・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・コンビニの弁当や惣菜は少し割高です。
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店主は膝を痛めていた。ある日の通常営業日に膝に大きな冷凍ブロック肉を落とし、悶絶。客に救急車を呼ばれ、膝の皿にヒビが入ってることがわかり、歩けなくなった。ふたばの店舗の2階、倉庫兼自宅で療養すること3週間。ようやく痛み止めを飲まずとも痛みが引いてきたところ。デジリスに甲斐甲斐しく世話をされながら過ごしていた。
「おデジなんか飯買いに行ってきな。」
「・・・・・・はい。」
デジリスも隠し子時代は人間の街で女中、つまりメイドをやっており家事は出来た、が。それは異世界の家事であり、店主の世界の家事はからっきしで慣れるまでかなりの時間を要した。今では家電も扱えるが料理はまだ。異世界の食材を適切に調理する知識は無い。よってデジリスはコンビニと呼ばれる店に頼り切っていた。
「・・・・・・カレーパン、買ってきます。」
「おう、おデジは好きだなカレーパン。」
そのコンビニで多種多様な商品を食べたデジリス。言葉は魔法でなんとかなった。文字は必死こいて学習した。日本で生きる上で最低条件は整っていた。これでコンビニを制覇しようと考えるまでは。デジリスは店主に話しを聞いたところコンビニの飯や惣菜というのは手ずからのものではなく大量生産品だと聞いた。確かに味は店主の作る料理の方が断然美味い。だがコンビニの飯は抗い難い魅力があった。いろいろ食べた上で一番のお気に入りがお店で揚げているというカレーパンというパンだった。
「・・・・・・♪」
コンビニに走り、カレーパンに思いを馳せるデジリス。まずは飲み物を数本カゴに入れサラダもカゴにぶちこむ。そうしたらカレーパンだ。会計の横にあるガラスの棚に並ぶカレーパン。このコンビニのカレーパンは中のカレーが結構な辛さで大人向けだった。
「カレーパン・・・・・・四つ・・・・・・」
「ありゅあしゃしゅしたー」
勘定をしてまた走って家に戻る。愛する店主が待ちわびているので。2階に駆け上がり店主に買ってきたカレーパンを渡す。デジリスはこの一緒にカレーパンを食べる時間が好きだった。
「もふ・・・・・・もふ・・・・・・」
「量産品にしか出せない味があるよな。」
定食屋ふたばの臨時休業中の一幕であった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
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・・
・
「復ッ活ッ!!!俺復ッ活ッ!!!」
「わーーーー!」
「わーーーーい!」
「・・・・・・テェ〜・・・・・・」
「?」
「店主?」
「飯作りてェ〜〜〜・・・・・・」
今日は異世界営業日。アーロイとミミがやってきて早朝の準備を始める。
「・・・・・・2人とも・・・・・・朝ごはん・・・・・・です・・・・・・」
「わー!デジリスさんありがとう!」
「美味しそうな匂いー」
そして今日も今日とてカレーパンである。デジリスが朝早くコンビニへ行き買ってきたものだ。
「うまーい!!」
「カレーのパンなんだ・・・・・・」
「もふ・・・・・・もふ・・・・・・」
店主は昨日仕込みが出来なかったので急いで仕込みを始める。多分昼営業は一部のメニューは出せないなと考えながら準備する。
「お前らー早速掃除始めてくれー。埃まみれだぞー」
「はーい。」
「ごちそうさまでした。」
「・・・・・・。」
⏰
「らっしゃしゃしゅせい!!!」
「いらっしゃいませー!!!」
「いらっしゃいませ!!!」
「・・・・・・いらっしゃいませ。」
久しぶりの異世界営業だがかわるがわる入ってくる客は口々に一体何があったのかと聞いてくる。心配したぞ、と。店主はすいやせんすいやせんと謝るしかなかった。
「店主、心配しましたわよ。」
「あおさんもすいやせん。」
「ネギ塩豚カルビ定食が食べられなくて鱗が何枚剥がれ落ちたことやら。」
「ほんとすいやせん。」
「アーロイとミミも大変心配していましたのよ。」
「もう本当にすいやせん。」
「まぁいいですわ。こうして元気なら。いつもの肉増し飯大盛りで。」
「うす!!」
今日最後の客のあおさんを捌いて今日は終了。久しぶりの異世界営業だからえらい客がたくさん来た気がする。
「よーし。アーロイちゃん。ミミちゃん。お疲れ。夜食にするぞ。」
「わーい!!」
「やったー!!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
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・・
・
一方その頃。ねこや。
「それで青のやつが愚行を働いたようでの。」
「へぇ。そういうことがあるんですかい。」
「うむ。我は宝については細心の注意を払っておる。しかし青はまだ宝を手にしたばかり。仕方ないがあまりにも不甲斐無いと叱ってやったのだ。」
「他所の店はそういう風になってるんですね。」
「ねこやではそうはならぬ。怪我なども見過ごさぬ。例え事故であってもな。」
「それは頼りになりますが、そういうの大丈夫なんですかね。辻褄合わせが起きたりなんか・・・・・・」
「大丈夫だ。そう言った物は店の中では起きない。全て外に出されるのでな。」
「そうですか。ではビーフシチューおかわりです。」
「うむ。」
「しかしふたばさんはうちの比じゃない客が来るのか。すごいな。」
「ですねマスター。私が行った時もすごいお客さんでした。あ、下げたお皿です。」
「はいよ。アレッタさんはふたばの飯どうだった?」
「そうですね。ふたばさんのもとても美味しいんですけど。ねこやは王都のレストランならふたばさんは街の酒場みたいな感じなんですよ。」
「まぁ定食屋だって言ってたからな。」
「メニューもすごく多くて。どれもすごーく美味しそうでした!!」
「ははは!そうか!じゃ、うちも負けてらんないな。」
「はい!!」
「店主、馳走になった。持ち帰りを。」
「はいよ!少々お待ちください。」
「うむ。」
「よっと、アレッタさん頼む。」
「はーい!!よっこいしょ!」
「うむ、確かに、ではな店主。」
「ありがとうございましたー!」
「ありがとうございました!」
「さて、アレッタさん、クロ・・・・・・はもう食ってるんだった。飯にするか。」
「はーい!!お腹空きました!」
「(ふたばさん、連絡取ってみるか。)」