・一応ファンタジーです。
・剣も魔法も存在しますが、あまり活躍しません。
・店主は普通のあんちゃんです。料理以外はできません。
・訪れる客は毎回変わります。ただし常連客もいます。
・ガ・・・!入っている・・・!チャーシューと輪切りのネギがたっぷり・・・!
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街から歩きでは優に3日は掛かるほどに深い山の奥。狼の血を引く獣人のカルロスは姉が寝泊まりしている山小屋に向けて歩いていた。
「・・・アデリア姉は、なぜ銀貨を増やせと?それなりに大変なんだが。」
そして無事山を登り終えて山小屋に到着し扉をくぐる。
「アデリア姉!来たよ・・・・・・いないのか?」
一通り山小屋の中を探すが姉の姿は無い。そして荷物を置いて外に出て水を汲み、コップに注ぐ。
「ごくっ・・・・・・ごく・・・・・・ぷはぁ。」
今日は良い天気で晴れ渡り、山々は脈々と連なる様子が一望出来る。そして・・・・・・よく目を凝らすと空に点が見える。それは徐々に近づいて来ていた。
「・・・・・・?」
よおく、よおく目を凝らすととそれは羽ばたいている何かで山小屋を目指している事がわかった。カルロスはため息をひとつ吐き、手を振るのであった。
「アデリア姉ーーーーーーー!!!!」
遠くからかるろす〜〜〜〜〜と返事が返ってくる。緑の神の翼で空を飛び、何処かに用を足してきたのだろう。アデリアは羽を納めると山小屋の前に舞い降りた。
「カルロス。待ってたよ。」
「その割にはどこ行ってたんだアデリア姉。」
「まぁまぁそれは中に入ったら話すよ。」
山小屋に入り、アデリアは湯を沸かしお茶を入れる。カルロスは黙ってお茶を飲むが。アデリアは何をしに行っていたのか気になっていた。
「とりあえずアデリア姉、いつもの頼まれてた物は持ってきたよ。」
「おお〜ありがとうカルロス。」
「しかし急に銀貨100枚に増やしてくれって言われて結構大変だったぞ。」
「ごめんごめん。」
カルロスは前回山小屋に来たときにアデリアから持ってくる銀貨を増やしてくれと頼まれていた。
「アデリア姉。ねこやで豪遊するのもほどほどにしないと。あそこは赤の神の縄張りだぞ。」
「うんだから別なとこに行こうと思って。」
「は?」
別なとこ?ねこや以外のどこに?アデリアは驚愕の言葉を吐き出すのであった。
「緑の神から天啓が来て。信仰のご褒美に青の神の縄張りで遊んできなさいって言われたの。」
「・・・・・・はぁ?」
「大丈夫!青の神には許可取ってるって!暴れなければ好きにして良いんだって!」
「・・・・・・何を言ってるんだアデリア姉・・・・・・?」
緑の神にしろ青の神にしろ全部で6柱ある偉大なる神はそんな簡単に天啓など与えない。それこそ神の力を借りるまで至った大神官が生涯に1度もらえれば良い方なのだ。それをこの姉は友達の家に遊びに行くみたいな軽さでもらったらしい。なんだそれは。
「この近くに扉を呼んでくれるんだって。行こうよカルロス。」
「ねこやにか?」
「ううん。ちがう。ふたばだよ。」
「は?」
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「らっしゃしゃせっせい!!!!」
「いらっしゃいませー!!!」
「いらっしゃいませ!!!」
「・・・・・・いらっしゃいませ。」
「アーロイちゃん!ミミちゃん!こんにちは!」
「わー!アデリアさん!いらっしゃい!!」
「アデリアさんこんにちはー!!!」
「はぁ・・・・・・」
おおよそ神の力を借りれる神官クラスの青の神の信徒と戯れる姉を見てカルロスは少し冷静になった。まぁ良いだろう。ここも飯を食うとこらしいし。
「お好きな席へどうぞー!!」
「どうぞー!!」
「じゃあカルロス。ザシキにしましょうか。」
「はいはい・・・・・・ザシキってなんだ。」
椅子の無いテーブルに座るとすぐにアーロイが2人分の水とメニューを持って来る。カルロスはねこやと比べて遥かにデカイメニューを見て目を白黒させたがアデリアは難なくペラペラページをめくり出すのだった。
「うーん・・・・・・卵のメニューいっぱいあるのよね・・・・・・今日はどうしよう。」
「俺はなんでもいいよ。」
「そう?じゃあ私に任せて!お〜いアーロイちゃ〜ん。」
「はーい!!」
「オムレツライス二つ。」
「はーい!!オムレツライス二つーーーーー!!!!」
「オムレツって、ねこやにもあったメニューだよな。」
「うん。でもこっちのは味が違うの。オムレツライスのオムレツは〜ちゃーしゅーって肉がごろごろ入ってて、それとネギって野菜がいーっぱい入ってるの!」
「へー・・・・・・どういう味なんだろ。」
「店主が言うにはちゅーかふう?なんだって。」
「ちゅーか?」
味の想像の出来ないカルロスは来るまで待つしかないと思った。それにねこやと同じ異世界食堂ならマズイものは出さないという信頼もある。そしてぼちぼち待つとワゴンに料理を携えたアーロイがやってくる。
「お待ち!!オムレツライスです!!!オムレツライスはスープは中華スープになってまーす!!」
「来たぁ〜」
「なんだこれ・・・・・・」
大きなオムレツに白く輝くご飯。そして澄んだ色のスープ。
「アデリア姉、この白いのなんだ?」
「これはコメっていうの。オムレツと一緒に食べると美味しいよ。」
「へ〜」
「ささ、食べよ食べよ。」
カルロスはまず、オムレツをフォークで割った。すると少し固まった卵の中に茶色い具と緑の輪っかが出てくる。
「これがちゃーしゅーとネギか・・・・・・」
よしと意気込んで卵をばくん!と頬張った。そして感じたのは熱と、まるで洪水の様に染み出す旨み。そして肉の甘みとネギの芳ばしい風味。卵に具を入れて焼いただけのシンプルな料理と思っていたがねこやの卵焼きと同じ。何重にも複雑な味が重なった料理になっている。
「うめぇ〜〜〜」
「でしょ〜〜?あむ!」
卵ばかりに気を取られていたがコメとやらも気になる。白い輝くコメ。まずは一口・・・・・・と頬張るが仄かな甘みがあるだけでそんなに美味しいとは思えなかった。苦しい顔をしているとアデリアから指摘が入る。
「カルロス。ご飯はオムレツと一緒に食べるんだよ〜」
「・・・・・・なるほど?」
今度はオムレツをばくん!と頬張りご飯を掻き込む。するとどうだろうか。オムレツの旨みをご飯が吸収し、何倍、何十倍にも膨れ上がらせるのだった。これにはカルロスも開いた口が塞がらなかった。
「あおん・・・・・・」
「ふふふ。アーロイちゃ〜んご飯おかわり。」
「はーい!!」
そうして2人はオムレツを3回、ご飯を四回おかわりしてふたばを堪能するのであった。
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ふたばで豪遊し、山小屋に戻ってきたカルロスとアデリア。食休みにお茶を飲んでいるがカルロスは浮かない顔であった。
「大丈夫だってば。カルロス。それはちゃんと許されてるんだって。」
「そ、そうは言うが・・・おれはオムレツを3回もおかわりし、コメも3回おかわりしてるんだぞ。なのに初めてだからタダでいいなんて・・・・・・」
「大丈夫なんだって。むしろタダはダメって無理矢理お金押し付ける方が大変な事になるってミミちゃんが言ってたじゃない。」
「本当に・・・・・・本当に?」
「ほんとほんと。」
「あおん・・・・・・」
初めてがタダに慣れない客もまだいるのであった。
「アレッタさん。今日もお疲れ。」
「お疲れ様でした!!」
「これ、今日のお給料な。」
「はい!ありがとうございます!」
「それと頼まれてたフライング・パピーのクッキー缶な。」
「わぁぁ!はい!」
「最後に・・・・・・アレッタさんちょっと。」
「はい?」
「これ頼まれてくんないか。」
「これ、お給料入ってる紙と一緒の紙ですけど・・・・・・?」
「これはふたばさんへの手紙だ。」
「ふたばさんの?」
「ああ。同じ異世界食堂。お隣さんみたいなもんだ。挨拶が無いのは失礼だろうと思ってな。」
「なるほど・・・・・・この手紙をふたばさんの店主さんに渡せばいいんですね?」
「ああ。頼む。」
「わかりました!!!」
「よし、じゃあアレッタさん。クロ。気をつけて帰れよ。」
「はい!!お先に失礼しまーす!!」