異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・定食を食べる前はおしぼりで手を拭きましょう。

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エビマヨ定食

公国の騎士、ハインリヒ=ゼーレマンは砦近くの森にオークの集落が出来ていると報告を受け、その討伐と集落の破壊の任を受けた。

 

「皆の者ォ!!!行くぞ!!!」

 

号令を掛け、兵たちを率いて出立する。目指すは近隣の森。オークの規模に寄るが200人の兵力で充分に掃討出来るとハインリヒは考えていた。オークの集落を探し出し、その襲撃に備えているとふと風が撫でる。近くに花畑でもあるのか心地よい薫風に心を宥めさせたハインリヒは、これは吉兆であると兵に声を掛け、オークの集落に畳み掛けた。オークの数は50程で難なく全て討伐し、集落を焼き払っていく。だがその焼き払いの作業中、兵の1人から報告をハインリヒは受けるのであった。

 

「何?燃えない扉?」

 

「はい・・・火炎魔法の魔導師からの報告でして。魔法でも燃えず、油をかけて燃やそうとしても燃えない不思議な扉があると・・・・・・」

 

「ふむ・・・・・・」

 

ハインリヒは思案する。不思議な扉なら覚えがあった。おそらくねこやの扉ではないかと推測した。砦からここまで近い距離にねこやの扉が出来たならいつも使う扉より遥かに楽になる。口角をあげてエビフライへ想いを飛ばすこと数瞬。扉を見てみる事にした。

 

「扉へ案内せよ。」

 

「はっ!!」

 

兵に案内させると集落のあった端っこの端っこ。花畑になってる場所に扉はあった。だがその扉を見てハインリヒは逡巡した。見たことない扉だったからだ。

 

「(なんだこれは。明らかにねこやの扉ではない。)」

 

ペタペタと扉を触り、調べる。引き戸を触ると動くことから鍵などは掛かってない事がわかった。そしてふと気づいた。

 

「(もしや・・・メンチカツの言っていたフタバの扉ではないか?)」

 

ねこやの飯友、トレジャーハンターのメンチカツが言っていたもうひとつの異世界食堂。自分はねこやでエビフライが食べられればそれで良かったので微塵も興味が無かった。だがこうして現れるとどんな美味い物があるのかと興味がムクムクと湧いてくる。

 

「貴様、ドロトロイ隊長を呼んでくるのだ。この扉の先へ調査に行く。」

 

「は、はっ!!しかし大丈夫でしょうか。」

 

「だからドロトロイ隊長を連れて行くのだ。貴様は我々が戻ってくるまでキーハス隊長と扉の警護をしろ。扉には決して手を出すなよ。」

 

「はっ!!!」

 

共にこの砦に配備されたドロトロイ隊長を呼び寄せる。付き合いが長いので何でも頼めるドロトロイ隊長はハインリヒの竹馬の友とも言える存在だった。

 

「ドロトロイ、この扉の調査に行くぞ。」

 

「はっ。私で良かったのですか・・・・・・?剣の腕ならバルメスの方が上ですが・・・・・・」

 

「貴様が良いのだ。期待していろ。」

 

「はぁ・・・・・・?」

 

そしてハインリヒは引き戸を開いた。冬なのに春の様に暖かい空気を感じ、やはりねこやと同じだと胸を高鳴らせた。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「らっしゃっしゃせぃ!!!」

 

「いらっしゃいませー!!!」

 

「いらっしゃいませ!!!」

 

「おお!!」

 

「こ、ここは!?」

 

「お客さん初めてですよね?ここは異世界食堂!!定食屋ふたばです!!初めての人はお代が無料なので!!おなかいっぱい食べてくださいね!!」

 

「うむ!!そうか!!では席に案内せよ!!!」

 

「鎧があるのでお座敷の方がいいですね。こちらにどうぞー!!!」

 

「うむ!!」

 

「ハインリヒ様・・・・・・ここはいったい・・・・・・」

 

「ドロトロイ、ここは公国の目は無い。崩して良い。」

 

「そうで・・・・・・はぁ。そうかいハインリヒ。」

 

座敷に座りクソデカメニューを渡される。ハインリヒは早速シュライプのメニューを探し始め、ドロトロイは出された水を一気飲みした。

 

「むむ、シュライプのメニューが複数あるな・・・・・・エビチリ・・・・・・エビカツ・・・・・・エビアボカド・・・・・・」

 

「ハインリヒ、そいでここは一体なんなんだ。」

 

「ここは異世界食堂だ。あの扉は異世界へと飛ばす扉なのだドロトロイ。」

 

「異世界?そらまたけったいな・・・・・・」

 

「むむむむ・・・・・・どれも美味そうだ・・・・・・エビフライもあるのか!!むぅ・・・・・・流石にここでねこやと同じエビフライというのも芸がないな。」

 

「しかしうめぇ水だ。」

 

「・・・・・・ドロトロイ。注文は私と同じで良いか?」

 

「構いやしねぇよ。よくわからんしな。」

 

「わかった。すまない!!!注文を良いだろうか!!!」

 

「はーい。」

 

龍の脚を持つ少女が走ってくるが何か板に棒の様な物を持っている。

 

「エビマヨ定食をふたつ頼む。」

 

「エビマヨ定食二つですね!少々お待ちください!!エビマヨふたつーーーーー!!!!」

 

「おい見たかハインリヒ。」

 

「何をだ?」

 

「あの子供、文字を書いてたぞ。そんな頭の良い子を給仕に使う店ってどんな店だ?」

 

「深く考えるとハゲるぞドロトロイ。」

 

「そんな簡単にハゲてたまるかよ。」

 

ハインリヒは辺りを見渡しながら考える。ねこやもねこやで賑やかではあったがこの店は酒場の様な賑やかさだ。勢い良く飯にがっつく隣の席のエルフの集団、山のような飯を掻き込む龍の翼を生やした少女、カウンターで良い香りのする飯を食っている恐らく魔物の少女達。種族のごった煮なのはねこやと変わらない。ある意味安心感があった。

 

「エビマヨ定食二つお待ちでーーーす!!!」

 

「来たか!!!」

 

「?」

 

「ご飯と味噌汁はおかわり自由なのでいつでも言ってくださいね!!」

 

「うむ、かたじけない。」

 

ハインリヒはエビマヨ定食を眺める。白いソースがかけられたまあるいシュライプ。そして輝く白いご飯。芳しい香りの味噌汁。完全に仕上がったシュライプ料理にハインリヒは興奮を隠せなかった。

 

「さて食うぞドロトロイ。」

 

「あ、ああ。」

 

まずはエビマヨ。ひとつ口に放り込むと濃厚なマヨネーズというソースの味。そしてその奥からやってくるシュライプの旨み。それはねこやで食べたエビフライとタルタルソースの相性の良さと同じくらい素晴らしいものだった。

 

「うむ・・・・・・シュライプはまよねーずとも素晴らしく合うな・・・・・・ねこやでもたまにはタルタルソースではなくまよねーずでエビフライを食ってみるのも有りか・・・・・・?」

 

一方ドロトロイを見てみるとエビマヨを食べて固まっている。味わった事の無い味覚に困惑しているのだろう。だが手は動いているので安心していいだろう。

 

「ご飯と合わせると・・・・・・美味い!!!」

 

エビマヨの濃厚な味を受け止める白いご飯。ねこやではエビフライの付け合わせはパンであったがコメというのも悪くない。ハインリヒはエビマヨ定食をあっという間に食べ切るのであった。

 

「ふぅ。」

 

「???・・・・・・???」

 

「大丈夫かドロトロイ。」

 

「俺は、俺は一体何を食ってる・・・・・・?」

 

「ははは・・・・・・」

 

定食屋ふたば。ハインリヒはこちらにも通って、無数にあるシュライプ料理を食い尽くしてやろうと決めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇそれじゃあハインリヒさんもふたばに行ってきたんですね。」

 

「うむ。えびまよなるシュライプの料理を食べたのだがこれまた絶品でな。」

 

「そうでしたか。エビマヨならうちでも出せますよ。」

 

「なに!?そうか・・・・・・いや、こちらでは辞めておこう。味を比べてしまうにはふたばの店主にも礼を失するであろうからな。」

 

「ははは律儀ですねぇ。今日もエビフライで?」

 

「ああ、3皿くれ。してなんだが店主よ。」

 

「なんでしょう。」

 

「エビフライのソースをタルタルソースからまよねーずに変えることは出来るか?」

 

「出来ますよ。」

 

「ではまゆねーずに変えてくれ。」

 

「わかりました。少々お待ちください。」

 

 

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