異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・客に手を出す輩は絶対に許しません。

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とりの甘酢てりやき定食

双子の姉妹、ライルとミイルは森を走っていた。

 

「はぁ!はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・!」

 

「お、ねぇ、ちゃん・・・・・・」

 

「ミイル!!しっかりして!!捕まったら殺されちゃうんだよ!?」

 

「で、でも・・・・・・」

 

「でもじゃない!!あんな村捨てて!2人で生きようって決めたでしょ!!!」

 

ライルは振り返ると松明の明かりが遠くに迫っているのが見えた。

 

「もうあんなところに・・・・・・!!!ミイル立って・・・・・・!!!」

 

「わたし、もう、走れな・・・・・・」

 

「じゃあ背中に捕まって!!!行くよ!!!」

 

ライルとミイルの村では。双子は不吉な子として忌み嫌われていた。だがその双子を神に捧げることで村に豊穣を齎すと信じられ重宝もされていた。ライルとミイルは10まで育てられ、神に捧げられる準備が整ったとして、首を刎ねられそうになったところを僅かな隙を突いて逃げ出してきていたのだ。

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

「おねえちゃん・・・・・・私は置いて行って・・・・・・捕まっちゃうよ・・・・・・」

 

「黙って・・・・・・!!!!」

 

森の中を走りに走る。村に来る行商人が森を抜けたら街道があり、その街道を進めば街があると行っていた。そこまで行けば大丈夫、なはずだった。

 

「ぎゃあ!!!」

 

「うそ・・・・・・弓まで出してくるの!?」

 

ミイルの足に矢が刺さる。ライルはどうしようも出来ず先ほど通過した池のほとりの茂みに身を隠した。

 

「うう・・・・・・痛い、痛いよぉ・・・・・・」

 

「ミイル・・・・・・!!!どうしよう・・・・・・どうしよう!!」

 

その時だった。

 

「!?」

 

「え・・・・・・」

 

茂みの後ろに。引き戸の扉が現れた。ライルはいちかばちか。引き戸を開けて中に入り込むのだった。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「らっしゃ・・・・・・」

 

「助けて!!!」

 

「おいおいおい。」

 

客に挨拶をしようとしたら先に被せられてしまった店主。入ってきたのは子供を背負った子供だった。

 

「追われてて・・・・・・妹が怪我をしてるの・・・・・・お願い助けて!!!」

 

「任せろい!!!おいおデジ!!救急箱!!!」

 

「はい。」

 

「アーロイちゃん2人を座敷に!!!」

 

「はい!!!」

 

座敷の一角に毛布を敷いて背負われてた子を寝かせる。そして怪我の具合を見て、足を貫通する怪我だと判断し、救急箱じゃどうしようもないことに気付く。

 

「まずい。かなり深手だ。これの薬ってどれ・・・・・・いやガタノイヌスさん!!」

 

「うむ。私に任せたまえ。」

 

何時ものようにいたガタノイヌスさんに助けてもらったほうが早いだろう。とりあえずお祈りの前に傷を冷たい水で洗った。

 

「うう・・・・・・!!」

 

「お願い・・・・・・妹を・・・・・・!!司祭様・・・・・・!!」

 

「大丈夫、安心しなさい。あと私は枢機卿だ。」

 

「ガタノイヌスさんどうです?」

 

「これは毒矢だな。こんな子供に酷いことをするものだ。だが光の神の前では毒など造作も無い。安心しなさい。」

 

そしてガタノイヌスさんがお祈りを始める。すぐに淡い光が足に集まり傷を消した。

 

「おお!!!流石ガタノイヌスさん!!!」

 

「ほほほ。店主、治療代はシロコロホルモンのおかわり無料で頼む。」

 

「はいよぉ!!!」

 

「ありがとう・・・!!ありがとうございます!!!」

 

「少女よ。光の神に感謝をしなさいね。」

 

「はい・・・・・・!」

 

「さて2人ともここは飯屋で初見はタダだからさ。なんか食ってきなよ。」

 

「で、でも、追手がいて・・・・・・!!」

 

「大丈夫大丈夫。なんかおまかせでいい?」

 

「おまかせでいい!!!だから助けて・・・・・・!!!」

 

「はいよ!!!」

 

その時だった。入り口が開いてドヤドヤと剣や棍棒、槍などで武装した連中が無遠慮に入ってくる。店主はとりあえず子供を守るように前に出た。

 

「おいここは飯屋か?」

 

「そうだが。なんだあんた達、客か?」

 

「悪いが客じゃない。ここに子供が来たはずだ。探させてもらう。」

 

「ふざけんな。客じゃないなら帰りな。」

 

「黙れ。飯屋風情がこちらの問題に口を出さないでもらおう。」

 

連中が店の中に入ろうとしてきたら他の客が立ち塞がり通せんぼしてくれていた。

 

「貴様ら!!!私を誰と思っている。王国公爵のキシャリーノ=サンブルクであるぞ!!!!頭が高いわ!!!!」

 

「食事の邪魔をするっていうんならバッチケフの森の一団が相手するよ。」

 

「人間、餌にされたいか?去れ、ドリアードは何にも容赦はしない。」

 

「店主!!!公国の騎士であるハインリヒ=ゼーレマンも助太刀するぞ!!!」

 

「光の神の枢機卿を敵に回す度胸は認めてやる。」

 

「帝国騎士団も相手になろう。魔物の相手よりは遥かに楽そうだ。」

 

他にも剣を抜いたり、短剣を構えたり、杖を構えたりと皆が皆武装を始める。一気に物々しい雰囲気になり一触即発の空気が流れる。そうしたら連中のリーダーらしきハゲのジジイが口を開いた。

 

「皆さん落ち着いてください。皆様のお食事の邪魔はしません。我々はそこの2人の子供が欲しいのです。2人を渡してもらえば帰ります。」

 

「ダメだな。」

 

「・・・・・・なんだと。」

 

「その2人はもううちで注文した。だからうちの客だ。手出しは許さない。」

 

「では、その注文を済ませたら連れさせていただく。」

 

「嫌だ!!!!そいつらには着いて行きたくない!!!妹を矢で怪我をさせたのもそいつらだ!!!着いていったら殺される!!!助けて!!!」

 

「・・・・・・だ、そうですが?」

 

「チッ・・・・・・」

 

もう血の気の多そうな他の客は連中に飛びかかりそうだ。

 

「飯屋風情がぐちぐちぐちぐちと・・・・・・こちらが下手に出れば付け上がりおって・・・・・・!!!」

 

「はっとっとと帰りな。」

 

「黙れ!!!!ならば力づくで連れ戻させてもらう!!!!」

 

そういって連中の1人が矢を放った。放たれた弓は天井に吊られていたテレビに命中し、壊す。

 

「やりやがったな!?!?!そうかよ!!!!じゃあこっちも出るとこ出てやラァ!!!!おいおデジ!!!!」

 

「はい。」

 

「あいつらぶっつぶせ!!!!!」

 

「はい。」

 

ここで海神族の追加の説明をしよう。青の神に認められ神の名を名乗る事を許された海神族は海龍へと変身する事が出来るのだ!!!!

 

「ごぎゃあああああああああ!!!!!!」

 

「ひぃぃぃぃぃ!!!!」

 

「うわああああああああ!!!」

 

「ば、ばけものだあああああああ!!!!」

 

愛する店主の店を守れと言われたおデジことデジリスはみるみる巨大な海龍へと変貌し、大きな咆哮を上げる。そして怯える連中の1人の脚を掴み上げ握り潰した。絶叫が響き渡ると同時に連中は逃げ出しリーダー格のジジイを置いて全員出て行ってしまう。

 

「は、は、はぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 

「おいジジイ。」

 

「は、はひ、はぁぁぁ。」

 

「これちゃんと持って帰れよ。おデジ、こいつにそれ渡せ。」

 

ジジイに脚を潰された男を預け、外に放り出す。これでよし。

 

「おデジ。戻っていいぞ。」

 

「ぐぎゅ。」

 

しゅるしゅると元に戻るおデジ。万事解決!!!

 

「店主。」

 

「ん?キシャリーノさんどうしました?」

 

「この子供2人は私が引き受けよう。追われていたということは行く当てが無いということだからな。」

 

「そうですか。ありがとうございます。」

 

「だが・・・ひとつ問題がある。」

 

「え?」

 

「恐らくこの入り口、入ったものは入ってきたところにしか帰れないようになっている筈だ。このまま出るとこの子達の追っ手が待ち構えているやもしれぬ。どうしたものか・・・・・・」

 

「あーなるほど。キシャリーノさんお時間あります?」

 

「今日は予定など無いぞ。」

 

「では詳しい人に聞こうと思うので待っててください。」

 

「承知した。」

 

「次はあの子達の飯だ。」

 

顔が似ている為恐らく双子の子供達の元へ行き、水を渡す。

 

「あ、あ、あの、ありがとう、ございます。」

 

「ありがとう・・・・・・」

 

「なーに!!気にすんなよ!!!それより飯食ってってくれ!!!今用意するからな!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待ちぃ!!!甘酢てりやき定食ぅ!!!」

 

「わ、わぁ!」

 

「わぁぁーー!!」

 

2人は目を輝かせて食事にがっついた。腹も減っていただろうな。緊張も溶けて安心しただろう。

 

「お、おいし、おいしい!!!」

 

「甘くてしょっぱくて、ちょっとすっぱい!!!」

 

「さて、あとはあおさんだな。」

 

あともう一仕事、頑張ろう。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「と、いうわけなんですよあおさん。」

 

「なるほどですわね。」

 

いつも通りの時間に来たあおさんにいつものを出し、いつもの弁当の準備をしながら話をきいてもらった。大丈夫かな。

 

「大丈夫ですわ。その子供2人の帰り道を、そこの男の帰り道にすればいいのですわね?」

 

「そうでさぁ。」

 

「じゃちょいと失礼して。」

 

あおさんは食事を途中にして立ち上がり、入り口の扉の前に立つ。そして指先をかざすと光の軌跡で何かお絵描きを始めてしばらく。

 

「出来ましたわ。」

 

「もう?」

 

「ええ。これくらい水を飲むより簡単ですわ。」

 

「ありがとうございますあおさん。」

 

「麗しき青のレディよ。王国貴族のサンブルク公爵家を代表して感謝いたします。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ありがとうございます!」

 

「ほほほどうぞよしなに。店主、ご飯とお肉おかわり。」

 

「うす。」

 

今日は一騒動だったが無事終わってよかった。異世界だからああいう物騒な事もあるよな。用心しておかないといけないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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