・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・あまり定食屋で無茶を言うのはやめましょう
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帝国の皇女、アーデルハイドは思案していた。ねこやのメニューはいつも美味い。最近になって貧民殺しの病も完治し、食欲も旺盛になり、ねこやで食べるときはチョコレートパフェを二つ食べられるようになった。未だ離宮での生活だがこちらの食事ももりもりと食べるようになった。
「・・・うーん。」
ねこやで食事もしても良いのだが、ねこやではチョコレートパフェを思う存分食べたい。ねこやの食事を取りたいがチョコレートパフェが食べられなくなる。どうしたものか・・・・・・と考えるが答えが出ない。
「・・・・・・うーん。」
考えても答えが出ないので。今日は花壇を眺めて過ごそう。そうしてハンナを連れ添わせ穏やかに過ごしていた。だがそこへ他のメイドがハンナに口添えをしにきていた。
「・・・・・・わかりました。下がってください。」
「ハンナ?どうしました?」
「いえ、お客様がいらっしゃるようでして。」
「お客様?」
「はい。ラナー様が帝国に来るらしいのでアーデルハイド様にお会いしたそうです。」
「まぁ!ではハンナ、お部屋のお片付けをおねがいしますね。」
「はい。」
ラナー様が来る。それだけで心が躍った。あまり楽しみが無い離宮の暮らしも潤うと言うものだ。そうだ。いつものドレスでは味気ない。後でハンナと選ぼう。
「まずは自分で選びましょう。」
早速離宮の衣装部屋に向かうのであった。
⏰
「うーんと・・・・・・こちらは少々派手すぎますね、ラナー様が驚いてしまいますね。こっちは・・・・・・これはいつ着たんでしたっけ・・・・・・」
アーデルハイドのクローゼットは王宮から持ってきたものでここ最近まで埃を被っていたものだ。少々埃取りをお願いしなきゃならない。
「これも、これもこれも埃まみれ。最近使ったもの以外ダメですね・・・・・・ハンナ・・・・・・助けてください・・・・・・」
その時だった。このクローゼットの中は締め切っている筈なのに頬を風が撫でたのだ。おかしいな?と感じて見渡すと暗がりに先ほどまで無かった壁がある。はて、と思って近づくと。引き戸、そしてその上に看板。読めない文字で書かれているが察することが出来た。これはねこやと同じ文字だと。そういえばチョコレートパフェを待つ間に他の客・・・剣士やエルフが話していたのを思い出す。曰くここ以外に異世界食堂があると。だがプリンアラモードさんことヴィクトリア様が言うには冒険者が食べるような食事に特化していてデザートの類いは無いと聞いている。しかしアイスキャンデー、あれは美味とも言っていた。
「異世界食堂ですね。」
朝食を食べてしばらく経っているので昼食には早いが食べられる。だが冒険者が食べるような食事は私に合うだろうか。
「・・・。」
ハンナを連れて行こう。ハンナなら私が残しても食べてくれるかもしれない。
「ハンナ〜」
私はハンナを呼びに走るのであった。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「らっしゃいい!!!!」
「まぁ。」
「はぁ。」
異世界食堂、定食屋ふたばはねこやとは違う様相であった。
「アーデルハイド様。あの、こちらの店は、アーデルハイド様をお迎えするような感じでは・・・」
「大丈夫ですよハンナ。座りましょう。」
「・・・もう。」
「こちらメニューですぁ!!!」
「ハンナ、メニューですって。随分大きいのですね。」
「アーデルハイド様、私が持ちます。」
「はぁい。」
ねこやよりももっと多いメニューにくらくらしますが、同時にワクワクします。このメニューすべて美味しいものだと思うと心が躍ります。
「ハンナは何を食べますか?」
「そうですね・・・説明書きがありますが味の予想が出来ません。」
「うーん・・・あの、店主様?」
「店主様なんて仰々しくなくていいですよ。気軽に店主!って呼んでください!で、なんでしょう。」
「じゃあ店主さん?ちょっと説明を読んでもわからなくて・・・何かこれ!というものはないでしょうか。」
「そうですねぇ食べたいものを言ってくれればそれに近いものを作りますよ。」
「うーん・・・・・・うーん。」
「店主。ここは冒険者のような職の方が集うような食堂ですよね。我々の様な女性の昼餉はありますか。」
「ありますよ!!メニューの・・・・・・ええと。確か35ページ。
「35ページ・・・れでぃすらんちていしょく?」
「それが女性向けランチ定食です。」
「では私はれでぃすらんち定食にします!ハンナは?」
「では私も同じ物を。」
「はいよぉ!!!」
どんなものが出てくるかわからないがきっと美味しい物だというのはわかる。そして数刻待つと色とりどりで美しいプレートが出てきたのを見てアーデルハイドは目を輝かせるのであった。
「まぁ!まぁまぁ!」
「こ、これがれでぃすらんち定食・・・・・・」
「こちらがえび焼売。春巻き。そしてミニ麻婆春雨です。」
「????」
「え、えと・・・?」
「えび焼売っていうのはえびを肉と皮に包んで蒸したやつ。春巻きはいろんな具材を小麦で作った皮で巻いて揚げたもの。麻婆春雨は春雨っていう米のパスタのピリ辛の炒め物です。」
「???????」
「何もわからない・・・」
どうしよう。なんかよくわからないものが出てきてしまった・・・・・・と思ったがアーデルハイドは我先にと2個あるうちひとつのえび焼売にフォークを刺して齧り付く。それを見たハンナは顔を青くしたがアーデルハイドが恍惚の表情をしていてほっとしたのだった。
「ハンナ・・・すばらしく美味しいです。」
「そうなんですか・・・・・・?」
ハンナもえび焼売を頬張りその暴力的な美味さに舌がひっくり返りそうになっていた。アーデルハイドが恍惚の表情になってたのもうなづける。そして再びアーデルハイドをみるともう既にいろんなおかずに手を出しておりご飯をおかわりしていた。速すぎる。
「アーデルハイド様!?」
「ハンナ!もぐもぐ!匙が!止まりません!」
「ええ・・・・・・そんなに早く食べてしまっては喉に詰まってしまいます。もう少しごゆっくり・・・・・・」
「ですが!はむはむ!このはるまきという料理!とてもすばらしいです!はむはむ!」
「はぁ・・・・・・」
貧民殺しの病で食が細くなっていたアーデルハイドがここまで食欲を出してくれたのはハンナは嬉しく思う。だが最近食べ過ぎではないかと心配していた。このままでは物語の強欲な王の様に肥え太ってしまうのではないかと思案する。
「ははは!お客さんいい食いっぷりですねぇ!!おかずのおかわりも銅貨2枚で出来ますよ!!」
「ほんとですか!ではこのはるまきと言う物をおかわりします!!」
「はいよぉ!!!」
「アーデルハイド様!?!?」
まずいこのままでは帝国の丸姫になってしまう。ハンナはどうしたものかと考えた。そうだ。もう元気なのだから運動をさせよう。アーデルハイド様を太らせてしまったらヴィルヘイム様に顔向け出来ない。ハンナは覚悟を決めた。
「美味しかったです♪ごちそうさまでした。」
「私も・・・・・・美味しかったです。」
「ハンナ、お勘定をしてください。」
「はい。すみません店主!お勘定を!」
「はいよぉ!!お客さんうちは初めての客はタダなんですよ。だから気にしないでください。次回からはいただきますけどね。」
「え?そうなのですか?」
「まぁ。では店主さん、ありがとうございます。次回は必ずお支払いしますね。」
「ありゃりゃしたーーーー!!!!」
アーデルハイドは帰ろうと扉に向かった・・・・・・が、急に踵を返した。
「あの!店主さん!」
「なんでしょ。」
「あの・・・・・・あいすきゃんでーというものがあると聞いたのですけど・・・・・・」
「ああアイスキャンデーね。それなら入口の横の冷蔵庫にありますよ。アイスキャンデーはそんなに量が無いので初めてさんでも1人1個にしてくださいね。」
「はい♪」
そうしてアーデルハイドは冷蔵庫をゴソゴソ漁りソーダ味のアイスをひとつ取り出した。店主から開け方を教えてもらい。ガブっと齧ると聞いてしゃくしゃく食べ始めるとあっという間に平らげてしまう。アーデルハイドのとっても甘くてスッキリするという言葉を聞いたハンナは戦慄した。マズイ太る。
「ふぅ!食べましたねハンナ。」
「そうですね・・・・・・」
危機感を覚えたハンナは絶対アーデルハイドを運動させようと思った・・・・・・が。結局ニコニコといろんな物を頬張るアーデルハイドに負けて食べさせてしまうのであった。アーデルハイドが腹の肉を摘んで戦慄するまであと・・・・・・日。