者達の話し声も、全部ぼやけて。

 

自分だけが取り残されたみたいな感覚が私を襲っていた。

 

砂場の真ん中にぽつんと一人でいるのが、やけに広く感じた。

 

……あれ?

 

なんで、いないの?

 

そんな簡単なことすら、うまく理解できなくて。

 

胸の奥が、じんわりと不安で埋まっていった。

 

立ち上がって、周りを見渡した。

 

ブランコの方。

滑り台の方。

鉄棒の方。

 

どこにも、いない。

 

呼べばいいのに。

 

名前を呼べば、すぐに見つかるかもしれないのに。

 

なぜか、その時の私は、それができなかった。

 

喉の奥がきゅっと詰まって。

 

声を出したら、助けを求めてるのと一緒だったから。

 

━━━助けて?そないなこと気軽に言えるのが私の娘やなんて、ほんま驚きやわ。この世で頼れるんは自分一人や言うたよな?もう忘れてしもたん?

 

ただ、立ち尽くしていた。

 

その時少し離れた場所で、見つけた。

 

朔夜は、知らない子たちと一緒にいた。

 

公園の広場で、楽しそうに笑っていて何かを話していて。

 

その輪の中に、自然に溶け込んでいた。

 

その光景を見た瞬間に胸の奥が、ぎゅっと縮まった。

 

……あ、と思った。

 

ただ、はっきりとそこに自分はいないってことだけが分かった。

 

足が、動かなかった。

 

近づけばいいのに。

 

「入れて」って言えばいいのに。

 

そんな簡単なことすら、できなかった。

 

ただ、その場から動けなくて。

 

じっと、見ていることしかできなかった。

 

しばらくして朔夜が、ふとこっちに気づいた。

 

目が合った瞬間、朔夜の顔の表情がぱっと変わって。

 

すぐに、こっちに走ってきた。

 

「彩葉!」

 

当たり前みたいに名前を呼ばれて。

 

当たり前みたいに、隣に戻ってきて。

 

それだけでさっきまで胸にあったものが、一気にほどけた。

 

――やった。

 

心の中で、小さくそう思ったのを覚えている。

 

でも、同時に少しだけ、怖いとも思った。

 

また、いなくなるかもしれないって。

 

その時の私は、その感情に名前なんてつけられなかったけど。

 

きっとあれが、最初だったんだと思う。

 

隣にいない時間が、こんなにも不安だって知ったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「資格なんて、いらないじゃん……」

 

自分でも驚くくらい、か弱い声だった。

初めて、女子みたいな声を朔夜の前で出した気がする。

 

「……いらない?」

 

「うん」

 

少しだけ、荒れていた息を整える。

 

「だって、私たち……ずっと一緒にいたじゃん」

 

それだけの言葉なのに、さっきの朔夜の言葉のせいで喉が詰まりそうになる。

 

「理由なんて後付けでしょ」

 

「一位だから、とか」

 

「強いから、とか」

 

「そんなのなくても……」

 

言葉が、途切れる。

 

でも、止めたくなかった。

 

「いなくならないでよ……」

 

ぽろっと、落ちた。

言うつもりなんて、なかったのに。

風邪のせいだ。風邪のせいだから、仕方がない。

 

「置いていかれるの、嫌なの」

 

部屋の空気が、止まった気がした。

自分で言っておいて、逃げたくなるほど顔が赤い。

でも逃げたら、全部、全部終わってしまう気がした。

 

「私さ」

 

視界が、またぼやける。

 

「ずっと追いかけてたの」

 

「朔夜を、じゃなくて」

 

「隣にいる朔夜を」

 

「………変でしょ」

 

「でも、朔夜が前に行くと」

 

「その隣がなくなる気がして……」

 

「怖かった」

 

静かに、全部出ていく。

止める気も、もうなかった。

 

「だから、勝ちたかった」

 

「同じ場所にいるために」

 

「……同じ高さにいるために」

 

沈黙があったけど、でも今度は重くなかった。

ちゃんと、届いてるって分かったから。

 

「そっか」

 

朔夜が、小さく息を吐く。

 

「じゃあ俺ら、同じことしてたんだな」

 

「……え?」

 

「俺はさ、隣にいる資格が欲しくて勝とうとしてた」

 

「彩葉は、隣を失わないために勝とうとしてた」

 

「……真逆だな」

 

でも、と朔夜は続ける。

 

「やってること、同じじゃん」

 

その言葉に、私の胸の奥がじんわり熱くなる。

同じって、言ってくれたから。

 

「なぁ、彩葉」

 

「……なに」

 

「もうさ」

 

少しだけ、真面目な声になる。

 

「勝つとか負けるとかで、隣決めるのやめない?」

 

「俺が一位でも」

 

「彩葉が一位でも」

 

「関係なく隣にいるって決めた方が、早くない?」

 

そんなの。

 

そんなの――

 

「……できるん?」

 

思わず聞いてしまう。

だってそれは私と朔夜の、今までの全部を変えるってことで。

 

「できるよ」

 

「俺がそうする」

 

「彩葉がどうでも、俺は隣にいる」

 

「勝手に」

 

一瞬、言葉の意味が分からなくて。

そのあと、じわっと理解が追いついていった。

 

「……なにそれ」

 

少しだけ、笑ってしまう。

 

「めちゃくちゃじゃん」

 

「だろ?」

 

「でもそっちの方が、楽だ」

 

朔夜は、当たり前みたいに言う。

 

「理由とか資格とか考えなくていいし」

 

「逃げ道もなくなる」

 

その言葉に、少しだけ胸がぎゅってなった。

……ああ。ほんとにずるい。

 

「……じゃあ」

 

ゆっくり、言葉を選ぶ。

 

「私も」

 

朔夜とちゃんと、目を合わせる。

 

「逃げない」

 

「隣、やめない」

 

「……勝手に」

 

一瞬だけ、朔夜が目を丸くして。

 

「おう」

 

すぐにふっと笑って、ピースの先を差し出した。

 

かぐやと決めた、仲良しの合図だ。

 

ピースからの、ちょっきんからの、こんっ。

 

その動作が、やけにしっくりきた。

 

勝ち負けじゃなくて。

 

資格でもなくて。

 

理由でもなくて。

 

ただ、そこにいるっていう選択。

 

それだけで、よかったんだ。

 

「……ねぇ朔夜」

 

「ん?」

 

「でもさ」

 

少しだけ、意地悪く言ってみる。

 

「模試は普通に勝つから」

 

「それは別。俺も勝つ」

 

「うわ出た。朔夜の負けず嫌い」

 

思わず、二人で笑う。

 

さっきまでの重さが、少しだけ軽くなる。

 

でもその奥にあるものは、消えてない。

 

ちゃんと残ってる。

 

今度は、逃げないままで。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、かぐやが部屋に泣きべそをかきながら入って来た。

彩葉が余程、心配だったらしい。

それと、俺がひどい顔をしたまま部屋に入ったからだそうだ。

 

「か、かぐや………ふ、二人共死んじゃうんじゃないかって………こわくてぇ………!!」

 

どうやら、ひどく怖がらせてしまったようだ。

 

「死なない死なない、よしよし」

 

赤ちゃんの頃からそうだったけど、かぐやは俺に撫でられるのが好きらしい。

俺が頭を撫でてやると、すぐにかぐやの眼から溢れ出した涙は止まった。

目尻には涙がいっぱいだったけど。

 

「せっかく、作ってくれたのにごめんなかぐや。彩葉眠らせちゃって」

 

「ううん………彩葉が元気ならよかった………」

 

「………よしよし、良い子だな」

 

「うん!かぐやは良い子!」

 

どうやらかぐやは俺が思っている以上に大人のようだ。

てっきり食べてよぉ!って起こすかと思った。

 

「彩葉はさ………なんで倒れちゃったの?」

 

「かぐやのせいじゃない。それだけ覚えとき」

 

「で、でも!かぐやが無理言って………」

 

「なら、俺も倒れないとじゃないか?」

 

「さ、朔夜も倒れるの!?やだやだやだぁぁ!!!」

 

「倒れないから!!倒れないから静かに!」

 

これで彩葉が起きたら洒落にならない。

 

「ご、ごみん………。でもじゃあなんで彩葉だけ倒れちゃったの?」

「なんで彩葉は、そんなに一人で頑張らないといけないの?」

 

俺が、言うべきなんだろうか。

彩葉と彩葉のお母さんの事を。

彩葉のひとり暮らしの事を。

 

俺は改めて、俺の腿の上で寝息を立てる彩葉に目を向けた。

おでこに少し触れると、先ほどよりも熱が下がっているのが分かる。

息も荒くはなく、安静へと向かっているのだろう。

 

(隣………だもんな)

 

後で、めちゃくちゃ怒られるかもしれない。

彩葉に、嫌われもするかも。

でも、俺はこうも思う。

 

(かぐやも()………だよな)

 

切っても切れない程、俺達とかぐやはがんじがらめの糸のように離れられなくなった。

彩葉は分かんないけど、少なくとも俺はそう思った。

それが心地いいと、そうも思った。

 

だから、俺は包み隠さず話した。

彩葉の事も、そんでもって俺がさっき彩葉に話した事も。

 

 

 

「まぁ、こんな所だな」

 

「ほわ~~~………」

 

かぐやは、ぽや~っとしている。

情報過多か。やはりあほなのか。

 

「彩葉のお母さんが激やばってのは分かった!!」

「でも、朔夜のはよく分かんない」

 

「分かんないかぁ~」

 

「うん!ぜんっぜん分かんない!!」

 

ま、良い意味で純粋すぎるかぐやには分かんないか。

俺のこんなひねっくれてた考えは。

 

「でも隣にいる!絶対かぐやも、二人の隣にいる!」

 

「……そだな」

 

かぐやはそう言うって思ったよ。

 

「ありがと」

 

「うん!あ、そうだ。一緒にご飯食べよ!前に作ってくれたパンケーキのお返し。あ、今度また作ってね。朔夜のハッピーエンドパンケーキ!」

 

パンケーキて、これまた随分と懐かしい話を。

 

「今日のメニューはネギ味噌ショウガと卵おじや。まず鰹節と細かく切ったネギとおろしショウガをクソほど練る。そこにアツアツの熱湯を注ぐ。出汁は鰹節から出るので調味料は最小限でOK。次に残りご飯を水で軽く洗ってから本だし少々を溶いたお湯に投入、卵を入れる前に鍋を反対方向にかき混ぜておくと━━」

 

赤ちゃんっていう何も出来ない状態から見てる俺からすると、こんなに成長したかぐやを見るのは、涙ぐましいものがある。

 

(パンケーキなんて、自分で作れるだろうに)

 

それでも、かぐやは俺を求めてくれるらしい。

俺のパンケーキを好いてくれるらしい。

 

「ふ~ふ~。はい、朔夜」

 

そう言って、俺にスプーンを向けるかぐや。

 

(昔、かぐやにあ~んしたっけな)

 

そうだ、あの時はオムライスだった。

 

「ん、あ~ん」

 

「はい。あ~ん。おいしい?朔夜!美味しい?」

 

「うん、美味しいよ。ありがとな、かぐや」

 

「朔夜に褒められちゃった~。撫でて撫でて~」

 

「はいはい、よしよし」

 

あ~んして、頭を撫でて。

 

(まるで……カップ「あの~………」

 

「私の上でイチャイチャしないで貰っていい?」

 

俺の腿で起きた、彩葉が妙に不機嫌だったのは何でだろう。

 

 

 

 

 

 





曇らせの後はちゃんと晴らさねぇとなぁ!!
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