異世界食堂 二軒目!   作:電動ガン

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・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・セブンのネギ塩豚カルビ丼は美味い

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ネギ塩豚カルビ定食

異世界営業を始めてしばらく経ったある日。

 

「今日は客来ねーなー」

 

珍しく、客が1人しか来ない。来たのはファルダニアちゃん1人だけ。腹が減っていたのか山菜そばを2杯平らげて帰っていった。そして夜9時。

 

「もう9時か・・・・・・店閉めるか?でも異世界の扉は夜明けまで出てるっぽいんだよな・・・」

 

異世界の事はこれっぽっちもわからないが以前やたらと健啖家のハーフリングという小さな客がたまたま深夜まで酒を飲んでいた客が残っていた時間にやってきた。うちは居酒屋じゃないよと言ったが飯が美味すぎるからずっと食べていたいと言われたのでたまには良いかと許して深夜営業をしていた時の事であった。それからこの扉は夜明けまで存在して消えることがわかり、深夜営業を決めたのであった。

 

「うーん・・・家賃はかからないけど電気代がなぁ・・・」

 

ランニングコストの計算を始めて嫌になったので無視する。そして時計の針が進み深夜1時。その客はやってきた。

 

「いらっしゃいぃ!!」

 

「・・・。」

 

「お好きな席へどうぞぁ!!!」

 

青いドレスを優雅に着て、頭に青い角がある、如何にも高貴ですよと言った青い髪の背の高い女性。ちょっと定食屋には似付かわしくない雰囲気だが客は客。接客するためにカウンターに入る。

 

「お客さんメニュー読めないですよね。何か食べたいもの言ってくれれば作りますよ。」

 

「・・・。」

 

青いお客さんはキョロキョロと物珍しそうに店内を観察している。しばらくは放っておいてあげようと厨房にレモン水を取りに行った。

 

「お客さんどうぞ。」

 

「・・・わたくし、水は頼んでませんわよ?」

 

「ああ、これはサービスでさぁ。タダですよ。」

 

「あら、そうなの。」

 

青いお客さんはレモン水の入ったコップを持ち上げ氷を鳴らしながら観察している。不思議なお客さんだ・・・

 

「店主。」

 

「あい!!」

 

「注文を。」

 

「あい!!!」

 

注文票を手にとり聞きの体勢になる。この高貴な女性は何を注文するのだろうと身構えているとこんな言葉が口を突いてきた。

 

「ここでしか食べられない方法で作ったお肉が食べたいの。普通のお肉を食べるのじゃないのが食べたいわ。」

 

「普通の食べ方じゃない・・・・・・つまりなんか、ソースやタレが珍しい肉ってことで良いですか?」

 

「ええ。それをお願い。」

 

「あいよぉ!!!ならネギ塩豚カルビ定食ですね!!!」

 

「あ、それと。」

 

「なんでしょ。」

 

「肉の大盛りって出来るかしら。」

 

「出来ますよ。200円プラス・・・じゃなくて銅貨2枚追加で。」

 

「じゃあそれも。」

 

「あいよぉ!!!ライスはどうします?」

 

「それも大盛り。」

 

「あいよぉ!!!ネギ塩豚カルビ定食肉大盛りライス大盛りぃ!!!」

 

厨房に入りまずは肉。うちの豚カルビは厚めに切る。そして肉大盛りは通常300グラムのところを800グラムまで盛る。ジュージューと鉄板で焼いてネギ塩ダレと絡める。焼きあがったらカットしてさらにネギ塩ダレをかける。そして丼にご飯大盛り。今日の味噌汁はカブの味噌汁。

 

「はいよぉネギ塩豚カルビ定食お待ちどぉ!!!」

 

「まぁ♪」

 

「味変にレモンをかけると美味いですよ。」

 

「わかったわ。」

 

青い女性はしずしずと定食を食べ始めた。ちょっと量は女性的ではないが、女性だってたまにはガツンと食べたくなるものだ。うちの水曜以外にも現場の女性などがガツンと食べてくのはよくある。

 

「・・・。」

 

ぱくぱく。

 

「・・・。」

 

ぱくぱく・・・ばくばく

 

「・・・。」

 

ガツガツガツガツ!

 

いつのまにか女性は外聞なんか全く気にしない勢いでご飯と肉を掻っ込んでいる。

 

「ふぅ。なんと・・・美味・・・」

 

はやっ。もう食べ終わってるよ。というかお姉さん恍惚とし過ぎて顔が蕩けてる。ほっぺにご飯粒付いてるし。

 

「お姉さん。」

 

「何か?店主。」

 

俺は右のほっぺを指差しお姉さんはハッとしてご飯粒を回収。少々顔を赤らめながら咳払いをした。

 

「ごほん・・・店主。大変美味でした。」

 

「お粗末さん!!!」

 

「店主、わたくしだいたいこの時間に食べに来ますので用意をお願いしてもよろしくて?」

 

「構いませんよ。お名前を伺っても?」

 

「青ですわ。」

 

「あおさん・・・と。では予約承りました。」

 

「ええではお勘定を。」

 

「銅貨10枚です。」

 

「はい。」

 

そしてゴト、と渡されたのは金の塊。俺は驚いて固まってしまった。

 

「しばらく分の勘定ですわ。」

 

「え、いや、あの・・・これ何年分?」

 

「さぁ。でもこれだけあればしばらく食べれますわよね。」

 

「そう・・・ですけど。」

 

「なら受け取りなさい。」

 

「いやでもこれは多過ぎ・・・」

 

「気にしなさんな細かいことを。」

 

「細かくない・・・」

 

「ではわたくしは帰ります。」

 

「ちちょ!!ちょ!?!?!」

 

青い女性、あおさんはさっさと引き戸を開けて出て行ってしまった。残ったのは俺と、10キロはありそうな金の塊。どうすんのこれ。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

 

青。その正体はドラゴンで、この世界で最大最強の六柱のうちの一柱・・・なのだが

 

「赤がなにやら新しい宝を手にしたようですけど・・・わたくしもやっと手にできましたわ。」

 

同胞の赤が手にした宝。それを羨ましく妬ましく眺めるだけであったがどうやら黒も関わっていると聞いた時にはどうしてもわたくしもと熱り立ったものだ。

 

「これであそこはわたくしの宝。赤も気に入っていた異世界の料理・・・」

 

異世界の料理。それは本当に美味であった。頬が溶けて無くなりそうという表現が、表現ではなく誠の現象であった事を確かめることになるとは永遠に近い時を生きている青でも初めてであった。

 

「ネギ塩豚カルビ定食・・・食べたい。もっと食べたい!もっともっと!!!」

 

今日初めて食べてお気に入りの最上位になったネギ塩豚カルビ定食、深窓のご令嬢のような見目麗しい見た目から不相応な激情が溢れ出す、赤は行っていた7日に1度楽しんでいると。だが7日も待てない。あの異世界の扉はどうして7日に1度しか現れないのかわたくしの魔法でどうにかしようとしたが解析も不可能な複雑さでどうすることも出来なかった。歯痒い思いだが・・・諦めるしかなさそうだ。

 

「保護と加護も置いてきましたし。不埒な事をする輩が出ても大丈夫でしょう。」

 

この一柱、ちゃっかりとあの異世界食堂に自分の物だという証も残してきていた。

 

「ああ・・・・・・食べたい。ネギ塩豚カルビ定食・・・・・・食べたい・・・・・・あっ。」

 

そういえば赤が言っていた。料理を持ち帰っていると。くっ・・・・・・わたくしもそうすれば良かった!!!!

 

「くぅ〜〜〜〜〜・・・・・・!!!!!」

 

悔しい!!!悔しい悔しい悔しい!!!!持ち帰りの事を何故すっぱりと忘れていたのだ!!!!!悔しい悔しい悔しい〜〜〜〜〜!!!!!

 

「はぁ・・・・・・」

 

どの道すぎた事だ。もう次は7日待つしかない。仕方ないのだ・・・・・・

 

「ネギ塩豚カルビ定食・・・・・・」

 

大盛りを食べたが・・・次はおかわりして腹一杯食べよう。そう独りごちて、青はネギ塩豚カルビ定食が食べたすぎて、少し泣いた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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