今夜もアノレトコ☆Music night! 作:つるみ鎌太朗
「さァ〜今夜の最後の曲は、全世界のプリンセス・プリンプリンによる初のラブソング!」
「淡い乙女心をかわいらしく切り取った一曲です。
『Slowly⭐︎My⭐︎Step』……どうぞ〜ッ!」
軽やかな前奏が流れはじめ、合わせてプリンプリンが小刻みにステップを踏みだした。
背後のモニターで桃色の背景に白い花吹雪が渦巻いている。
♪1,2,3,4 step
♪hoppin' steppin' jump
♪Okey-Dokey step
♪Okay-honey my LOVE
アップテンポなリズムに乗り、おどけた表情で魅せるプリンプリン。
しかし本来のパフォーマンスを知るファンからすると、わずかな強ばりが垣間見えた。
客席でランカーも気づいたのかペンライトを振る手にキレがない。
波乱を抱えながらAメロへ入る。
♪初めてだわ
♪ママにも言えない
♪この気持ち
身振り手振りでかわいらしくキメているはずが表情は暗い。
客席から『がんばれ!』と声援が飛ぶ。
♪わたしらしく
♪振る舞いたいのに
♪できないの……
まるで現状とシンクロするような歌詞。
ある意味では伝説のステージを予感させ、スタッフも彼女の一挙一動にから目が離せない。
♪あなただけよ
♪パパにも見せない
♪この笑顔
♪新しく
♪心のトビラを
♪開いてく……
プリンプリンが両手でドアを開くような素振りをすると、背後のモニタで花々がくるくる回りはじめた。
ステージライトもプリンプリンの姿を追いかける。
♪hoppin' steppin'
♪まだ名前のない気持ち
腰に手をあて、リズムに乗って体を揺らすさまは文句なしにかわいい。
だがアイドルとしての顔と一人の少女としての顔が交差し、どこか生々しさがある。
♪Okey-Dokey
♪恐れずに
チラ、と誰かを探すような目線。
ファンもヲタ芸を忘れて見入っている。
プリンプリンはそのままスキップで前進し、サビの終わりを歌い上げた。
♪一歩一歩
♪ゆっくり知っていこう
♪わたしなりのstepで
そこから流れるように二番へ続き、終われば間奏へ。
♪1,2,3,4 step
♪hoppin' steppin' jump
♪Okey-Dokey step
♪Okay-honey my LOVE
熱されたステージでくるくると表情を変化させるプリンプリン。
そこでサプライズが発動した。
ステージ横からアルトコボーイズがステップと共に乱入してきたのだ。
もちろん番組スタッフには言ってあるものの、メディアには完全に伏せられていたため観覧席から驚きの声があがる。
遅くまで練習していたがゆえの一糸乱れぬダンスが炸裂した。
「キィー!」
ひな壇でモンキーがトントンの腕の中で拍手する。
ヘドロも指先でリズムを取り、ベベルとマノンも穏やかな笑みで見守っていた。
ラスサビ直前、プリンプリンの隣をボンボンが横切る。
一瞬だけだったが明らかにプリンプリンの表情が変わった。
瞳に活力が戻り、頬がチークではない薔薇色に染まる。
飛び跳ねるようにステージ中央へ戻り、クライマックスに突入した。
上から純白の紙吹雪が降りしきる。
♪hoppin' steppin'
♪まだ名前のない気持ち
♪Okey-Dokey
♪恐れずに
プリンプリンとアルトコボーイズが声を揃え、同じステップを踏む。
観客の拍手が重なり、会場が一体となる――感激の涙を流しながらペンライトを振るランカーも含めて。
♪一歩一歩
♪ゆっくり知っていこう
♪わたしなりのstepで
プリンプリンは手を高く挙げ、とびきりの笑顔で唄った。
♪ふたりだけのstepで
スタジオ全体が幸福に満たされる。
片手を口の横に添えるとプリンプリンが声を張り上げた。
「皆さーん! 最後、一緒に唄ってください!
せーのっ!」
♪1,2,3,4 step
♪hoppin' steppin' jump
♪Okey-Dokey step
♪Okay-honey my LOVE
ラストでプリンプリンとアルトコボーイズが両手でハートマークを作った瞬間、白いリボンが破裂音と共に宙を舞った。
♪デレデデデー デレデデデー
♪デレデデデー デレデデデン!
「ザーンザザンザンザァーンッ! ブルルルルルルルルルッ!!
今夜の『アルトコ☆ステーション』、お別れの時間がやってまいりました。
いやァ、一瞬どうなることかと!」
花のアナウンサーの横でイモのアナウンサーもハンカチで顔の汗を拭き拭き、
「本当よ〜そこをナンとかさせるのが、アナウンサーの手腕なんですけどね。お兄ちゃん!」
「それを踏まえりゃワタシこそがこの番組のMVP! 誰か褒めてちょーだいっ!
おハガキやメール、ハッシュタグでもナンでもいいからァ!」
「ハイハイ。無事に済んでよかった!」
兄妹の軽妙な掛け合いのあとに、今夜の出演者が映し出される。
まずは同じく兄妹であるべベルとマノン。
ベベルは大輪の花に猫のマスコットがあしらわれた花束を抱えていた。
隣でマノンが笑顔で兄を見守り、背後では劇団アクターズの団員たちが肩を組んで『蛍の光』を熱唱している。
「ベベルandマノン、劇団アクターズの皆さん、ありがとうございましたー!
ベベルさん、ホーリーウッドに行かれてもお元気でー!」
次にヘドロだ。
紫のロングヘアをかき分け、ガーネットの耳飾りが揺れるさまを見せつけている。
かたわらに髭もじゃノッポ、弁髪のチビ、オシャレサングラスの三人組も控えていた。
「ヘドロ、ありがとうございました!」
トントンがモンキーの手を取り、『ばいばい』とジェスチャーをさせると観覧席の若い女性たちが『カワイイーッ』と絶叫する。
「トントン、ありがとうございました!
モンキーもお利口さんでお疲れさま!」
そして最後に。
ステージで仲良く手を振る四人組……。
「プリンプリンちゃん、アルトコボーイズ!
ありがとうございましたー!!」
拍手の中で四人は観覧席と視聴者に向けて笑顔を見せていた。
だが、カメラが遠景に切り替わる前の刹那――。
プリンプリンがボンボンへ向き直り、何かを告げている様子が抜かれた。
もちろんマイクは入っておらず、どんな話をしていたかは誰にもわからない。
しかしながらこの様子はサプライズ以上に話題となり、SNS上で読唇術のできるファンが予想を投稿しあう騒ぎまで発展するのだった……。
そんな顛末を知る由もなく、花のアナウンサーが〆の一言。
「今夜もお付き合いいただき、ありがとうございましたァ〜ッ!
また来週〜!!」
【この番組は……】
アルトコ漁業組合
マンガン出版
デルーデル花畑連合
ケントッキーチキン
映画『New World』
ランカー商会
【ご覧のスポンサーの提供でお送りしました】
終
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
アルトコ中央テレビ
あとがき
こんにちは、つるみです。
忙しいのもひと段落したので軽いものを書こうとしました。
結果、わりと長くなりました(笑)
ジョークなので肩の力を抜いて読んでいただければ幸いです。
音楽番組が好きなので『プリンプリン』のキャラたちがアーティストになったらどうなる? というifを書いてみました。
それぞれについて語ってみようかな。
【アルトコボーイズ】
最近M◯lkにハマっているので男性アイドルグループは入れたかったし、この三人組がいちばんハマるだろうなと即決まりました。
M◯lkについてはスーパーにわかなので最近の曲しか知らないんですが、Y◯uTubeの動画を視ると微笑ましいですね。
明るい雰囲気のキラキラなステージを……と思ったのに歌詞どうした。ヤンデレすぎる。
要約したら『登校二時間前までL|NEして寝落ちして既読ついていないと病んだ挙句、毎日同じ曲がり角でぶつかっては食パン強奪する男』の曲になってますね。
ふざけちゃいました。ごめんなさい。どこがM◯lkだよ。
【ベベルandマノン】
『グノーシア』パロに引き続きベベル兄さんが大変なことに。ネコ吸い常習犯にしてしまいました。すみません。
本編があんな感じだからハメを外したくなったのでしょうか?
アルトコボーイズへの反応もズレてるし、マノンちゃんのツッコミが冴えてしまう。
舞台役者の設定はお耽美寄りの二人に似合うんじゃないかと考えてこうなりました。音楽番組で舞台音楽が入ると、一気に流れが変わる感じも出してみたいな、と。
ベベルも本当はプリンプリンに想いを寄せているハズですが、出てくる男が軒並みホの字だと収拾がつかなくなるので今回はマノンちゃんと仲良くしておいてもらいました。
改めてプリンプリン、モテすぎだな。
【ヘドロ】
『【推◯の子】』の三期OPのちゃ◯みな氏の歌番組のパフォーマンスがカッコよかったんで、そのイメージです。
でも昭和歌謡の雰囲気も混じっています。ジャズ歌手の気だるげな感じがヘドロに似合うと思いました。
三人組はもちろんシドロ・モドロ、ゼロゼロセブン・ヘンナキブンです。中でもヘンナキブンが役得でしたね。
ヘンナキブンは今回の再放送で出てこなかったキャラですが、意外とお仕事は割り切ってやるタイプで。プリンプリンの祖国が見つかった(?) という時も、『姫さんおめでとうございやした』て言ってくれる(笑)
ただヘドロに対しては義理堅くて「死んじゃったかも」って時は泣いているんですよ。ランカーはアレだし、ヘンナキブンのほうがイイ男じゃね? と思わなくもない。
でも私情を挟まない男だからなぁ〜。だから、ヘドロに近づかれても平常心でコーラスをやり切ってもらいました。
【トントン】
いい加減ウチのプリンプリンはトントンの気持ちに気づくべきと思う。いつも助言してもらいすぎだ(笑)
今回はまだプリンプリンも恋がどうだの気づいていないからトントンがもう少し強く出たら脈アリかもしれない。そもそも本編(以下略)
パフォーマンス部分でキーボードを弾いているシーンがありますが、すこし前にオ力ムラちゃんがライブでキーボード弾いている動画を視まして。カッケエ〜ってなったのでそのままです(笑)
最新アニメの主題歌を担当しておられましたね。わたしがイチバン好きな曲は『真夜中のサイクリング』です。最もグッとくるバラードは『友人のふり』……テンション上がるイントロは『Out of blue』です。あれ、全部好きじゃんね。
他にイメージしたのは昨今のH野源さんですか。なんか、暗い中で唄っている印象がある(笑)
どちらもテクノじゃないけど、イイ感じのステージを思い浮かべたらお二方が思い浮かんだというワケです。
トントンのイメージに合ってるかはナゾだけど……。
【プリンプリン】
アイドルというのは、応援したくなる姿が大事だと思います。ハプニングがあっても乗り越えようとする姿勢。
『わたしが支えないと!』
そんな気持ちにさせてくれる存在が「アイドル」なんじゃないかなあ。推す、ってそういうことだと思う。
モチロン本来は才能があって可愛くて知名度もあるような人なんて、自分が推さなくても売れてるし大丈夫。
なんだけど身近に感じる。背中を押したくなる。
この子に笑ってほしい。
というのを考えたらトリのステージがこうなりました。とりあえずランカーはスポンサー降りるべきですね!
ちなみに横切ったボンボンがかけた言葉は、
『笑って、プリンプリン。
きみの笑顔が好きだ』
です。
最後にプリンプリンがボンボンと話していたのも『言いすぎてゴメンね』程度で色っぽい話題ではなかったのです(笑)
ゆっくりStepらしいので、そんなものです(笑)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
巻末付録:全アーティスト歌詞一覧
おひさまPrincess
唄:アルトコボーイズ(ボンボン、オサゲ、カセイジン)
(ボンボン)気だるいmorning 登校中 まだ食パンかじってるキミ
(オサゲ)ひとくちちょ〜だい 間接ちゅー? まだよくわかんない
(カセイジン)いつもぶつかる曲がり角
(ボンボン/オサゲ)偶然だとトボけてるケド ホントはね
(カセイジン)朝に弱いキミのため
(三人)待ちぶせしてたのさ
☆(三人)寝ぼけまなこPrincess 目覚めのKiss代わりAttack
(オサゲ/カセイジン)お願い 気持ちに気づいて
(三人)驚き顔Princess Romance始まるShock
(ボンボン)大好き 愛が止まんない
(三人)
さあはじめよう トクベツなoneday
ボクだけの おひさまPrincess
(ボンボン)切ないevening LAINE中 既読スルーなキミ
(オサゲ)返信ちょ〜だい 夕飯ちゅ〜? ボクもそうだった
【スマホ置きなさい! ※カセイジンによるセリフ】
(ボンボン)夜に交わすメッセージ
(オサゲ/カセイジン)ヒマだとごまかしても ホントはね
(ボンボン)大好きなキミのコトバ
(三人)血まなこなのさ
(三人)眠り姫なPrincess おやすみKiss代わりTap
(オサゲ/カセイジン)また明日 直に喋りたい
(三人)だんまりなPrincess Romanceも眠るMoonlight
(ボンボン)愛してる ナミダ止まらない
(三人)
さあ備えよう 新しいoneday
愛おしい 気まぐれPrincess
(オサゲ)昨夜 LAINE 寝オチてた
(カセイジン)目覚めて 慌てて 見たケド
(ボンボン)二時間前のメッセージ
(オサゲ/カセイジン)既読ついてなかったよ
(三人)何してたの?
☆くりかえし
舞台『アクタ狂想曲』より
『受け継がれし焔』
唄:ベベル、マノン、ルチ、劇団アクターズ
(ベベル)
十五年越し 幕が上がる
復讐の幕が
懐かしき我が城 憎き仇……
なぜ争うのか 彼らは何に従うのか
塗り替えられたしきたりの中
のろしを上げよ この赤き血で
いつわりの法を燃やせ
(マノン)
なぜここへ来たのか 貴方は何に従うのか
塗りつぶされた絶望の中
踵を返し この地を去るがいい
魂の炎のまま生きよ
(ルチ)
ワタシがこの国の法で ワタシがこの国そのもの
異論は認めぬ
その証拠に国民たちは 立ち上がらぬではないか
(ベベル)
いいや 人の命の火は
決して絶えることはない
かまどの火に ろうそくの明かりに
受け継がれてゆく
(マノン)
生命の火が消えようと
貴方の炎は消させない
私の胸 私の瞳
永遠に燃え盛る……
人の想い それはしるべ
闇の中で きらめく灯
見失うことなく 生きていこう
(ベベル/マノン)
どんなに嵐が起ころうとも
決意の火は消えぬ
我らの心 折れぬかぎり
この火は絶えぬ
この火は絶えぬ
You're not No.1
唄:ヘドロと部下たち
アタシをロックオンしたつもり?
先に視線を送ったほうが負けなのよ
アンタの天下はもう終わり
アタシを狙ったばっかりに
ねえ どんな気分なの?
見下していた女に振り回されて
甘いコトバさえ吐けば
この世は思いどおりになると思っているのね
☆You're not No. 1 お遊びも知らない坊やはお呼びじゃない
テレビゲームばかりして 紛い物のステータス磨いてきたんでしょ
You're just poor someone 本当のオンナを見誤るboyじゃない
火遊びを知るオトコ それなら視線くれてやってもいい
I'm just No. 1……決めるのはアタシよ
フッた男の数だけ 紅いjewelry 増やしてる
アタシを出し抜いてたつもり?
先に油断をしたほうが負けるのよ
アンタのターンはもう終わり
今後はずっと転落人生
ねえ どんな気持ちなの?
口説いていた女にツバ吐かれて
甘い見通しでジ・エンド
この世は思いどおりにならないから面白い
I’m not them,anyeone 駆け引きで相手を何度も出し抜くの
画面見てるだけじゃ ホンモノのお宝は手に取れないでしょ
I’m just No.1 本当のオトコが現れる その日まで
勝ち続けていくわ アンタは所詮 ついてこれないだろ
You're not No.1……脇役ね、アンタは
切れた縁のぶんだけ 焦がれる恋を求めてる
☆くりかえし
I'm just No. 1……決めるのはアタシよ
I'm just No. 1……決めるのはアタシ
You're not No.1……You don't take the lead
フッた男の数だけ 紅いjewelry 増やしてる
New World
唄:トントン
古い世界 降り立つ僕に 湧き立つ感情
冷めた胸に 虚しいほどに つまらぬ感傷
人はいつの世も 変わらぬ舞を踊り
きみも例外なく 同じだと予測していた
☆New World 新世界 信じていた僕に
New World きみという 未知の太陽
世界がはじまる……
時は化石 凍てつく世界 過ぎ去る万象
止まる時代 切ないほどに 焼きつく残照
人はいつの世も 変化を恐れるのに
きみは僕を置いて 未来へと加速していた
★New World 新世界 追いやられる僕と
New World きみという 消える光
世界が終わる……
☆くりかえし
★くりかえし
きみという世界 New World 僕を変える……
Slowly☆My☆Step
唄:プリンプリン
☆1,2,3,4 step
hoppin' steppin' jump
Okey-Dokey step
Okay-honey my LOVE
初めてだわ
ママにも言えない
この気持ち
わたしらしく
振る舞いたいのに
できないの
あなただけよ
パパにも見せない
この笑顔
新しく
心のトビラを
開いてく
★hoppin' steppin'
まだ名前のない気持ち
Okey-Dokey
恐れずに
一歩一歩
ゆっくり知っていこう
わたしなりのstepで
心配だわ
友だちも知らぬ
この気持ち
以前までと
まるで違う町
迷路のよう
気が気でないわ
先生も答え
わからない
こんな難題を
解けるかしら
rollin' windin'
まだ答えも知れない
honky-tonky
迷っても
トキメキ
集めて進んでいこう
ふたりだけのstepで
☆くりかえし
★くりかえし
ふたりだけのstepで
☆くりかえし