ちょっと変わったガンダム世界を行く   作:乾燥海藻類

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火星攻略編①

デラーズ紛争後、しばらくしてティターンズが発足された。最初こそまじめに治安維持をやっていたが、次第に彼らはスペースノイドの弾圧を始め、原作のような横暴な組織に変わっていった。

反連邦政府のデモ活動も起こるようになり、いずれ30バンチ事件が起こるのは目に見えていた。バンチが変わると察知するのが面倒だなと思っていたが、原作通り30バンチで大規模なデモの気配が流れ始め、俺は介入することを決めた。

さすがに1500万人を見殺しにするのは寝覚めが悪い。

 

ウィリー・ケンプが動くと面倒なことになりそうなので、セイラさんに協力してもらうことにした。彼女は眉根を寄せながらも、高速艇とMSを手配してくれた。結局は事後処理も任せることになってしまったし、この件で一番苦労したのは彼女かもしれない。

 

シロウズも快く協力してくれた。そして、あいつは結構楽しんでいたように見えたな。MSに乗っている時は本当に楽しそうに見える。見た目(ガワ)はゲルググだったが、中身は最新鋭の性能だったしな。たぶん、ゾディアックシリーズのガンダムにも劣らない性能だったと思う。

ニュータイプ用のMSではないため、多少の物足りなさはあったが、その分扱いやすくはあった。

 

ティターンズが実行しようとした30バンチ事件。

デモ鎮圧のために毒ガスを使用して民間人を虐殺しようとしたという事実が明るみに出て、ティターンズは急速に勢いを失い、ほどなくして解体された。

ティターンズといえども、連邦軍内のいち組織にすぎない。支援者、出資者、支持者を失えば、組織はたやすく崩壊するのだ。

ティターンズが解体されて、地球圏は一応の平穏を取り戻した。

 

そんなわけで世間は落ち着いたが、(うち)は平和とは言い難い雰囲気になっていた。

娘たちが、連邦軍の士官学校に入りたいと言い出したのだ。普通ならスペースノイドは入れないのだが、色々と事情が変わった。

 

30バンチ事件をきっかけに反連邦運動は加速し、スペースノイドとアースノイドの対立は一触即発となったが、戦争を望まないというセイラさんの演説によって、事態は一応の終息を見た。

その後、地球連邦政府はいくつかの融和政策を打ち出した。そのひとつに、宇宙(そら)に士官学校を造るというものがあった。これは暗に、スペースノイドでも連邦軍の将官になれるということを認めたのだ。

 

これは異例のことだった。連邦政府は基本的にスペースノイドを軍人にはしたくないのだ。生産人口が消費人口になるわけだからな。今までは、スペースノイドの軍人は、例外を除いて一般兵のみだった。士官とするには教育が必要になるから、時間やコストがかかるのだ。

連邦政府も少しは変わったということか。それとも、努力次第で将官にもなれるというのはただの口実で、実際は大尉あたりで打ち止め、ということもありそうだが。

 

それはともかく、娘たちがなぜ軍人になどなりたいのか。その理由は話してくれない。ニュータイプだからといってなんでも見通せるわけではないし、人の心の中に土足で踏み入るようなマネはしたくないのだ。

ララァは理由を知っているようだが、これはニュータイプ云々(うんぬん)より、母親だからだろう。父親には話せないことも、母親には話せる。そういうこともある。

 

思い返してみれば、前回(まえ)の世界でもMSに乗りたがっていたな。意外に好戦的なのかもしれない。だがなぁ、やはり娘を軍人にさせるのは抵抗がある。いくら最近が平和だからとはいえ、この平和がいつまでも続く保証はないわけだし。とはいえ、頭ごなしに否定もしたくない。さて、どうしたものか。

 

「子どもは、いつまでも子どもではありませんよ」

「そうかな」

 

ララァは賛成のようだ。賛成というよりは、自主性を重んじているというべきか。

ならば……そうだな、戦闘シミュレーターを作るか。

うちには軍用の戦闘シミュレーターが置いてある。それをこなすことが、ウィリー・ケンプとしての仕事だ。そのデータは軍に送られて、色々と活用されているのだろう。

 

ハードはある。ふたりのためのソフトを作ればいい。

それをクリアできたら認めることにしよう。敵機はジオングで、さすがにそのままだと難易度が高すぎるので、0.8シャアくらいにしておこう。

これならまあ、がんばればクリアできるんじゃないかな。クリアできない方がいいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎日毎日、ふたりはこりもせずシミュレーターを続けている。

リプレイを見直したり、ふたりで話し合ったりもしているようだ。難易度の高さに文句を言ってきたりはしない。

パターンを掴もうとしているのかもしれないが、それは難しいだろう。そんな簡単なプログラムじゃないんだ。一応俺も、前回はシステムエンジニアをやっていたからな。

こっちに来てからはパイロットばかりだが、まだ忘れちゃあいない。

 

とはいえ、だ。さすがにここまで手こずっていると、難易度設定をミスったかなと思えてくる。

こっそり難易度を下げるか? いや、0.8シャアくらいはクリアできないと、この過酷な宇宙世紀を生き抜けはしないだろう。相手は人間じゃなくてデータなんだし、つけ入るスキはある。

本当はクリアできない方がいいんだがな。軍人になどならない方がいい。

 

と思っていたが、試験申込日まであとわずかとなった頃に、イリアにクリアされてしまった。

そしてイリアに続いて、レシアもジオングを倒した。

ついにやったかという感慨と、クリアしてしまったかという複雑な思いがあった。

 

クリアされたのなら、仕方ない。約束は守らねばならない。今さらやっぱりダメとは言えない。

まあティターンズもなくなって、アクシズもおとなしい。大きな戦いはないはずだ。

それだけに腐敗が気がかりではあるが。派閥争いとかに巻き込まれなきゃあいいけどな。

 

シロウズにも気を配っているが、あいつもキレどころがいまいちわからんからな。逆襲ポイントがいつマックスになるかわからん。

良い感じの相手を見つけたみたいだから、そのままゴールインしてくれると多少落ち着くとは思うんだが。

 

そんなことより士官学校の方か。

こうなったら認めざるを得ないが、ひとつ懸念点がある。

サイトにあるこの名前だ。

士官学校の校長、パプテマス・シロッコ。

なんでこいつが校長なんてやってんだよ。

 

 

 

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