・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・定食屋のメニューが多かったらオススメを聞きましょう。
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トレジャーハンター、サラ=ゴールドは焦っていた。ねこやで聞いたもうひとつの異世界食堂、それが見つからない。ねこやでメンチカツを食べながら他の客の話に聞き耳を立てると割と結構な客がもうひとつの異世界食堂のふたばに赴いてる事が窺える。エビフライくらいではないか。行ったことないのは。
「・・・。」
それにねこやは祖父であるウィリアム=ゴールドの宝である。サラは自分の宝が欲しかった。
「・・・くっ。」
今日も聞いた。二人組のドワーフ、シーフードフライがフタバの食事を堪能しているのを。悔しかった。だが他の人が使ってる扉を使う気にはなれなかった。自分で誰も見つかってない扉を見つけてこそトレジャーハンター。
「・・・でも、厳しいわよねぇ。」
神出鬼没な扉を見つけるのは骨が折れる。そもそも神の意思のようなもので出現場所が決まっているのだから推測のしようもない。
「うーんアレッタ〜〜〜!」
「はーい!!!」
自分の家に小間使いとして雇っているアレッタを呼ぶが・・・・・・それで何かが解決するわけじゃない。
「アレッタはフタバの扉ってどこに出ると思う?」
「えええ!?わ、わかりませんよぉ。」
「そうよねぇ・・・」
「あ!でもでも!」
「?」
「ねこやに来る皆さんが行ってるんですよね。もしかしたらねこやの扉の近くに出てくるんじゃないですか?」
「うーん・・・」
アレッタの言うことには一理あった。ねこやのドヨウの日から4日後のスイヨウの日に7日に1度現れるフタバの扉。ねこやの客がフタバに行った事を難なく報告しているのを考える。行くのが大変だったら大変だったと言うはずだ。と考えるとねこやとフタバの扉は近いところにあると考えるのは普通の事になると思う。と、すると・・・
「あの廃坑の町かあそこね・・・・・・」
「え?」
自分が知っている扉は二つ。あの廃坑の扉とアレッタが使っている扉。アレッタの扉はアレッタが使うので使ってないがもしかしたらその扉の近くに出るかもしれない。
「よし!!!しばらく張って見ましょう!!!アレッタ、しばらく出るわね。」
「あ、はーい!!」
そしてサラはアレッタの扉の周辺を張り込む為に準備を始めるのであった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「恐らく今日がスイヨウの日・・・アレッタの扉周辺には・・・無いわね。」
「今日は私もお手伝いします!!」
「頼むわよアレッタ。」
とりあえず1人より2人。2人でアレッタの扉近辺を探し回る。そして夕方まで探し回ってくたびれてきたところ。アレッタに声をかけて帰ろうかと考え始めていた。
「無いわね・・・・・・」
「あーーーー!!サラさーーーんこっちこっちーーー!!!」
「なに?」
「これーーー!これじゃないですかーーー!!」
「え・・・・・・そっちはアレッタの扉のあるとこじゃない・・・・・・」
アレッタに呼ばれアレッタの扉のあった場所に行く。そこには・・・・・・
「嘘でしょ・・・・・・」
「サラさん!!これですよね!?」
「そ、そうね・・・」
「でも・・・・・・この場所・・・・・・」
「そう、よね。」
フタバの扉が現れた場所。それはアレッタがねこやに通勤する場所と全く同じ場所に現れていたのだった。あれだけ探し回ったフタバの扉がこんなに簡単に見つかりもうくたびれたがそれは良い。これは私が見つけた、サラ=ゴールドの扉だ。せっかくアレッタがいるのでアレッタも連れて行こう。
「さて、アレッタ。行きましょう。」
「え?!私もいいんですか!?」
「良いに決まってるじゃない。行くわよ。」
「は、はいぃ!!」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「らっしゃぃぃ!!」
「へぇ。」
「わぁ!」
ねこやとは全く違う様相の店内。なかなか繁盛していて賑わっている。
「お客さん初めてですよね?うちは初めての人タダなんで!!!お好きな席へどうぞァ!!!」
「アレッタどこ座る?」
「あっちのテーブルにしましょう!」
奥の椅子の無いテーブルだけの席は空いていたのでそこに向かう。店主から履物を脱いで座るんですよと言われてその通りにし、更に店主からことさら分厚いメニューを渡される。
「なにこのでかいメニューは。どんだけ種類があるの?」
「店主さんはこのメニュー全部覚えてるんですかね。」
メニューを見ていくが説明付きなのもすごいが何より目を引くのはその精巧な絵。2人は画家ではないがそれでもわかる精巧さは目を見張るものであった。
「すごいわこの絵。色付きで精巧でまるでそこに料理があるように描かれてる・・・金を掛けたいところだけど本当にここまでお金を掛けるところなの?」
「あ!サラさん!こういう絵ねこやで見たことあります!マスターがしゃ、しゃしん?っていう絵だって!」
「そうなの・・・・・・うーん絵と説明でどんな料理か想像出来るけど味の想像は全く出来ないわね。」
「ですね〜」
「アレッタは何か気になるのあった?」
「えっと・・・・・・ねこやにもあるメニューがちらほらあるんですけど・・・・・・せっかくならねこやに無いもの食べてみたいです。」
「そう・・・・・・そういうのもものすごくたくさんあるわね・・・・・・あ、そうだ。店主!ちょっと!」
「あいよぉ!!!」
「あのね、日替わりのやつってある?」
「すいやせん・・・・・・うちは日替わりやってないんです・・・・・・」
「そうなのかー・・・・・・」
「あのーもしよくわからないのであれば食べたい物を言っていただいて。それに近い物を作るってことも出来ますよ。」
「そうなの・・・・・・アレッタ何か食べたいものある?」
「コーンクリームスープが飲みたいんですけど・・・・・・それくらいですね。」
「コーンクリームスープならえーと・・・・・・銅貨1枚で味噌汁から変更出来ますよ。」
「そうなんですか!?」
「じゃあアレッタはコーンクリームスープに変更だけど注文は私と一緒ので良い?」
「はい!!」
「それじゃあ・・・・・・店主。私メンチカツが好物なの。この店で変わったメンチカツがあればそれが食べたいわ。」
「なるほどぉ!!もしやお客さんねこやさんにも行ったことありますね?変わったメンチカツですかぁ・・・うちだとキャベツメンチ、塩メンチ、あと味噌メンチがあるんですけど。変わったメンチなら味噌メンチですね。このメンチ他の店で見たことないんで。」
「じゃあそれにするわ!」
「あいよぉ!!味噌メンチ定食ふたつぅ!!!一個はコーンクリームスープに変更ですね!!!」
「はい!!」
「お願いするわね。」
みそメンチとはメンチに何をしたのだろうか。みそとは確かねこやでも聞いた調味料でスープの原料だったはず。それをメンチに?味の想像が全く出来ない。
「みそめんちってどういう料理なんでしょうね〜」
「メンチカツなのはわかるけど・・・みそをどうしたのかしら。」
「味噌メンチ定食二つお待ちイィぁ!!!」
「きたぁ!!」
「へぇ・・・」
出て来たのはねこやでも見たことのある風体のメンチカツ。だがレモンもソースも添えられてない。
「店主、これソースは?」
「味噌メンチはソースがいらないんですよ。味が濃いんで。」
「そうなの。」
テーブルの端にあった木の箸を取る。ねこやでもたまにこの割るタイプの箸を使うことがある。箸を割ってまずはメンチカツ。さっくり割って一口運ぶ。
「!!!!!!!」
「わー!おいしー!」
ねこやと比べると遥かに味が濃い。みそを加えるだけでこの様な変化が生まれるのか。これなら確かにソースもレモンもいらない。
「店主!ご飯おかわり!」
「店主さーん!コーンスープおかわりしてもいいですかー!」
「はいよぉ!!!」
そしてこの濃厚なメンチカツが全身に行き渡るほど堪能した。サラは通算味噌メンチを二回おかわりし、アレッタはコーンクリームスープを5回もおかわりした。
「ふぅ美味しかったわね。」
「はい!マスターと同じくらい料理が上手い人初めてでした!」
「それじゃ行きましょうか。」
「はい!」
「お帰りで?」
「あ、はい。ごちそうさま。美味しかったわ。」
「また来ますね!」
「お粗末さまぁ!!お代は初めてなので無しです!!次回からはいただきますんで!!!また来てくださぁい!!!」
こうしてサラはフタバを後にした。祖父のウィリアム=ゴールドの宝に並ぶ、自分だけの異世界食堂の扉を手にした気分は大層良かった。